2014年12月31日水曜日
独裁は腐敗する
世界の腐敗度の、ある国別ランキングによると中国は174カ国中の100位だ(2014年。日本は15位)。中国は前13年に80位だったので、大きく順位を落としたのだが、これは腐敗が深刻になったというより、腐敗の凄まじい実態が徐々に暴かれ、国外からも見えるようになったことの影響かもしれない。
中国では習近平主席が主導する汚職撲滅キャンペーンが全国で展開され、広範で深刻な腐敗の実態が衆目に曝されるようになった。2013年だけで18万人以上の共産党員が調査を受け、5万人以上の公務員が立件されたが、閣僚級が数人、局長級が200人以上含まれていたというから、さすが13億人以上を抱える大国だ。腐敗が蔓延している大国だから、いつまででも腐敗摘発を続けることができそうだ。
腐敗の規模も大きい。中央官庁の国家発展改革委員会の副局長の自宅から2億元(約36億円)の現金が押収されたことが話題となったが、腐敗で得た現金をそのまま溜め込むのは、腐敗の“素人”がやること。金製品などを買ったり、不動産を買ったりするのが一般的(?)。例えば、武志忠という内モンゴル自治区政府の高官は中国に33軒、カナダに1軒の住宅を所有していたという。
もちろん地位が上がれば上がるほど、集まる金が増えるので腐敗の規模も大きくなる。かつて中国共産党の中央政治局常務委員9人の1人で公安トップだった周永康氏は、党籍を剥奪され逮捕されたが、伝えられるところでは、一族の29軒の住宅から押収された金・銀・金貨類が43キロほど、現金類がスイスフランなどで670億円以上、銀行預金などが5680億円、証券が8640億円などで、ほかに多数の車両や絵画があり、総額1千億元(約1兆7千億円)に達するというから、さすが大国のトップ級官僚だ。
中国の腐敗の全体像は想像に絶する規模だろう。例えば、▽中国の官僚の国外銀行での不正による預貯金総額は4兆8000億ドル以上▽党や政府の幹部、国有企業の管理職らで海外に逃亡した総数は1万6000人以上、持ち逃げ総額は8000億元(15兆円超)▽軍隊内ではポスト売買、戦闘機や戦車など兵器や軍需物資の密売などが蔓延、など漏れ伝わる情報からも腐敗の深刻さが分かる。
中国は共産党の1党独裁体制で、中央でも地方でも党員の政府幹部が大きな裁量権を握る。法も共産党に従属するのが実態で、腐敗を牽制する仕組みが弱い社会だ。革命のための軍事組織としては独裁体制が必要だったろうが、平時における独裁体制は、個人独裁でも1党独裁でも腐敗がはびこるのは世界の歴史が示すところだ。
中国には、中央や地方の権力者と、それにつながる人々が富を占有したという長い歴史もある。自力で社会の近代化ができなかった中国は20世紀に戦乱や革命の混乱が長く続き、人々は生き延びるのに必死だったのだろうから、その影響で法治などの規範意識が希薄なのかもしれない。しかし、中国が豊かになるにつれて、「先に豊かになれる者から豊かに」なると官僚が富を略奪している現実は、中国の人々にとっては救いがない悲劇だ。
2014年12月27日土曜日
急発達する低気圧
2014年12月中旬に、日本海を低気圧が急速に発展しながら東進し、太平洋側を北上した低気圧と北海道付近で合体、台風並みの猛烈な低気圧になった。24時間で50ヘクトパスカル(hPa)くらい中心気圧が下がって、948hPaにも達した。ちなみに10月に大雨と暴風で死者5人などの被害を出した台風18号は浜松市付近に上陸したころ965hPaだった。
この猛烈に発達した低気圧によって道東を中心に猛吹雪となり、大雪や強風(根室市で瞬間最大風速39.9メートル。台風18号では石廊崎で32.2メートルだった)に加えて、太平洋側やオホーツク側で高潮が発生し、市街地が冠水、床上浸水などの被害も発生した。
