2020年12月30日水曜日

トランプ氏の最後っ屁

  米議会が可決した9000億ドル(約93兆円)の新型コロナウイルス対策法案にトランプ大統領は署名し、同法案は成立した。署名を拒否するとトランプ大統領は言い、現金給付額の1人最大600ドルは少ないとして2000ドルに引き上げるよう主張していたのだが、政府予算の期限切れが迫り、1200万人分の失業給付の特例措置が失効したことなどから態度を一変させて同法案を成立させた。

 退任間際のトランプ大統領に議会も人々も振り回された格好だが、大統領選での敗北を認めていないトランプ氏が静かにホワイトハウスを去るかどうか定かならず、といって居座ることはできないので、大統領でいる間に何をやるか予測がつかず、イタチの最後っ屁めいた奇策の乱発があるかもしれないと懸念する向きもいるそうだ。

 大統領選の「不正」を裁判で争うことが困難な情勢になってからトランプ氏は恩赦や減刑を連発している。その対象は、娘婿の父親や元側近、支持者ら自分に近い人物だ。ロシア疑惑関連で有罪になった連中が獄中から「救出」されたりしている。さらにトランプ氏は、自分や家族に対する予防的な恩赦を検討しているとの噂も根強い。予防的な恩赦は、大統領退任後にも罪に問われないためとか。

 自分や家族に対する予防的な恩赦を検討しているとすれば、①法に抵触する行為が存在したと意識している、②法に抵触した行為が存在したかもしれないと懸念している、③自分を標的にした報復的な法の適用が行われると心配している、などの理由が推察できる。ホワイトハウスを去れば司法当局に影響力を及ぼすことはできないだろうから不安は増すばかりか。

 トランプ大統領の誕生は米国の民主主義の不安定さの反映だとの見方があるが、誰でも大統領になることができることを示したのだから米国の民主主義は健全だ。問題は、政治家の適性を有しない人物や政治家にしてはならない人物をも普通選挙では当選させることであり、主権者の選好を制限する仕組みが弱いのは民主主義の弱点で、優れた人物だけを選出する仕組みは民主主義にはない。

 トランプ大統領は既存の政治システムの部外者であり、政治家として不適当な人物でも大統領職は務まると実証したが、国内外で大いに既成の秩序を掻き乱した。それは変化を促進させ、ある種の新風を国内外の政治に吹き込んだが、既成秩序の崩壊を促し、特に国際秩序の不安定化を可視化させ、中国をはじめ帝国主義的な拡張政策を隠さない諸国の出現を許した。

 トランプ大統領の功績は様々あるだろうが、歴史的な評価は、現在進行中の国際秩序の変化が一段落ついた後になるだろう。米国は衰退したからトランプ氏を大統領に選んだのか、まだ活力があるからトランプ氏を大統領に選んだのか不明だが、トランプ氏のような人物でも大統領になることができるのは米国政治の懐の深さであることは間違いない。

2020年12月26日土曜日

日本を覆う第3波

 国内で確認された新型コロナウイルス感染者数が21万人、死者数は3100人を超えた(24日現在)。東京など首都圏では感染拡大の勢いが止まらず、東京5万4018人、神奈川1万8227人、埼玉1万2482人、千葉9712人と増えた。1都3県で計9万4439人となり、日本全体の44.8%を占める。接触感染や飛沫感染は人口密度が高いほど増えるだろうから、治療薬がない状況で大都市での感染拡大は当然か。

 感染者数が多い順に全国を見ると、東京5万4018人、大阪2万8167人に続いて、神奈川1万8227人、愛知1万4936人、北海道1万2618人、埼玉1万2482人と1万人を超えた。さらに千葉9712人、兵庫8767人、福岡7852人、沖縄5101人と続き、京都4110人を加えた11都道府県で17万5990人となり、日本全体の83.5%。

 人口が多い都市部や観光客が多い道県で感染者が増えているようにも見えるが、茨城・栃木・群馬や岐阜・三重・滋賀など大都市周辺県でも感染者が増え、さらに広島や岡山、長野、熊本、石川、鹿児島などでも増えている。感染者が最も少ないのは鳥取79人で、100人以下は鳥取だけになった。1000人未満は24県だが、石川や滋賀、鹿児島は900人台でクラスターが発生すれば、すぐに1000人台に乗る。

 感染経路を徹底的に解明することを続ければ感染拡大を抑止する効果的な対策が見えてくるだろうが、感染者の大幅増加のなかで濃厚接触者を細かく追うことができなければ、感染経路を追うことは難しい。増える感染者の対応に保健所も医療機関も手一杯となり、感染経路不明が増えるなら、その地域で何が効果的な対策なのかが見えなくなる。

 「Go to トラベル」中断で全国的な人の移動は抑制されようが、多くの人が留まる都市部での感染拡大抑止における効果は限られよう。だから繁華街などでの飲食店の営業時間短縮などを行政は要請するが、感染経路不明が増えれば、居酒屋などの利用客をさらに減らしたところで、どれほど感染減少の効果があるのか不明だ。

 北海道での感染拡大で可視化された第3波は、すぐに首都圏や大阪、愛知などで猛威を振るい始め、地方にも広がっている。PCR検査数の増加と感染者数の増加には相関関係がありそうだが、そうした検証は乏しい。軽症者や無症状者が圧倒的に多いとされる一方、死者も重傷者も増えているというので、地域によっては医療崩壊も懸念されるようになった。規制に強制力を持たせる法改正も議論され始めた。

 人々の外出や企業活動を制限して、人と人が接触する機会を極力少なくすることで第1波を何とか乗りきった日本だが、その代償は大手企業も含め大幅な赤字決算の続出で、街中には廃業した個人商店が珍しくなくなった。失業した人は増え、政府の援助に頼るしかない人々や企業が膨れ上がる。借金まみれの日本が無尽蔵に金をばら撒けば、いつかはツケを社会が払わなければならなくなる。このパンデミックは人々の健康だけではなく、社会のあり方も脅かしている。

2020年12月23日水曜日

「裸の王様」考

 1人の子供がパレードの王様を見て、「何にも着ていないよ!」と叫んだ。王様は「ばか者には見えない」特別な布地で仕立てた衣装をまとっていて、お披露目として大通りを行進していた。家臣にも王様本人にもパレードを見ている人々にも、その特別な衣装は見えなかったのだが、ばか者と呼ばれることを恐れて皆、何かが見えているふりをしていたのだ。

 これはアンデルセンの童話「裸の王様」だ。特別な布地で仕立てたという衣装は誰にも見えておらず、王様の姿は誰からも裸にしか見えていなかったのだが、誰もが王様の衣装が見えていると装った。自分の目で見た現実よりも、ばか者であると見なされることを恐れ、存在しない衣装が見えているとした。おそらく多数の人は、王様は特別な衣装を着ているとの権力からの設定に追随しただけだろう。

 ばか者と見なされるのを恐れるのは、ばか者が社会で低位に置かれるからだ。ばか者の定義は人により様々で、主観に左右されるから、ばか者だと誰もが認める人物はそう多くはないだろう。だから、ある特別な布地が見えるかどうかが、ばか者の判定基準になると人々は、ばか者にされたくないから、特別な布地で仕立てた衣装が見えていることを演じる。

 特別な布地で仕立てた衣装を着たという人が一般人なら、人々は見て、すぐに「何も着ていないじゃないか」と大笑いしただろう。特別な衣装を着たというのが王様だから人々は、どう振る舞うのが社会的に適切かを考え、いつものように王様の行動を称賛することにしたのだ。支配される人々の心理とは、権力に従うことを最優先する。

 そうした心理が希薄な子供だから、王様が何も着ていない現実を指摘することができた。童話では、子供の叫びを聞いて人々はざわめき始め、何も着ていないのかと見たままの現実を受け入れ、ついには皆が「何も着ていらっしゃらない!」と口々に言い始め、その中で王様のパレードは続いたと結ぶ。王様が裸であると言い始めた人々が大笑いしたなら、王様の権威は失墜しただろう。

 権力は様々な「衣装」をまとい、人々の目には強大な存在に見えていよう。それらの「衣装」の全てに実態があるとは限らず、ばか者には見えない布地で仕立てられた「衣装」もありそうだ。ばか者には見えない布地という設定を人々は、その布地が見えない者はばか者だと受け取る。何かが見えているように装うのは、権力との付き合い方だと人々は承知している。

 見た現実を多くの大人は解釈して受け入れる。事実よりも解釈のほうを重視する人は珍しくなく、その解釈がネットやテレビや新聞、雑誌などの受け売りだったりもする。解釈は誰かの主観であるのだが、解釈に事実を混ぜ合わせていたりするので、解釈が客観的なものであると混同したりする。現実を見たままに、「何も着ていないよ!」と指摘できる大人になるのは簡単ではない。

2020年12月19日土曜日

否定して貶める

 議論において、相手の発言がどんなに承服し難かったとしても、感情的になって相手に対する人格攻撃などに堕することは、その議論に負けたことに等しい。反則負けである。とはいえ、人は感情に支配される生き物なので、相手を感情的にさせることも議論のテクニックの一つか。

 相手の発言に存在する事実の誤認や解釈の偏りなどを指摘しつつ自説を主張し、相手を説得するのが、冷静かつ理性的な議論のスタイルなのだろう。だが、それには、自説に固執せず、客観的に自説も検証するという暗黙の前提を議論の参加者が共有している必要がある。

 そういう前提は、特に政治などに関する議論では希薄だ。むしろ、自説に固執し、自説に対する客観的な検証を許さず、相手の主張を否定し、さらには相手をも否定することで自説の「正しさ」をアピールしようとしたりする。相手の主張や相手を否定することと、その人の主張が正しいかどうかは無関係だが、政治などが関わる議論においては、その種の発言は珍しくない。

 むしろ、相互の主張に相応の根拠や正当性があるのが政治などに関する議論だ。自説に固執しないという政治家や活動家、運動者は非常に少ないだろうから、議論は相互の主張を一方的に言い合うだけになる。自説を客観的に検証したり、相手の主張に理解を示す姿勢は、議論を闘争とみなす政治などにおいては弱みになろう。

 相手の主張を否定することが自説の正しさになるというのは二者択一の場合だけである。AかBかの選択肢しかない場合、Aが否定されると、残るのはBだけになる。しかし、現実には政治の場においても「正解」は揺れ動いていて確かならず、さらに複数の「正解」があったりする。相手の主張を否定したとしても、否定した人の主張が正しいと自動的にはみなされない。

 対立する相手を貶めて自己の主張の正当性をアピールするという政治などにおける議論スタイルは特殊なものだ。だが、同様の議論(というより、互いに一方的に言い合い、否定し合う)スタイルは広く見られる。おそらく、客観的な検証に耐えることができない自説に固執するという未熟さのため、批判に耐えられないから相手を否定するしかないのだろう。

 批判と否定は異なる。批判に対する耐性が低く、批判を否定と受け止める人が、相手を否定することで反撃するのかもしれない。そうした議論は実は議論の否定もあり、議論の拒否でもある。そうした議論から発展的な見解が生まれることはまずないだろう。

2020年12月16日水曜日

情報の生態圏

 生態圏とは、生物が存在する領域であり、一般には生物圏と同義とされる。生態学は生物の生活を調べ、生物と環境条件の関係や生物と個体間や集団、他の生物との関係、物質やエネルギーの循環などを明らかにする学問だ。生物は地上にも地下にも海中にも生存しており、それぞれの生物にはそれぞれの生存空間=生態圏がある。

 例えば、地上といっても、アリが這い回る地面もあれば、その上の人間や多くの動物が活動する空間もあり、森林もあれば樹上もあり、砂漠もあれば草原もあり、鳥類が活動する空中もあれば河川や湖沼もあるように生態圏は生物によって異なり、様々な生態圏が地上には存在する。人間の生態圏に限っても様々な環境がある。

 様々な人間の生態圏は、生存を維持するという基本的な自然条件の制約はあるはずだが、猛暑でも極寒でも人間は住み着き、乾燥地帯にも湿潤地帯にも住む。多くの商品が大量に広範に流通するようになったので環境要因による生活への制約は小さくなり、人間の生態圏は拡大している。だが、実際には都市生活の利便性という魅力は大きく、世界で多くの人々は都市に集まる。

 生態圏という発想を個人に当てはめ、個人が活動する領域として見ると、それぞれに異なる生態圏があり、そこで暮らす生活実感は相当に異なるだろう。例えば、山間部の集落で暮らす人と都市生活者では生活条件が異なるので必要とする情報は異なり、そこに個人の心情や関心、価値観、政治的主張などが加わるので、さらに個人の生態圏で求められる情報は広範なバラツキを生じる。

 都市生活者の間でも個人の生態圏は様々で、求められる情報は大きく異なるだろう。日本の政治に関心がある人と芸能にしか関心がない人、スポーツに関心がある人、経済や企業動向に関心がある人では、求める情報が異なる。さらに、日本の政治に関心がある人でも自民党支持者と共産党支持者では、求める情報が違うだろう。それは、新たなことを知るための情報ではなく、すでに保有する信念などを補強するために求める情報だからだ。

 新聞やテレビなどに情報源が限られていた時代から、数多くの情報メディアが存在する時代になり、SNSなどには真偽定かならぬ「情報」があふれている。情報は、人々がただ受け取るだけだったのが、自分で選んで取りに行くものに変化した。だが、自己の価値判断に合わせて情報を選んで受け入れる人々は、自己の価値判断を揺るがすような情報は拒絶する(拒絶できる)。やがて情報源は固定し、人々には各自の情報の生態圏が形成される。

 米国の大統領選におけるトランプ支持者と反トランプの人々の対立に顕著に見られたように、人々はそれぞれの情報の生態圏を生きている。自己の信念や信条などを補強する情報を得ようとすれば、それに適するメディアを選べばよく、自己の価値観に反する情報を提供するメディアは拒絶する。その結果が分断の激化ともなるが、共通する情報=共通する認識が乏しいのだから、溝は簡単には埋まらない。

2020年12月12日土曜日

エビデンス

  犯罪行為が行われている状況を目撃した人が、後に、見た状況を話すことは捜査や裁判で重要な証拠として扱われる。目撃したのが1人だけだったとしても、証言の信憑性が疑われるわけではなく、むしろ、たった1人の目撃者としてその証言が重要視され、犯罪立証の決め手になったりもする。

 一方、科学において1人だけの証言は、そのままでは事実とはみなされない。複数の研究者が観測や実験を行い、同じ結果が得られてから初めて最初の人の証言が事実であるとされる。例えば、STAP細胞ができたとの実験結果が発表されたが、世界で追試が行われたものの誰もSTAP細胞をつくることはできず、批判され、STAP細胞ができたとの論文は撤回された。

 論文に記載されていない何かの条件が作用してSTAP細胞が偶然にできた可能性はあるが、他の人が再確認できない事象は科学的には事実とされない。共有できる事象が科学的な事実であり、たった1人だけが確認して他の誰も確認できない事象は科学的には事実と認められない。科学的な事実とは、主観が完全に排除されて、客観性だけで構成される。

 犯罪の目撃証言はたった1人のものであっても信用され、実験結果や観察結果など科学的な事象は1人の証言だけでは信用されず、複数が同じ結果を共有して初めて事実とされる。犯罪の目撃はただ1回のものであるが、科学的な事実は再現可能であったり再確認可能であることが要求される。

 英語のエビデンス(evidence)は英和辞書によると、①信ずべき根拠、証拠、(法律)証拠物件、証言②しるし、兆候、形跡、痕跡。だから、目撃証言も科学的な事実もエビデンスなのだが、日本ではエビデンスは科学的な根拠・証拠の意味で使用される傾向がある。これを利用して、目撃証言と同様な他者に確認されない事象をエビデンスとして、科学的な装いをさせる言い方がある。

 「GoToトラベル」事業が感染を拡大したとの野党の追及に菅首相は「GoToトラベルが感染拡大の主要な原因であるとのエビデンスは、現在のところ存在しない」とした。確かにGo to事業と感染拡大を直接に関連させるデータを集めて分析し、立証するのは簡単ではなく、困難と言ってもいい。しかし、Go to事業と感染拡大には相関性が感じられるのも事実で、それは医師などからも指摘されている。

 自分に都合の悪い事実を嘘だとするのが政治家だ。政治家がエビデンスと言い始めたのは、エビデンスなるものが政治的な言語に変化したからだろう。自説に都合がいい科学者の言説を政治家が利用する話法だ。科学者の主張でも、検証されずにいるものは仮説に過ぎない。仮説はエビデンスにはなり得ない、ただの一つの主張に過ぎない。

2020年12月9日水曜日

分断を生きる

 米国には政治信条、経済的格差、人種、宗教、倫理観などによる様々な分断が存在し、違いを認め合って共存する社会を謳う一方で大統領選では人々の対立が先鋭化し、激しく批判しあったり、罵りあったりする光景が繰り返される。今回の大統領選では、選挙後の混乱に備えて自衛用の武器を購入する人が増えたとも報じられ、分断が深刻だとされた。

