「ペトロはローマに行き、教会をつくりました。このペトロの後継者がローマ司教、すなわちローマ教皇です。そして使徒たちの後継者が世界中で働いている司教なのです」(カトリック中央協議会サイトから)。世界には約2500の教会(教区)があり、司教は任された地域(教区)の全ての教会活動に責任を負うとされる。
教区は中国にもあるが、バチカンのローマ法王(教皇)による司教の任命は内政干渉だと中国政府は拒否してきた。中国内では、中国政府が任命する司教による政府公認教会と、中国政府の公認がない「地下協会」に分かれる一方、バチカンは台湾と外交関係を維持してきた。
バチカンが世界で司教を任命するのは、宗教的な行為なのか非宗教的な行為なのか。宗教的な行為だとするとバチカンは絶対に妥協することはできないだろうが、非宗教的な行為だとすると妥協の余地はある。バチカンは中国政府と司教任命権問題で暫定合意し、中国政府が任命した司教7人をローマ法王が承認した。
宗教団体が組織を構築することは、主観的には信仰に関わる活動であろうが、客観的には世俗団体による組織活動と等しい。教区における教会活動は、聖なる世界(信仰)と俗なる世界(信仰者の生活や組織維持などのための活動)が入り混じる。司教の役割は、聖なる世界の責任者であり、また、俗なる世界の責任者であろう。
今回の暫定合意は詳細が伏せられているが、バチカンが中国政府に妥協したとの見方が報じられている。今後、中国政府が選んだ司教をローマ法王が承認せざるを得ないのであれば、司教の任命権は実質的にローマ法王ではなく中国政府が保有する。
ペトロの後継者であるというローマ法王が保有する、世界で司教を任命する権限。それを中国では中国政府が保有することをローマ法王が容認したのは、中国政府公認協会と地下協会の統一へ向けた環境整備かもしれない。司教の任命は俗なる世界の組織維持のためで宗教的行為ではないと判断したから、バチカンの組織拡大のために妥協することができた。
中国政府は今回の暫定合意で「メンツ」を保つことができた。独裁する権力は、上位にある権力や権威の存在を許さないことで体制を維持する。おそらく神の存在も許さないだろうから中国政府は、バチカンやローマ法王を恐れず、個人の中国人の精神世界に影響を及ぼす宗教活動をも「内政」干渉だと拒否できた。
2018年9月29日土曜日
2018年9月26日水曜日
100万人以上の強制的な収容
8月に開催された国連人種差別撤廃委員会で米人権活動家が、「新疆ウイグル自治区でウイグル族の人々ら100万人以上が再教育施設に強制的に収容されている」と指摘した。同委員会の報告書は、ウイグル族や少数派のイスラム教徒らの相当な人数が政治思想の再教育施設に強制収容されているとした。
中国は、治安強化対策は過激派やテロリスト対策として不可欠だと反論し、「軽微な罪を犯した者を職業技術教育就業訓練センターで学ばせている。合法的な権利も保障されている」とし、特定の民族を対象にした対策ではなく宗教の自由も制限していないと主張したそうだ。
両者の主張のどちらが「現実」を反映しているのか、それを検証するためには第三者が、指摘された再教育施設(あるいは職業技術教育就業訓練センター)を調査することが必要だ。だが中国政府は、新疆ウイグル自治区における第三者による調査や外国報道機関による自由な取材は決して認めない。
「100万人以上が再教育施設に強制的に収容されている」という外部からの指摘を否定するのは簡単だ。100万人以上の人々が強制的に収容など、されてはいないという「現実」を見せるだけでいい。それを見せるのを拒むのは、「現実」は異なるか、第三者に見られては不都合な「現実」があるからだろう。
中国政府はウイグル族やチベット族、モンゴル族などを厳しい監視下においているといわれる。共産党による独裁統治に対する、それらの民族の分離独立要求を抑え込むためだろうが、大量移住した漢民族が地域の経済的な覇権を握ったことに対する反発を抑え込むために必要になったとも見られている。
中国政府は「中華民族の偉大なる復興」を掲げている。中国政府が言う中華民族には、チベット族やウイグル族など中国国籍を持つ全民族が含まれるというが、100万人以上の強制的な収容・再教育が「現実」だとすれば、中国政府が言う中華民族からウイグル族などは除外される。
100万人以上の強制的な収容が必要なのは、中国共産党の独裁統治を続けるためだ。人民を解放した革命を成し遂げたことが中国共産党の独裁の正当性の理由だったが、年月とともに新たな正当化理由が必要になり、愛国主義を鼓舞したり、経済発展を持ち出したり、中華民族の復興を掲げたりする。
