♫立て、餓えたる者よ〜〜と歌い出し、♫いざ、闘わん、いざ、奮い立て〜〜嗚呼、インターナショナル、我らがもの〜〜などと歌う「インターナショナル」。フランスで誕生したこの歌は労働歌として世界に広がり、日本でもかつて労働組合運動が活発だった頃に盛んに歌われたという。
闘争意欲を鼓舞する歌だが、労働者が闘うには団結と連帯が欠かせない。労働者1人では会社(資本)に対して、あまりにも無力なのが現実だから、労働組合に結集することが必要になる。とはいえ、日本では企業別の労働組合が会社の利益を尊重して「自重」するのは珍しくなく、闘わなくなって久しい。組織率も下がり続け、闘争意欲を鼓舞する歌はすっかり忘れられた気配だ。
米国ではGMに対してUAW(全米自動車労働組合)が40日間もの長期ストライキで闘い、工場を操業停止に追い込み、新たな労働協約を結んでストは集結した。新協約では、昇給と正社員1人当たり1万1000ドルのボーナス、非正規従業員の正社員登用の迅速化などが認められ、医療費の自己負担率引き上げは撤回されたというから、闘った労働者側の勝利だ。
企業別組合ではなく産業別組合が主体になるから企業に対する交渉力が強くなる。労働者が団結するのは交渉力を高めるためなのだから、個別企業の組合より産業別組合のほうが規模が大きくなり、労働者の利益になる。ただし、大規模な組合でも闘おうとしない組合があって、個別企業の内部留保の増大を許す。
巨大化した多国籍企業が国境を越えて世界で展開するというグローバリズムを支える条件の一つが、各国の賃金格差だ。米国内で団結した労働者が、中国など低賃金の他国の労働者とも団結するならば、巨大化した多国籍企業に対しても交渉力を持つことができようが、国境を越えた労働者の団結は見えない。
多国籍企業は国境を越えて工場を移転させる。各国の労働者に共通する利害が少なく、むしろ利害が対立する構図がグローバリズムであるなら、国境を越えた労働者の団結は望み薄だ。社会主義や共産主義の衰退・退場とともに「万国の労働者よ、団結せよ」とのスローガンも色あせ、各国で労働者は競わせられている。
♫聞け、我らが雄叫び、天にとどろきて〜〜劣悪な条件で働かされている人々は世界にはまだ多く、待遇改善や権利要求などは人々がそれぞれ団結して闘争で勝ち取るしかないだろう。インターナショナルを「我らがもの」にできなかった万国の労働者にとって、「インターナショナル」の出番はなさそうだ。
2019年12月28日土曜日
2019年12月25日水曜日
グレタとトランプ
米誌「タイム」は2019年「今年の人」に16歳の環境活動家グレタ・トゥンベリさんを選んだ。「地球が直面する最大の課題に対して、最大の影響力を誇る人物となった」ことが選出理由だという。確かに世界のマスコミはグレタさんの動向を大きく扱ったから、少女は大きな影響力を持ったかに見える。
これに対して米トランプ大統領は「ばかげている。グレタは自分のアンガーマネジメント(怒りの制御)の問題に取り組まなきゃならない。それから友達と良い映画を見に行ってこい。落ち着けグレタ、落ち着け」とツイートし、環境問題への大人の取り組み姿勢は消極的だと怒るグレタさんを揶揄した。
グレタさんはすぐに反応、ツイッターのプロフィールを「怒りをコントロールする問題に取り組むティーンエージャー。落ち着いていて、友達といい映画を見に行っています」と更新、まともに反論せず、トランプ大統領の言葉を使って切り返してみせた。グレタさん本人が書いたのか、周辺にいる環境活動家が書いたのか明らかではないが、冷静さを感じさせた。
2人は9月にも“バトル”していた。国連で怒りをあらわにスピーチしたグレタさんに対してトランプ大統領は「彼女は明るく素晴らしい未来を夢見るとても幸福な若い女の子のようだ。ほほえましい」と皮肉ってツイートし、グレタさんはツイッターのプロフィールを「明るく素晴らしい未来を夢見るとても幸福な若い女の子」に変更、トランプ氏をいなしてみせた。
トランプ氏は米国の大統領という国際的に大きな影響力を持つ地位にいるが、グレタさんは何の地位も持たない少女だ。欧米のマスコミが大きく取り上げるから、その言動が伝えられるが、欧米のマスコミが取り上げることを止めれば、たちまち忘れ去られる存在だろう。
しかし、米トランプ大統領とグレタさんは対等に渡り合っているかのように欧米のマスコミは報じる。CO2排出増加による地球環境危機をグレタさんは信じ、トランプ大統領は信じない。主張ではかけ離れている2人だが、思い込みの強さと自己主張の強さ、異論を述べる他者への激しい攻撃では、似たような人格だとも見える。