 多様な人々が暮らす自由な社会では人々が持つ価値観も多様になり、個人の自己主張が尊重される社会では様々な主張が対立するのは不思議ではない。そうした自己主張が非妥協的な様相を帯びると、互いに攻撃しあう。自己主張の激しい対立は社会の分断を可視化したと見えるが、そうした分断は自由な社会であることの反映でもある。

 穏健な主張も過激な主張も、現体制を擁護する主張も否定する主張も、暴力を肯定する主張さえも許容されるのが自由な社会だ。暴力が行使された場合には法規制が伴うが、言葉による主張にとどまっているなら、どんな過激な主張も許容されるのが自由社会の原則だ。そうした社会で、分断の存在は個人の自由な意思表示が活発に行われていることの反映であろう。

 分断を批判するのは、社会が一つにまとまっているほうが良いとの思い込みが前提になっている。一つにまとまっている社会を賛美するのはファシズム体制だ。例えば、中国などの独裁国家では社会に存在する分断(=人々の自由な主張)は強権で抑圧され、社会から分断は排除され、分断が社会に存在しないように「演出」される。

 分断が可視化される社会が病んでいるのか、分断が可視化されずに隠蔽される社会が病んでいるのか。分断の存在を問題視しすぎると、自由な社会や民主主義社会を軽視し、権威主義体制や独裁体制をうっかり賛美しかねないぞ。社会の自由度と分断の可視化程度が比例するとするなら、分断の可視化を深刻がる必要はない。

 バイデン前副大統領は「勝利宣言演説」で、分断ではなく結束を目指す大統領になると語った。トランプ氏支持者に「暴言をやめて冷静になり、もう一度向き合い、双方の主張に耳を傾けるべきだ」「互いを敵とみなすのはやめなければいけない。私たちは敵ではない。私たちは米国人だ」と呼びかけた。もっともな言葉だが、こんな言葉で状況が変わるはずはなく、人々はそれぞれの主張を続け、分断は可視化され続ける。米国が自由な社会だからだ。

 和をもって尊しとする社会なら、社会の分断は憂うべき状況だろう。だが、人々が同調圧力を感じて鬱陶しい毎日を送っている和を強要される社会よりも、人々が自己主張をし合っている社会のほうが風通しは良さそうだ。人々が自由に主張することで権利を獲得してきた歴史のある社会では、人々の多様な主張の衝突は主権者意識の反映でもあり、人々は分断を生きる。

2020年12月5日土曜日

感動を与える

  感動とは、美しいものや素晴らしい出来事などに強く心を揺さぶられた時の感情だ。心を揺さぶられた対象への絶賛であり、対象を肯定する最上級の表現でもある。日常的に生じる、ありふれた感情ではないから感動は特別な高揚感を伴って記憶されたりもする。

 この感動という言葉が日常語へと変わりつつあるようだ。「感動した」とか「感動を与える」などの言葉を聞いたり見かけることが多くなった。これは、特別に美しく素晴らしい出来事が増えたからだとも解釈できるが、日常的な感情を表す言葉として簡単に感動という言葉が使われるようになったとも解釈できる。

 「感動した」とは対象に対する評価でもあるから、感情が大きく動きやすい人は感動という言葉を乱発する。感動という言葉が日常語になったのは、現代人(若者?)の感情が動かされやすくなり、対象に対する評価が甘くなっているためと考えると、感動する対象が増えたのではなく、ちょっとした感情の動きにも感動という言葉を使うようになったと解釈できる。

 一方で「感動を与える」との発言を聞くことも珍しくなくなった。スポーツ選手が、活躍する決意を示す時などに使われたりする。いい選手であったとしても、「意図的に感動を与えられるなんて、いやだよ」と言いたくなることもある。感動を与えるという大きな責任を選手が感じているようにも見えないから、おそらく流行り言葉なのだろう。

 感動を与えるとは、見る人々の感情をコントロールすることである。スポーツ選手は深く考えて言っているのではなく、「頑張ります」が変化した表現として使っている気配だ。活躍できなかったスポーツ選手が「感動を与えられず、すみません」などと謝罪した場面を見たことがないので、感動を与えられなかったとしても責任が追及されることはないから、安直に「感動を与える」と言う。

 感動という言葉が日常語になったのは人々が感動を求めているからだが、感動というより強い刺激を求めているのだろう。自分の感情を強く刺激する何かを求めたり期待する。手っ取り早いのがスポーツで、感動が量産され、観客は手軽に熱狂できる。

 人々が日常生活において感動(強い刺激)を求める社会とは、平穏で安定した社会だ。内戦状態とか交戦国の社会などでは日常生活に強い刺激がありすぎるだろうから人々は日常的に緊張を強いられ、感動など特に求めないだろう。政治による強い刺激が存在する社会で人々は無感動に生きるのかもしれない。

2020年12月2日水曜日

Go to ロックダウン

 日本では全国で感染が拡大して新たに確認される感染者は連日2千人以上になり、累計の感染者数は15万人を超えた。軽症者や無症状者が多いとされるが、重症者も増えており、死者数は2200人を超えた。北海道で感染者が急増して第3波が襲来していると報じられていたが、まもなく東京、大阪、愛知などでも感染が拡大していることが明らかになった。

 感染者は東京で4万人、大阪で2万人、愛知で1万をそれぞれ超え、この3地域で全国のほぼ半分を占めるが、東京など首都圏1都3県の合計も7万人と全国の半分近い。大都市に限らず各県でも感染は拡大しており、感染者が100人未満は鳥取、秋田の2県だけに減った。感染者ゼロを続けていた岩手県でも感染者が連日増え、200人以上になった。感染者数が1千人を超える県は全国で珍しくなくなった。

 日本でも各国からの入国者は制限されているので、第3波のウイルスが外国から持ち込まれた可能性は少ないだろう。第3波は、感染者が多い首都圏などから各地への人の移動を増やした「Go to トラベル」の影響が大きいと見られ、更に「Go to イート」「Go To イベント」を含め人の活動活発化が感染拡大につながったのなら、新型コロナウイルスと共存する経済活動とは相当に困難なものであると見えてくる。

 全国で都道府県など自治体はそれぞれ警戒ステージを引き上げ、対応を強化した。飲食店に営業時間短縮などを要請し、マスク着用や3密回避などを人々に呼びかける一方、重症者の増加による病床の逼迫などに直面して医療崩壊を回避しようと懸命だ。だが、第3波が地域的な現象ではなく全国的な現象だとすれば、どこかの地域で押さえ込んだとしても効果は限られ、すぐに別の地域で感染拡大が始まろう。

 地域的な対策ではなく全国的な対策が必要となれば政府が動くしかなく、治療薬やワクチンが不在といえる現在、感染拡大を抑制する方法は人々の接触機会を減らすことしかない。それで、「Go to トラベル」「Go to イート」などを取りやめ、人々に外出自粛や企業にリモートワーク拡充などを求めるのだが、要請だけでは効果が限られるとすれば、強制力を行使するしかない。「Go to ロックダウン」とか「Go to 緊急事態宣言」になりかねない状況だ。

 欧州各国ではすでに「Go to ロックダウン」が現実化した。フランスは全土で外出制限を実施し、飲食店などを閉鎖した。ドイツも飲食店や娯楽施設を閉鎖し、イタリアは全土で飲食店の夜間営業を制限、人々の夜間外出を禁止した地域がある。スペインは全土で夜間外出を禁止し、英国はイングランドでロックダウンを実施した。オーストリアは飲食店の営業を禁止して夜間外出を禁止、ポルトガルは人々に在宅を要請し、ベルギーはスーパーを除く商業施設の営業を禁止した。

 第3波の感染拡大にも日本政府の動きは鈍く見える。企業決算では大幅な赤字が続出していて、厳しい外出制限で営業活動を停止させれば回復不能に陥りかねないダメージを企業に与えかねず、財政的な余裕もないので日本政府はロックダウンを躊躇する。「Go to〜」キャンペーンだけが第3波の原因ではないだろうが、「Go to ロックダウン」に追い込まれるとするなら皮肉だ。

2020年12月1日火曜日

ドキュメント「パンデミック11月」

 日本でも世界でも感染拡大が続いている。世界における新型コロナウイルスの感染者数は30日に6251万人、死者数は145万人を超えた。米国とインド、ブラジルの3国で世界の感染者の46%、死者の40%を占めるが、感染者数が100万人を超えた国も続出するなど、感染拡大の勢いは加速しているように見える。日本でも10月30日に10万人を超えた感染者数が11月30日には14万9145人と1カ月で5割も増加した。

 <11月> 1日=世界の感染者が4600万人超す(米国で907万人、インドで813万人、ブラジルで551万人、ロシアで160万人、フランスで137万人、英国で98万人超す)。死者が世界で119万4千人超す(米国で23万千人、ブラジルで15万9千人、インドで12万1千人、メキシコで9万1千人超す)。日本の国内の感染者が10万2千人超す。

 2日=世界の感染者が4634万人超す(米国で915万人、インドで818万人、ブラジルで553万人、ロシアで162万人、フランスで145万人、英国で101万人、メキシコで92万人超す)。死者が世界で119万8千人超す(米国で23万千人、インドで12万2千人超す)。ドイツが全土で飲食店の営業禁止など部分的なロックダウン。ベルギーは全土で厳しいロックダウン。スイスのジュネーブ州は大半の商店や飲食店の営業を禁止するなど規制強化。

 3日=世界の感染者が4687万人超す(米国で929万人、インドで826万人、ブラジルで555万人、ロシアで164万人、フランスで146万人、英国で103万人超す)。死者が世界で120万6千人超す(米国で23万1千人、ブラジルで16万千人、インドで12万3千人、メキシコで9万2千人超す)。オーストリアは夜間外出禁止や飲食店閉店など部分的ロックダウン。日本の国内の感染者が10万3千人超す。

 4日=世界の感染者が4737万人超す(米国で930万人、ロシアで166万人、英国で105万人、メキシコで93万人超す)。死者が世界で120万9千人超す。米国での新規感染者数が初めて10万人超す。日本の国内の感染者が10万4千人超す。

 5日=世界の感染者が4803万人超す(米国で948万人、インドで831万人、ブラジルで559万人、ロシアで168万人、フランスで159万人、英国で107万人超す)。死者が世界で122万4千人超す(米国で23万3千人、ブラジルで16万1千人、メキシコで9万3千人、英国で4万7千人超す)。英国がイングランドで1カ月間のロックダウン。デンマークで家畜のミンクから変異した新型コロナウイルスが見つかる(北ユラン地域の7カ所を封鎖)。日本の国内の感染者が10万5千人超す。

 6日=世界の感染者が4862万人超す(米国で960万人、インドで841万人、ロシアで169万人、フランスで164万人、英国で109万人、メキシコで94万人、イタリアで86万人超す)。死者が世界で123万3千人超す(米国で23万4千人、インドで12万4千人、英国で4万8千人、イタリアで4万人超す)。イタリアは全国で夜間外出禁止、地域により部分的なロックダウン。仏パリは夜間の宅配サービス・持ち帰りを禁止。日本の国内の感染者が10万6千人超す。

 7日=世界の感染者が4899万人超す(米国で964万人、ブラジルで561万人、ロシアで172万人、英国で112万人超す)。死者が世界で123万7千人超す(米国で23万5千人超す)。ギリシャは全土封鎖措置を再導入。日本の国内の感染者が10万7千人超す。

 8日=世界の感染者が4960万人超す(米国で976万人、インドで846万人、ブラジルで563万人、ロシアで174万人、フランスで170万人、英国で114万人、メキシコで95万人超す)。死者が世界で124万7千人超す(米国で23万6千人、ブラジルで16万2千人、インドで12万5千人、メキシコで9万4千人超す)。日本の国内の感染者が10万8千人超す。

 9日=世界の感染者が5039万人超す(米国で996万人、インドで855万人、ブラジルで566万人、フランスで183万人、ロシアで176万人、英国で117万人、メキシコで96万人超す)。死者が世界で125万6千人超す(米国で23万7千人、インドで12万6千人、メキシコで9万5千人、英国で4万9千人超す)。マレーシアはマレー半島の8州に活動制限令。WHOは年次総会への台湾のオブザーバー参加を中国の反対で認めず。日本の国内の感染者が10万9千人超す。

 10日=世界の感染者が5061万人超す(米国で999万人、ロシアで178万人、英国で119万人超す)。死者が世界で125万9千人超す。日本の国内の感染者が11万人超す。

 11日=世界の感染者が5143万人超す(米国で1016万人、インドで859万人、ブラジルで567万人、フランスで185万人、ロシアで180万人、英国で121万人、イタリアで102万人、メキシコで97万人超す)。死者が世界で127万2千人超す(米国で23万8千人、インドで12万7千人超す)。イタリアはトスカーナ州など5州で行動制限を強化。日本の国内の感染者が11万2千人超す。

 12日=世界の感染者が5212万人超す(米国で1040万人、インドで868万人、ブラジルで574万人、フランスで191万人、ロシアで182万人、英国で123万人、メキシコで98万人超す)。死者が世界で128万4千人超す(米国で24万1千人、ブラジルで16万3千人、インドで12万8千人、メキシコで9万6千人、英国で5万人超す)。日本の国内の感染者が11万3千人超す。

 13日=世界の感染者が5273万人超す(米国で1055万人、インドで872万人、ブラジルで578万人、ロシアで184万人、英国で125万人超す)。死者が世界で129万3千人超す(米国で24万2千人、ブラジルで16万4千人、メキシコで9万7千人、英国で5万1千人超す)。ロシアは首都モスクワでバーやレストランなどの深夜営業を禁止。米ニューヨーク州は飲食店の営業規制を再び強化。米国の新規感染者数が18万人超す。日本の国内の感染者が11万5千人超す。

 14日=世界の感染者が5338万人超す(米国で1073万人、ブラジルで581万人、ロシアで186万人、英国で129万人、メキシコで99万人超す)。死者が世界で130万2千人超す(米国で24万4千人超す)。日本の国内の感染者が11万7千人超す。

 15日=世界の感染者が5366万人超す(米国で1079万人、インドで877万人、ロシアで188万人、英国で131万人超す)。死者が世界で130万7千人超す(インドで12万9千人超す)。日本の国内の感染者が11万8千人超す。

 16日=世界の感染者が5437万人超す(米国で1103万人、インドで884万人、ブラジルで586万人、ロシアで191万人、英国で134万人、メキシコで100万人超す)。死者が世界で131万7千人超す(米国で24万6千人、ブラジルで16万5千人、インドで13万人、メキシコで9万8千人、英国で5万2千人超す)。スウェーデンは9人以上の集会を禁止。日本の国内の感染者が11万9千人超す。

 17日=世界の感染者が5475万人超す(米国で1108万人、ロシアで193万人、英国で136万人超す)。死者が世界で132万1千人超す。オーストリアが外出や店舗営業を原則禁止。トルコは店内飲食を禁止し、週末の外出時間を制限。

 18日=世界の感染者が5562万人超す(米国で1140万人、インドで891万人、ブラジルで591万人、フランスで208万人、ロシアで195万人、英国で139万人超す)。死者が世界で133万8千人超す(米国で24万9千人、ブラジルで16万6千人、インドで13万人、メキシコで9万9千人、英国で5万3千人超す)。日本の国内の感染者が12万3千人超す。

 19日=世界の感染者が5624万人超す(米国で1152万人、インドで895万人、ブラジルで594万人、フランスで211万人、ロシアで197万人、英国で141万人、メキシコで101万人超す)。死者が世界で134万9千人超す(米国で25万人、ブラジルで16万7千人、インドで13万1千人超す)。日本の国内の感染者が12万6千人超す。

 20日=世界の感染者が5683万人超す(米国で1157万人、ロシアで199万人、英国で143万人超す)。死者が世界で135万8千人超す(米国で25万1千人、ブラジルで16万7千人超す)。トルコは飲食店や商業施設の営業時間短縮と週末の部分的ロックダウン。日本の国内の感染者が12万8千人超す。

 21日=世界の感染者が5756万人超す(米国で1191万人、インドで905万人、ブラジルで602万人、フランスで216万人、ロシアで202万人、英国で145万人超す)。死者が世界で137万2千人超す(米国で25万4千人、ブラジルで16万8千人、インドで13万2千人、メキシコで10万千人、英国で5万4千人超す)。イランは首都テヘランで店舗の営業禁止。米カリフォルニア州は夜間外出を禁止。日本の国内の感染者が13万1千人超す。

 22日=世界の感染者が5814万人超す(米国で1208万人、インドで909万人、ブラジルで605万人、フランスで217万人、ロシアで204万人、英国で147万人、メキシコで102万人超す)。死者が世界で138万人超す(米国で25万5千人超す)。日本の国内の感染者が13万3千人超す。