中国共産党の独裁統治が終了することで、中国をめぐる内外の問題の多くが解消に向かうだろう。だが、権力から離れると中国共産党指導部の「過去」が容赦なく暴かれる。100万人以上の強制的な収容は、中国共産党の独裁が続く限り解消されないだろう。
中国は、治安強化対策は過激派やテロリスト対策として不可欠だと反論し、「軽微な罪を犯した者を職業技術教育就業訓練センターで学ばせている。合法的な権利も保障されている」とし、特定の民族を対象にした対策ではなく宗教の自由も制限していないと主張したそうだ。
両者の主張のどちらが「現実」を反映しているのか、それを検証するためには第三者が、指摘された再教育施設(あるいは職業技術教育就業訓練センター)を調査することが必要だ。だが中国政府は、新疆ウイグル自治区における第三者による調査や外国報道機関による自由な取材は決して認めない。
「100万人以上が再教育施設に強制的に収容されている」という外部からの指摘を否定するのは簡単だ。100万人以上の人々が強制的に収容など、されてはいないという「現実」を見せるだけでいい。それを見せるのを拒むのは、「現実」は異なるか、第三者に見られては不都合な「現実」があるからだろう。
中国政府はウイグル族やチベット族、モンゴル族などを厳しい監視下においているといわれる。共産党による独裁統治に対する、それらの民族の分離独立要求を抑え込むためだろうが、大量移住した漢民族が地域の経済的な覇権を握ったことに対する反発を抑え込むために必要になったとも見られている。
中国政府は「中華民族の偉大なる復興」を掲げている。中国政府が言う中華民族には、チベット族やウイグル族など中国国籍を持つ全民族が含まれるというが、100万人以上の強制的な収容・再教育が「現実」だとすれば、中国政府が言う中華民族からウイグル族などは除外される。
100万人以上の強制的な収容が必要なのは、中国共産党の独裁統治を続けるためだ。人民を解放した革命を成し遂げたことが中国共産党の独裁の正当性の理由だったが、年月とともに新たな正当化理由が必要になり、愛国主義を鼓舞したり、経済発展を持ち出したり、中華民族の復興を掲げたりする。
中国共産党の独裁統治が終了することで、中国をめぐる内外の問題の多くが解消に向かうだろう。だが、権力から離れると中国共産党指導部の「過去」が容赦なく暴かれる。100万人以上の強制的な収容は、中国共産党の独裁が続く限り解消されないだろう。
2018年9月22日土曜日
ずれる岩盤
地震とは、地下で起きる岩盤の「ずれ」により発生する現象だと気象庁サイト。岩盤がずれるのは、地中では様々な力が存在するからだ。その代表的なものがプレートの移動による圧力。そのためプレート境界で発生する地震が多いが、プレート内部でも歪みが溜まって発生する地震がある。
プレート内部で発生する地震には、沈み込むプレート内の地震と陸側のプレート内の浅いところで発生する地震がある。プレート内には過去に形成された断層が多く存在し、様々な力が加わり続けると断層がずれ動いて地震を起こす。
ただプレート内で断層を生じるような岩盤があるのは地下15〜20キロぐらいまでとされる。それより深くなると、温度が上がるため岩盤は柔らかくなって変形する。様々な力が加わっても変形して歪みを逃すので、急激な岩盤の破壊は起きないとされていた。だが、そんな地下の岩盤でも地震は起きる。
北海道の胆振東部を震源とするM6.7の地震は気象庁によると、地殻内の深さ37キロで発生した、東北東ー西南西方向に圧力軸を持つ逆断層型。逆断層型とは左右から圧縮応力がかかって動いたもので、正断層型とは引っ張り応力がかかって動いたもの。
今回の地震の震源近くに石狩低地東縁断層帯があるが、気象庁は「断層帯との関連は不明」としている。石狩低地東縁断層帯は地下25キロぐらいまでというから、今回の震源とは離れている。震源は、石狩低地東縁断層帯の延長なのか、別の断層なのか、新たに断層ができたのか不明だ。
地下では深くなるほど温度が上がる(地温勾配)。地域によりばらつきが大きいが、1キロ深くなると平均30度上がるとされ、深さ50キロ以上では1000度を超えるという。今回の震源の温度は不明だが、数百度はあっただろうから、そこで、なぜ岩盤がずれたのか。詳しい説明(仮説)はまだ現れていないようだ。
高温の岩盤が変形しても吸収できないほどの力が蓄積したから今回の地震となったのだろう。その力は太平洋プレートの圧力によるものと解釈するのが有力だろうが、気になるのは、近くに活火山が多いこと。マグマの動きも関係しているのなら、今後の火山活動の活発化などが懸念される。
プレート内部で発生する地震には、沈み込むプレート内の地震と陸側のプレート内の浅いところで発生する地震がある。プレート内には過去に形成された断層が多く存在し、様々な力が加わり続けると断層がずれ動いて地震を起こす。