CO2排出増加による地球環境の危機という物語がなかったとすれば、グレタさんは無名の少女でいただろう。欧米のマスコミがお膳立てをしてグレタさんは、米トランプ大統領と対等に渡り合うポジションに据えられた。CO2排出増加による地球環境危機という物語を定着させるには、様々な演出が必要になるらしい。
これに対して米トランプ大統領は「ばかげている。グレタは自分のアンガーマネジメント(怒りの制御)の問題に取り組まなきゃならない。それから友達と良い映画を見に行ってこい。落ち着けグレタ、落ち着け」とツイートし、環境問題への大人の取り組み姿勢は消極的だと怒るグレタさんを揶揄した。
グレタさんはすぐに反応、ツイッターのプロフィールを「怒りをコントロールする問題に取り組むティーンエージャー。落ち着いていて、友達といい映画を見に行っています」と更新、まともに反論せず、トランプ大統領の言葉を使って切り返してみせた。グレタさん本人が書いたのか、周辺にいる環境活動家が書いたのか明らかではないが、冷静さを感じさせた。
2人は9月にも“バトル”していた。国連で怒りをあらわにスピーチしたグレタさんに対してトランプ大統領は「彼女は明るく素晴らしい未来を夢見るとても幸福な若い女の子のようだ。ほほえましい」と皮肉ってツイートし、グレタさんはツイッターのプロフィールを「明るく素晴らしい未来を夢見るとても幸福な若い女の子」に変更、トランプ氏をいなしてみせた。
トランプ氏は米国の大統領という国際的に大きな影響力を持つ地位にいるが、グレタさんは何の地位も持たない少女だ。欧米のマスコミが大きく取り上げるから、その言動が伝えられるが、欧米のマスコミが取り上げることを止めれば、たちまち忘れ去られる存在だろう。
しかし、米トランプ大統領とグレタさんは対等に渡り合っているかのように欧米のマスコミは報じる。CO2排出増加による地球環境危機をグレタさんは信じ、トランプ大統領は信じない。主張ではかけ離れている2人だが、思い込みの強さと自己主張の強さ、異論を述べる他者への激しい攻撃では、似たような人格だとも見える。
CO2排出増加による地球環境の危機という物語がなかったとすれば、グレタさんは無名の少女でいただろう。欧米のマスコミがお膳立てをしてグレタさんは、米トランプ大統領と対等に渡り合うポジションに据えられた。CO2排出増加による地球環境危機という物語を定着させるには、様々な演出が必要になるらしい。
2019年12月21日土曜日
タレントに興奮する人々
タレントが街歩きする番組は珍しくない。飲食店を訪ねて名物料理などを食べて大げさに「美味しい」などと誉めそやしたりする。タレントが撮影交渉する姿を入れることで、「仕込み」ではないことをさりげなく強調したりする。
タレントが歩くのは都会の商店街であることが多いようだが、地方都市や観光地に行って歩くこともある。出会った人々と、どれだけ軽妙に会話することができるかがタレントのウデの見せ所らしく、そうしたやり取りに視聴者もタレントに親近感を持つのだろう。
タレントの街歩き番組は、スタジオにセットを組んで収録する番組より低予算だろうことは想像に難くない。タウン誌や観光情報誌などで事前に撮影場所を選び出し、大まかな構成を決めておけば、あとは実際にタレントを歩かせて撮影するだけ。
そうした街歩き番組で、タレントを街中で見た人々が歓声を上げ、興奮した様子でタレントの周囲に集まってくる場面がある。そのような状況が実際にどれほど起きているかはともかく、そうした場面は番組中に数回は必ず挿入される。
タレントを見て人々が興奮するのはなぜだろうか。人々はテレビ画面を通じて頻繁に見ているからタレントに一方的な親近感を持っているのだろうが、「知り合いと出会った」以上の喜びを、タレントに出会ったときに人々は感じているようにも見える。
熱心なファンなら当のタレントに出会って興奮するのは当然だろう。だが、街歩き番組でタレントを見て興奮した様子の人々は、熱心なファンというより、テレビで見ていたタレントが目の前にいることに反応しているようだ。
そうした人々はおそらくタレントを特別な存在とみなしているから、タレントを見て興奮するのだろう。何が特別かというと、テレビに出ることができるという「特権」を有していることか。特別な才能など感じさせないが、軽妙なやり取りや嫌われない人間味を備えていると感じさせてタレントは人気を得ているのかもしれない。
テレビ番組の収録中という状況も人々を興奮させている気配だ。東京の繁華街などで私用で歩いているタレントを見かけても大騒ぎする人は少ないようだから、タレントがタレントである時=テレビ番組に出ている時(収録中)のタレントに人々は興奮するのか。