 23日=世界の感染者が5864万人超す(米国で1224万人、インドで913万人、ブラジルで607万人、フランスで219万人、ロシアで207万人、英国で149万人、メキシコで103万人超す)。死者が世界で139万6千人超す(米国で25万6千人、ブラジルで16万9千人、インドで13万3千人、メキシコで10万1千人、英国で5万5千人超す)。カナダはトロント市と近郊でロックダウン。タイは非常事態宣言の期限を延長。フランスは対策を2021年1月まで3段階に分けて緩和。日本の国内の感染者が13万4千人超す。

 24日=世界の感染者が5905万人超す(米国で1228万人、ロシアで209万人、英国で151万人、メキシコで104万人超す)。死者が世界で139万2千人超す(イタリアで5万人超す)。スウェーデンは8人を超える公共の場での集まりを禁止。韓国はソウルなどで規制を強化。日本の国内の感染者が13万5千人、死者が2千人超す。

 25日=世界の感染者が5975万人超す(米国で1259万人、インドで922万人、ブラジルで611万人、フランスで220万人、ロシアで212万人、英国で152万人超す)。死者が世界で140万9千人超す(米国で25万9千人、ブラジルで17万人、インドで13万4千人、メキシコで10万2千人超す)。独が飲食店の営業禁止を延長 。日本の国内の感染者が13万7千人超す。

 26日=世界の感染者が6039万人超す(米国で1277万人、インドで926万人、ブラジルで616万人、フランスで222万人、ロシアで214万人、英国で153万人、メキシコで106万人超す)。死者が世界で142万1千人超す(米国で26万2千人、インドで13万5千人、メキシコで10万3千人、英国で5万6千人超す)。欧州の主要国はクリスマス期間中に対策を緩和する方針。日本の国内の感染者が14万人超す。

 27日=世界の感染者が6087万人超す(米国で1281万人、ロシアで216万人、英国で156万人、メキシコで107万人、ドイツで100万人超す)。死者が世界で143万人超す(米国で26万2千人、メキシコで10万3千人、英国で5万7千人超す)。米国の新規感染者数は20万5500人。日本の国内の感染者が14万2千人超す。

 28日=世界の感染者が6164万人超す(米国で1308万人、インドで935万人、ブラジルで623万人、フランスで224万人、ロシアで219万人、英国で157万人超す)。死者が世界で144万2千人超す(米国で26万4千人、ブラジルで17万1千人、インドで13万6千人、メキシコで10万4千人超す)。日本の国内の感染者が14万5千人、死者が2100人超す。

 29日=世界の感染者が6224万人超す(米国で1324万人、インドで939万人、ブラジルで629万人、フランスで226万人、ロシアで222万人、メキシコで109万人超す)。死者が世界で145万2千人超す(米国で26万6千人、ブラジルで17万2千人メキシコで10万5千人、英国で5万8千人超す)。日本の国内の感染者が14万7千人超す。

 30日=世界の感染者が6251万人超す(米国で1329万人、ロシアで224万人、英国で160万人、メキシコで110万人超す)。死者が世界で145万6千人超す。日本の国内の感染者が14万9千人超す。

2020年11月28日土曜日

探せば、見つかる?

  新型コロナウイルスの感染が騒がれ始めた頃、店頭からマスクが消えた。入荷があってもすぐに売り切れ、しばらくは品切れ状態が続き、マスクを求めて探し回る人々の姿が報じられた。マスク製造に参入する企業が増え、中国からの輸入も増えて流通量が増加し、店頭には目玉商品としてマスクが陳列されるようになったが、どこでも、いつでも買えるようになると人々は必要分しか買わなくなる。

 やがて、うず高く店頭に陳列されていたマスクは所定の売り場に戻った。マスクは一時期、探しても見つからない状態だったが、現在は、探せば見つかる状態になった。需要を上回る大量の供給は値下げ圧力となり、今では50枚入り698円とか30枚入り498円などの箱入り商品が目玉商品として陳列されたりしている。

 市中の店頭にマスクの存在が少なかった時には、探しても見つかる確率は小さかったが、どこでも売っている時には、探せば見つかる確率は大きい。さらに、マスクが品薄の時にも、1人で探すよりも複数で探すほうがマスクが見つかる確率は高くなる。1人よりも10人、10人よりも100人、100人よりも1000人で探したほうがマスクが見つかる確率は大きい。

 ごく少なくしか市中に存在しないものなら、大勢で探しても見つかる確率は少ないが、そこここに存在するものなら、探す人数や回数を増やすほど、次々と見つかるだろう。マスクに例えるなら、現在は様々な店舗でマスクが売られており、薬局だけを探してもマスクは見つかるし、量販店や書店など様々な店舗を探すならマスクは次々と見つかるだろう。

 日本各地で感染者が急増し、過去最高数の感染者を確認する地方が相次いでいる。第3波が襲来したとの受け止めが一般的なようで、経済振興を狙った「Go to〜」が感染拡大につながったとの批判が高まった。一方でPCR検査などが大幅に増えたことにより、見つかる感染者が増えたとの見方がある。検査対象が広がったため、無症状の感染者も多く見つかって感染者が増えたのであり、感染者数だけを検査数が少ない以前と比べても正確な比較はできないとの指摘だ。

 厚労省サイトによると、PCR検査実施人数は日によって変動幅が大きいが、3月4日の3940人以来11月25日までの累計は305万1173人。最も多かったのは9月29日の10万3676人、次いで8月14日の5万5240人。7月末から2万人を超す日が珍しくなくなり、11月25日は4万1052人と検査実施人数は大幅に増えた。7月中旬までは1万人に届かない日がほとんどだったが、それ以降は1万人を超え、2万人を超える日は増えた。

 PCR検査数が大幅に増えたのは民間検査会社の検査数が増えたためだ。5月30日には民間検査会社の実施件数は540件だったが、11月中旬には1万5千件以上と大幅に増えている。第3波が襲来したから感染者が増え、重傷者も増えているのだろうが、PCR検査数が大幅に増えたことの影響を踏まえた分析が必要だ。

2020年11月25日水曜日

NHK解体論

 映画などの動画ネット配信で定額制ならユーザーは契約期間は見放題となり、好みの作品だけを見てもいいし、手当たり次第に次々と見てもいい。映画などの動画配信に関心がない人なら契約しなければよい。契約を強制されることはないし、動画配信を行っている企業から、見てもいない配信の料金を請求されることもない。

 一方、放送を見ていない人にも定額の受信料を請求するのがNHKだ。受信料の徴収率を更に上げようと、テレビ設置の届け出の義務化やテレビ未設置の届け出の義務化、未契約者の氏名照会の制度を求めたが、総務省は見送る方針だと報じられた。ただ総務省は、テレビを設置していない世帯を含め日本の全世帯に受信料を義務化することを検討しているともされるので、NHKの要望が却下されたわけではなさそうだ。

 1200億円の剰余金があるNHKは受信料の徴収率が8割を超え、現金が毎月入って来るので運転資金に窮しているわけではない。受信料の徴収に一生懸命になるのは、放送法でテレビ設置者に受信契約を義務付けているからだが、NHKには別の狙いがありそうだ。その狙いは、番組のネット配信が拡大するであろうことと関係していそうだし、公共放送であるとの位置付けを受信料を徴収することで人々に意識づけるためか。

 CMが入る民間放送に対し、人々から広く徴収する受信料で成り立つ公共放送は国家や政党、団体、企業などの影響を排し、中立公平であることが基本だ。だが、①NHKは政府寄りだとも見られ、本当に中立公平なのか、②政治に予算を握られているNHKに中立公平を求めても無駄、③民間放送と同様の娯楽番組が増えたNHKだが、公共放送にふさわしい番組とは何かーなどの疑問がある。

 NHKは肥大化でも批判される。ラジオや衛星放送のチャンネル数をそれぞれ1つ削減すると打ち出したが、それでも放送チャンネルはまだ多く、子会社や関連会社、関連法人も数多い。受信料という現金が安定的に入ってくるのだからコスト意識が希薄だろうことは想像でき、公共放送の名の下にNHKグループの体制固めと拡大を進めてきたと見える。

 公共放送に求められるのは何か、それを考えることがNHK改革の第1歩だ。NHKの番組に慣らされていると批判精神は鈍り現状の番組編成を受け入れるだけになるが、例えば、大河ドラマや紅白歌合戦が公共放送にふさわしいのか。コスト面で民間放送には制作できないとされるが、大河ドラマや紅白歌合戦がなくても公共放送は成立する。

 肥大化したNHKは、公共放送としてのNHKと、大河ドラマや紅白歌合戦なども含め娯楽番組を主体とするNHKに解体するのがいい。公共放送としてのNHKは地上波、ラジオ、衛星放送の3チャンネルで定時のニュースを主に24時間放送する。娯楽番組主体のNHKは民間企業化して独立させる。公共放送としてのNHKを支えるだけなら受信料は大幅に安くできるだろう。

2020年11月21日土曜日

名もない白い花

  道端に「名もない白い花が咲いていた」などの表現を見聞きすることは珍しくない。ありふれた表現で、昔からエッセイなどではよく見かけ、現在でも放送メディアの風景描写リポートなどで聞くことがある。花など植物に関する知識は乏しいが、きれいな花を見かけて心を動かされた人が小さな感動を伝える言葉として使われてきたようだ。

 この「名もない白い花が咲いていた」などの表現は正しくない表現だ。正しくないのは「名もない」という部分。日本を含め世界中で植物学者たちは、各地を歩き回って植物を採集し、細かく観測して分類・系統化した。その時には名前がつけられる。だから、「名もない」花があったとすれば、それは新種だということになる。もちろん世界には未発見の新種の花はあるだろうが、人々の日常空間にはまず存在しないだろう。

 「名もない白い花が咲いていた」式の表現は正しい表現でないが、受け入れられてきた。人々は日常の空間では言葉の厳密さに固執せず、むしろ「名もない白い花が咲いていた」などの表現で、その人が感じた小さな感動が伝わるのだから、重宝してきた。白い花が何かとの認識を共有するには「名もない」は不適切だが、花に心が動いたとの情緒を共有するには問題はない表現だった。

 表現は正しくあるべきだろうが、情緒を伝えることも表現の重要な役割だ。とはいえ「名もない白い花が咲いていた」式の表現が多すぎる社会は、情緒的な人が多い社会と見なされよう。情緒を伝えつつ、正しさも備えている表現が求められる社会が理想だろうが、言語表現は人々の意識と関わるので、簡単には変わらない。

 「白い花が咲いていた」だけでも情緒を伝えることはできるだろうに、なぜ「名もない」と付け加えるのか。花を個別の花として認識したなら、それぞれに名があることを意識するだろうが、白い花が花一般を表しているとすれば個別の名は必要ないと判断することはあり得る。つまり、見た人は花の美しさに心を動かされたが、個別の品種として認識したのではなく、花一般としか見ていない。

 「花の美しさというものはない。美しい花がある」とは誰かの名言だが、個別の花を認識せず、花の美しさを感じる人がいるから、「名もない〜」式の表現が存在した。そういう人には、白でも赤でも黄色でも花は花であり、大輪でも小粒でも花は花でしかなく、しかし、花を見て心が動き美を感じている。そういう人には「名もない」との言葉に実感があるのだろう。

 対象が花だから「名もない」式の表現は許容される。もし人間に対して「名もない人が歩いていた」などと表現すると、批判されるだろう。人は固有名詞で呼ばれるべきで、普通名詞で扱われるのは統計などに限られる。「名もない」との表現は対象に対する関心度合いを示す言葉であり、対象を観察して分類するという科学的態度が欠如していることも示す。

2020年11月18日水曜日

労働力がやって来る

  世界で現在、非合法の移民の主な目的地は欧州と米国だ。欧州へは地中海経由でアフリカから人々が押し寄せ、米国へは中米経由で中南米の人々が押し寄せている。米国は国境の管理を厳しくして受け入れを拒否する構えだが、欧州は拒否する構えではあるものの地中海に壁は構築できず、非合法の移民を止めることができていない。

 欧州は最初の受け入れ国に難民・移民管理の責任があるとするが、それはイタリアなど地中海に面する国々に負担を押し付ける。難民を政府が崩壊したままのリビアに送り返して放り出すこともできず、人権問題として援助する民間団体もあり、非合法移民は押しかける。そして難民認定を得た人々は欧州各国に散らばっていく。

 ドイツは2015年、中東などからの難民を約80万人受け入れ、その後も含め100万人以上に達したという。社会に人道主義的な高揚感もあって受け入れが容認されたというが、経済界からは労働人口の確保のために好都合だと歓迎する声もあったという。ドイツは高齢化と労働年齢人口の減少に直面していた。

 このためドイツで、経済界などは企業の人手不足解消には多くの移民が必要とし、アルトマイヤー経済相は「他の国が移民規制を強化するなか、ドイツは新たな移民法によって競争力が高まる。経済成長率押し上げ効果も見込まれる」としたそうだ。

 新たな移民法では、EU域外から高技能移民を受け入れ、ドイツ語が話せて専門的な資格がある人材は、ドイツに入国して6カ月間職探しをできるようにする。これは、EU諸国も少子化傾向で労働年齢人口が減少しているので、他のEU諸国からの移民だけでは人手不足をカバーできないと見ているからだろう。

 迫害を受けたり、戦争や紛争などのため出身国を離れた人々を難民と国連は定義し、出身国を離れて他国に定住した人々や他国に定住しようとする人々が移民とみなされる(国際的な定義はない)。労働力として期待する側にとっては、移民でも難民でも構わないだろう。専門的人材とは必ずしも高度技術者を意味するわけではなく、労働力不足は高度な専門職だけで起きているわけでもない。

 奴隷制は古代社会に広く存在し、近代でも南北アメリカや植民地などのプランテーションで存在したとされる。奴隷制やプランテーションが許容される時代ではなくなったが、企業(資本)にとって労働力を確保する重要性は変わっていない。難民であれ移民であれ、労働力が自ら移動してくる状況は歓迎だろう。企業(資本)はもう奴隷もプランテーションも持てない建前なのだから。

2020年11月14日土曜日

国際機関と国家

 地球史を振り返ると、陸地が集まって巨大大陸を形成しては分裂し、また、集まって巨大大陸をつくっては分裂することを繰り返した。現在はユーラシア大陸に向かって陸地が集まる過程にあるとされる。億年単位の動きなので、次の巨大大陸が形成された時に人類が生存しているかどうかは不明だ。

 陸地が移動するのはプレートが動いているからだ。プレートの動きによって世界各地で地震が発生するので、人類は地表が常に動いていることを実感する。とはいえ、地震が発生するのはプレートとプレートが衝突している個所が多く、日本などは地震が多発する位置にあるが、世界にはプレートの圧力の影響がごく小さい陸地も多く、安定した地盤などといわれる。

 人類の歴史は地球史から見るとごく短いものでしかないが、集まることと分裂を交互に繰り返すのは、地表だけではなく、人間の世界も同様かもしれない(ここで言う人間の行動の主体は、個人ではなく国家単位)。

 近代以降では、民主主義や人権尊重などへの志向を原動力として世界で国家の再構築が行われ、次には、国家の行動をも制約できる国際機関が形成された。国際連盟や国際連合のほか、多くの分野で国際条約に基づく国際機関がつくられ、個別の国家の行動を制約したり、何らかの義務を課したりする。

 それらを人類が一つに集まる動きとみなすならば、現在は個別国家の利益を優先させる動きが珍しくなくなり、国連をはじめとした国際機関が相対的に弱くなっている。国際機関が個別国家を制約する力が弱くなったとも、もともと国際機関は名前だけの存在で個別国家を制約できる力など乏しかったとも解釈できる。

 おそらく、個別国家は常に利益を優先させてきた。国際機関と協調したほうが利益が大きいとみなせば協調し、そうでなければ自国の利益を優先させる。国際機関と協調する姿勢を見せることのメリットが希薄になれば、個別国家は自国の利益を優先させる。

 地球史では陸地が集まると巨大な大陸を形成した。人類の国際機関では加盟した国家は個別の国家のままでいる。国家が集まる原動力は地球規模での人類意識などだろうが、そうした人類意識は国家意識を押しつぶすほどの圧力にはなっていない。人類意識もまた幻想の一つでしかなく、現実においては無力なのだろう。

2020年11月11日水曜日

表現の自由という武器

  フランスの公立中学校の授業で生徒に、表現の自由を教える資料としてイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を見せた教師がイスラム過激派の男に殺害された。この教師の葬儀は国葬として行われ、マクロン大統領は「あなたが生徒たちに教えた自由をこれからも守り、政教分離を貫く。風刺画を見せる自由も諦めない」と述べた。

 マクロン大統領が「表現の自由を守る」と大見得をきったが、イスラム諸国は強く反発し、抗議デモやフランス製品のボイコット運動が始まった国もある。さらに仏週刊紙「シャルリ・エブド」がトルコのエルドアン大統領の風刺画を掲載したためトルコ政府は「法的・外交的な措置」を取ると発表した。権力者に対する風刺画なら、表現の自由を守るとのフランスの主張は妥当だが、預言者ムハンマドに対する風刺画は、表現の自由として擁護される範疇なのか微妙だ。