ただプレート内で断層を生じるような岩盤があるのは地下15〜20キロぐらいまでとされる。それより深くなると、温度が上がるため岩盤は柔らかくなって変形する。様々な力が加わっても変形して歪みを逃すので、急激な岩盤の破壊は起きないとされていた。だが、そんな地下の岩盤でも地震は起きる。
北海道の胆振東部を震源とするM6.7の地震は気象庁によると、地殻内の深さ37キロで発生した、東北東ー西南西方向に圧力軸を持つ逆断層型。逆断層型とは左右から圧縮応力がかかって動いたもので、正断層型とは引っ張り応力がかかって動いたもの。
今回の地震の震源近くに石狩低地東縁断層帯があるが、気象庁は「断層帯との関連は不明」としている。石狩低地東縁断層帯は地下25キロぐらいまでというから、今回の震源とは離れている。震源は、石狩低地東縁断層帯の延長なのか、別の断層なのか、新たに断層ができたのか不明だ。
地下では深くなるほど温度が上がる(地温勾配)。地域によりばらつきが大きいが、1キロ深くなると平均30度上がるとされ、深さ50キロ以上では1000度を超えるという。今回の震源の温度は不明だが、数百度はあっただろうから、そこで、なぜ岩盤がずれたのか。詳しい説明(仮説)はまだ現れていないようだ。
高温の岩盤が変形しても吸収できないほどの力が蓄積したから今回の地震となったのだろう。その力は太平洋プレートの圧力によるものと解釈するのが有力だろうが、気になるのは、近くに活火山が多いこと。マグマの動きも関係しているのなら、今後の火山活動の活発化などが懸念される。
2018年9月19日水曜日
星が見えた
北海道の都市部のマンション3階に住んでいる友人は、携帯電話の緊急地震速報のシグナル音で目覚め、以前にもシグナル音で目覚めたものの体に感じる揺れがなかったことから、「また空振りか」と思った途端に強烈な揺れに襲われ、部屋のタンスを置いてある側と反対側の壁に身を寄せたという。
揺れが収まって、誰にも怪我はなく、家具などの転倒もないことを確認し、情報を知ろうとラジオの電源スイッチを押したが、反応がない。部屋の照明スイッチを押しても、暗いままだ。「停電か?」と友人は、通りに面した北側の部屋に行って、窓から外を見た。
夜中なので明かりがついている窓がないことに不思議はないが、しばらく外を見ていた友人は、何か変だと感じた。やがて、街灯が一つもついていないことに気づいた。濃い藍色の夜の中に街が沈んで、建物のシルエットが黒い影となって広がっていた。
南側の部屋に行って窓から外を見た友人は、「こっちも全部消えてる」と停電が街全体に広がっていることを知った。送電網のどこかが破損したとすれば簡単には復旧しないかもしれないなと思いながら友人は、濃い藍色の夜の中の街を見ていた。そして、星の光がいくつも瞬いていることに気がついた。
窓を開けて身を乗り出して上空を見た友人は、多くの星が強弱さまざまな光を放ち、夜空に散らばっているのを見た。激しい地震のことが意識から消えて、はるかに遠くから届く星の光に、「星をじっくり見るなんて中学生の頃以来だ」と友人は、懐かしいものに出合ったように星を見ていたそうだ。
地震の後に、星空を見ていた人はけっこういたらしい。報道によると、札幌の中心部で天の川を見たなどという話がSNS上で話題になり、北海道各地からも同様の報告が寄せられているそうだ。街灯や建物などの灯りが消えたことで、都会の夜空にも星があることを人々は思い出した。
北海道全体を震わせた今回の地震のエネルギーは巨大なものだっただろうが、夜空の星の光は更に巨大なエネルギーが発生していることを示す。友人は、地球規模でも人間の営みは小さなものだが、宇宙レベルで見ると人間の営みなんてゼロに等しいと感じたという。地震に巻き込まれると人間は謙虚にならざるを得ない。
揺れが収まって、誰にも怪我はなく、家具などの転倒もないことを確認し、情報を知ろうとラジオの電源スイッチを押したが、反応がない。部屋の照明スイッチを押しても、暗いままだ。「停電か?」と友人は、通りに面した北側の部屋に行って、窓から外を見た。
夜中なので明かりがついている窓がないことに不思議はないが、しばらく外を見ていた友人は、何か変だと感じた。やがて、街灯が一つもついていないことに気づいた。濃い藍色の夜の中に街が沈んで、建物のシルエットが黒い影となって広がっていた。
南側の部屋に行って窓から外を見た友人は、「こっちも全部消えてる」と停電が街全体に広がっていることを知った。送電網のどこかが破損したとすれば簡単には復旧しないかもしれないなと思いながら友人は、濃い藍色の夜の中の街を見ていた。そして、星の光がいくつも瞬いていることに気がついた。
