2019年7月31日水曜日

ゆるキャラを愛でる大人

 ゆるキャラは子供向けのマスコットキャラクターだから、可愛らしさや親しみやすさを過剰にアピールした造形だ。何かの理念や地域の特性などの表現を追求したというより、ウケて人気を得ることが優先されているらしく、簡略で幼稚ともいえる表現となる。

 近頃では、ゆるキャラを見て子供達ばかりか大人も歓声を上げ、群がったりする。ゆるキャラの可愛さに加え、ある種のルーズさを面白がる気分は理解できないでもないが、大人がまともに向き合って愛でる対象ではないだろう。もてはやす人たちの気持ちが不思議だ。

 「カワイイ」は日本が世界に発信する文化的価値観だが、ゆるキャラのカワイイには、ウケ狙いのあざとさが見え隠れする。自然にカワイイのではなく、カワイイを演じていることが明確だから興ざめとなる。子供相手だから簡略で幼稚な造形で済ますが、実は大人にもウケることを期待している心根が見えすく。

 マスコットキャラクターは菓子や玩具などの企業が販促用に設定するものだったが、今では全国の地方自治体が話題づくりや地方振興などを狙い、わざと「ゆる〜く」作ったキャラクターをイベントなどに動員する。ゆるキャラが少なかった頃は、それなりに特別だったのだろうが、こうも全国に増えすぎては新鮮味は薄れ、個性は埋没するばかりだ。

 子供が喜ぶから親も、ゆるキャラを歓迎しているのかもしれないが、子供と同等に楽しんでいる親や大人だけでも喜んでいる様子を見かけることは珍しくない。大人も漫画やアニメに親しんで成長したので、人工的なキャラに抵抗がなく、受け入れて楽しむとも解釈できる。つまり、漫画やアニメが大人の文化にもなったと同様、ゆるキャラも大人の文化になりつつある?

 過疎化が進む全国の地方にとっては、地元に大したアピール材料もないと都市の人々に無視されるよりは、ゆるキャラであっても話題になればいいという切実な思いもあり、そこに、都会のコンサルの営業活動が奏功して、ゆるキャラが一気に全国で増えたのかもしれない。でも、ゆるキャラが増えすぎて、ゆるキャラを作っても話題にならないという皮肉な状況だ。

 ゆるキャラはイベントでは添え物という位置づけが本来だろう。その脇役が主役に仕立て上げられていることに対する違和感が、ゆるキャラ嫌いともなる。そうした違和感を吹き飛ばすほどの強烈な個性を持つキャラクターが存在するなら、ゆるいキャラクターではなくなる。

2019年7月27日土曜日

負担か利益か

 米トランプ大統領が、「日本が攻撃されれば米国は日本を守るために戦うが、米国が支援を必要とするとき、彼らは米国への攻撃をソニーのテレビで見るだけだ」と現行の日米安全保障体制について不満を語ったという。私的な場では条約破棄に言及したともされる。

 負担と、それによる利益は、立場によって異なって見えるものだ。現行の日米安全保障体制から米国が得ている利益よりも負担のほうが大きいとトランプ氏らには見えているのだろう。米国が得ている利益が見えにくくなっているのかもしれない。日本が防衛費を少なくできるという利益を得ていることは明白だが、米国が得ている利益は何か。

 第一に、現行の日米安全保障体制により米国は日本国内に米軍基地を持ち、西太平洋から東南アジア、さらにインド洋から中東までの米軍の展開を支えている。第二に、米国政府は日本政府に大きな影響力を得ている。日米安保体制が消滅すれば、日本は米国からの独立性を強め、国内政治から外交まで日本は米国に気兼ねせず「日本ファースト」になる可能性がある。

 現行の日米安全保障体制が破棄されることは、世界における米国の影響力が軍事的にも政治的にも低下することである。もちろん、代わりの米軍基地をどこかの国に確保するなど米国は対策を講じるだろうが、それには相当のコストがかかるだろう。おそらく、現行の日米安全保障体制を維持するよりも高くつく。

 日本にとって、現行の日米安全保障体制がなくなると、単独での防衛力を高める必要が出てくる。真っ先に決めることは、核武装するかどうかだ。しかし、被爆国・日本にとって核武装を選択することは国内的に大きな抵抗が予想される。とすれば、通常兵器による効果的な防衛力強化を考えるしかない。