 フランスなど西欧において政教分離が進み、キリスト教の社会支配力は衰えたが、イスラム教では政教一致が容認される。また、イスラム教では偶像崇拝が禁止され、神や預言者の描写はできない。キリスト教の社会で人々が獲得した権力者や聖職者なども含めて批判する表現の自由という権利が、イスラム教の社会にも適用される普遍的な権利だとフランスは主張するが、その普遍性は限定されるのが現実世界だ。

 殺害された教師はなぜイスラム教の預言者の風刺画を使ったのか。表現の自由を教える教材はフランスにも西欧にも数多くあっただろうから、わざわざムハンマドの風刺画を使ったのは「シャルリ・エブド」が襲われた事件と関連させたのだろう。ある風刺画を容認できないとする人々の感情に、共感はせずとも、そういう考えもあると理解できていれば、別の教材を使っただろうから、あの教師はイスラムを信じる人々の感情よりもフランスが主張する価値観を上位に置いた。

 マクロン大統領は、フランスの主張する表現の自由という価値がイスラム社会にも適用されると主張した。それは思い上がりだとイスラム社会から反発が出たのは、西欧主導の国際秩序の揺らぎを反映している。米ソが世界を分割支配していた冷戦体制が崩壊し、欧米が主張する普遍的な価値観が現在では色あせ、中国など国家資本主義体制の強権国家が台頭、欧米の影響力は後退した。フランスなどで確立した表現の自由などを非西欧国家に押し付けることは簡単ではなくなっている。

 表現の自由は人々が宗教者など絶大な権威を有する者や権力者らを揶揄し、批判する武器だ。表現の自由は現代世界において人々が当然保有する権利であり、どんな表現も許される(傷つけられた人には法廷で争う権利がある)。下劣でも下品でも、どんな表現も自由であり、くだらない表現も自由であるのが、自由な表現が保たれている社会だ。仏週刊誌が表現の自由を行使することを擁護するのはフランンス社会においては当然だろうが、フランスなど西欧の価値観がそのまま通用する世界ではなくなっている。

 聖なるとする価値は社会によって異なる。西欧が世界を植民地支配した過去には様々な「普遍的」価値観を諸国に押し付けることもできたが、時代は変わった。西欧に旧植民地から人々が移住する動きが続き、西欧とは異なる価値観で育った人々が西欧社会で増える状況で、例えばフランスはテロ防止を口実に国内のイスラム教施設などを監視強化する法案を準備している。強硬姿勢で国内で支持を得つつ、表現の自由を掲げて国際世論の共感を得る戦略だが、異なる価値観への配慮が皆無という実態を曝け出した。

2020年11月7日土曜日

赤いシャツと白い靴

 「他人の目を気にするのは、自己規制だったんだ」と友人は言う。学生の頃は原色を好み、派手な色の組み合わせの服装が多かった友人は、会社勤めを始め、家庭を持った後、すっかり地味な色合いの服装で休日も過ごすようになった。

 そのころの服装選びは奥さんに任せっきりだったそうで、「仕事に追われて、休みの日に何を着るかなんて、どうでもよかった」と友人。それから20数年、子供たちが独立し、子会社に転籍した友人は時間的な余裕が出てきて、休日を活用することに意識が向いてきた。

 同時に奥さんは趣味のサークル仲間とのつき合いが忙しく、友人の世話を放棄し始めたそうだ。休日に着る服を新調したいと友人が言うと奥さんは「自分で選んで」と資金を渡してくれたそうだ。

 友人は近くの量販店に出かけた。自分で選ぶのは久しぶりで、つい地味な色合いの服を手にとったが、「待てよ」と迷った。若い頃の感覚が蘇り、原色それも明るい原色の服が魅力的に見えてきた。が、迷った。「いい歳の俺が、こんな色を着ていると、見た人から、どう思われるのか」と。

 以前にも、休日に履くスニーカーを自分で選ぶ時に友人は、地味な色ではなく、真っ白のスニーカーに惹かれたが、目立ちすぎるのではないかと躊躇し、黒を選んだ。だが、白いスニーカーを履いている人を見かけるたびに、白を選んでもよかったのではないかとグズグズした思いがよぎったと友人。

 迷った時には何が最善か最適かをよく考えて判断しろと言われるが、友人は「迷った時には、やりたいことをやれ」と思うようになっていた。何が最善か最適か、簡単には見極めることができないから迷うのだと長年の経験から友人は考え、何が最善か最適か考えても明確な解は出にくいと思うようになっていた。

 真っ赤なシャツを友人は選び、そのシャツを着て次の休日に外出した。目立ちすぎていると友人は緊張しながらも、俺が着たいのはこの色なんだと内心で繰り返していたそうだ。友人を見かけたサークル仲間が「若々しい」と言っていたと奥さんから聞かされた友人は、着たい服を着た休日に満足している。

2020年11月4日水曜日

赤字決算のオンパレード

 新型コロナウイルスの感染拡大は市場経済をマヒさせた。外出自粛や移動制限などが鉄道会社や航空会社を直撃し、惨憺たる決算発表が相次いでいる。人々による移動の需要が制限されて大幅に減少したのだから、各社の売り上げは大幅に落ち込み、利益が出るはずもなく、赤字決算のオンパレードとなった。

 JR東日本の2020年4〜9月期の中間決算は最終損益が2643億円の赤字。新型コロナウイルスの影響で鉄道の利用客が大幅に減り、駅ビルなどでの売り上げも減ったため、売り上げは前年同期比48%減と半減した。21年3月期の最終損益は4180億円の赤字になる見通し(前期は1984億円の黒字だった)。中間期、通期とも最終赤字になるのは初めて。

 JR東海の21年3月期の連結最終損益は1920億円の赤字になる見通し(前期は3978億円の黒字)で、最終赤字は民営化後初めて。売上高は8630億円の53%減と売り上げが半減するのだから利益が出るはずもない。新幹線で稼ぐ同社だが、ビジネス客や観光客などの利用が“蒸発”した。需要は戻ってきているものの、来年3月にかけて4割減に回復すると見込んでいるペースだ。

 利用客が蒸発したのは航空会社も同じ。ANAの2021年3月期の連結最終損益は5100億円の赤字になる見通し(前期は276億円の黒字)で赤字額は過去最大。売上高は63%減の7400億円と見込むが、こんな売上高では固定コストも賄えず、資金が流出し続けるだけだ。20年4~9月期は売上高2918億円で72%減、営業損益は2809億円の赤字、純損益は1884億円の赤字だった。

 JALも大幅な赤字だ。2021年3月期の連結最終損益は2400億〜2700億円で過去最大の赤字(前期は534億円の黒字)になる見通し。売上高は5300億~6000億円で60%前後の減少とする。国際線、国内線ともに一時は旅客機がほとんど飛ばなかったのだから航空会社がやっていけるはずがない。20年4〜9月期の中間決算は、売上高1947億円で74%減、純損益は1612億円の赤字。なお4~9月の旅客数は国際線で97%減とほぼ全滅。国内線は回復傾向にあるが、それでも76%減。

 国内外で感染拡大の終息の見通しがつかず航空需要の先行きは不透明だ。ANAは人件費などのコスト削減を急ぐ。冬のボーナスをゼロにするなど給与減額を図るとともに、多数の社員をグループ外の企業に出向させたり、希望退職を募集したり、保有する機体数を大型機などで35機減らしたりと事業構造改革を進め、21年度に2500億円のコスト削減を目指すという縮小均衡策に頼る。

 どんな大企業でも需要がなくなれば途端に経営危機に陥る。新型コロナウイルスは世界規模で様々な需要を“蒸発”させたのだから、世界で実体経済は大ダメージを受けた。各国の航空会社は政府の支援に頼って生き延びようとしているが、感染再発が続くなら前途は閉ざされている。緩やかに回復する国内需要にすがって生き延びる道を見いだすことができるか、日本の鉄道会社や航空会社の正念場だ。

2020年11月2日月曜日

ドキュメント「パンデミック10月」

  北半球では冬を前に新型コロナウイルスの感染増加が顕著になった。米国やインド、ブラジルなど南米諸国で感染増加は続いていたが、欧州諸国でも再び感染拡大の勢いが増し、各国はロックダウンなどに踏み切らざるを得なくなった。世界における感染者数は10月1日に3396万人、死者数は101万4千人だったが、同31日には4530万人、118万4千人と10月だけで感染者数は1134万人も増えた。感染者数は米国で900万人、インドで800万人、ブラジルで500万人を超え、ロシア、フランス、スペイン、アルゼンチン 、コロンビア、英国で100万人を超えた。

 <10月> 1日=世界の感染者が3396万人超す(米国で723万人、インドで631万人、ブラジルで481万人、ロシアで117万人、コロンビアで82万人超す)。死者が世界で101万4千人超す(米国で20万6千人、ブラジルで14万3千人、インドで9万8千人、メキシコで7万7千人超す)。タイは非常事態宣言を延長。米ニューヨーク市は飲食店の店内飲食や公立学校の対面授業を再開。スペインは首都マドリードを含む人口10万人以上の市で新たな移動制限。日本が中長期の在留資格を持つ外国人の入国制限措置を緩和。日本の国内の感染者が8万4千人超す。

 2日=世界の感染者が3425万人超す(米国で725万人、メキシコで74万人、英国で45万人超す)。死者が世界で101万8千人超す(米国で20万7千人超す)。米トランプ米大統領が感染(ホワイトハウス関係者に感染広がる)。

 3日=世界の感染者が3458万人超す(米国で733万人、ブラジルで488万人、ロシアで119万人、英国で46万人超す)。死者が世界で102万7千人超す(米国で20万8千人、ブラジルで14万4千人、インドで10万人、メキシコで7万8千人超す)。日本の国内の感染者が8万5千人超す。

 4日=世界の感染者が3483万人超す(米国で735万人、インドで647万人、ブラジルで484万人、ロシアで118万人、コロンビアで84万人、メキシコで75万人超す)。死者が世界で103万人超す(ブラジルで14万5千人超す)。サウジアラビアは聖地メッカへの巡礼を国内に住む人に限って再開。日本の国内の死者が1600人超す。

 5日=世界の感染者が3515万人超す(米国で741万人、インドで662万人、ブラジルで491万人、ロシアで120万人、コロンビアで85万人、英国で48万人超す)。死者が世界で103万7千人超す(米国で20万9千人、ブラジルで14万6千人、インドで10万2千人、メキシコで7万9千人超す)。日本の国内の感染者が8万6千人超す。

 6日=世界の感染者が3541万人超す(米国で745万人、ブラジルで492万人、ロシアで121万人、コロンビアで86万人、メキシコで76万人、英国で50万人超す)。死者が世界で104万3千人超す(米国で21万人、メキシコで8万1千人超す)。仏パリなどは警戒レベルを「最高」に引き上げ。米NY市は一部地域を対象に学校を再閉鎖。

 7日=世界の感染者が3580万人超す(米国で750万人、インドで675万人、ブラジルで496万人、ロシアで123万人、メキシコで78万人、英国で51万人、イタリアで33万人超す)。死者が世界で104万9千人超す(ブラジルで14万7千人、インドで10万4千人、メキシコで8万2千人超す)。米ニューヨーク市は一部地区で学校閉鎖。日本の国内の感染者が8万7千人超す。

 8日=世界の感染者が3615万人超す(米国で754万人、インドで683万人、ブラジルで500万人、ロシアで124万人、コロンビアで87万人、メキシコで79万人、英国で53万人、ドイツで31万人超す)。死者が世界で105万5千人超す(米国で21万1千人、ブラジルで14万8千人、インドで10万5千人超す)。欧州の新規感染者数が初めて10万人/日を突破。イタリアは非常事態宣言を延長し、屋外でのマスク着用を義務付け。ベルギーは首都ブリュッセルでカフェやバーを1カ月閉店。日韓はビジネス目的の往来再開。

 9日=世界の感染者が3651万人超す(米国で760万人、インドで690万人、ブラジルで502万人、ロシアで125万人、コロンビアで88万人、英国で54万人超す)。死者が世界で106万1千人超す(米国で21万2千人、インドで10万6千人、メキシコで8万3千人超す)。スペインは首都を含むマドリード自治州に15日間の非常事態を宣言。日本の国内の感染者が8万8千人超す。

 10日=世界の感染者が3668万人超す(米国で763万人、ロシアで126万人、メキシコで80万人、英国で56万人超す)。死者が世界で106万4千人超す(米国で21万2千人、インドで10万6千人、メキシコで8万4千人超す)。独ベルリン市は飲食店を含め商店の深夜営業を禁止。日本の国内の感染者が8万9千人超す。

 11日=世界の感染者が3700万人超す(米国で768万人、インドで697万人、ブラジルで505万人、ロシアで127万人、コロンビアで89万人、英国で57万人超す)。死者が世界で106万9千人超す(米国で21万4千人、ブラジルで14万9千人、インドで10万7千人超す)。

 12日=世界の感染者が3747万人超す(米国で776万人、インドで712万人、ブラジルで509万人、ロシアで129万人、コロンビアで91万人、メキシコで81万人、英国で59万人超す)。死者が世界で107万6千人超す(ブラジルで15万人、インドで10万9千人超す)。英国は3段階の規制ルールを導入。

 13日=世界の感染者が3772万人超す(米国で777万人、ロシアで130万人、英国で60万人超す)。死者が世界で107万8千人超す。日本の国内の感染者が9万人超す。

 14日=世界の感染者が3807万人超す(米国で782万人、インドで717万人、ブラジルで510万人、ロシアで131万人、メキシコで82万人、英国で61万人超す)。死者が世界で108万4千人超す(米国で21万5千人、英国で4万3千人超す)。イタリアはパーティー禁止や飲食店の営業制限など対策強化。オランダは飲食店を閉店させ娯楽イベントなどを禁止。ドイツはマスク着用義務を拡大しパーティーも制限 。英国は地域ごとに3段階の規制を適用。マレーシアは首都クアラルンプールなどで移動制限や学校休校などの措置。

 15日=世界の感染者が3852万人超す(米国で787万人、インドで723万人、ブラジルで511万人、ロシアで133万人、コロンビアで92万人、フランスで80万人、英国で63万人、イタリアで38万人超す)。死者が世界で109万1千人超す(米国で21万6千人、インドで11万人超す)。日本の国内の感染者が9万1千人超す。

 16日=世界の感染者が3872万人超す(米国で794万人、インドで730万人、ブラジルで514万人、ロシアで134万人、アルゼンチンで93万人、英国で65万人超す)。死者が世界で109万4千人超す(米国で21万7千人、ブラジルで15万1千人、インドで11万1千人超す)。豪はNZを対象に隔離を義務付けない入国を認める。ドイツは地域の感染状況に応じてマスク着用義務化など対策強化。日本の国内の感染者が9万2千人超す。

 17日=世界の感染者が3920万人超す(米国で800万人、インドで737万人、ブラジルで516万人、ロシアで136万人、アルゼンチンで94万人、メキシコで83万人、英国で67万人超す)。死者が世界で110万2千人超す(米国で21万8千人、ブラジルで15万2千人、インドで11万2千人、メキシコで8万5千人超す)。フランスはパリなどで夜間外出を原則禁止。米NY州は感染拡大の兆候がある場所をブロック単位で管理。

 18日=世界の感染者が3961万人超す(米国で807万人、インドで743万人、ブラジルで520万人、ロシアで137万人、アルゼンチンで96万人、メキシコで84万人、英国で68万人超す)。死者が世界で110万8千人超す(ブラジルで15万3千人超す)。イスラエルは全土のロックダウンを緩和。日本の国内の感染者が9万3千人超す。

 19日=世界の感染者が4003万人超す(米国で815万人、インドで755万人、ブラジルで522万人、ロシアで139万人、アルゼンチンで100万人、英国で70万人超す)。死者が世界で111万2千人超す(米国で21万9千人、インドで11万4千人、メキシコで8万6千人超す)。ベルギーは飲食店を営業停止にし、深夜外出禁止や午後8時以降の酒類販売禁止。

 20日=世界の感染者が4024万人超す(米国で817万人、ブラジルで523万人、ロシアで1340万人、英国で72万人超す)。死者が世界で111万5千人超す(米国で21万9千人超す)。チェコは厳格なマスク着用令を再導入。タイは外国人観光客の受け入れを一部再開。日本の国内の感染者が9万4千人超す。

 21日=世界の感染者が4072万人超す(米国で823万人、インドで759万人、ブラジルで525万人、ロシアで142万人、アルゼンチンで100万人、スペインで100万人、メキシコで85万人、英国で74万人超す)。死者が世界で112万2千人超す(米国で22万千人、ブラジルで15万4千人、インドで11万5千人、英国で4万4千人超す)。アイルランドは全国を対象に自宅待機命令。