高潮が発生したのは、低気圧が急速に発達して気圧が下がったことで吸い上げ効果が生じ、海水面が上昇したことと、低気圧による強風が陸に向かう風向きになって波が吹き寄せられたためという。気圧が1hPa下がれば海面は1センチ上昇するといい、そこに強風が加われば、うねりが一層大きくなるという。厳寒の冬季に浸水被害は過酷だ。
この低気圧に対して札幌管区気象台は「まったく見通しのきかない猛吹雪や吹きだまりなどにより、車の運転が困難になるなど交通機関に大きな影響が出る恐れがある」と厳重な警戒を呼び掛け、網走地方気象台は「数年に1度の猛吹雪」が起こる恐れがあるとして、外出を控えるよう呼び掛けた。気象庁は「これだけ急に発達するのは数年に一度。見通しが全くきかない猛吹雪になる恐れがある」とし、外出を控えるよう呼びかけた。
数年に一度というのは、珍しい気象現象ではない。たまに遭遇するといった気象現象だから、子供の頃から何度も経験するだろうし、大人になっても何回もの経験があるだろう。だが、この低気圧と温暖化を結びつけて解釈する動きが散見された。といっても詳しいメカニズムの説明はなく、何でも温暖化のせいにして「異常気象」と断じて深刻ぶってみせるスタイルだったりする。
研究者によると、日本を含む極東域における冬季は、シベリア高気圧とアリューシャン低気圧という西高東低の気圧配置になり、シベリア上の冷たい空気を東アジアへ吹き出す。その冷たく乾いた空気が、日本海で大量の水蒸気を供給されると、本州や北海道の日本海側に雪を降らせる。シベリア高気圧が強まると、寒気の吹き出しも強まる。
おそらく、偏西風が日本付近で大きく南に蛇行しているときに、日本付近を通過した低気圧が北海道付近で動きが鈍くなって停滞し、そこでシベリア高気圧や太平洋高気圧からの空気を引き込むことによって、急速に発達するのだろう。北米大陸に大寒波をもたらしたのも、偏西風の南側への蛇行であったことを考えずあわせると、「異常気象だ」「温暖化のせいだ」などと言い立てるより、偏西風と気象現象の関係を考慮した方がいい。
2014年12月24日水曜日
拷問はローテクのまま
世界に冠たるハイテクIT企業が多く存在する米国で、国際的な通信傍受システム「エシュロン」や、エドワード・スノーデン氏が暴露した様々な個人情報収集など、情報機関は高度な手法で情報収集を行っている。だが、容疑者を痛めつけて口を割らせるという、ローテクな情報集めにも熱心だったようだ。
米上院情報特別委員会が公表した、ブッシュ政権下でCIAがテロ容疑者に対して行った過酷な尋問に関する調査報告書によると、平手打ちや腹にパンチを入れる、壁にぶつけるなどを始め、水責め、眠らせない、無理な姿勢を長時間とらせる、裸にして放置する、窮屈な箱に閉じ込める等、古典的ともいえる“テクニック”を用いていた。
水責めというと時代劇では、逆さ吊りにした人の頭部を水桶の中に入れて苦しませるシーンが思い浮かぶが、CIA方式は、傾斜した板に足を上にして容疑者を固定し、鼻と口に水を注ぎ続けて苦しませたり、水を含ませた布を鼻と口にかぶせて呼吸をできなくして苦しめる。
眠らせないためには、横にさせないこと。CIA方式は、立たせたままか無理な姿勢のままでいることを強要する。最高180時間も眠らせなかったというから、1週間か。時には、天井からの鎖に両手を頭上で繋いだまま立たせたというが、この光景はハリウッド映画などでもよく見るシーンだ。でも、映画ではたいてい、主人公側の誰かが敵方に捕まって責められる時に用いられるのに。
無理な姿勢で苦痛を与えるために、棺桶サイズの箱に11日間閉じ込めたり、しゃがんでやっと入れる箱に1日以上閉じ込めたりしたというが、軍用品の空き箱を利用したのかもしれない。真っ暗な地下室に鎖で繋いで裸で放置したり、17日間立ったまま壁に鎖で縛り付けたりしたともいうから、拷問マニュアルがないので、現場で思いつくことは何でもやってみたのかもしれない。