タレントが歩くのは都会の商店街であることが多いようだが、地方都市や観光地に行って歩くこともある。出会った人々と、どれだけ軽妙に会話することができるかがタレントのウデの見せ所らしく、そうしたやり取りに視聴者もタレントに親近感を持つのだろう。
タレントの街歩き番組は、スタジオにセットを組んで収録する番組より低予算だろうことは想像に難くない。タウン誌や観光情報誌などで事前に撮影場所を選び出し、大まかな構成を決めておけば、あとは実際にタレントを歩かせて撮影するだけ。
そうした街歩き番組で、タレントを街中で見た人々が歓声を上げ、興奮した様子でタレントの周囲に集まってくる場面がある。そのような状況が実際にどれほど起きているかはともかく、そうした場面は番組中に数回は必ず挿入される。
タレントを見て人々が興奮するのはなぜだろうか。人々はテレビ画面を通じて頻繁に見ているからタレントに一方的な親近感を持っているのだろうが、「知り合いと出会った」以上の喜びを、タレントに出会ったときに人々は感じているようにも見える。
熱心なファンなら当のタレントに出会って興奮するのは当然だろう。だが、街歩き番組でタレントを見て興奮した様子の人々は、熱心なファンというより、テレビで見ていたタレントが目の前にいることに反応しているようだ。
そうした人々はおそらくタレントを特別な存在とみなしているから、タレントを見て興奮するのだろう。何が特別かというと、テレビに出ることができるという「特権」を有していることか。特別な才能など感じさせないが、軽妙なやり取りや嫌われない人間味を備えていると感じさせてタレントは人気を得ているのかもしれない。
テレビ番組の収録中という状況も人々を興奮させている気配だ。東京の繁華街などで私用で歩いているタレントを見かけても大騒ぎする人は少ないようだから、タレントがタレントである時=テレビ番組に出ている時(収録中)のタレントに人々は興奮するのか。
2019年12月18日水曜日
そういう見方もある
例えば、世界の大学ランキングを英国の教育専門誌が発表すると、日本の大学の順位が上がったとか下がったとか日本のマスコミは詳しく報じる。ランキングは教育力、研究力、研究の影響力、国際性、産業界からの収入をそれぞれ指標化して決めるといい、論文引用数などが高く評価されるので研究重視の大学が高位に来るようだ。
この種の国際ランキングは「そういう見方もある」と参考にしておけばいいだけだが、西欧からの評価をありがたがる日本人(と日本マスコミ)には、基準とすべきものとなっているらしい。だから、ランキングが正確なのかを検証する記事は乏しく、また、自ら世界の大学をランキングする能力がないので、発表されたランキングの適否を判断することができない。
世界の大学ランキングで日本の大学の順位を上げる簡単な方法がある。それは評価項目に「日本語で全ての授業を行っている」を加えること(あるいは「自国語で高等教育を行っている」を加える)。たちまち日本の大学は世界の大学ランキングで上位に並ぶだろう。英語で授業を行うことを評価ポイントにできるなら、日本語で授業を行うことを評価ポイントに据えても不都合はないだろう。
数多くある世界ランキング。これを作成するためには、第一に各国から情報を集めなければならない。GDPなど公表されているデータなら集めるのは簡単だが、ランキングの対象とする分野によっては公表データが乏しく、存在しない場合もあろうから、対象分野の様々な細かいデータを各国から寄せ集めることが必要になる。
第二に、世界から集めたデータを評価して順位をつけるのだが、その時には評価の客観性が必要になる。何らかの意図や主観などによる偏りがないことを明確にしなければ信頼を得ることが難しい。だから、評価の客観性が必要になる(中国から何かの世界ランキングが発表されても無視されるのは、評価基準が信頼されないから)。
評価を客観化するには、対象を複数の評価項目に分解し、それぞれに点数化する。部分の評価を集めて全体を評価する手法だ。点数をつける時に評価者の主観などに影響されるが、評価者を複数にすることで客観性を高める(=客観性を装う)。結果として数字で示された場合、人々は信じやすいようだから、点数化することは有効だ。
データを収集して分類し、評価する。これは科学の方法でもある。できるだけ正確に現実の世界を理解するためには適した手法であろう。ただし、科学では分類や評価などは常に検証・批判にさらされる。様々な世界ランキングに対する厳しい検証・批判は目立たず、ただ、ありがたがるだけでは世界ランキングの信憑性は低いままだろう。美味しいラーメン・ランキングと大差がないのなら、「そういう見方もある」と受け流すのが正解だ。