 22日=世界の感染者が4109万人超す(米国で829万人、インドで776万人、ブラジルで532万人、ロシアで143万人、アルゼンチンで101万人、メキシコで86万人、英国で76万人超す)。死者が世界で112万7千人超す(米国で22万1千人超す)。チェコとアイルランドは2度目のロックダウン。イタリアは北部で深夜外出禁止。フランスは夜間外出禁止令の対象地域を拡大。米国の新規感染者が約7万2000人。日本の国内の感染者が9万5千人超す。

 23日=世界の感染者が4169万人超す(米国で840万人、インドで770万人、ブラジルで529万人、ロシアで145万人、フランスで104万人、アルゼンチンで105万人、英国で78万人超す)。死者が世界で113万7千人超す(米国で22万3千人、ブラジルで15万5千人、インドで11万7千人、メキシコで8万7千人超す)。英ウェールズは市民の外出制限など厳しい対策。イタリアは飲食業や映画館などの営業を午後6時までに制限。米国の新規感染者が約8万3700人。日本の国内の感染者が9万6千人、死者が1700人超す。

 24日=世界の感染者が4198万人超す(米国で844万人、インドで776万人、ブラジルで532万人、ロシアで147万人、フランスで108万人、メキシコで87万人、英国で81万人、ドイツで41万人超す)。死者が世界で114万千人超す(ドイツで1万人超す)。ポーランドは全ての飲食店や一部学校の閉鎖、外出制限など部分的なロックダウン導入。スロバキアが部分的なロックダウン。

 25日=世界の感染者が4241万人超す(米国で852万人、インドで781万人、ブラジルで535万人、ロシアで148万人、メキシコで88万人、英国で83万人超す)。死者が世界で114万7千人超す(米国で22万4千人、ブラジルで15万6千人、メキシコで8万8千人超す)。スペインは再び非常事態を宣言。日本の国内の感染者が9万7千人超す(東京で3万人超す)。

 26日=世界の感染者が4300万人超す(米国で863万人、インドで790万人、ブラジルで539万人、ロシアで150万人、フランスで113万人、英国で85万人、スウェーデンで11万人超す)。死者が世界で115万3千人超す(米国で22万5千人、ブラジルで15万7千人、インドで11万9千人超す)。ベルギーのブリュッセルは夜間外出禁止拡大など規制強化。イタリアは夜6時以降の飲食店営業の禁止。

 27日=世界の感染者が4349万人超す(米国で870万人、インドで794万人、ブラジルで540万人、ロシアで152万人、フランスで120万人、メキシコで89万人、英国で87万人超す)。死者が世界で115万9千人超す(メキシコで8万9千人、英国で4万5千人超す)。チェコでは1週間の夜間外出禁止令。インドは外国人の入国制限を緩和。豪メルボルンとその周辺で規制が緩和。日本の国内の感染者が9万8千人超す。

 28日=世界の感染者が4371万人超す(米国で873万人、ロシアで153万人、英国で89万人、ドイツで46万人超す)。死者が世界で116万2千人超す(米国で22万6千人超す)。ロシアは公共交通機関などでのマスク着用を義務付け。日本の国内の感染者が9万9千人超す。

 29日=世界の感染者が4422万人超す(米国で881万人、インドで799万人、ブラジルで543万人、ロシアで155万人、フランスで124万人、英国で91万人、メキシコで90万人超す)。死者が世界で117万千人超す(米国で22万7千人、インドで12万人超す)。スペインは緊急事態を来年5月まで延長。

 30日=世界の感染者が4492万人超す(米国で889万人、インドで804万人、ブラジルで546万人、ロシアで157万人、フランスで128万人、英国で94万人超す)。死者が世界で117万8千人超す(米国で22万8千人、ブラジルで15万8千人、メキシコで9万人超す)。フランスは全土で1カ月のロックダウン。米国の新規感染者が9万8千人以上。日本は9カ国・地域の渡航中止勧告を解除。日本の国内の感染者が10万人超す。

 31日=世界の感染者が4530万人超す(米国で898万人、インドで808万人、ブラジルで549万人、ロシアで158万人、フランスで132万人、英国で96万人、メキシコで91万人超す)。死者が世界で118万4千人超す(米国で22万9千人、インドで12万1千人、英国で4万6千人超す)。米ニューヨーク州は州外からの訪問者に2回の検査を義務付け。日本の国内の感染者が10万1千人超す。

2020年10月31日土曜日

事実と解釈と分析

 メディア・リテラシーとは、新聞やテレビ、インターネットなどのマスメディアに乗る情報を理解し、事実関係の真偽、見解の妥当性などをチェックしつつ必要な情報を引き出す能力。マスメディアが流す情報を受け入れるだけでは、多くの知識を持っていたとしてもメディア・リテラシーが高いとはいえない。

 マスメディアが大量の情報を流す現在、受け身でいるのはメディア・リテラシーが欠如している状態だ。大量の情報の中から自分が求める情報を選び出し、チェックするには、必要な情報を自ら探すという能動的態度を意識することが前提となる。

 能動的態度とは、自分の視点で検証・批判することであり、自分で価値判断することだ。「面倒くさい」「いちいち、そんなことを、やってられるか」との反論もあろうが、それは大量の情報に対して受け身でいることを自己正当化しているだけだ。もちろん、情報に流されていることを許容するのは個人の自由だが。

 メディア・リテラシーを高めるには、マスメディアに流れる情報をまず分類すること。情報は大別して、①事実を伝える、②事実を解釈する、③事実を分析する、に分けられる。①に対しては事実関係の真偽を主に検証し、②③に対しては事実関係の真偽とともに見解の妥当性を検証する。

 新聞やテレビなどのニュースは事実を伝えているだけとされるが、表現や取り上げ方によって受け手を誘導することが可能だ。出来事のある面を強調したり、逆にある面を伝えなかったりすることで、受け手の印象を操作することは簡単だ。事実の切り取り方次第で見せ方を変えることができる。

 解釈と分析は異なるものだ。事実の解釈は主観に偏って行うこともできるが、事実の分析には客観性が要求される。解釈と分析の混同はインターネットの言説に多く見られる。解釈には飛躍が含まれているものが珍しくなく、「妙なことを考える人がいる」と受け流せばいいが、分析と解釈を見分けることができなければ受け手は誘導される。

 だが、メディア・リテラシーが高ければ、偏らない事実認識を必ず得ることができる……とは限らない。自己の主張を正当化する情報や言説だけを選んで受容する人は珍しくなく、政治や外交が絡む世界では、そうした自己正当化の情報や言説が溢れている。メディア・リテラシーが高いことと、正確な世界観を得ることとは別問題だ。

2020年10月28日水曜日

感染者と反逆者

 中国は支配する新疆ウイグル自治区やチベット自治区で、出生率を抑制するため人々に不妊手術などを強いたり、移住で増えた漢民族との結婚を奨励して「中華民族」化を推進する施策を続けているとの指摘がある(独裁する中国共産党は全面否定)。この指摘が事実なら、大規模な民族浄化(エスニック・クレンジング)を国家が行っていることになる。

 急速な中国の経済成長の恩恵を享受している欧米は人権問題などにおける対中批判を控えていたが、中国が欧米による国際規範を揺り動かし始めたためか対中批判を始めた。100万人以上のウイグル人が政治的再教育収容所に拘束されているという新疆ウイグル自治区での調査を受け入れるように国連人権理事会で中国に要求したりするが、その国連人権理事会では中国が理事国に引き続き選ばれた。経済関係を優先しながらの欧米の対中批判の威力は限られていそうだ。

 北朝鮮では絶対的な独裁体制を敷く金正恩党委員長が恐怖政治を行っていると伝えられる。強制収容所には50万人以上の政治犯が収容されていて、餓死者が続出する環境だという。公開処刑は珍しくなく、幹部も対象となり、2013年にはナンバー2だった張成沢も反逆罪で処刑された。デノミ失敗で混乱した2010年には、反対する住民や警官と敵対した人々を公開で銃殺刑にし、労働党の経済政策責任者も処刑された。

 脱北者の証言をまとめた韓国NGOによると、北朝鮮では政治犯や反逆罪に問われた人々のほか、韓国のドラマを見た▽脱北しようとした▽家畜などを盗んだ▽聖書を所持した▽売春▽公金横領▽麻薬の所持や取引▽食糧の窃盗▽殺人、強盗、密輸などを罪状として死刑になる人々がいて公開処刑もされる。公開処刑には人々が暮らす日常空間も使われ、学校や広場、運動場などで行われ、千人以上が集まることもあるという(強制かどうかは不明)。

 中国でも北朝鮮では、独裁する権力に大半の人々は従順に従う。積極的に同調する人や政治的意識がなくて従う人もいれば、我慢して従う人もいるだろうが、批判は許されない。私的な空間での権力批判も密告されれば厳しく処罰され、軽犯罪を犯した人でも社会秩序を乱したとされれば処罰される。法より独裁権力が優先する体制なら、「犯罪者」を刑務所に収容するより処刑などで社会から排除することを選ぶかもしれない。

 仮定の話だが、一党独裁や個人独裁で、人々の異論を一切許さず、過酷な抑圧を続けている国で、独裁権力が疫病の流行を「我が国は感染を押さえ込んだ。大規模な感染再発は起こっていない」とか「我が国には感染者は存在しない」などと宣言したとすると、その宣言に人々は反することはできない。しかし、独裁権力が命令したとて疫病の流行を制御することは難しいだろう。

 そういう宣言の後に疫病に感染した人は、独裁権力の宣言に反したとみなすこともできる。最悪ならば、感染した人は独裁権力の意向に逆らった反逆者とされ、拘束されて強制収容所に送られたり処刑される。感染者ではなく反逆者であるとされて社会から排除され、感染者にはカウントされない。かくて独裁国家では感染拡大の抑制が政治的に可能になり、「我が国では感染拡大は起こっていない」との状態が保たれる。

2020年10月24日土曜日

体制側にも同志がいる

 中国の長編小説「水滸伝」の主役は首脳クラスの天罡星36人と、部門長クラスの地煞星72人の計108人の豪傑だ。彼らは、体制からはみ出したり弾き出されたりした人や、体制など見向きもせず自由に生きる人々だ。1人また1人と出会いを重ね、やがて強力な集団となり、時に中央政府と対峙し、戦闘を繰り返すようになる。

 体制の外で生きるということは、略奪など体制側からは犯罪とみなされる行為も辞さないことがある。だから、彼らの集団は盗賊団だとする見方がある一方、自由に生きようとする人々の体制に対する抵抗を描いた物語だの見方がある。さらに、体制からこぼれ落ちた人々による革命運動の一つを描いた物語だとの解釈もある。

 水滸伝の世界を「緑林の徒ー盗賊・ゴロツキ・侠客の革命であり、流民の革命だった」としたのは竹中労さん(『窮民革命の序説 水滸伝』。以下同)。時代は「塩田の窮囚のみならず、あらゆる階層にむしろ賊徒の自由を潔しとする思い、法と秩序から剥落を遂げて遊侠無頼の別天地に憧れる、流民への願望がびまんしていた。インテリ階級にも、官界や軍隊にさえもである」とする。

 36人プラス72人の出身経歴は様々で「あらゆる職種と、階層からのドロップ・アウターが網羅されている」のだが、官界や軍隊という体制側にいた人々も多い。例えば、宋江は小役人、魯智深は下級将校、戴宗は刑務所の典獄で李逵はその部下、関勝は地方役人、林冲は禁軍の棒術の教頭、楊志は禁軍の武官であり、花栄や秦明、呼延灼、黄信ら軍隊に属していた者は珍しくない。

 体制側に属していて敵対した人物でも「後に梁山泊に会盟して将星となる」のであり、「彼らもまた国家権力の窮囚であることを自覚して、その埒外に遁走した、魔界への転生を遂げたのである」。水滸伝は、体制側にも同志がいることを示し、闘いの中で連帯の戦線を拡充していく物語である。

 現代の硬直した考えの反体制派(リベラル)なら、体制側に与した経歴がある人との連帯などは拒否するかもしれない。それは自己の考えや主張にとらわれすぎて思考が硬直するとともに、人を見る目が曇っている結果であろう。体制からこぼれ落ちる人間はいつの時代でも数多く、その中にも真の同志がいる可能性はある。

 敵(体制側)の中にも同志を求めるのが水滸伝の世界だ。現実の中国や北朝鮮などでは、打倒された体制側にいた人間は排除され、汚れた血統などともされるとか。そんな硬直した見方が支配すると社会が歪むのだと、現実の中国や北朝鮮は示している。

2020年10月21日水曜日

自由と世論調査

 日本と韓国で民間団体が行った共同世論調査で、人々が互いに厳しく相手国を見ていることがまた示された。現在の日韓関係について、「非常に悪い」「どちらかといえば悪い」は日本54.7%で昨年比8.8ポイント減だったが、韓国88.4%で22.3ポイント増加した。現在の韓国政府に日韓関係の緊張を緩和しようとの姿勢が見られないので、関係が悪いと両国の人々が見るのは当然か。

 だから、相手国の印象が「良くない」「どちらかといえば良くない」は日本46.3%で3.6ポイント減だが、韓国71.6%で21.7ポイント増と、韓国で日本を一層厳しく見るようになっている。「良くない」理由は韓国では「韓国を侵略した歴史について正しく反省していない」61.3%、「独島をめぐる領土対立」45%、「日本の政治指導者の言動に好感を持っていない」24%。

 植民地支配は悪であり、韓国は侵略された被害者であるというのが韓国側の「公式」な歴史認識のようだ。そうした歴史認識に基づく教育を受け、そうした歴史認識による韓国内の報道にさらされている人々は、植民地支配を行った日本に対して基本的に否定的な感情を持つだろう。韓国で世論調査を行うと、日本に対する印象が「良くない」が多数になるのは当然か。

 日本側での「良くない」理由は、「歴史問題などで日本を批判し続ける」55.7%、「竹島をめぐる領土対立」29.4%、「慰安婦合意をめぐる対立」23.3%。韓国側の「公式」な歴史認識が人々の日本に対する否定的感情を刺激することで成り立つ構造だとすると、韓国の人々は日本に対して批判的であり続ける。だから「日本を批判し続ける」ことに対する日本側の反発も続く。

 互いに相手国に批判的なのだから、日本と韓国で世論調査を行うと互いに厳しく相手国を見ている結果になる。だから、厳しく見ているとの結果にニュース価値は乏しく、その回答パーセントの上下の動きを時々の外交状況と絡ませて報じるしかない。でも、「良くない」が増えた減ったと大きなニュースに仕立て上げることができるのだからマスコミにとっては便利な世論調査だ。

 世論調査で答える人々が、個人の考えよりも、社会で規範とされる認識に合わせて「正しく」答えるのなら、世論調査の結果には国家の意向が強く反映する。例えば、米中で共同世論調査を行ったとしても、自由な個人の意見の表明が制約され、反逆罪も控えている中国では、答える人々の多くは社会的に「正しい」とされる回答を選ぶだろう。つまり、結果は米国批判のオンパレードになる。

 個人の意見表明が自由であるから世論調査は成り立つ。植民地支配は悪=日本は悪との「公式」な歴史認識が韓国で定着しているならば、「公式」な歴史認識を批判する意見表明も自由で許容されていることが、この種の世論調査を実施する前提となる。世論調査が結果として韓国の「公式」な歴史認識の主張を伝えるだけなら、韓国政府の対日外交を助けているだけだ。

2020年10月17日土曜日

自由を求める自由

  強大な中央政府が人々を強権で抑圧し、思想や行動を統制、日常生活で中央政府が制定した規範からの逸脱を許さず、言論や表現、行動などの自由を人々から奪う国は現在も世界各地に存在するし、過去にも日本を含む多くの国が強権で人々を統制していた。そうした国で大半の人々は従順に従うが、少数の人々は自由を求めて行動する。

 自由を求めての行動が徹底的に弾圧されると、人々の自由は奪われたと見える。しかし、言論の自由や表現の自由、行動の自由などは弾圧されたとしても、自由な言論、自由な表現、自由な行動は人々の側に残っているのだ。もちろん、そうした国における自由な言論、自由な表現、自由な行動の行使は官憲に妨害され、逮捕されたり投獄されたりするだろう。逮捕や投獄などを恐れなければ、自由な言論、自由な表現、自由な行動は可能である。

 自由な言論、自由な表現、自由な行動の行使は、言論の自由や表現の自由、行動の自由を求める行為だ。強大な国家権力といえども人々から、自由な言論、自由な表現、自由な行動を奪うことはできない。人々が自由な言論、自由な表現、自由な行動を行使したときには、徹底的に弾圧することしか国家権力にはできない。

 竹中労さんは著書『竹中労の右翼との対話』中の白井為雄氏との対論で、「いちばん大切な自由は、『自由になろうとする』自由だ」と述べ、「格子があるから破ろうとする、檻があるから外へ出ようとする、つまりそのときの精神がいちばん自由なんで、どんな時代であろうと、どんな立場であろうと、どのような環境の中でも、いえば首が飛んでも、『自由になろうとする』自由はある」(引用は同著。以下同)。