窓を開けて身を乗り出して上空を見た友人は、多くの星が強弱さまざまな光を放ち、夜空に散らばっているのを見た。激しい地震のことが意識から消えて、はるかに遠くから届く星の光に、「星をじっくり見るなんて中学生の頃以来だ」と友人は、懐かしいものに出合ったように星を見ていたそうだ。
地震の後に、星空を見ていた人はけっこういたらしい。報道によると、札幌の中心部で天の川を見たなどという話がSNS上で話題になり、北海道各地からも同様の報告が寄せられているそうだ。街灯や建物などの灯りが消えたことで、都会の夜空にも星があることを人々は思い出した。
北海道全体を震わせた今回の地震のエネルギーは巨大なものだっただろうが、夜空の星の光は更に巨大なエネルギーが発生していることを示す。友人は、地球規模でも人間の営みは小さなものだが、宇宙レベルで見ると人間の営みなんてゼロに等しいと感じたという。地震に巻き込まれると人間は謙虚にならざるを得ない。
2018年9月15日土曜日
プロスポーツ選手の所得
日本プロ野球選手会によると、プロ野球選手の平均年俸は3826万円(2017年。出来高分除く。12球団の支配下公示選手734人)。年俸1億円以上の選手数は72人いて全体の9.8%になるが、最も多いのが500万〜1000万円未満の212人で28.9%、次いで1000万〜2000万円未満188人の25.6%。500万円未満62人、8.4%なので、2000万円未満の選手が62.9%でほぼ3分の2を占める。
プロサッカー選手について公式発表はないようだが、専門サイトによるとJ1の平均年俸は2313万円(2017年)で、年俸1億円以上は11人だという。レギュラークラスで1000万〜5000万円程度というが、金額別の人数は詳らかではない。J2になると平均年俸は約400万円と大きく下がる。
大相撲の十両以上の力士には日本相撲協会から給与や各種手当が支払われる。横綱の月給は約282万円で、2カ月分の賞与も含め年収は約4000万円プラス各種手当等となる。懸賞金や優勝賞金などが多ければ年収は1億円を超すという。大関の月給は約234万円、三役は約170万円、平幕は約130万円、十両は約100万円。なお力士の総人数は約700人で、十両以上は約70人と1割。
プロスポーツでは最も人数が多いとされる競輪の登録選手数は2339人(2017年)。選手は大きく上位のS級と下位のA級に分かれる(女子はL級)。さらにS級、A級とも3段階に分けられ、最上位から順にSS、S1、S2、A1、A2、A3。選手数はSS9人、S1は211人、S2は458人、A1は542人、A2は553人、A3は457人、L級は109人となる。
競輪選手の収入は賞金が主で、2017年の平均取得額はSSは9009万円、S1は2236万円、S2は1242万円、A1は840万円、A2は715万円、A3は582万円、L級は667万円となる。S級の平均は1653万円、A級は716万円、総平均は979万円。1億円以上は5人おり、トップ選手は1億8279万円。女子のトップ選手は2263万円。
選手数が多い競輪だが、以前はもっと多く、4千人以上の時代もあった。10年前の2007年には3574人(平均取得額は1112万円)だったが、2012年に3千人を割った。各地で競輪場の閉鎖が相次ぐなど開催数が減っており、賞金総額も2007年には388億円あったが、2012年に300億円を割り、2017年は235億円と10年前より153億円も減った。
平均年俸はプロ野球選手が高いといえるが、選手寿命は平均で約9年とされ、Jリーガーはもっと短いという。活躍して数年で年俸を高くできなかった選手は、平均年俸に届くこともなく引退を迎える。それに比べ競輪選手の選手寿命は長く、50代の選手も珍しくない。競輪選手が細く長く競技人生を続けることができるのは、ランク下位の選手だけで出走するレースが常に組まれていて賞金を稼ぐことができるからだ。
プロサッカー選手について公式発表はないようだが、専門サイトによるとJ1の平均年俸は2313万円(2017年)で、年俸1億円以上は11人だという。レギュラークラスで1000万〜5000万円程度というが、金額別の人数は詳らかではない。J2になると平均年俸は約400万円と大きく下がる。
大相撲の十両以上の力士には日本相撲協会から給与や各種手当が支払われる。横綱の月給は約282万円で、2カ月分の賞与も含め年収は約4000万円プラス各種手当等となる。懸賞金や優勝賞金などが多ければ年収は1億円を超すという。大関の月給は約234万円、三役は約170万円、平幕は約130万円、十両は約100万円。なお力士の総人数は約700人で、十両以上は約70人と1割。
プロスポーツでは最も人数が多いとされる競輪の登録選手数は2339人(2017年)。選手は大きく上位のS級と下位のA級に分かれる(女子はL級)。さらにS級、A級とも3段階に分けられ、最上位から順にSS、S1、S2、A1、A2、A3。選手数はSS9人、S1は211人、S2は458人、A1は542人、A2は553人、A3は457人、L級は109人となる。