この種の国際ランキングは「そういう見方もある」と参考にしておけばいいだけだが、西欧からの評価をありがたがる日本人(と日本マスコミ)には、基準とすべきものとなっているらしい。だから、ランキングが正確なのかを検証する記事は乏しく、また、自ら世界の大学をランキングする能力がないので、発表されたランキングの適否を判断することができない。
世界の大学ランキングで日本の大学の順位を上げる簡単な方法がある。それは評価項目に「日本語で全ての授業を行っている」を加えること(あるいは「自国語で高等教育を行っている」を加える)。たちまち日本の大学は世界の大学ランキングで上位に並ぶだろう。英語で授業を行うことを評価ポイントにできるなら、日本語で授業を行うことを評価ポイントに据えても不都合はないだろう。
数多くある世界ランキング。これを作成するためには、第一に各国から情報を集めなければならない。GDPなど公表されているデータなら集めるのは簡単だが、ランキングの対象とする分野によっては公表データが乏しく、存在しない場合もあろうから、対象分野の様々な細かいデータを各国から寄せ集めることが必要になる。
第二に、世界から集めたデータを評価して順位をつけるのだが、その時には評価の客観性が必要になる。何らかの意図や主観などによる偏りがないことを明確にしなければ信頼を得ることが難しい。だから、評価の客観性が必要になる(中国から何かの世界ランキングが発表されても無視されるのは、評価基準が信頼されないから)。
評価を客観化するには、対象を複数の評価項目に分解し、それぞれに点数化する。部分の評価を集めて全体を評価する手法だ。点数をつける時に評価者の主観などに影響されるが、評価者を複数にすることで客観性を高める(=客観性を装う)。結果として数字で示された場合、人々は信じやすいようだから、点数化することは有効だ。
データを収集して分類し、評価する。これは科学の方法でもある。できるだけ正確に現実の世界を理解するためには適した手法であろう。ただし、科学では分類や評価などは常に検証・批判にさらされる。様々な世界ランキングに対する厳しい検証・批判は目立たず、ただ、ありがたがるだけでは世界ランキングの信憑性は低いままだろう。美味しいラーメン・ランキングと大差がないのなら、「そういう見方もある」と受け流すのが正解だ。
2019年12月14日土曜日
話法の効果
話すときに身振り手振りが大きな人がいる。話すことに熱中して、つい身体も動いてしまうのだろうが、意識して身振り手振りを大きくしている気配の人もいる。それは、自分の話に演出を加えているようにも見え、聞き手に違和感を感じさせたりする。
評論家や大学教授、作家ら「文化人」で身振り手振りが大きな人は少ない印象だ。主観に偏らず理性的に話そうと論旨を組み立てつつ的確な言葉を選んで話すために脳をフル回転させているのだろうから、身体の動きが抑制されるのか。ただ、言葉を溢れるように撒き散らしつつ、身振り手振りが大きい人もいて、個人差は大きい。
言葉を次々と流ちょうに連ねる文化人は、「この人は講演に飛び回って、けっこう稼いでいそうだ」との印象を持たれたりする。具体的なエピソードを交え、適度に聴衆を笑わせる言葉も用意し、主張するところは強く言い切るなど、プロの話し手の技術は高度だ。
一方、文化人の中には流ちょうに話さないことで誠実さを漂わせる人もいる。考え考え、言葉を選んでポツポツと話し、それらの言葉を文字にすると、そのまま文章になっていたりする。日頃から口述筆記などを行っているのかもしれないな。
身振り手振りが大きくない人でも話し方などにそれぞれ個性があり、それらも聞き手は言葉と一緒に受け止める。詐欺にあった人が「真面目そうな人で悪い人に見えなかった」などと言うが、表情や態度などもフル活用し、聞き手の反応を常にうかがっているだろうからプロの詐欺師の会話術も高度だ。
流ちょうに話さず、考えながら話している風情で言葉をポツポツと紡ぐ人の中には、話した内容が平凡なのに独創的なことを言っているように受け止められる人もいる。深刻そうな表情で、考え考え話している風情に聞き手は騙されるのかもしれない。
例えば、深刻そうな顔つきで考え考え、「雲が、出てきて、小雨が、降り始めたから、これから、天気が、崩れるかもしれない」……正しいことを言っているのだろうが、ありがたがって拝聴するほどのことではない。こうした話し方をする人は文化人の中にもいて、ファンがついていたりする。