 戦前や戦中は「きびしい時代だった、不自由だったといいますけれども、『自由になろうとする』自由を、戦前のほうがずっと日本人は持っていたんじゃないでしょうか」と、厳しい時代だからこそ、自由を獲得しようと人々は真剣に考え、自由になろうという自由を行使する人々がいたと指摘する。無事には済まないだろうと予想しながら、それでも自由を求める自由を行使した人々。そうした人々の精神は、国家権力に束縛されず、自由であった。

 人々が立ち上がって専制権力を打倒し、政治体制を変えて獲得した様々な権利と自由と、他国に占領されて政治体制を変えられ、人々に「与えられた」権利と自由。前者は「自由になろうとする」自由を人々が行使して獲得した権利や自由であり、後者で人々は「自由になろうとする」自由を行使しなかった。立ち上がらなくても「与えられた」権利や自由に人々が満足しているのなら、さらに「自由になろうとする」自由を行使するはずもない。

 人々から「自由になろうとする」自由を奪うことは、どんな強権国家であろうと不可能だ。だから専制国家にとって、人々は常に潜在的な反抗分子であり、人々が「自由になろうとする」自由をいつ行使するかと恐れ、警戒する。社会を変え、政治制度を変え、国家を変え、世界を変える力は人々にある。

2020年10月14日水曜日

嘘と大嘘

 マーク・トウェインが紹介した「世の中には3種類の嘘がある。それは嘘、大嘘、そして統計だ」との言葉は有名だ。統計も全てが客観的で信頼できるとは限らず、政府など発表する側に都合がいいように特定の方向に誘導されたり、不都合な状況を示すデータはぼやかされたり隠されたりすることを指摘した。大嘘とはdamned liesで、大ボラというより、真っ赤な嘘とか実にひどい嘘、全くけしからん嘘という感じか。

 嘘と大嘘の境界は曖昧だ。たわいがない嘘や笑って済ませられる嘘、気分を少し害する程度で済ませられる嘘などは大嘘ではないだろうが、実害が生じる嘘や人間関係を損ねる嘘、社会を混乱させる嘘、人々の怒りを巻き起こす嘘などは大嘘だろう。とはいえ、どこからが嘘で、どこからが大嘘か、その判断は人により分かれ、境界は揺れ動く。

 嘘と真実の境界も曖昧だ。地球を中心にして太陽も月も回っていると言うのは、現代では嘘になるが、それが真実だと人々が信じていた時代があった。観測の積み重ねにより客観的な事実が解明され、真実とされていたものが嘘になる。だが、科学が嘘だと暴いても、それを信じない人々は存在する。そうした人々にとっては、信じたいものが真実であり、信じたくないものは嘘となる。

 自説の主張と嘘の境界も曖昧だ。例えば、「新型コロナウイルスは、ただの風邪だ」との主張があり、世界で100万人を超す多数の死者が出ているのだから、それは誤った主張だとされる。だが、世界で感染者は3700万人を超えるが大半の感染者は軽症ですむとされ、風邪と同様だと見る人がいても、見解の相違と主張されれば嘘と断じることは簡単ではなかろう。

 自説が事実に反すると自覚していない人は、嘘だと指摘されると戸惑うか反発する。事実を尊重する思考を誰もが常に行っているわけではないだろうし、自説に好都合な事実は尊重し、自説に不都合な事実なら無視することは政治的な議論などでは珍しいことではない。嘘も真実も主観で判断しがちな人なら、自説に反する事実が嘘に見え、その事実なるものは嘘だと言いたてることもあろう。

 嘘は、当人が意識してつく嘘と当人が意識せずにつく嘘に分けることもできる。当人が嘘と意識しているなら、事実など示して嘘を暴くことができよう。だが、意識せずに話される嘘は当人の勘違いや知識不足、思い込みなどによるものだろうが、事実を示しても当人は嘘をついているとの自覚が皆無であるなら、嘘だと理解させるためには説得しなければならなくなる。

 マーク・トウェインが生きていた時代に比べ、世界中で個人の情報発信が日常化し、各国政府は情報戦に励み、流通する情報量が格段に増加した。おそらく嘘も大嘘も大量に出回っている。いちいち真贋を確かめることもなく嘘も大嘘もそのまま世界で人々に消費されている可能性が高い。「世の中には3種類の嘘がある。それは嘘、大嘘、そして情報だ」が現代か。

2020年10月10日土曜日

宗教という仮説

 仮説は、真理に到達するための1段階だという見方がある。一方、世界を合理的に説明するための推論が仮説であるとの考えがある。真理を確かめることが困難な状況は珍しくないが、ある仮説によって合理的な説明が可能であれば、その仮説を共有し、理論を発展させる。

 例えば、この宇宙が微小な点から始まり、ビッグバン以来、膨張を続けているという仮説は、実際の観測結果を合理的に説明するが、過去の宇宙の歴史を人は事実(真理)として知ったわけではない。科学は多くの、このような仮説で成り立っている。

 仮説が実際の観測結果を合理的に説明できなければ、新たな仮説が構築される。科学において仮説は客観的に検証されるものだが、仮説は科学者の占有物ではなく、一般の人々も頻繁に活用している。ただし、こちらの仮説は主観(思い込み)などで構築されたものが大半で、客観的な検証には耐えることができない。

 客観的な検証に耐えられない仮説でも、その仮説を人々が共有することによって大きな影響力を持つことがある。その代表が、宗教という仮説だ。神などの存在や啓示、死後の世界の存在、神などの裁きや救済などが真理として示されるが、それらが事実であるとの観測結果は皆無だ。

 宗教という仮説は、神などを信じる人々の主観によって構築され、体系化されてきた。客観的な検証を求めることは不信心の現れとされたであろうし、不合理ゆえに我信ずと理性による検証を否定し、神などの超越性を認めることで宗教という仮説は維持されてきた。神の超越性も仮説であるから、宗教という仮説は様々な仮説が組み合わされて構築されている。

 ある友人は宗教に関心を持って様々な宗教書を読んだが信仰には至らなかった。「そういう考えもあると読んでる分には興味深いが、真理だとは感じなかった」と友人、続けて「宗教の創世神話には恐竜が出てこない。数億年も栄えた生物について創世神話で語っていないのは、聖典を編纂した当時の人間の知見の範囲内で創世神話が創作されたことを示す」。

 科学において仮説は絶対ではないが、宗教という仮説は絶対的なものとされ、その絶対性を受け入れる人が信者になる。友人は宗教という仮説を受け入れることはできなかったが、科学の仮説は受け入れる。「論文を読んでも理解できないから科学の仮説も受け入れるしかないのだが、科学の仮説のほうが信用できそうだ」と友人。

2020年10月7日水曜日

嘘をつく

 ある女性(Aとする)が「女性は、いくらでも嘘をつける」と言った場合、その発言が真実であるなら、女性Aは嘘をついている可能性が高い。「女性は、いくらでも嘘をつける」のだから女性Aも嘘をつけるだろうし、女性Aだけは嘘をつかないと判断する根拠がないのだから、女性Aも嘘をついている可能性が高い。

 しかし、女性Aが嘘をついていて、その発言が嘘だったとすると、「女性は、いくらでも嘘をつける」は嘘で、反対の「女性は、嘘をつけない」が本当ということになる。だが、女性Aは「女性は、いくらでも嘘をつける」と発言したのであり、嘘をつけない女性が嘘をついたことになり、矛盾する。女性Aは、嘘をついたのか真実を述べたのか。

 女性Aの発言「女性は、いくらでも嘘をつける」が真実ではないなら、その発言を否定する「女性は、嘘をつけない」が真実になる。しかし、女性Aは真実ではないことを発言した=嘘をついた。女性は嘘つきだという嘘を女性Aは言ったのだが、女性は嘘をつけないことが真実だとすると、嘘をついた女性Aは真実を言わなかったことになる。女性Aは、真実を述べたのか嘘をついたのか。

 これは、クレタ人のパラドックスを想起させる。あるクレタ人が「クレタ人は嘘つきだ」と言ったが、その発言が真なら、そのクレタ人の言ったことは嘘でクレタ人は嘘つきではないことになり、発言「クレタ人は嘘つきだ」は真ではなく、矛盾する。その発言が嘘なら、クレタ人は嘘つきではないことになり、「クレタ人は嘘つきだ」との発言と矛盾する。

 女性Aはおそらく、自分以外の女性は「いくらでも嘘をつける」と言ったのだろう。自分を除いて女性は「いくらでも嘘をつける」との発言は、自分は嘘をつかないとの前提だ。あるクレタ人が「自分以外のクレタ人は嘘つきだ」と言ったのなら、そこに矛盾はない。女性Aは自分は女性の例外だとする。本当に女性Aが女性の例外であるかどうか、そこが検証されることで女性Aの発言が真か偽かの見極めがつくだろう。

 全ての「女性は、いくらでも嘘をつける」を否定するには、嘘をつかない女性が1人存在することが明らかになればいい。そうなれば、「女性は、いくらでも嘘をつける」との発言は誤りであり、女性が皆、嘘をつくのではないとなる。女性Aが嘘をつかない人間だとすれば、女性は皆「いくらでも嘘をつける」は否定される。それは女性Aの発言「女性は、いくらでも嘘をつける」を自ら否定することである。女性Aが嘘を言ったのか言わなかったのか、どっちか。

 自分以外の女性は「いくらでも嘘をつける」と女性Aが見ているのだとすれば、それは女性Aの体験や見聞に基づく判断だろう。持続化給付金の不正申請や銀行口座からの不正引き出しなど詐欺事件が日常的に起きているように「いくらでも嘘をつける」女も男も社会には蠢いているし、小さな嘘をついた経験は誰にもあるだろう。他人に対する批判意識や不信感が強い人には世の中は嘘つきだらけだと見えているのかもしれない。

2020年10月3日土曜日

感染拡大が続く都市

 日本における新型コロナウイルスの感染者は8万4千人台(10月1日現在、以下同)に乗り、中国本土の8万5千人台に近づいている。5月に中国政府は国内では感染拡大を押さえ込んだとし、その後に発表される感染者数は微増にとどまり、中国の公式発表の信憑性は低いとはいえ、中国国内から感染拡大の騒ぎは伝わってこないので、大幅な感染拡大は起きてはいないのだろう。

 日本国内で最も感染者数が多いのは東京都の2万5973人で、日本全体の30.8%。1日あたりの新規感染者が200人を下回ると、それが強調されたニュースになるなど東京都での毎日の感染者増加はもはや当然視されている気配だ。感染拡大に抵抗できないのか、感染の封じ込めを放棄したのか定かではないが、感染者増加と共存する状況になっている。

 東京に続くのは大阪の1万729人、神奈川6976人で、この3地域で日本全体の51.7%と半分を上回り、大都市での感染拡大が顕著だとわかる。さらに続く愛知5396人、福岡5044人、埼玉4700人、千葉3939人、兵庫2747人を加えると77.6%となり、日本全体の4分の3。人々が密になる都市環境と感染拡大に強い関連性があると見えてくる。

 感染拡大が始まった頃、「3蜜(密閉、密集、密接)を避けよう」とのキャンペーンが熱心に行われたが、経済・社会活動が再開した都市で3蜜を避けるには限界がある。人々が各地から集まって生活し、ビルが立ち並んで企業や商業施設が蝟集する都会の環境で、密集や密接を避けるのは簡単ではない。人々が密接になることで得ることができる楽しみの存在も都会の魅力だろうから、3蜜を避ける都会での生活は味気ないものだろう。

 兵庫2747人に続くのは沖縄2521人、北海道2126人、京都1771人で、この11都道府県で日本全体の85.2%を占める。京都の次は石川777人、群馬706人などと残りの県は1千人未満。沖縄、北海道、京都は人気の観光地でもあるだけに、国内移動の自粛が緩み、観光業支援のための観光奨励策も加わり、観光目的で都市から各地に出かける人々が増えるにつれて感染拡大が懸念される。無症状の感染者も観光旅行に出かけるだろう。

 感染者が最も少ないのは岩手の23人で、100人未満の県は鳥取36人、青森36人、秋田53人、山形78人、香川94人だけ。東北地方で感染者が少ない(仙台市がある宮城は413人、首都圏に近い福島は253人)。東北などと感染増加が続く東京都との比較検証を細かく行うと、感染拡大を抑止する条件が見えてくるかもしれない。

 首都圏1都3県合計の感染者数は4万1588人で日本全体の49.2%と半分を占め、関西2府1県は1万5247人で18.1%とほぼ2割。愛知5396人を加えると合計6万2231人で73.7%。人々が密集して暮らす都市より、人口密度が低い地方のほうが安心だと引っ越すことができる人は多くはない。感染したならしょうがないと「運」に任せて生きるのが、都市に住み続けるしかない人々の実情か。

2020年10月2日金曜日

ドキュメント「パンデミック9月」

 世界における新型コロナウイルスの感染者数は3300万人、死者数は100万人を超えた。4月末には感染者319万人、死者22万人だったので6カ月で感染者数は10倍以上、死者数は約5倍に増えた。9月は1日に感染者数2550万人、死者数85万人、それが30日には3351万人、100万5千人と感染拡大の勢いが弱まっていない。米国、インド、ブラジルでは大量の感染者増加が続き、欧州では感染の再拡大が始まった。

 <9月> 1日=世界の感染者が2550万人超す(米国で604万人、ブラジルで390万人、インドで362万人、ロシアで99万人、ペルーで65万人、南アフリカで62万人、コロンビアで61万人、スペインで48万人、アルゼンチンやチリで41万人、英国で36万人、トルコで27万人超す)。死者が世界で84万9千人超す(米国で18万3千人、ブラジルで12万1千人、インドで6万4千人、メキシコで6万4千人、フランスで3万人、ペルーで2万8千人、コロンビアで1万9千人、ロシアで1万7千人、南アフリカで1万4千人、チリで1万1千人超す)。インドはロックダウン措置をさらに緩和。香港は希望者全員に無料検査始める。日本の国内の感染者が6万9千人超す。

 2日=世界の感染者が2575万人超す(米国で608万人、ブラジルで395万人、インドで376万人超す)。死者が世界で85万7千人超す(米国で18万4千人、ブラジルで12万2千人、インドで6万6千人、メキシコで6万5千人超す)。

 3日=世界の感染者が2629万人超す(米国で612万人、ロシアで100万人、メキシコで60万人超す)。死者が世界で86万1千人超す(米国で18万5千人超す)。日本の国内の感染者が7万人超す。

 4日=世界の感染者が2614万人超す(米国で616万人、ブラジルで400万人、インドで385万人、メキシコで61万人超す)。死者が世界で86万7千人超す(米国で18万6千人、ブラジルで12万4千人、インドで6万7千人超す)。日本の国内の感染者が7万1千人超す。

 5日=世界の感染者が2641万人超す(米国で617万人、ブラジルで404万人、インドで393万人、ロシアで101万人、ペルーで67万人超す)。死者が世界で87万人超す(米国で18万7千人、インドで6万8千人、メキシコで6万6千人超す)。

 6日=世界の感染者が2688万人超す(米国で624万人、ブラジルで412万人、インドで411万人、メキシコで62万人超す)。死者が世界で87万9千人超す(米国で18万8千人、ブラジルで12万6千人、インドで7万人、メキシコで6万7千人超す)。豪メルボルンは外出制限などを延長。日本の国内の感染者が7万2千人超す。

 7日=世界の感染者が2709万人超す(米国で628万人、ロシアで102万人、ペルーで68万人、スペインで50万人超す)。死者が世界で88万5千人超す。

 8日=世界の感染者が2734万人超す(米国で631万人、インドで420万人、ブラジルで413万人、メキシコで63万人超す)。死者が世界で89万1千人超す(米国で18万9千人、インドで7万1千人超す)。

 9日=世界の感染者が2756万人超す(米国で632万人、インドで428万人、ブラジルで414万人、ロシアで103万人、ペルーで69万人、スペインで52万人、英国で38万人超す)。死者が世界で89万5千人超す(インドで7万2千人超す)。シンガポールは感染者と接触した人を追跡する携行端末を全住民に無料配布。日本の国内の感染者が7万3千人、死者が1400人超す。

 10日=世界の感染者が2785万人超す(米国で637万人、インドで437万人、ブラジルで419万人、ロシアで104万人、ペルーで70万人、メキシコで64万人、スペインで56万人、イタリアで28万人超す)。死者が世界で90万2千人超す(米国で19万人、ブラジルで12万8千人、インドで7万3千人、メキシコで6万9千人、ペルーで3万人、コロンビアで2万2千人超す)。

 11日=世界の感染者が2814万人超す(米国で641万人、インドで446万人超す)。死者が世界で90万8千人超す(米国で19万1千人、インドで7万5千人超す)。ミャンマーの航空会社は国内旅客便をすべて運休。日本の国内の感染者が7万4千人超す。