競輪選手の収入は賞金が主で、2017年の平均取得額はSSは9009万円、S1は2236万円、S2は1242万円、A1は840万円、A2は715万円、A3は582万円、L級は667万円となる。S級の平均は1653万円、A級は716万円、総平均は979万円。1億円以上は5人おり、トップ選手は1億8279万円。女子のトップ選手は2263万円。
選手数が多い競輪だが、以前はもっと多く、4千人以上の時代もあった。10年前の2007年には3574人(平均取得額は1112万円)だったが、2012年に3千人を割った。各地で競輪場の閉鎖が相次ぐなど開催数が減っており、賞金総額も2007年には388億円あったが、2012年に300億円を割り、2017年は235億円と10年前より153億円も減った。
平均年俸はプロ野球選手が高いといえるが、選手寿命は平均で約9年とされ、Jリーガーはもっと短いという。活躍して数年で年俸を高くできなかった選手は、平均年俸に届くこともなく引退を迎える。それに比べ競輪選手の選手寿命は長く、50代の選手も珍しくない。競輪選手が細く長く競技人生を続けることができるのは、ランク下位の選手だけで出走するレースが常に組まれていて賞金を稼ぐことができるからだ。
2018年9月12日水曜日
非常時と非日常と日常
個人にとっての非常時とは、大きな地震や猛烈な台風などの自然災害や無差別殺人行為などに直面した時だろう。生命の危機を感じた時が個人にとっての非常時だ。その最中では、自分の身は自分で守るしかなかったり、周囲の人々と助け合ったりするしかない。
非常時を生き延びた人間は、例えば、大きな地震の後、ライフラインや通信、交通などが機能を停止したりするので、非日常の中に放り出されることがある。そこでも生き延びることが最優先となり、安全な居場所を探し、飲料水や食料を確保することなど生存欲求がむき出しになる。
非常時から非日常へ、そして、国家や社会の支援なども始まって、やがて人々は日常へと復帰する。非常時や非日常の体験は特別な体験だが、そうした体験は日常においては希釈され、やがて記憶の底に埋もれる。非常時や非日常の論理と日常の論理は異なり、むき出しの生存欲求は日常では隠蔽されるべきものだからだ。
非常時や非日常の論理と日常の論理が異なることで、例えば、被災地で避難生活を長く強いられる人々が、日常に復帰した世間に違和感を抱いたりする。そうした人々にとっては非日常が続くのだが、世間は日常の論理で動いているから、非日常と日常の共存状態におかれる。
非日常と日常の論理の感覚的な差異は(個人差は大きいだろうが)、例えば食料でみると、非日常では、何でもいいから食べるものを確保することに懸命になる。開いている店舗で真っ先にパンやカップ麺、レトルトなどの棚が空っぽになり、次に他の食品の棚も空っぽになる。
当座の食料を確保できたことで満足するのが非日常の感覚だが、やがて、カップ麺ばかりじゃ飽きると感じるようになり、変化を求める。開いている店舗をあちこち探して、以前に食べていたようなものを求めるようになるのは、日常の感覚に復帰し始めた証だろう。
誰もが突然、被災者になる。非常時には生存欲求に従って行動し、非日常にも生存欲求に従って生き延び、やがて日常に復帰する。変化が乏しい退屈な日常を生きることは、色あせた人生ではなく、それが人間の生そのもので貴重なのだと、非日常から日常に復帰した人は感じるだろう。
非常時を生き延びた人間は、例えば、大きな地震の後、ライフラインや通信、交通などが機能を停止したりするので、非日常の中に放り出されることがある。そこでも生き延びることが最優先となり、安全な居場所を探し、飲料水や食料を確保することなど生存欲求がむき出しになる。
非常時から非日常へ、そして、国家や社会の支援なども始まって、やがて人々は日常へと復帰する。非常時や非日常の体験は特別な体験だが、そうした体験は日常においては希釈され、やがて記憶の底に埋もれる。非常時や非日常の論理と日常の論理は異なり、むき出しの生存欲求は日常では隠蔽されるべきものだからだ。
非常時や非日常の論理と日常の論理が異なることで、例えば、被災地で避難生活を長く強いられる人々が、日常に復帰した世間に違和感を抱いたりする。そうした人々にとっては非日常が続くのだが、世間は日常の論理で動いているから、非日常と日常の共存状態におかれる。
非日常と日常の論理の感覚的な差異は(個人差は大きいだろうが)、例えば食料でみると、非日常では、何でもいいから食べるものを確保することに懸命になる。開いている店舗で真っ先にパンやカップ麺、レトルトなどの棚が空っぽになり、次に他の食品の棚も空っぽになる。