食事と水分を拒否して抵抗する容疑者には無理やり、直腸から水分と栄養補給を行ったという。口から強制的に入れれば、水分と栄養補給になるかもしれないが、直腸から、例えば「ボトル2本分の栄養ドリンクを注入」したところで、どれだけ栄養が吸収されるのか定かではない。座薬ではないんだから。
精神的な揺さぶりも併用した。子どもを含む家族に危害を加えるとか、母親に性的暴行を加えるとか、母親の喉がかき切られるとかと脅した。これらの手法は幾つもが組み合わされ、同時並行して多くの容疑者に対して行われていたのだろう。拷問で死亡した人が1人確認され、自殺を図る人も続出したというが、その責任追及がなされる気配はない。
ハリウッド映画なら、効果抜群の自白剤を射ったり、特製ヘッドギアから電波で脳を刺激してペラペラしゃべらせたりと、ハイテクを活用したスマートな自白強要策がありそうだが、CIAが米国外で米国人ではないテロ容疑者に対して行うのだから、費用も手間もかけるはずがない。人権に配慮しないのだから、古典的な拷問手法で済ます。
米上院情報特別委員会が公表した、ブッシュ政権下でCIAがテロ容疑者に対して行った過酷な尋問に関する調査報告書によると、平手打ちや腹にパンチを入れる、壁にぶつけるなどを始め、水責め、眠らせない、無理な姿勢を長時間とらせる、裸にして放置する、窮屈な箱に閉じ込める等、古典的ともいえる“テクニック”を用いていた。
水責めというと時代劇では、逆さ吊りにした人の頭部を水桶の中に入れて苦しませるシーンが思い浮かぶが、CIA方式は、傾斜した板に足を上にして容疑者を固定し、鼻と口に水を注ぎ続けて苦しませたり、水を含ませた布を鼻と口にかぶせて呼吸をできなくして苦しめる。
眠らせないためには、横にさせないこと。CIA方式は、立たせたままか無理な姿勢のままでいることを強要する。最高180時間も眠らせなかったというから、1週間か。時には、天井からの鎖に両手を頭上で繋いだまま立たせたというが、この光景はハリウッド映画などでもよく見るシーンだ。でも、映画ではたいてい、主人公側の誰かが敵方に捕まって責められる時に用いられるのに。
無理な姿勢で苦痛を与えるために、棺桶サイズの箱に11日間閉じ込めたり、しゃがんでやっと入れる箱に1日以上閉じ込めたりしたというが、軍用品の空き箱を利用したのかもしれない。真っ暗な地下室に鎖で繋いで裸で放置したり、17日間立ったまま壁に鎖で縛り付けたりしたともいうから、拷問マニュアルがないので、現場で思いつくことは何でもやってみたのかもしれない。
食事と水分を拒否して抵抗する容疑者には無理やり、直腸から水分と栄養補給を行ったという。口から強制的に入れれば、水分と栄養補給になるかもしれないが、直腸から、例えば「ボトル2本分の栄養ドリンクを注入」したところで、どれだけ栄養が吸収されるのか定かではない。座薬ではないんだから。
精神的な揺さぶりも併用した。子どもを含む家族に危害を加えるとか、母親に性的暴行を加えるとか、母親の喉がかき切られるとかと脅した。これらの手法は幾つもが組み合わされ、同時並行して多くの容疑者に対して行われていたのだろう。拷問で死亡した人が1人確認され、自殺を図る人も続出したというが、その責任追及がなされる気配はない。
ハリウッド映画なら、効果抜群の自白剤を射ったり、特製ヘッドギアから電波で脳を刺激してペラペラしゃべらせたりと、ハイテクを活用したスマートな自白強要策がありそうだが、CIAが米国外で米国人ではないテロ容疑者に対して行うのだから、費用も手間もかけるはずがない。人権に配慮しないのだから、古典的な拷問手法で済ます。
2014年12月20日土曜日
「改革」の真の狙い