 日米安保がなくなると防衛費が膨大な金額になるとの説があるが、そうした試算は、在日米軍の軍事的能力を日本単独で代替する想定だ。しかし、日本だけの防衛を考えるなら、在日米軍の軍事的能力は過大すぎる。在日米軍はインド洋や中東までの展開能力を有するが、日本の防衛だけを考えるなら、インド洋や中東に日本の軍を展開する必要はない。

 単独防衛かつ専守防衛に徹するなら、敵の攻撃を受けた後に強力な反撃ができる体制を構築するしかない。それに最も適しているのは、ミサイル網を密に張り巡らすことだ。様々な射程の様々なミサイル群を全国各地に配備し、核兵器抜きでの周辺国との相互確証破壊体制を構築する。現在よりも防衛費は当分かさむだろうが、密なミサイル網が構築できれば新たな出費は少なくなろう。

2019年7月24日水曜日

世界で増える観光客

 2019年上半期に日本に来た外国人旅行者数は前年比4.6%増の1663万人で、上半期として過去最高になった。単純に2倍すると年間では3326万人になる計算だ。JTBは、通年で前年比12.3%増の3550万人と予想している。

 訪日外国人旅行者数は2013年に1000万人台に乗り、2014年1341万人、2015年1973万人、2016年2403万人、2017年2869万人、2018年3119万人と大幅に増加した。これは、2012年以降に日本がアジア諸国を中心にビザ発給要件を緩和したこととLCC就航の増加によるものとされる。

 外国から日本を訪れる人が増える一方、日本人の出国者は1990年に1000万人台に乗った後、増減はありながらも1995年に1500万人を突破し、1600万人台、1700万人台で推移している(2012年は1849万人。2003年は1329万人と急減)。2017年1788万人だったが、2018年1895万人と過去最高になった。

 日本を訪れる外国人旅行者が増えているのは、日本に関心を持つ外国人が増えたことの反映であろう。だが日本に外国から来る観光客だけが世界で増えているわけではない。日本人の出国者も増えているし、中国人をはじめとして国外に観光旅行に出る人々が各国で増えている。

 国連世界観光機関によると、世界での2018年の国際観光客数は前年比6%増の14億人。地域別にみると、観光客が増えたのは中東10%増、アフリカ7%増、欧州6%増、アジア太平洋地域6%増、米州3%増。各国の経済成長とビザ取得条件の緩和、航空運賃の低価格化などが国際的な観光旅行者を増やしたとする。

 世界の人々はどこへ出かけているのか。国別に見ると(2017年)、1位フランス8691万人、2位スペイン8178万人、3位米国7586万人、4位中国6074万人、5位イタリア5825万人、6位メキシコ3929万人、7位英国3765万人、8位トルコ3760万人、9位ドイツ3745万人、10位タイ3538万人、11位オーストリア2946万人、12位日本2869万人となる。訪日外国人旅行者が2019年に3500万人になったとしても、日本が世界のベスト10になれるかどうかは不明だ。

 世界で外国への観光旅行者が増えた結果として、異文化の尊重が世界で広範に根付き、異なる価値観を互いに認めあい、共存することが促されるならば国際的な観光客の増加は歓迎すべきことだ。だが、外国で異文化を体験し、「やっぱり、うちの方がいい」などと異なる文化や価値観に否定的になることも珍しくはない。急増する訪日外国人旅行者は、どんな日本理解を持ち帰るのか知りたいものだ。

2019年7月20日土曜日

日本人技術者の闇営業

 日本の半導体業界では、日本人技術者が週末に韓国に行って韓国企業に指導したりノウハウを教えたりして技術などが韓国企業に流出したと言われた。半導体にとどまらず、液晶や有機EL、原子力などでも同様の例が繰り返されたという。

 週末に韓国に行って技術指導をしていた日本人技術者は、所属会社に隠れて韓国に行っていたと推定され、けっこうな謝礼を得ていたであろうとも見られている。いわば、日本人技術者の闇営業だ。それが韓国企業の躍進に寄与したことは間違いないだろう。

 やがて韓国企業は、欲しい技術などがあると、破格の好条件を提示して日本企業から技術者を引き抜くようになり、日本に遠慮せずに振る舞うようになった。半導体や家電の日本企業の経営不振に伴う人員削減もあって、多くの技術者が韓国企業に移ったなどとも言われた。