評論家や大学教授、作家ら「文化人」で身振り手振りが大きな人は少ない印象だ。主観に偏らず理性的に話そうと論旨を組み立てつつ的確な言葉を選んで話すために脳をフル回転させているのだろうから、身体の動きが抑制されるのか。ただ、言葉を溢れるように撒き散らしつつ、身振り手振りが大きい人もいて、個人差は大きい。
言葉を次々と流ちょうに連ねる文化人は、「この人は講演に飛び回って、けっこう稼いでいそうだ」との印象を持たれたりする。具体的なエピソードを交え、適度に聴衆を笑わせる言葉も用意し、主張するところは強く言い切るなど、プロの話し手の技術は高度だ。
一方、文化人の中には流ちょうに話さないことで誠実さを漂わせる人もいる。考え考え、言葉を選んでポツポツと話し、それらの言葉を文字にすると、そのまま文章になっていたりする。日頃から口述筆記などを行っているのかもしれないな。
身振り手振りが大きくない人でも話し方などにそれぞれ個性があり、それらも聞き手は言葉と一緒に受け止める。詐欺にあった人が「真面目そうな人で悪い人に見えなかった」などと言うが、表情や態度などもフル活用し、聞き手の反応を常にうかがっているだろうからプロの詐欺師の会話術も高度だ。
流ちょうに話さず、考えながら話している風情で言葉をポツポツと紡ぐ人の中には、話した内容が平凡なのに独創的なことを言っているように受け止められる人もいる。深刻そうな表情で、考え考え話している風情に聞き手は騙されるのかもしれない。
例えば、深刻そうな顔つきで考え考え、「雲が、出てきて、小雨が、降り始めたから、これから、天気が、崩れるかもしれない」……正しいことを言っているのだろうが、ありがたがって拝聴するほどのことではない。こうした話し方をする人は文化人の中にもいて、ファンがついていたりする。
2019年12月11日水曜日
世界で大規模な山火事
オーストラリア南東部で11月から山火事(森林火災)が猛威を振るっている。100カ所以上で発生した火災は強風により燃え広がり、合体したりして規模を拡大、シドニーに迫っているという。すでに165万haが焼失し、700戸以上の住宅が被害を受け、死傷者が出ている。焼け死んだコアラも多いと伝えられる。
今年のオーストラリアは干ばつに見舞われ、乾燥していたことから、毎年のように発生する山火事(森林火災)が多発し、強風に煽られて燃え広がった。報道によると、ニューサウスウェールズ州消防局の副局長は、消防隊は住民を避難させ、火災が発生しやすい乾燥した気候と強風が静まるのを願う以外にできることはないと述べたそうだ。
大規模な山火事は10月に米カリフォルニア州でも発生していた。約4万haが焼失し、州知事は州全域に非常事態を宣言した。20万人以上が避難を強いられ、セレブの豪邸を含む多くの住宅が被害を受けた。同州では昨年も大規模な山火事が発生、15万世帯が焼失、86人が死亡した。
同州で大規模な山火事が多いのは、乾燥した気候に季節的な強風が加わって小さな山火事がたちまち大規模化するためだという。昨年の山火事は、電力大手PG&Eの送電線など老朽化した設備が火元になったと見られ、最近、被害者らと総額135億ドルの損害賠償で和解した。また、山火事の再発を防ぐためにと送配電網の稼働を止める計画停電を同社は繰り返している。
6月にはスペインのカタルーニャ地方で大規模な山火事が発生、6500haの森林が焼失し、7月にはポルトガルで8500haが焼失する山火事が発生した。報道によると欧州では18年、計120万haが山火事で焼失し、死者は100人以上になるという。8月には南米アマゾンの熱帯雨林で3万件以上の火災が発生したが、こちらは違法な伐採や焼き畑などが原因と見られている。
干ばつによる乾燥や高温の気温、強風などが山火事の大規模化を促進しているようで、地球温暖化によって山火事が増えているとの解釈が珍しくない。だが、山火事の4%が自然発火で、残りの96%は人間が関わっているとの報告がある(WWF)。都市への人口移動は世界的な傾向で、放棄地が増えて管理されない森林などが増えたことの影響もあるという。
森林は大気中のCO2を吸収する機能があり、アマゾンの熱帯林が固定している炭素は推定900億~1400億トンで世界中で人為的に放出される温室効果ガスの9~14年分に相当する(WWF)。だが、山火事(森林火災)は大量のCO2を大気中に放出するので、温暖化論者の説に従えば、山火事は温暖化を加速することになる。
過激な温暖化論者なら「CO2排出増加を防ぐため、世界各地で発生する山火事の発生を阻止しろ」と主張しそうなものだが、山火事(森林火災)は不可抗力と見られているのか、そんな声は聞こえてこない。むしろ山火事(森林火災)の原因を温暖化と結びつけることで、温暖化の危機を言い立てる材料に利用しているように見える。