国際オリンピック委員会(IOC)は臨時総会で「五輪アジェンダ2020」40項目全てを承認した。報道によると、▽開催都市以外の都市との「分散開催」▽夏季、冬季を問わず例外的に他国との「共催」▽開催都市に複数の種目の提案権▽28の夏季五輪の実施競技枠の撤廃▽五輪のアピールを狙った五輪テレビチャンネルの創設、などを認めた。
開催都市以外の都市との「分散開催」が認められたことで、競技場の建設遅延などが懸念されている2018年の平昌(韓国)冬季五輪の、そり競技を長野の既設施設で開催する案が出てきて、ついで韓国サイドから“見返り”に2020年の東京五輪の一部競技を韓国内で開催する声が出るなど一騒ぎになった。
オリンピックは都市が開催するものというのが建前だが、派手にショーアップされた盛大な開会式が“お約束”になり、増殖する種目に伴い多くの競技場も新設しなければならず、各国からの参加選手の宿舎や競技場周辺のインフラ整備なども必要で、もはや1都市だけでは対応できず、国の支援が不可欠となった。
オリンピックは各国から高額の放映権料を集め、世界の大企業から高額のスポンサー料を徴収するなど大金が動くビッグビジネスとなったので、もう簡略化した質素なスポーツ大会に戻ることはできまい。IOC関係などオリンピックで“食っている”連中が欧州など各国にいるのだから、転がり込む大金を手放すはずがない。
だから、大金がIOCなどに集まる構造はそのままに「改革」する。真の狙いは、開催都市が世界で絶え間なく現れることで、オリンピック開催が続くこと。オリンピックが開催され続けるなら、大金が転がり込むのだから。それで、都市が開催するという建前を取り下げ、他都市との分散開催や他国との共催を認め、オリンピックを開催するハードルを下げたのだ。
開催都市が複数種目の実施を提案できるようにしたことも、立候補する都市を増やす狙い。自国からメダリストが出る可能性の高い種目を実施できるなら、国からの開催都市への支援増加をアテにでき、都市が立候補に名乗りを上げやすかろう。
世界のスポーツ祭典とか平和の祭典とかいわれるオリンピックは、大金が動く国際的な大興行イベントに変質している。今回の「改革」は、オリンピックが肥大化しすぎて開催都市が減ることへの対応であるとともに、ビッグビジネスとしてのオリンピックの延命策だ。テレビや新聞などにとっても大イベントは歓迎だから、批判はしない。
2014年12月17日水曜日
えらく“儲けた”
今回の第47回総選挙の投票率は小選挙区で52.66%となり、戦後最低となった。前回12年の59.32%が戦後最低だったが、今回はさらに6.66ポイント落ち込んだ。有権者数は1億396万人だったので、6.66%というと692万人ほどになる。福岡県が人口509万人、岡山県192万人なので、両県民がそろって棄権した規模に相当する。
今回の得票数の総計は比例区では約5333万票。比例区の定数は180だが、自民は1766万票、得票率33.1%で68議席を得た。民主は978万票、18.3%で35議席、維新は838万票、15.7%で30議席、公明は731万票、13.7%で26議席、共産は606万票、11.4%で20議席をそれぞれ得た。ついでに次世代は141万票、2.7%を得たが議席は獲得できず、社民は131万票、2.5%で1議席を得た。
比例の180議席を得票率そのままに分配すると、自民は33.1%なので59議席になり、実際に獲得した68議席を得るには37.8%が必要な計算になる。民主は18.3%なので33議席、維新は15.7%なので28議席、公明は13.7%なので25議席、共産は11.4%なので21議席になる。自民は現行の小選挙区の選挙をうまく活用している。
比例区の得票率を政党支持率と見なして、全475議席を振り分けると、自民は157議席(実際の獲得議席は290議席)、民主は87議席(73議席)、維新は75議席(41議席)、公明は65議席(35議席)、共産は54議席(21議席)。自民がえらく“儲けた”ように見える。