 韓国における日本人技術者の闇営業は、個人の視点で考えると、個別利益の最大化を図るのは理解できないわけではない。技術などに関して秘密保持契約が個別に締結されていなかったのなら闇営業は個人のモラルの問題だが、モラルは現金の威力にしばしば弱いものだ。

 韓国における日本人技術者の闇営業は、日本企業の優位が続いている間は問題として表面には浮かんでこなかった。うまいことやってる奴がいるというような話ですんでいたが、韓国企業の急成長と日本企業の衰退もあって、韓国への技術流出に無頓着だった日本に対する自己批判として問題化した。

 半導体や家電では韓国企業が世界的な大企業に成長し、日本企業の凋落は著しい。日本企業の弱体化には経営方針の迷走や過大投資など様々な問題があったのだろうが、日本人技術者の闇営業による技術流出が韓国企業の急速な成長を助けたのは間違いなさそうにも見える。

 韓国企業の行動に問題があったというのではない。技術などの取得のために様々な手段を用いるのは各国企業も行っているのであり、技術の流出を許した日本企業に問題があった。企業に属している個人の闇営業は、明るみに出ることで問題視される。おそらく闇に閉ざされたままの闇営業は他にもあるに違いない。

2019年7月17日水曜日

政権政党を選択する

 国政選挙で投票するときに何を基準に判断していいのか分からないとの声がある。そのため、候補者個人や政党に対する印象で判断したり、候補者や政党の公約を見比べ自分の「得」になりそうな方に決めたりする。だが、印象や好みで候補者や政党を選ぶと、見かけの良さや自信ありげな強い主張、現実味のない改革提案などにつられることがある。

 国政選挙のたびに迷い、Aが期待外れだったから今度はBに投票するというのは博打と似ていて、信用していない候補者や政党に対する主権者の投票態度としては、それもアリかもしれないが、博打で儲かることは少なく、期待通りの結果が得られるかどうか心もとない。

 確固とした判断基準が国政選挙にはある。それは、選挙前の政治に満足しているなら与党に投票し、選挙前の政治を支持しないなら野党の第1党に投票する。国政選挙は主権者が政権党を選択する場だ。政権交代を望むなら、野党第1党に投票を集中するしかない。野党の少数政党に投票することは結果的に政権交代を阻み、それまでの与党を助ける。
 
 野党第1党を支持できなかったとしても、それまでの政権与党の政治を変えたいと考えるなら、野党第1党に投票するしかない。野党第1党が、政権を批判することには熱心だが、現実の様々な課題に対して有効で具体的な対策や政策が希薄だったとしても、それまでの政治を変えるためには政権交代しかない。

 それまでの与党の政治に満足せず、不満が多いが、野党第1党の政権担当能力に疑問があり、政権交代には不安が大きいという人もいるだろう。野党第1党は信用できず、とりあえずは政権交代を見送り、現状維持で我慢するという選択もある。それは棄権として現れるが、棄権という行為が主権者の政治不信と解釈されたとしても、現実政治を変えることはできない。

 国政選挙とは、選挙の後の数年間の国政を委ねる政権政党を選択する機会であり、選挙前の与党に対する主権者の評価を示す機会である。選挙までの与党の政治を支持するか、それとも変えるか、それを投票の判断基準とすれば国政選挙は単純な仕組みだと見えてくる。

 乱立する弱小政党の中から公約に共感・同調した弱小政党に投票する人もいる。自分の政治意思を投票に反映させたのであり、自己満足はできるだろう。だが、弱小政党がわずかな議席を得たとしても国政を変えることは難しい。そうした投票行為が現実の政治に反映されて、政治に変化が現れることはまずない。

2019年7月13日土曜日

常温で飲むビール

 暑い夏に冷えたビールをグイッと飲むのが楽しみだという人は多いだろう。仕事帰りに居酒屋に寄って生ビールのジョッキを傾けたり、まっすぐ帰宅して風呂で汗を流してから冷蔵庫から冷えたビールを取り出したり、休暇中なら旅先で昼間から冷えたビールを飲んだりと、冷えたビールが暑い夏には似合っているイメージだ。