当座の食料を確保できたことで満足するのが非日常の感覚だが、やがて、カップ麺ばかりじゃ飽きると感じるようになり、変化を求める。開いている店舗をあちこち探して、以前に食べていたようなものを求めるようになるのは、日常の感覚に復帰し始めた証だろう。
誰もが突然、被災者になる。非常時には生存欲求に従って行動し、非日常にも生存欲求に従って生き延び、やがて日常に復帰する。変化が乏しい退屈な日常を生きることは、色あせた人生ではなく、それが人間の生そのもので貴重なのだと、非日常から日常に復帰した人は感じるだろう。
2018年9月8日土曜日
独自性と精神の自由
トヨタが1967年に発売した2000GTは世界的に名車として認知され、近年のオークションでは1億円以上で取引されている。マツダがコスモスポーツを発売したのも1967年、ホンダがS800を発売したのは1966年(S500は1963年の発売、S600は1964年)だ。いずれも各社が独自に開発したスポーツカーで、そうした独自開発の歴史が日本にはある。
1967年の日本の自動車生産台数は大幅に増えて約314万台となり、西独を抜いて世界2位になり、国内保有台数も1000万台を超えた。日本の自動車産業が成長し、各社が開発力を高めて独自のスポーツカーを発売できるようになり、自動車市場も拡大したことが明確になった年といえよう。
中国の自動車産業は急成長し、2016年の生産台数は2800万台以上で、米国の約1800万台を大きく上回って世界1である。しかし、独自のスポーツカーはもちろん大量生産の大衆車でも、世界的に名を知られるような独自開発車はない。
中国の自動車メーカーは欧米などの車種を大量に現地生産することで成長した。独自開発車も発売しているのだが、中国以外の市場でも受け入れられるような車種は乏しい。技術を外国から導入するだけで、主要な人材も外国人頼みとあっては、独自開発する技術も意欲も中国人の間に育たない。
自動車だけではなく様々な分野で、進んだ技術を欧米などから導入することで技術格差を埋め合わせて経済成長を遂げた中国。発展段階の「中抜き」で一気に先進国レベルの産業と社会を構築した中国にとって、時間と手間がかかる独自開発の優先順位は低いだろうから、自分たちでスポーツカーを開発しようなどという動きが生まれてこないのだろう。
日本は古くから中国文明を受け入れてきたが、明治以降は受け入れ先を西洋に変え、発展した歴史を持つ。現在の中国の経済的な膨張は、西洋から文明を受け入れるという日本式の発展スタイルを取り入れた結果だと見ることができる。だが、日本は西洋の文明の延長上に新たな独自技術を育てたが、中国は基本的には西洋の文明の大規模な模倣を行っているだけとも見える。
独裁統治を続ける中国共産党は「中華民族の偉大な復興」などと人々のプライドを鼓舞することに懸命だが、一方で人権や自由の尊重など西洋の価値観の流入を規制する。個人が尊重されない社会であることが技術者の成長や独自性の発揮にどのように影響しているのか定かではないが、精神の自由がなければ独自性など生まれる余地はないだろう。
1967年の日本の自動車生産台数は大幅に増えて約314万台となり、西独を抜いて世界2位になり、国内保有台数も1000万台を超えた。日本の自動車産業が成長し、各社が開発力を高めて独自のスポーツカーを発売できるようになり、自動車市場も拡大したことが明確になった年といえよう。
中国の自動車産業は急成長し、2016年の生産台数は2800万台以上で、米国の約1800万台を大きく上回って世界1である。しかし、独自のスポーツカーはもちろん大量生産の大衆車でも、世界的に名を知られるような独自開発車はない。
中国の自動車メーカーは欧米などの車種を大量に現地生産することで成長した。独自開発車も発売しているのだが、中国以外の市場でも受け入れられるような車種は乏しい。技術を外国から導入するだけで、主要な人材も外国人頼みとあっては、独自開発する技術も意欲も中国人の間に育たない。
自動車だけではなく様々な分野で、進んだ技術を欧米などから導入することで技術格差を埋め合わせて経済成長を遂げた中国。発展段階の「中抜き」で一気に先進国レベルの産業と社会を構築した中国にとって、時間と手間がかかる独自開発の優先順位は低いだろうから、自分たちでスポーツカーを開発しようなどという動きが生まれてこないのだろう。
日本は古くから中国文明を受け入れてきたが、明治以降は受け入れ先を西洋に変え、発展した歴史を持つ。現在の中国の経済的な膨張は、西洋から文明を受け入れるという日本式の発展スタイルを取り入れた結果だと見ることができる。だが、日本は西洋の文明の延長上に新たな独自技術を育てたが、中国は基本的には西洋の文明の大規模な模倣を行っているだけとも見える。