今年のオーストラリアは干ばつに見舞われ、乾燥していたことから、毎年のように発生する山火事(森林火災)が多発し、強風に煽られて燃え広がった。報道によると、ニューサウスウェールズ州消防局の副局長は、消防隊は住民を避難させ、火災が発生しやすい乾燥した気候と強風が静まるのを願う以外にできることはないと述べたそうだ。
大規模な山火事は10月に米カリフォルニア州でも発生していた。約4万haが焼失し、州知事は州全域に非常事態を宣言した。20万人以上が避難を強いられ、セレブの豪邸を含む多くの住宅が被害を受けた。同州では昨年も大規模な山火事が発生、15万世帯が焼失、86人が死亡した。
同州で大規模な山火事が多いのは、乾燥した気候に季節的な強風が加わって小さな山火事がたちまち大規模化するためだという。昨年の山火事は、電力大手PG&Eの送電線など老朽化した設備が火元になったと見られ、最近、被害者らと総額135億ドルの損害賠償で和解した。また、山火事の再発を防ぐためにと送配電網の稼働を止める計画停電を同社は繰り返している。
6月にはスペインのカタルーニャ地方で大規模な山火事が発生、6500haの森林が焼失し、7月にはポルトガルで8500haが焼失する山火事が発生した。報道によると欧州では18年、計120万haが山火事で焼失し、死者は100人以上になるという。8月には南米アマゾンの熱帯雨林で3万件以上の火災が発生したが、こちらは違法な伐採や焼き畑などが原因と見られている。
干ばつによる乾燥や高温の気温、強風などが山火事の大規模化を促進しているようで、地球温暖化によって山火事が増えているとの解釈が珍しくない。だが、山火事の4%が自然発火で、残りの96%は人間が関わっているとの報告がある(WWF)。都市への人口移動は世界的な傾向で、放棄地が増えて管理されない森林などが増えたことの影響もあるという。
森林は大気中のCO2を吸収する機能があり、アマゾンの熱帯林が固定している炭素は推定900億~1400億トンで世界中で人為的に放出される温室効果ガスの9~14年分に相当する(WWF)。だが、山火事(森林火災)は大量のCO2を大気中に放出するので、温暖化論者の説に従えば、山火事は温暖化を加速することになる。
過激な温暖化論者なら「CO2排出増加を防ぐため、世界各地で発生する山火事の発生を阻止しろ」と主張しそうなものだが、山火事(森林火災)は不可抗力と見られているのか、そんな声は聞こえてこない。むしろ山火事(森林火災)の原因を温暖化と結びつけることで、温暖化の危機を言い立てる材料に利用しているように見える。
2019年12月7日土曜日
内政干渉という反論
米国で成立した香港人権・民主主義法により、①香港で「一国二制度」が機能しているかどうかを米政府が毎年検証、②香港で人権侵害を犯した人物には米国入国禁止など制裁を科す、③香港経由の中国への米国製ハイテク製品の不正輸入を米国政府が毎年検証ーなどが行われる。
中国は猛反発し、外務省声明は「断固反対する」「重大な内政干渉で、あからさまな覇権の行使だ」「米国が独断専行をやめなければ中国は必ず報復措置をとる。一切の悪い結果は米国が負うことになる」と強硬な抗議の姿勢を示して見せた。
植民地だった香港を英国は1997年に中国に返還したが、50年間は、外交・防衛を除く分野で高度の自治を維持すると中国に約束させた。高度の自治とは香港が独自の行政権、立法権、司法権を有し、大陸中国とは別の法体系に基づいて言論や集会、移動などの自由を有することだ。中国共産党が独裁する「一国」に属する香港だが、大陸中国とは別の独自の制度を持つので「二制度」……これが揺らいでいることは最近の香港のデモなどが示している。
米国の香港人権・民主主義法は、中国に対する内政干渉になるのだろうか。中国という「一国」に香港は属するので、内政干渉だとする中国の主張は正当に見える。だが、香港において「二制度」が崩壊したなら一国二制度は有名無実になる。中国が香港を含めた「一国一制度」に移行することは、外交の問題か内政の範疇か。
内政干渉と主張することで中国は香港の位置づけを、中国の「外」ではなく「内」だと示す。それは中国が約束した一国二制度を、50年待たずに骨抜きにし形骸化させるために役立つ。だが、一国二制度は中国が一方的に破棄できるものではない。米国が国内法で香港の一国二制度を維持しようという行為は、中国が一方的に一国二制度を破棄しようとする行為と釣り合っているようにも見える。