 ビールは冷やして飲むものというのが常識になったようだが、ビールの歴史からすると、常温で飲んでいた時代のほうがはるかに長い。紀元前四千年以上前のメソポタミアでシュメール人がビールを飲んでいたといわれ、紀元前三千年のエジプトでは広く飲まれていたそうだ。一方で冷蔵庫の誕生は20世紀に入ってからで、日本で家庭に普及したのは1950年代だ。

 ビールが日本で飲まれ始めたのは明治に入ってから。最初は外国人によって持ち込まれ、ビール酒造組合サイトによると、日本人による初めてのビールの醸造・販売は明治5年に大阪で本格的に開始され、明治20年代に近代的なビール会社が各地に誕生した。

 冷やして飲むと水道水だって、うまく感じることがあるのは、冷たさによる刺激が心地よいからだ。だが、冷たく冷やすことは、甘みや香り、雑味を感じにくくし、苦味や塩味を強く感じるようにするという。冷やして飲ませることで味を「化粧」することができるのだ。

 日本で製造されているビールの大半が、冷やして飲むことを前提にした種類だ。酒飲みの大半は冷えたビールを飲み、満足しているのだろうから、それはそれでいいのだが、冷たい刺激を楽しむことをビールそのものの味わいと誤解している可能性もある。

 常温で飲むと、ビールそのものの味を知ることができるかもしれない。「ぬるいビールなんか飲めるか」と常温で飲むことを否定するビール好きが多いだろうが、それは、冷やして飲むことを前提に味作りしている日本のメーカーの術中にはまっているかも。

 刺激のある味だと感じていた銘柄が常温で飲むと味わいが希薄だと判ったり、刺激に乏しいと感じていた銘柄が常温で飲むと甘みなど複雑な味だと判ったり、ビールの味の世界は奥深そうだ。冷やして飲まないことで、開けてくる世界がある。

2019年7月10日水曜日

任期を短くする

 毎年のように首相が交代していたことが日本でもあった。任期途中で交代せざるを得なかったのは、批判が集中して政権運営が困難になったからだ。短期かつ任期途中の首相交代は政治を不安定化させ、行政を停滞させるなどとして忌避すべきこととされている。

 毎年のように首相が交代するよりも、ある程度は長く続けているほうが安定しているように見える。政治課題の中には長期的な視点で取り組まざるを得ないものも多いから、ある程度は長く続く政権なら、それらにも対応できると見られたりする。

 だが、首相など最高権力ポストに個人が長期にわたって居座ることの弊害もある。第一は、ポストに与えられた権力を個人に与えられた権力とする混同、第二に、権力を握り続ける個人への阿諛・追従・忖度の蔓延、第三に、権力を握り続ける個人の価値観が政策に反映されすぎるようになる、など。

 最高権力者の任期は国により様々で、1期のみで再選を認めない国も珍しくない。持てる能力をフルに政治家に発揮してもらうために、どんな制度や任期が「正しい」のかという問いに、おそらく「正解」はない。

 だから、最高権力者の任期が1年で再選禁止であっても間違った制度・任期とはいえない。短い任期に伴う問題点を想定し、そうした制度を機能させるために仕組みを考え、構築することができれば、最高権力者の毎年の交代が、政治の停滞に結びつくことはないだろう。

 短い任期による最大の問題は、政治課題に長期的視野で取り組むことが阻害されかねないことだが、官庁の政策提言機能を強化してシンクタンク化する(同時に政党・政治家による官庁コントロールも強化する)なら、任期に左右されない長期的視野での取り組みも保たれるだろう。

 1年で最高権力者が交代することは、次々に新しい人が政権を担うことである。重職に耐えうる人材がすぐに枯渇するとの懸念もあるが、若返りが強制的に行われて、有能な30歳代の首相が誕生するかもしれない。それに、問題があっても長々と最高権力者の地位にしがみつくような政治家をあらかじめ排除できる。

2019年7月6日土曜日

輝く降着円盤

 宇宙で最も暗いのはブラックホールだとされる。太陽よりもはるかに巨大な恒星が超新星爆発を起こした時に、凄まじい圧力により中心部が収縮を始め、やがて角砂糖1個分の重さが200億トンを超えるほどになり、重力が強くなりすぎて光さえも閉じ込めてしまう。

 何かが人間に見えているという状態は、何かから放射された光か、何かに当たった光が反射して人間の目に届いているからだ。光には多くの色が含まれているが、全部の色を反射した物体は白く見え、全部の光を吸収した物体は黒く見える。赤く見える場合は、赤い色の光だけが反射して、赤い色以外の光は吸収されている。