 12日=世界の感染者が2832万人超す(インドで456万人、ブラジルで423万人、ペルーで71万人、メキシコで65万人超す)。死者が世界で91万1千人超す(米国で19万2千人、ブラジルで12万9千人、インドで7万6千人超す)。インドネシアの首都ジャカルタは行動制限の緩和を取りやめ。日本の国内の感染者が7万5千人超す。

 13日=世界の感染者が2861万人超す(米国で646万人、インドで465万人、ブラジルで428万人、ロシアで105万人超す)。死者が世界で91万6千人超す(米国で19万3千人、ブラジルで13万人、インドで7万7千人、メキシコで7万人超す)。

 14日=世界の感染者が2898万人超す(米国で653万人、インドで475万人、ブラジルで431万人、ペルーで72万人、メキシコで66万人超す)。死者が世界で92万2千人超す(米国で19万4千人、ブラジルで13万1千人、インドで7万8千人超す)。インドネアの首都ジャカルタは大規模な行動制限の緩和措置を解消。日本の国内の感染者が7万6千人超す。

 15日=世界の感染者が2926万人超す(米国で657万人、インドで484万人、ブラジルで433万人、ロシアで106万人超す)。死者が世界で92万6千人超す(インドで7万9千人超す)。英イングランドは7人以上の集まりを禁止。ブラジルは貧困家庭向けの現金給付策の拡充を断念。

 16日=世界の感染者が2951万人超す(米国で660万人、インドで502万人、ブラジルで434万人、ペルーで73万人、メキシコで67万人超す)。死者が世界で93万1千人超す(米国で19万5千人、ブラジルで13万2千人、インドで8万2千人、メキシコで7万1千人超す)。日本の国内の感染者が7万7千人超す。

 17日=世界の感染者が2991万人超す(ブラジルで438万人、ロシアで107万人超す)。死者が世界で93万7千人超す(米国で19万6千人、ブラジルで13万3千人超す)。英国で局地的ロックダウンの動き。

 18日=世界の感染者が3003万人超す(米国で666万人、インドで511万人、ブラジルで441万人、ロシアで108万人、ペルーで74万人、メキシコで68万人、英国で41万人、イタリアで29万人超す)。死者が世界で94万2千人超す(米国で19万7千人、ブラジルで13万4千人、インドで8万3千人超す)。イスラエルは全土で3週間のロックダウン。フランス各地で感染防止策が強化。米疾病対策センター(CDC)は検査の方針を改め、感染者と接触した人には無症状でも検査を推奨。日本の国内の感染者が7万8千人、死者が1500人超す。

 19日=世界の感染者が3035万人超す(米国で669万人、インドで521万人、ブラジルで445万人、ロシアで109万人、ペルーで75万人、スペインで64万人、アルゼンチンで60万人、フランスで46万人超す)。死者が世界で94万7千人超す(米国で19万8千人、インドで8万4千人、メキシコで7万2千人、ペルーで3万1千人、スペインで3万人、ロシアで1万9千人超す)。

 20日=世界の感染者が3058万人超す(米国で674万人、インドで530万人、ブラジルで449万人超す)。死者が世界で95万3千人超す(ブラジルで13万5千人、インドで8万5千人人超す)。日本の国内の感染者が7万9千人超す。

 21日=世界の感染者が3095万人超す(米国で678万人、インドで540万人、ブラジルで452万人、ペルーで76万人、メキシコで69万人超す)。死者が世界で95万8千人超す(米国で19万9千人、ブラジルで13万6千人、インドで8万6千人、メキシコで7万3千人超す)。スペインで首都があるマドリード州が住民の移動を原則禁止。イタリアはフランスの複数の都市からの入国者に検査を義務付け。

 22日=世界の感染者が3116万人超す(米国で682万人、インドで548万人、ブラジルで454万人、ロシアで110万人超す)。死者が世界で96万2千人超す(インドで8万7千人超す)。日本の国内の感染者が8万人超す。

 23日=世界の感染者が3140万人超す(米国で687万人、インドで564万人、ブラジルで459万人、ロシアで111万人、コロンビアで77万人、メキシコで70万人超す)。死者が世界で96万6千人超す(米国で20万人、ブラジルで13万7千人、インドで8万8千人超す)。フランスはパリで集会の制限やスポーツジムの閉鎖。

 24日=世界の感染者が3179万人超す(米国で691万人、インドで556万人、ブラジルで455万人超す)。死者が世界で97万2千人超す(米国で20万1千人、ブラジルで13万8千人、インドで9万人、メキシコで7万4千人超す)。英国は飲食店の深夜営業禁止や在宅勤務の再推奨など規制を再強化。

 25日=世界の感染者が3199万人超す(米国で695万人、インドで573万人、ブラジルで462万人、ロシアで112万人、コロンビアで78万人、メキシコで71万人、ドイツで28万人超す)。死者が世界で97万8千人超す(米国で20万2千人、インドで9万1千人超す)。イスラエルは全土のロックダウンをさらに強化。日本の国内の感染者が8万1千人超す。

 26日=世界の感染者が3235万人超す(米国で700万人、インドで581万人、ブラジルで465万人、ロシアで113万人、コロンビアで79万人、フランスで53万人超す)。死者が世界で98万4千人超す(米国で20万3千人、ブラジルで13万9千人、インドで9万2千人、メキシコで7万5千人、英国で4万2千人、スペインで3万1千人、ロシアで2万人超す)。南仏マルセイユは飲食店を閉鎖、パリでは集会の人数の上限を1千人に下げた。

 27日=世界の感染者が3264万人超す(米国で705万人、インドで590万人、ブラジルで471万人、メキシコで72万人超す)。死者が世界で99万3千人超す(米国で20万4千人、ブラジルで14万人、インドで9万3千人超す)。日本の国内の感染者が8万2千人超す。

 28日=世界の感染者が3295万人超す(米国で709万人、インドで599万人、ブラジルで468万人、コロンビアで80万人超す)。死者が世界で99万8千人超す(ブラジルで14万1千人、インドで9万4千人、メキシコで7万6千人超す)。英国は自主隔離の義務に違反した感染者らに最大1万ポンド(約135万円)の罰金。

 29日=世界の感染者が3325万人超す(米国で712万人、インドで607万人、ブラジルで473万人、ロシアで115万人、コロンビアで81万人、メキシコで73万人超す)。死者が世界で100万人超す(インドで9万5千人超す)。オランダは飲食店の営業制限やスポーツの観戦禁止などの対策。ドイツはパーティーの参加人数制限などの新たな対策。日本の国内の感染者が8万3千人超す。

 30日=世界の感染者が3351万人超す(米国で717万人、インドで614万人、ブラジルで474万人、ロシアで116万人超す)。死者が世界で100万5千人超す(米国で20万5千人、ブラジルで14万2千人、インドで9万6千人超す)。タイは非常事態宣言を延長。米ニューヨーク市は飲食店の店内飲食再開。チェコとスロバキアは緊急事態宣言を再発令。

2020年9月30日水曜日

欧州で感染が再拡大

 世界で新型コロナウイルスの感染拡大は続いている。感染者数は3300万人を突破(9月28日現在。以下同)し、回復した人は約2300万人で治療中の患者は約910万人。死者数はほぼ100万人という惨状だ。感染しても大半の人は軽症ですむともされるが、誰が重症化するのかは不明であり、感染への恐れは消えない。

 感染者が多いのは米国713万人、インド607万人、ブラジル473万人。この上位3カ国で世界の感染者の54%と半分以上を占める。上位3カ国に続くのはロシア115万人、コロンビア81万人、ペルー80万人、メキシコ73万人、スペイン71万人、アルゼンチン71万人、南アフリカ67万人で、これが上位10カ国。南米諸国で感染者が大幅に増えており、チリも45万人と多い。

 感染拡大が一服したかに見えた欧州でも感染者が増え、各国は外出制限や集会での人数制限、都市や地域を限定したロックダウン、飲食店やスポーツジムの営業制限など規制を再び強め始め、英国では人々の買い溜めの動きも現れた。夏休み期間中の人の移動増加や学校の再開、人々の警戒心の緩みなどが感染拡大につながったとされる。

 欧州の感染者数は多い順にスペイン71万6481人(死者数3万1232人)、フランス55万7683人(3万1689人)、英国46万9431人(4万2001人)、イタリア31万1364人(3万5851人)、ドイツ28万6028人(9433人)。続いてベルギー11万4179人(9980人)、オランダ11万1552人(6372人)、スウェーデン9万1679人(5896人)、ポーランド8万8636人(2447人)、ポルトガル7万3604人(1953人)などとなる。

 スペインとフランスでは9月になって毎日の新規感染者が約1万人となるなど、この春に大騒ぎしていた頃を上回るペースだ。各国政府は今春と同様に人々の行動や経済活動などの厳しい制限で感染拡大を防ごうとするが、マスク着用義務化や行動制限などに対する人々の抗議活動が各国で公然と行われたりしていることもあって、今春と同様の効果が得られるのかは不明だ。

 感染増加の原因が、夏休み期間中の人々の移動増加や学校再開、人々の警戒心の緩みだとすると、経済活動や社会活動の再開と感染拡大抑止の両立は簡単ではなく、新型コロナウイルスと共存するしかない日常とは、感染者と死者を増やしながら経済活動や社会活動を続けるものだ。それは、新型コロナウイルス感染がインフルエンザ同様の感染症の一つに定着することでもある。

 感染者や死者の増加が続く日常に人々が慣れて特別な警戒心が薄れても、肉親や友人知人を失った人々の無念の思いは薄れることがない。新型コロナウイルスには国家権力も無力だと人々が見なしている間は抑制されていたが、各国の感染拡大抑止対策が比較検証されたなら、感染者や死者の増加を他国に比べて少なくすることができなかった政府に対する批判は提起されよう。その対策としても各国政府は、人々の気の緩みが感染拡大の原因だと指摘し続ける必要がある。

2020年9月26日土曜日

女性の閣僚

 日本の新しい内閣では女性閣僚が2人だったので、「少ない」「少なすぎる」などの批判が現れた。女性閣僚が少ないとの批判は組閣のたびに繰り返されてきたが、一向に女性閣僚が増える気配はなく、日本の強固な男性支配社会の象徴にも見え、女性活躍社会なるものの中に政界は含まれないようだ。女性閣僚が5人だったのが過去最高人数。

 女性閣僚が少ないとの批判では、諸外国との比較が必ず持ち出される。フィンランドでは女性閣僚が内閣の約6割と多く、仏独など30カ国では4割以上の女性閣僚がいるそうで、日本の女性閣僚の少なさが際立つようにも見える。だが、日本でも閣僚は男女同数にしろとか閣僚の4割を女性にしろなどと具体的な要求は乏しく、女性閣僚が少ないことを批判するにとどまる。

 男性優遇(=女性冷遇)を否定して男女同権が制度化されている社会で女性閣僚が少ないことの問題は、女性の冷遇が続いていることが可視化されることだ。とはいえ、閣僚を選ぶときには能力を第一に考慮しているであろうから、結果として女性閣僚が少なくなったのか、選ぶときに意図的に男性を優先したのかは、部外者からは判断できない。

 能力が高いのに女性だからと閣僚に選任されず、凡庸な男性が閣僚に選任されるのは社会の損失であろう。だが、閣僚候補になる人物群には能力差は少ないとするなら、男性議員数の多さ(=女性議員数の少なさ)が根本の問題だと見えてくる。女性議員は衆議院(465)で約1割、参議院(248)で約2割なので議員数に比例させると、閣僚数の1割半ほどは女性であるべきとなる。女性議員の人数が増えれば、女性閣僚の数も増えるか。

 大臣の椅子は順送りで、当選回数や派閥での貢献度、首相との親密さ、派閥の力関係などで指名されるとの説が以前は語られていた。能力が重視されるのは主要閣僚だけで、残りの閣僚を選ぶときに能力などは二の次になるそうで、官僚が優秀だから大臣には高い能力や見識などは必要ではなく、無難に官僚の振り付けで大臣を演じていればいいてな見方もあった。

 現在、自民党議員が衆議院の6割以上を占め、世論調査などでは野党の支持率が低迷を続けていることから、次の総選挙でも自民が勝利し、組閣することは確実そうに見える。女性閣僚をもっと増やせという批判に応えて自民党が組閣すると、自民党の女性議員がゾロゾロと閣僚に就任することになろう。女性閣僚が増えても、能力が高く高潔で人品いやしからず自己顕示欲は控えめで、自己の利益よりも人々の利益を優先する人物が増えるかどうかは定かではない。

 女性閣僚が増えることは、男性支配社会の後退と多様性を尊重する社会に移行したことを示す。だが、女性だから有能であるとはいえず、もちろん男性だから有能だともいえない。男女の性差と政治的な能力は無関係だとすると、女性閣僚が増えれば良き政治が行われるとはいえない。凡庸な男性閣僚の代わりに凡庸な女性閣僚が増えたとしても、政治は変わらず、見捨てられる人々は見捨てられる。

2020年9月23日水曜日

カメラ市場の縮小

 インターネット上には人々が世界中で撮った写真があふれている。そのほとんどは、おそらくスマホなどで撮って投稿したものだろう。スマホのカメラは機能アップを続け、わざわざデジタルカメラを買う必要はなくなった。かつてデジカメの国内出荷台数は1億2千万台を超えたが、2020年は1167万台と10分の1以下に縮小する見通しだ。

 低価格〜中価格のデジカメはスマホに駆逐され、残るのはレンズ交換ができる一眼レフタイプだけか。写真を撮ることを趣味とする人たちが買う高機能のカメラとレンズ群だけは生き残るとしても、売れる数量は限られるから、高価にならざるを得ない。すでに各社のレンズ交換ができるデジカメは20万円台になり、上位機種は50万円台、60万円台が珍しくない。

 写真がフィルムからデジタルデータに移行したことで、ソフトによる加工が簡単になった。ピントや露出はカメラ任せで、構図が平凡だったり奇妙だったとしても、後からソフトでどうにでも修正できる時代になった。後からソフトで修正することが高度化すれば、写真を撮るという行為は素材のデータを集めることでしかなくなる。

 修正や加工が当たり前になると、独裁国家などで権力交代のたびに過去の集合写真をこっそり修正して粛清された人物を消したように、写真は個人が容認した「事実」だけを伝えるものになる。だから人々は世界中で写真を撮り、その中から厳選して(さらに修正・加工して)インターネットに投稿し、「いいね」を集めて満足する。写真が真実を伝えるとの言葉はもう誰も信じないだろうな。

 縮小するデジカメ市場でソニーの存在感が大きくなった。高級機にもミラーレスが増え、いち早く機種を揃えたソニーが優位に立った。2019年には世界のミラーレス機の生産台数の4割超を占めるほどソニーはシェアを拡大したが、ミラーレス機種の市場投入が遅れたニコンはデジカメなど映像事業で2020年3月期は171億円の赤字。市場動向を見誤り、販売不振に陥った。商品戦略を誤るとたちまち市場を失う典型例だ。

 ミラーレス機を揃えていても安泰ではないと示したのがオリンパスのカメラ事業の売却だ。オリンパスは早くからミラーレス機を投入、評価は高かったが、シェアを伸ばすことはできなかった。縮小するデジカメ市場でミラーレス機が主力になった状況でソニーが伸び、キャノンが追う。市場の縮小が続くなら、オリンパスに続いて事業継続を諦める企業が出てくるだろう。カメラの名門ニコンだって顧客に選ばれなくなれば事業を続けることは簡単ではない。

 スマホの普及で、写真を撮ることは誰にでもできる簡単な行為になった。写真を撮る専用機であるカメラの必要性は乏しくなり、オーディオ趣味と同様にカメラも一部のマニア向けの小さな市場に向けて細々と高価な機種を売る商売になる。立派なオーディオがなくてもイヤホンで音楽を楽しみ、カメラがなくても写真を撮って楽しむ時代になった。音楽を楽しむ人も写真を楽しむ人も世界での総数は格段に増えたであろうから、技術の進歩の恩恵と理解すべきか。

2020年9月19日土曜日

田舎ぐらし

 ストレス要因が多い都会で生活する人々の中には、豊かな自然に囲まれてマイペースで生きる田舎暮らしに対する憧れを持つ人がいる。鳥の声で目覚め、畑で野菜を育てたり、野山を散策したりしてすごすという暮らしは穏やかだろう。欲しいものがあればネットで注文すると宅配会社が配達してくれる時代になったので田舎暮らしに伴う不便さはほぼ消えた。

 とはいえ、都会から田舎へ移住すると決心するのは簡単ではない。働かなくても生活に困らない資産があれば、田舎でも都会でも外国でも住みたい場所に住むこともできようが、会社勤めの人が田舎に移住することは退職を意味する。就業先があるか当座の蓄えがある人以外は、田舎への移住を決断することは難しいだろう。