09年の総選挙(投票率69.28%で最高)では、民主が比例42.4%の得票率で大勝した。現行の選挙制度は、投票率が高いと「風」の動きを増幅して議席数に反映させ、投票率が低いと、組織票の多寡や選挙戦術の巧拙が如実に反映するのかもしれない。二大政党による政権交代を目論んで作られた現行制度で選挙を繰り返した結果、1強政党が突出し、野党が弱小政党に乱立しているのは皮肉だ。
なお今回の総選挙の小選挙区での当選者で、最多得票は神奈川11区の小泉進次郎氏で16万8953票。最少得票は大阪19区の丸山穂高氏で5万6119票。10万票以上を獲得した当選者が102人いたが、10万票以上を獲得して落選した人も9人いる。5万票台の得票で当選した人は7人。
2014年12月13日土曜日
誕生日ではなかった
観光スポットや駅前などに大きなツリーが電飾されて輝き、商店などでも小さなツリーやサンタが飾られるなど、12月に入るとクリスマスムードが街中に広がる。年末にだけ日本人の多くが、にわかキリスト教徒になったかのような様相だが、もちろん、このクリスマスムードは宗教とは無縁だ。
日本でのクリスマスは宗教行事ではないが、子供にプレゼントを贈り、家族でケーキを食べる日、カップルが一緒に過ごす日などとして定着した。4月8日の釈迦の誕生日を今ではほとんどの人がスルーしているのとは大違いだ。といっても釈迦の誕生日には諸説あり、また、キリストの誕生日にも諸説ある。クリスマスの12月25日にキリストが産まれたとは確認されていない。
大辞林によるとクリスマスは「キリストの降誕を祝う祭り。太陽の新生を祝う冬至祭と融合したものといわれる」ということなので、この世にキリストが現れたことを祝う日だ。キリストの誕生日がいつなのか、聖書に記されていないので、分からない。だから、誕生日を祝うことはできないので、降誕を祝う。
誕生日と同様にキリストの誕生年にも諸説あって、キリストの生誕年を起源とする西暦の根拠は怪しいが、すでに世界的に定着している。西暦は宗教歴なのだが、クリスマス同様に世界では非キリスト教圏でも普及した。世界に勢力を広げた欧州各国の帝国主義の遺産であり、現在にも引き継がれる西欧の影響力の大きさを示すものでもある。
ところで、誕生日を祝うことは、特定の日付に意味を持たせ、それを確認する行為である。家族には結婚記念日を始め、各人の誕生日など多くの特別な日があり、それを共有することで家族意識を形成・維持する。キリストの降誕を祝うクリスマスはキリスト教徒にとって宗教意識を確認する特別な日だろうが、それを世界の多くの非キリスト教徒が家族意識を確認する日にしたりする。宗教意識と家族意識は、ある集団が帰属意識を共有するという点では似ている。
2014年12月10日水曜日
日本人になった
米でライト兄弟が、エンジンを備えた飛行機の初飛行に成功したのは1903年12月17日だから、ほぼ111年前のことになる。100年前の1914年に始まった第1次世界大戦では戦闘機や爆撃機が使用され、大戦終了後に欧州で、爆撃機などを改造して乗客や荷物を運ぶ民間機による空路輸送の歴史が始まった。
民間の旅客機が誕生する以前の遠距離の移動は、時間がかかるものだった。自動車も蒸気機関も誕生しない以前なら、馬に乗るか徒歩か、船を使うしかなかった。遠距離の移動は大変な労力を要し、移動先が異国ともなると、帰る目処さえ定かではなかったろう。産まれた土地を離れて異国に行くことは、移住することと同義であったかもしれない。
その当時は遠距離通信網もなかったから、知識や情報、技術などの伝播は、人の移動を伴っていた。知識や情報、技術を持った人が、移動先で教え、伝えてから、故郷に戻ることもあっただろう。だが、はるばる異国に行って、知識や技術などを伝えた人が、故郷に戻るのは簡単ではなかったろう。むしろ、異国に定住して、その地の人々と同化したと考えた方が自然だ。