内政の及ぶ対象は、国家が主権を行使できる領土と領海の内部である。だが領土も領海も揺れ動くもの。現在でも例えば中国は南シナ海に「九段線」を設定して拡大した領有権を主張し、ロシアはクリミア半島を併合し、イスラエルは占領地での入植地建設を進め領土化している。南シナ海やクリミア半島、入植地建設に対する国際的批判に対して各国が内政干渉だと反論できるとすれば、武力による領土・領海の拡大策を正当化する。
各国が互いに主権を認め合い、他国の国内問題に対する干渉はしてはならないというのが国際社会の原則。干渉とは自国の何らかの権力を行使することで、他国の内政に関することを言葉で批判するだけなら内政干渉には当たらない。香港の抗議活動に対する米国など国際社会の支持を中国が内政干渉だと拒絶するのは、それ以外に反論する論理がないからだろう。
国際社会のルールを自国に都合よく使い分ける中国政府は、内政だとして、南シナ海などで領有権を拡大させ、ウイグル族などへの弾圧を強化し、香港の自治を消滅させながら、国外からの批判に反発する。独裁する中国共産党は内政ならば何をやっても許されるという仕組みは、その内政の対象範囲を拡大させる仕掛けと一体のようだ。内政不干渉という国際ルールを中国は盾とする。
中国は猛反発し、外務省声明は「断固反対する」「重大な内政干渉で、あからさまな覇権の行使だ」「米国が独断専行をやめなければ中国は必ず報復措置をとる。一切の悪い結果は米国が負うことになる」と強硬な抗議の姿勢を示して見せた。
植民地だった香港を英国は1997年に中国に返還したが、50年間は、外交・防衛を除く分野で高度の自治を維持すると中国に約束させた。高度の自治とは香港が独自の行政権、立法権、司法権を有し、大陸中国とは別の法体系に基づいて言論や集会、移動などの自由を有することだ。中国共産党が独裁する「一国」に属する香港だが、大陸中国とは別の独自の制度を持つので「二制度」……これが揺らいでいることは最近の香港のデモなどが示している。
米国の香港人権・民主主義法は、中国に対する内政干渉になるのだろうか。中国という「一国」に香港は属するので、内政干渉だとする中国の主張は正当に見える。だが、香港において「二制度」が崩壊したなら一国二制度は有名無実になる。中国が香港を含めた「一国一制度」に移行することは、外交の問題か内政の範疇か。
内政干渉と主張することで中国は香港の位置づけを、中国の「外」ではなく「内」だと示す。それは中国が約束した一国二制度を、50年待たずに骨抜きにし形骸化させるために役立つ。だが、一国二制度は中国が一方的に破棄できるものではない。米国が国内法で香港の一国二制度を維持しようという行為は、中国が一方的に一国二制度を破棄しようとする行為と釣り合っているようにも見える。
内政の及ぶ対象は、国家が主権を行使できる領土と領海の内部である。だが領土も領海も揺れ動くもの。現在でも例えば中国は南シナ海に「九段線」を設定して拡大した領有権を主張し、ロシアはクリミア半島を併合し、イスラエルは占領地での入植地建設を進め領土化している。南シナ海やクリミア半島、入植地建設に対する国際的批判に対して各国が内政干渉だと反論できるとすれば、武力による領土・領海の拡大策を正当化する。
各国が互いに主権を認め合い、他国の国内問題に対する干渉はしてはならないというのが国際社会の原則。干渉とは自国の何らかの権力を行使することで、他国の内政に関することを言葉で批判するだけなら内政干渉には当たらない。香港の抗議活動に対する米国など国際社会の支持を中国が内政干渉だと拒絶するのは、それ以外に反論する論理がないからだろう。
国際社会のルールを自国に都合よく使い分ける中国政府は、内政だとして、南シナ海などで領有権を拡大させ、ウイグル族などへの弾圧を強化し、香港の自治を消滅させながら、国外からの批判に反発する。独裁する中国共産党は内政ならば何をやっても許されるという仕組みは、その内政の対象範囲を拡大させる仕掛けと一体のようだ。内政不干渉という国際ルールを中国は盾とする。
2019年12月4日水曜日
地位と名誉と好色漢
英王位継承順8位のアンドリュー王子は、一時的に公務から引退すると表明せざるを得ない状況に追い込まれた。一時的とするが、アンドリュー王子に対する批判は収まらず、英エリザベス女王がアンドリュー王子の「解任」を決め、約25万ポンド(約3500万円)の年間報酬を撤回したとの報道もあり、奔放な女性関係が喧伝されたアンドリュー王子の前途は厳しい。
BBCのインタビューに応じたアンドリュー王子は、米富豪ジェフリー・エプスタインと親交があったことやエプスタイン宅に滞在したことは認めたものの、未成年女性と性行為を行ったとの疑惑については、会った記憶がないと否定し、エプスタインの私有地の島で複数の若い女性と性交したことなども否定した。