独裁統治を続ける中国共産党は「中華民族の偉大な復興」などと人々のプライドを鼓舞することに懸命だが、一方で人権や自由の尊重など西洋の価値観の流入を規制する。個人が尊重されない社会であることが技術者の成長や独自性の発揮にどのように影響しているのか定かではないが、精神の自由がなければ独自性など生まれる余地はないだろう。
2018年9月5日水曜日
中国製の通信機器の排除
米国は、2019会計年度に戦費を含め計7160億ドルの国防予算を計上する国防権限法で、米政府機関と取引企業に対して、中国通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)の製品を使うことを禁止した。
かねて両社は中国情報機関と関係があると疑われ、両社の製品には密かにユーザーデータを閲覧したり、得た情報を送信したりする機能の存在が指摘されていた。スパイ活動に使われるとか、サイバーアタックに使われるとかの懸念も取りざたされていた。
中国への情報漏洩に対して厳しい姿勢に転じた米国は、両社の製品を安全保障上の脅威と判定した。この禁止は米国の民間企業にも注意を促すだろう。すでに米国は両社のスマホに対して、米国の政府機関や米軍で販売することを禁止していた。
ファーウェイとZTE両社の製品に対する懸念は、世界にも広がりつつある。オーストラリアは次世代高速通信「5G」で新セキュリティー指針を公表、外国政府とつながりがある企業を締め出すことを決め、両社の機器の使用を事実上禁止した。
ロシアも、両社を含む外国通信設備の輸入禁止を検討していると報じられた。こちらは自国企業保護が狙いとも見られている。ロシア通信設備市場でロシア企業のシェアは1割未満で、両社など外国企業が席巻しているので、安全保障対策と自国企業保護の一石二鳥を狙ったか。
日本政府も両社の製品を情報システム導入時の入札から除外する方針を固めたと報じられた。安全保障の懸念を理由にしているが、米国と歩調を合わせざるを得ない事情が透けて見える。日本が両社の製品を使っていたなら米国は、重要な情報を日本の情報システムに流してくれないだろう。日本で情報が漏れるなら、米国内で情報漏洩を防ぐ意味が薄れる。
両社を含む中国企業の情報通信機器には「バックドアが仕掛けられている」との懸念は以前から広まっていた。国内ではインターネットで人々を監視している中国は、米国などから盛大に各種の情報を収集しているとも言われていたから、米国などが中国企業の製品の排除に動き出したのは当然のようにも見える。
だが、情報通信機器にバックドアを仕掛けるということは、中国だけが行っていることなのだろうか。むしろ、米国などの機器を手本にして中国に都合の良いように手直しして搭載しているだけなのではないか。つまり、米国製や韓国製、中国製など大半の情報通信機器にはバックドアが仕掛けられている可能性がある。
かねて両社は中国情報機関と関係があると疑われ、両社の製品には密かにユーザーデータを閲覧したり、得た情報を送信したりする機能の存在が指摘されていた。スパイ活動に使われるとか、サイバーアタックに使われるとかの懸念も取りざたされていた。
中国への情報漏洩に対して厳しい姿勢に転じた米国は、両社の製品を安全保障上の脅威と判定した。この禁止は米国の民間企業にも注意を促すだろう。すでに米国は両社のスマホに対して、米国の政府機関や米軍で販売することを禁止していた。
ファーウェイとZTE両社の製品に対する懸念は、世界にも広がりつつある。オーストラリアは次世代高速通信「5G」で新セキュリティー指針を公表、外国政府とつながりがある企業を締め出すことを決め、両社の機器の使用を事実上禁止した。
ロシアも、両社を含む外国通信設備の輸入禁止を検討していると報じられた。こちらは自国企業保護が狙いとも見られている。ロシア通信設備市場でロシア企業のシェアは1割未満で、両社など外国企業が席巻しているので、安全保障対策と自国企業保護の一石二鳥を狙ったか。
日本政府も両社の製品を情報システム導入時の入札から除外する方針を固めたと報じられた。安全保障の懸念を理由にしているが、米国と歩調を合わせざるを得ない事情が透けて見える。日本が両社の製品を使っていたなら米国は、重要な情報を日本の情報システムに流してくれないだろう。日本で情報が漏れるなら、米国内で情報漏洩を防ぐ意味が薄れる。
両社を含む中国企業の情報通信機器には「バックドアが仕掛けられている」との懸念は以前から広まっていた。国内ではインターネットで人々を監視している中国は、米国などから盛大に各種の情報を収集しているとも言われていたから、米国などが中国企業の製品の排除に動き出したのは当然のようにも見える。