日本の手すき和紙技術がユネスコの無形文化遺産に登録されたが、さっそく韓国では「紙を作る技術は韓国が伝えた文化だ」とする声が出たそうな。日本では和紙と韓紙は異なるものと認識されているそうだが、報道によると、日本の文化や技術が世界で称賛されると韓国では「われわれの祖先が日本に伝えた」との類の反応が出るそうだ。
他国の文化などを自国オリジナルのものだとする韓国の主張を「ウリジナル」と呼ぶそうで、日本絡みでも剣道、柔道、侍、日本刀、忍者、茶道、華道、盆栽、歌舞伎、折り紙、すし、みそ、しょうゆ、豆腐、そば、ソメイヨシノ、秋田犬などを、実は韓国が伝えたものだと主張するそうだ。客観的な文献、資料がどれほど伴っているのかは定かではない。
何でもかんでも自分らに都合のいい主張ばかりする国民性だなと笑うしかないが、はるか昔には文化・技術の伝播に人の移動が伴っていたことを考え合わせると、別のことが見えてくる。
仮に彼らの主張通りに、それらの文化・技術が中国などから朝鮮半島経由で日本に伝わったとしても、伝えた人々は日本から朝鮮半島に戻ったのだろうか。朝鮮半島より日本は温暖なので、昔の人にとっては日本の方が住みやすかっただろう。おそらく、日本に文化・技術を伝えた人の多くが日本に定住して、日本人と同化していった。
つまり、仮に朝鮮半島経由で文化・技術を伝えた人々がいたとしても、日本に定住した彼らは現在の朝鮮半島に住む人々とは切れている。大昔に文化・技術を伝えた人々は、現在の朝鮮半島に住む人々よりも、現在の日本人との血のつながりの方が濃いのだ。彼らは日本人になった。なお、情報網や交通が発達した現在では経済関係などで、日本から韓国に多くの文化・技術が伝えられ、影響を与えている。
2014年12月6日土曜日
バター不足が示すもの
全国的にバター不足だという。スーパーなどの陳列棚からバターは姿を消し、入荷してもすぐに売り切れてしまうそうだ。その理由を農水省は「昨年の猛暑の影響で乳牛に乳房炎等が多く発生したことや、酪農家の離農等で乳牛頭数が減少していることなどから、生乳の生産量が減少して、バターの生産が減少、在庫量も大きく減少。乳業メーカー等は出荷量を抑制していること等から、店頭のバターが品薄になっている」とする。
さらに「生乳は腐敗しやすいため、まず生鮮性が求められる牛乳や生クリームなどに加工され、最後に保存性の高いバターや脱脂粉乳に加工される。バターや脱脂粉乳は、生乳が多く生産される時は在庫として積み上げておき、生乳生産が不足する時は、バターや脱脂粉乳の生産を減らす替わりに在庫を放出するといった需給調整弁の機能を持つ。このような生産構造であるため、生乳生産量が減少してくると、バターの生産量が大きく減少する」とする。
生乳の生産量は2013年度が745万トンで前年比2.1%減、今年4〜10月は2.4%減と減少が続いている。用途別で見ると(2013年度)牛乳向けは396万トンで1.1%減、乳製品向けは343万トンで3.2%減。乳製品向けの内訳は、脱脂粉乳・バター等向け160万トンで8.1%減、チーズ向け48万トンで4.0%増、クリーム等向け130万トンで1.7%増。今年4〜10月でも脱脂粉乳・バター等向けは8.3%の減少だ。
バターの在庫量は2012年度に前年比23.0%増の2万3000トンに増えたが、13年は26.2%減の1万7000トン、14年10月末には28.2%減の1万5000トンへと確かに減っている。国は、品質保持期限の長い業務用の冷凍バターを緊急輸入するとともに乳業団体に増産を要請、大手乳業各社は生産量を約3割増やすことを決め、クリスマスケーキの最需要期には品薄が解消される見通しだという。