米富豪エプスタインは08年、司法取引に応じて未成年者買春の罪を認め、禁錮1年半の有罪判決を受けた。19年7月には、未成年者の性的人身取引容疑で再逮捕され、拘置所内で首吊り自殺した。訴状によると、エプスタインはニューヨーク市マンハッタンとフロリダ州の邸宅に未成年を引き入れ、性行為の対象にしていたという。エプスタインは政治家、有力者、著名人らと人脈が幅広く、自殺を装った口封じの他殺との憶測も流れた。
アンドリュー王子もエプスタインも未成年者を性行為の対象にしていたことが問題視されているのだが、成熟した裸の女性に囲まれる「ブンガブンガ」と呼ばれる乱行パーティーを開催していたのが伊ベルルスコーニ首相。女性たちは首相を「その気」にさせようと競い合っていると伊メディアが報じ、未成年女性が参加していたことがあったと起訴された。
アンドリュー王子はエリザベス女王の次男(第三子。長男が王位継承順1位のチャールズ皇太子)。エプスタインと初めて会ったのは1999年と話し、エプスタインが未成年を売春に勧誘・斡旋した罪で有罪を認めた後も交友を続け、当時から批判されていた。交友を続けたのは国際ビジネスについて知りたかったからだとアンドリュー王子は説明している。
エプスタインはヘッジファンドを経営して財を築き、遺言書にあった財産は約5億8000万ドルだったという。エプスタインは邸宅などに招き入れた未成年女性との性行為で報酬を支払っていて、勧誘先は米国内にとどまらず欧州や南米にも及んでいたとされる。金銭が伴っているのだから国際ビジネスであったのは間違いないが、アンドリュー王子が学びたかった国際ビジネスだったかどうかは不明だ。
アンドリュー王子が運営する事業から出資企業の撤退が相次ぎ、大学学長などの名誉職にも批判が高まっていて、社会の表舞台から引退を余儀なくされるのは避けがたいように見える。自らの不行状の報いではあるのだが、王位継承権を喪失したならアンドリュー氏は、ただの好色漢に過ぎない。それも一つの人生ではあるが、地位と名誉を失っても手にするほどの価値ある立場だったのか。
BBCのインタビューに応じたアンドリュー王子は、米富豪ジェフリー・エプスタインと親交があったことやエプスタイン宅に滞在したことは認めたものの、未成年女性と性行為を行ったとの疑惑については、会った記憶がないと否定し、エプスタインの私有地の島で複数の若い女性と性交したことなども否定した。
米富豪エプスタインは08年、司法取引に応じて未成年者買春の罪を認め、禁錮1年半の有罪判決を受けた。19年7月には、未成年者の性的人身取引容疑で再逮捕され、拘置所内で首吊り自殺した。訴状によると、エプスタインはニューヨーク市マンハッタンとフロリダ州の邸宅に未成年を引き入れ、性行為の対象にしていたという。エプスタインは政治家、有力者、著名人らと人脈が幅広く、自殺を装った口封じの他殺との憶測も流れた。
アンドリュー王子もエプスタインも未成年者を性行為の対象にしていたことが問題視されているのだが、成熟した裸の女性に囲まれる「ブンガブンガ」と呼ばれる乱行パーティーを開催していたのが伊ベルルスコーニ首相。女性たちは首相を「その気」にさせようと競い合っていると伊メディアが報じ、未成年女性が参加していたことがあったと起訴された。
アンドリュー王子はエリザベス女王の次男(第三子。長男が王位継承順1位のチャールズ皇太子)。エプスタインと初めて会ったのは1999年と話し、エプスタインが未成年を売春に勧誘・斡旋した罪で有罪を認めた後も交友を続け、当時から批判されていた。交友を続けたのは国際ビジネスについて知りたかったからだとアンドリュー王子は説明している。
エプスタインはヘッジファンドを経営して財を築き、遺言書にあった財産は約5億8000万ドルだったという。エプスタインは邸宅などに招き入れた未成年女性との性行為で報酬を支払っていて、勧誘先は米国内にとどまらず欧州や南米にも及んでいたとされる。金銭が伴っているのだから国際ビジネスであったのは間違いないが、アンドリュー王子が学びたかった国際ビジネスだったかどうかは不明だ。
アンドリュー王子が運営する事業から出資企業の撤退が相次ぎ、大学学長などの名誉職にも批判が高まっていて、社会の表舞台から引退を余儀なくされるのは避けがたいように見える。自らの不行状の報いではあるのだが、王位継承権を喪失したならアンドリュー氏は、ただの好色漢に過ぎない。それも一つの人生ではあるが、地位と名誉を失っても手にするほどの価値ある立場だったのか。
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