 何かに当たって反射した光の色を、そのものの色と人間は認識する。だから、色が実在するのか、光の反射の違いだけが実在するのか、という問いも生まれる。世界に色があるのか、明暗だけがあるのか。世界を白黒で見ている動物がいるというから、色の識別は人間の目の機能とも関連していることになる。

 黒い色は日常にありふれているが、その黒さの度合いは黒っぽいものから真っ黒に見えるものまで、まちまちだ。光を全て吸収する物質は存在しないとされるが、光を閉じ込めてしまうブラックホールだから、その黒は別格で本当の黒であり、本当の闇だ。光が出てこないのでブラックホールを人間の目では見ることができない。

 ブラックホールの周囲にある降着円盤(水素プラズマのガス円盤)は、宇宙で最も明るいとされる。激しく回転する円盤ではガス同士の摩擦熱により膨大なエネルギーが生じ、X線やガンマ線など電磁波が放射される。見えないブラックホールは、周囲の降着円盤を観測することで存在が確認される。

 日米欧などの国際研究チームが世界各地にある電波望遠鏡の観測データから解析した画像を公開した。人類は初めてブラックホールの撮影に成功したとされる。これは、地球から約5500万光年の距離にある楕円銀河「M87」の中心にある巨大ブラックホールで、その半径は約200億キロ(太陽系を上回る)、質量は太陽の65億倍という巨大なものだ。

 光が出てこないので人間の目には見えず宇宙で最も暗いブラックホールが、宇宙で最も輝いている降着円盤に囲まれている。見えないはずが、シルエットが降着円盤を背景に浮かび上がった。見えないものでも、その存在が映像化され、確かめられたのは、宇宙での壮大な「影絵」だ。

2019年7月3日水曜日

飢えている国の太った王様

 米トランプ大統領は身長190センチ、体重110キロ、北朝鮮の金正恩委員長は身長170センチ、体重は130キロほどと推定されている。身長差は20センチあるはずだが、2人が並んだ写真からは、金委員長がトランプ大統領より背が低いものの、20センチの身長差があるようには見えない。

 身長を高く見せるため金委員長は上底靴を履いているとも噂される。女性がハイヒールを履くのはファッション目的だろうが、金委員長が上底靴を履いているとすれば、並んで立った時のトランプ大統領との身長差を縮め、向き合った時にトランプ大統領から見下ろされる角度を小さくするためだろう。

 上底靴で身長を調節しているのだとすれば金委員長はトランプ大統領と同じ身長になって、「対等」を演出することもできたはずだ。首脳会談の以前はさんざん米国をののしりながら、核保有国として米国に対等の扱いを要求していたのだから、金委員長も身長で「対等」を演出してもよかった。

 20歳以上の米国人男性の平均身長は175センチ、平均体重は90キロとされる。男女とも体重や胴囲が増え、BMIは平均値で男性29.1、女性29.6となり、ほぼ肥満の域に達したと報じられた(BMIは18.5~24.9が正常値とされ、25~29.9は太り過ぎに分類)。トランプ大統領のBMIは30.4。

 北朝鮮の人々のデータは発表されていないようだが、脱北して韓国に来た北朝鮮の成人男性の平均身長は165センチ、平均体重56キロとされる。これに比較すると、金委員長は身長では少し高い程度だが、体重は2倍以上になる。金委員長のBMIは44.9になり、かなりの肥満体型だ。

 北朝鮮は国連に対して今年2月、コメ、小麦、ジャガイモ、大豆などの食糧の生産量が140万トン不足する見通しだとして支援を要請した。客観的な検証が欠けているので食糧不足の実態は定かではないが、過去に北朝鮮では食糧不足になったことがあった。米国などのような飽食の国でないことは確かだろう。
 
 肥満の人が増える米国と、食糧不足を国連に訴える北朝鮮。両国の最高権力者は共に肥満体型だが、国民の体型は大きく異なる。米国では肥満は個人の選択だが、北朝鮮では個人が肥満になることは難しいだろう。食糧不足が本当だとするなら、人々が飢えている国に太った最高権力者が君臨している光景だ。食糧事情で北朝鮮が米国と対等に近づくには、どんな「上底靴」が必要になるのか?