でも、乳価は上がらず、エサ代などコストは上がるばかりで酪農家の離農は止まらず乳牛頭数が減っているのだから、生乳生産量が減少し続けるという構造は変わっていない。品不足になるたびに追加輸入や一時的な増産で対処したところで、根本的な対策にはなっておらず、バター不足が今後も繰り返される可能性は大きい。
酪農家の経営を安定させ、乳牛頭数を増やすことが必要だが、これまで動かなかった農水省には期待できそうにない。さらに、TPP参加で乳製品市場が自由化されることになれば、バターの国内市場の85%程が輸入品に置き換わるとの試算があり、国内生産品のシェアは大幅に減る。農水省がバター不足にも一時的な対応で済ますのは、そこらを見ているからだろう。
酪農家は1963年には約41.8万戸あったが、後継者不足などで集約・大型化が進み、1985年に約8.2万戸、さらに2013年には2万戸を割った。自由化されて、臨機応変に輸入できるようになればバター不足は起こらないかもしれないが、今度は国際市況の影響を受けるとともに、品不足になれば各国で奪い合いになり、高値で買う国に流れよう。日本の第1次産業をどうするのか、政策の迷走がスーパーの陳列棚から見える。
2014年12月3日水曜日
人気がない緑色
最近、赤色の車を見かけることが増えてきた。赤といっても派手さは控えめで、落ち着いた深みのある色合い。ワインレッドをもっと濃くして、少し輝きも持たせている。マツダのCMで新型車がまとっている色だ。最近のマツダはヒット続きで、あの赤の新車も増えているのだろうが、同様の深みのある赤い色合いの車は実は他社にも珍しくはない。
街で見かける車の色は白や黒、シルバーが圧倒的に多いので、赤色の車が増えると街の表情も多彩になりそうだ。さらにパステルカラーの車が増えれば街の表情も華やいできそうだが、軽や小型車にある程度。車のボディカラーは所有者が選択するものだが、白や黒、シルバーばかりでは街の表情も単調になる。
街でほとんど見かけることが少ないのが緑系統の車。地域によっては、自衛隊の車両で見かける程度だったりする。日本の新車の人気カラーは(2012年。デュポン調査)1位が白系統で27%、2位が黒系統で22%、3位がシルバー系統で17%、4位が青系統で8%、5位がグレー系統で7%、6位が赤系統で6%、7位が茶系・ベージュで5%、8位が緑系統で2%、9位が黄色・金系統で1%以下、10位がその他で6%。
世界でも緑色は人気がない。世界の人気カラー(同)は1位が白系統で23%、2位が黒系統で21%、3位がシルバーで18%、4位がグレーで14%、5位が赤系統で8%、6位が青系統で6%、7位が茶系・ベージュで6%、8位が緑系統で1%、9位が黄色・金系統で1%、10位がその他で2%。
日本でも世界でも、緑系統のボディカラーは希少種だ。以前なら濃い緑色のボディカラーといえばイギリス車をイメージしたが、最近はイギリスからの輸入車が高級ブランドばかりになったせいか緑色にこだわらないようだ。濃い緑色の車は見かけなくなったが、薄緑色なら軽がたまに走っていたりする。といっても、黄色味がかっていたり青味がかっていたりするが。
白や黒、シルバーなどのボディカラーは下取り査定額が他の色より高いといい、車の色など何でもいいという層も無難だからと買うから多いのだろうし、黄色や赤なら、視認性が高いから事故率が低いという選択理由もあろう。緑色の車の視認性はそれほど高くもなさそうだし、自然豊かな地域では周辺の樹木などと紛らわしいこともあるかもしれない。
緑色のボディカラーを選ぶ理由は、しいて挙げると、大きな駐車場でも白や黒などにくらべ数少ないから、色ですぐに見つけやすいことぐらいか。でも、そんな理由で積極的に選ぶ人は多そうにもない。やはり、緑色が好みだからと選ぶのだろう。とすると、緑色を好む人が少ないのか? そういえば、緑色の衣服を着ている人も少ない印象だ。
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