だが、情報通信機器にバックドアを仕掛けるということは、中国だけが行っていることなのだろうか。むしろ、米国などの機器を手本にして中国に都合の良いように手直しして搭載しているだけなのではないか。つまり、米国製や韓国製、中国製など大半の情報通信機器にはバックドアが仕掛けられている可能性がある。
2018年9月1日土曜日
Y・P体制の現在
第二次大戦後の国際秩序の枠組みをY・P(ヤルタ・ポツダム)体制と称することがあり、これは1945年の降伏後の日本を拘束する体制でもあった。戦勝国である米国の支配とそれに対する従属というのが大枠だが、日本側も、米国から「与えられた」平和と民主主義を絶対視することで支えていた。
ソ連の領土だったクリミア半島に、第2時大戦中の1945年2月に米英ソの3首脳が集まり、大戦終了後の戦後処理などを話し合い、戦後の国際秩序の大枠を決めたのがヤルタ会談。この国際秩序はヤルタ体制ともよばれ、実質的に米ソが世界分割支配(冷戦体制につながる)で合意したものだ。
ポツダム会談は、ドイツ降伏後の1945年7月に独ポツダムに米英ソの3首脳が集まり、ドイツの戦後処理や日本の降伏条件などを話し合った。ポツダム宣言は米英に加え、会談不参加の中国が同意して7月26日に発表された(ソ連は対日宣戦布告の後に参加)。日本に無条件降伏を要求し、戦後処理方針を明確化した。
第2次大戦の戦勝国である米ソ両大国が主導する国際秩序とは、相互の勢力圏を認め合い、両大国から離れたアジア、アフリカ、アラブ圏、南米などでの小競り合い(地域紛争)を繰り返すが、相互の勢力圏の大幅な書き換えは行わない(冷戦体制)。
米ソによる世界分割支配であるY・P体制では、政治・経済的に大きな影響力を米ソが維持したが、思想や文化などでも戦勝国主導による価値観(秩序)が特に敗戦国には押し付けられた(敗戦国が保持してきた価値観と対立する場合、それらを受け入れるために敗戦国は時には自己否定を強いられて、人々は感情的な反発を内包した)。
このY・P体制は、ソ連崩壊と後継国家ロシアの弱体化によって終わった。米ソによる世界の分割支配から、米国という1強が突出して世界に大きな影響力を持つという国際秩序に移行した。米国はアフガン戦争やイラク戦争などで米国主導の世界秩序を明確化しようとしたが、反対に米国だけでは国際秩序を維持できないことが示される結果になった。
中国が新たな大国として米国と対立する構図は、ソ連を中国に置き換えたY・P体制のようでもある。だが、米国は中国と世界を分割支配することを拒否しているように見える。経済力以外で中国の世界に対する影響力が限定的であることも、新たなY・P体制の出現を阻んでいる。
ソ連の領土だったクリミア半島に、第2時大戦中の1945年2月に米英ソの3首脳が集まり、大戦終了後の戦後処理などを話し合い、戦後の国際秩序の大枠を決めたのがヤルタ会談。この国際秩序はヤルタ体制ともよばれ、実質的に米ソが世界分割支配(冷戦体制につながる)で合意したものだ。
ポツダム会談は、ドイツ降伏後の1945年7月に独ポツダムに米英ソの3首脳が集まり、ドイツの戦後処理や日本の降伏条件などを話し合った。ポツダム宣言は米英に加え、会談不参加の中国が同意して7月26日に発表された(ソ連は対日宣戦布告の後に参加)。日本に無条件降伏を要求し、戦後処理方針を明確化した。
第2次大戦の戦勝国である米ソ両大国が主導する国際秩序とは、相互の勢力圏を認め合い、両大国から離れたアジア、アフリカ、アラブ圏、南米などでの小競り合い(地域紛争)を繰り返すが、相互の勢力圏の大幅な書き換えは行わない(冷戦体制)。
米ソによる世界分割支配であるY・P体制では、政治・経済的に大きな影響力を米ソが維持したが、思想や文化などでも戦勝国主導による価値観(秩序)が特に敗戦国には押し付けられた(敗戦国が保持してきた価値観と対立する場合、それらを受け入れるために敗戦国は時には自己否定を強いられて、人々は感情的な反発を内包した)。
このY・P体制は、ソ連崩壊と後継国家ロシアの弱体化によって終わった。米ソによる世界の分割支配から、米国という1強が突出して世界に大きな影響力を持つという国際秩序に移行した。米国はアフガン戦争やイラク戦争などで米国主導の世界秩序を明確化しようとしたが、反対に米国だけでは国際秩序を維持できないことが示される結果になった。
中国が新たな大国として米国と対立する構図は、ソ連を中国に置き換えたY・P体制のようでもある。だが、米国は中国と世界を分割支配することを拒否しているように見える。経済力以外で中国の世界に対する影響力が限定的であることも、新たなY・P体制の出現を阻んでいる。
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