 だが新型コロナウイルスが企業にリモートワークを強制し、それで支障がないと判明した業務ではリモートワークが定着するだろう。そうなると、会社勤めを続けながら住居を田舎に移すことが可能になる。といっても都心などのオフィスに出社することもあろうから、山奥など交通の便が悪いところや、行き来に航空機を使用しなければならない遠隔地は選択肢から外されよう。

 農山村で暮らすことだけが田舎暮らしではない。ビルに囲まれ、アスファルトに覆われた地面だけという都会暮らしに比べると、緑が豊かで住宅が点在するが高い建物がないので空が広い郊外での生活も田舎暮らしといえよう。そういう郊外は、都心から普通列車に1〜2時間も乗ると現れる。毎日の通勤を考えると遠すぎると見なされた土地が、リモートワークの勤め人で田舎暮らしに憧れる人にとっては有力な選択肢となろう。

 そうした郊外に住む利点は、都市生活の利便性を手放さなくてもいいことだ。都会でのショッピングや観劇などを諦めずにすみ、都会に住む友人らとの交友も続けることができ、各種の病院へのアクセスも維持されるなど、それまでの都会暮らしの延長上に郊外での田舎暮らしがある。ただ、農村と違って住宅の横に畑があるとは限らない。

 完全にリモートワークに移行したならば、インターネット接続がある山奥の農山村での田舎暮らしも可能となるが、同時に都会生活の利便性を諦めることにもなる。都会生活のストレスから逃れたいという動機で田舎暮らしに憧れる人には、緑豊かで静かな環境の良い場所が理想的で、郊外での田舎暮らしは「正解」ではないかもしれないが、田舎暮らしの体験版としての意味はある。

 憧れていた農山村での田舎暮らしが、誰にとっても快適かどうかは分からない。住んでみて初めてわかる住みにくさもある。都市生活の利便性になれた人には、田舎暮らしの不便さがストレスになるかもしれない。都会と農山村の中間の生活環境として都市の郊外を見るならば、田舎暮らしの穏やかさと都市生活の利便性をほどよく混合させた生活環境だと分かる。

2020年9月16日水曜日

現状追認と大義

 バーレーンがUAEに続いてイスラエルと国交樹立に動いた。アラブ圏でイスラエルと国交を樹立する国はエジプト、ヨルダンに続く4カ国目。イスラエルとの仲を取り持ったのは米トランプ大統領で、大統領再選に向け、イスラエル寄りの中東和平への環境づくりを進めていることを米国内のキリスト教福音派にアピールする狙いだと報じられた。

 追随してオマーンなどもイスラエルとの国交樹立に動く可能性も指摘され、イスラエルによるガザ地区や西岸の併合、パレスチナ国家樹立などが棚上げにされたまま現状追認の動きが顕在化するかもしれない。パレスチナ暫定自治政府は「極めて危険な動きだ」、イランは「恥ずべき行為」、トルコは「パレスチナの大義を支える運動への新たな打撃」と強く非難した。

 現状追認に動くのは、第一にアラブ諸国にはイスラエルを武力で圧倒する力はなく、その意志もない、第二にアラブ諸国にとって「パレスチナの大義」を捨てても政治的な打撃はなくなった、第三に原油価格の下落で産業構造を変えなければならないアラブ諸国にとってイスラエルの技術力が魅力、第四に米国の圧力ーなどが絡み合っているのだろう。

 中東における現状追認とはイスラエルの存在と領土を認めることであり、占領地や入植地からの撤退を要求する国連安保理決議の無力さを再確認することである。そこにイスラム革命後のイランに対する警戒感の高まりもあって、イスラエルの位置付けがサウジアラビナなどアラブ諸国側で変化した。乱暴にいうと、大義なんてものに縛られるより個別国家の利益を優先するという珍しくもない外交だ。

 サウジアラビアが続いてイスラエルと国交樹立に動くかが注目されている。イスラエルよりもイランを敵視し、米国と親密なサウジアラビアは既にイスラエルと敵対せず、通じているとも疑われるが、国王はパレスチナ問題解決がイスラエルとの国交正常化の前提だとの姿勢を崩していない。UAEやバーレーンなどにイスラエルとの国交を樹立させてアラブ圏の反応を見ているともされるが、サウジアラビアがイスラエルと国交樹立に動けば中東の勢力図は激変しよう。

 アラブ圏にはイスラム教に基づく一体感があり、それは歴史的にいくつものイスラム帝国の支配下にあったことで形成されたという(ウンマ=アラブ・イスラム共同体)。パレスチナの大義はそれに基づくものだが、シオニズムを許容することで変質せざるを得まい。イスラエルの代わりにイランを敵視することはイスラム教内での分裂を促進するだろうが、国家は仮想敵を必要とするものだ。

 西欧による植民地支配の境界線を国境としたまま独立した現在のアラブ諸国だが、独立して数十年も経れば世代は入れ替わり、人々の国家への帰属意識は醸成されようし、民主主義が根付いたとは見えないアラブ諸国で人々はしばしば強権的に抑圧される。そうした国家で、現状追認とは人々にとって生き延びるため必要な方策だとするなら、イスラエルと国交樹立した個別国家に向かう人々の怒りは限定的かもしれない。

2020年9月12日土曜日

新型コロナと陰謀論

  世界には、新型コロナウイルスの危険性は誇張されていると主張する人々がいる。実際に感染者や死者は世界で増え続けていると報じられるが、PCR検査でウイルスの増殖回数を増やし感度を過剰に上げて感染者数を増大させているとか、コロナ以外の持病などで死んだ人も死因をコロナ感染にして処理しているなどと、感染者数や死者数の増加にはカラクリがあるとする。

 こうした具体的な指摘に対しては、事実を明らかにするしか対処法はない。データなどを示さず一方的な主張で反論しても、どちらの主張が「正しい」のか第三者には判断できない。データなどによって事実を重視した議論ならば現実から大きく乖離する危険は少ないだろう。だが、断片的な事実をつなぎ合わせて作る陰謀論では、データなどの検証よりも、いかに人々の心情に訴えるかが大事になる。

 陰謀論にはいろいろあって、▽ビル・ゲイツ氏がワクチン販売による収益を求めてウイルスを拡散させた▽ビル・ゲイツ氏がワクチンとともに人々にマイクロチップを埋め込もうと狙っている▽新型コロナは存在せず、パンデミックは政府とメディアが仕組んだ▽新型コロナは5Gシステムによるもの▽新型コロナは中国で開発された生物兵器▽ウイルスは中国の武漢の生物研究所から流出したーなど賑やかだ。

 陰謀論の効用は、世の中を理解することが簡単になることだ。事実の解釈を事実そのものよりも優先させ、あるストーリーを作り上げ、次には、そのストーリーに合わせて世の中の出来事を解釈する。陰謀論に「感染」するとおそらく、一連の出来事が都合よく並べられ、混沌とした世界がクッキリした輪郭めいたものがある世界に見えるだろう。

 思い込みや即断で、事実の解釈を事実そのものより優先させる人は珍しくなく、程度の差はあれ誰でもやっている。確証がなくても何かを誰かの責任と決めつけたりすることも日常にはよくあることだ。小さな陰謀論にまみれて人々は暮らしていて、世界で起きている出来事を理解したいとの願望があるから、大きな陰謀論が広がる土壌があるのかもしれない。

 大きな陰謀論に感化されることを防ぐには、陰謀論を眺める対象にするのがいい。ツッコミどころはいろいろあるのが陰謀論なので、例えば「地球人の絶滅を謀る宇宙人がウイルスをばら撒いた」という説があれば、「絶滅が目的なら、感染力が強く致死率が高いウイルスをばら撒くはずじゃないか」などと笑う。大ボラ話を聞いて大笑いするつもりで接するのが陰謀論には似合っている。

 新型コロナウイルスの感染拡大で各国は揃って大きな経済的打撃を受けた。大きな経済的打撃に見合う利益とは何かを各種の陰謀論は説明することができていない。刑事物のドラマでは、事件により受益する人がまず疑われるが、新型コロナウイルスの感染拡大で利益を得たのはリモートワーク関係やヘルスケア関係などだから、彼らがウイルスを拡散させたという陰謀論がそのうち現れるかな。

2020年9月9日水曜日

腹話術とマスク

  マスクをつけていると商売ができなくなるのは腹話術士。腹話術士は口を動かさず、しかし、声がどこかから聞こえてきて、腹話術士が持っている人形の口が動いて、あたかも人形が喋っているかのように見せるのが芸だ。下手な腹話術士は口が動いてしまって誰が話しているのかが観客にすぐ判るが、上等な腹話術士は口を動かさない。

 観客に口を見せ、動いていないと確認させることが腹話術士には必要だが、マスクで口を隠してしまっては芸が台無しだ。言い方を変えると、マスクをした腹話術士には誰でもなることができよう。マスクの下で声色を変えて話し、手に持った人形を大袈裟に動かして見せれば、そんな芸かと早合点して楽しむ観客がいるかもしれない。

 マスク着用が一般化して、マスク姿で話すことが日常化した。ニュース映像では取材する側もされる側もマスク着用で話し、街歩き番組ではタレントも土地の人もマスク着用で会話し、スポーツなどの観客席にはマスク姿の人々が散在する。マスクで人々の口元が見えずに声だけが伝わってくる日常になった。マスクの中の口が動いていることを忘れたなら、腹話術の声を聞いているような気にもなる。

 マスク着用が増えて、以前は会話する相手の口元も意識せずに目に入っていたことに気がつく。視線を交わしながら、口元を含め相手の顔全体を見て、話の重要性や軽重、熱意のほど、真贋などを判断していたのだろう。マスクで顔の下半分、時には顔の3分の2が隠されている状況では表情をうかがい知ることは困難で、言葉と目の動きだけが判断材料だ。

 何かを隠すためにもマスクは使われてきた。以前からタレントらが私用で出歩く時にはマスク着用で大きめの帽子をかぶるなどというが、その姿は人混みの中では逆に目を引く特異な様子にもなった。誰もがマスクを着用するようになってタレントらは気軽に出かけることができそうだが、今度は本当に目立たなくなるかも。

 マスクで顔が隠れるから、歩きながらアッカンベーと舌を出している人がいても気がつく人はほぼいないだろうし、無精髭を伸ばしたままの男性やマスクの下がすっぴんの女性もいるだろう。女性といえば、マスク着用で美人に見える女性が増えた気がする。優美な弧を描く眉の下に目もとクッキリ、ばっちりメークで目力強く、気合が入っている様子。化粧のポイントを絞ったので訴求力が強くなったか。

 口元だけの透明フェイスシールド着用なら、観客に口元を見せなければならない腹話術士に最適そうだ。だが、透明フェイスシールドは顔面との間隔が空いていて、着用者がウイルス保有者であった場合、マスク着用時よりも大量にウイルスを周囲に拡散させるだろう。透明フェイスシールド着用時にもマスク着用が必要だとすると、腹話術士の商売はまだ困難そうだ。

2020年9月6日日曜日

ドキュメント「パンデミック8月」

 世界における新型コロナウイルスの感染者数は8月1日の1761万人から31日には2510万人と約750万人増えた。死者数は1日の67万9千人超えから31日には84万3千人超えへと16万人以上増えた。日本では感染者数が1カ月で3万人以上増え、欧州各国でも感染者の増加が目立ち、南米諸国やインドでは感染者の大幅増加が続いている。

 <8月> 1日=世界の感染者が1761万人超す(米国で457万人、ブラジルで261万人、インドで163万人、ロシアで83万人、南アフリカで49万人、メキシコで41万人、イランで30万人、中国で8万4千人超す)。死者が世界で67万9千人超す(米国で15万3千人、ブラジルで9万2千人超す)。インドは全土で実施してきた活動制限を一段と緩和。マレーシアは公共交通の利用時などにマスク着用を義務化。日本の国内の感染者が3万7千人超す。

 2日=世界の感染者が1785万人超す(米国で463万人、ブラジルで270万人、インドで175万人、ロシアで84万人、南アフリカで50万人超す)。死者が世界で68万5千人超す(米国で15万4千人、ブラジルで9万3千人、メキシコで4万7千人、インドで3万7千人超す)。豪メルボルン市で夜間外出を禁止。日本の国内の感染者が3万9千人超す。

 3日=世界の感染者が1808万人超す(米国で468万人、南アフリカで51万人、メキシコで43万人超す)。死者が世界で68万8千人超す(米国で15万5千人超す)。日本の国内の感染者が4万人超す。

 4日=世界の感染者が1829万人超す(米国で473万人、ブラジルで275万人、インドで185万人、ロシアで85万人超す)。死者が世界で69万3千人超す(米国で15万5千人、ブラジルで9万4千人、メキシコで4万8千人、インドで3万8千人超す)。フィリピンのマニラ都市圏でロックダウンを再導入。日本の国内の感染者が4万1千人超す。

 5日=世界の感染者が1855万人超す(米国で478万人、メキシコで44万人、スペインで32万人、フランスで22万人超す)。死者が世界で70万人超す(米国で15万7千人超す)。日本の国内の感染者が4万2千人超す。

 6日=世界の感染者が1882万人超す(米国で484万人、ブラジルで285万人、インドで190万人、ロシアで86万人、南アフリカで52万人、メキシコで45万人、ドイツで21万人超す)。死者が世界で70万6千人超す(米国で15万8千人、ブラジルで9万7千人、インドで3万9千人、ロシアで1万4千人超す)。日本の国内の感染者が4万3千人超す。

 7日=世界の感染者が1913万人超す(米国で488万人、ブラジルで291万人、インドで196万人、ロシアで87万人、南アフリカで53万人超す)。死者が世界で70万8千人超す(メキシコで4万9千人、インドで4万人超す)。日本の国内の感染者が4万5千人超す。

 8日=世界の感染者が1938万人超す(米国で495万人、ブラジルで296万人、インドで202万人、南アフリカで54万人、メキシコで46万人、コロンビアで36万人超す)。死者が世界で71万9千人超す(米国で16万1千人、ブラジルで9万9千人、メキシコで5万人、インドで4万1千人超す)。日本の国内の感染者が4万7千人超す。

 9日=世界の感染者が1945万人超す(米国で500万人、ブラジルで301万人、インドで208万人、ロシアで88万人超す)。死者が世界で72万2千人超す(ブラジルで10万人、インドで4万2千人超す)。アフリカ大陸全体の感染者数が100万人超す。日本の国内の感染者が4万8千人超す。

 10日=世界の感染者が1986万人超す(米国で506万人、ブラジルで303万人、インドで221万人、南アフリカで55万人、メキシコで48万人、ペルーで47万人、英国で34万人、イタリアで25万人、トルコで24万人超す)。死者が世界で73万1千人超す(米国で16万2千人、ブラジルで10万1千人、メキシコで5万2千人、インドで4万3千人、南アフリカやチリで1万人超す)。パキスタンは5か月ぶりに飲食店や映画館などの屋内での営業再開。日本の国内の感染者が4万9千人超す。

 11日=世界の感染者が2008万人超す(米国で511万人、ブラジルで305万人、インドで226万人、ロシアで89万人、南アフリカで56万人、メキシコで48万人、ペルーで47万人、英国で34万人、イタリアで25万人、トルコで24万人超す)。死者が世界で73万6千人超す(米国で16万3千人、メキシコで5万3千人、インドで4万5千人超す)。NZで102日ぶりに市中感染を確認、行動規制を導入。ロシアは国立研究所が開発した新型コロナウイルスのワクチンを承認。日本の国内の感染者が5万人超す。

 13日=世界の感染者が2062万人超す(米国で521万人、ブラジルで310万人、メキシコで49万人超す)。死者が世界で74万8千人超す(米国で16万6千人、ブラジルで10万3千人超す)。ドイツで新規感染者が増加。英国は新型コロナウイルスによる死者数の定義を変更し、約5300人を統計から除く。日本の国内の感染者が5万2千人超す。

 14日=世界の感染者が2090万人超す(米国で524万人、ブラジルで322万人、インドで246万人、ロシアで90万人、南アフリカで57万人超す)。死者が世界で75万5千人超す(米国で16万7千人、ブラジルで10万5千人、メキシコで5万5千人、インドで4万8千人超す)。スペインはナイトクラブなど閉鎖。中国はウイルス検出を理由にエビや鶏肉など冷凍食品に対する輸入規制を強化。日本の国内の感染者が5万4千人超す。

 15日=世界の感染者が2118万人超す(米国で533万人、インドで252万人、ロシアで91万人、メキシコで50万人超す)。死者が世界で76万1千人超す(米国で16万8千人、ロシアで1万5千人超す)。英国はフランスやオランダ、マルタなどからの入国者に2週間の自己隔離を課す。南アフリカは経済活動に関する制限を緩和。日本の国内の感染者が5万5千人超す。

 16日=世界の感染者が2145万人超す(米国で538万人、ブラジルで331万人、南アフリカで58万人、メキシコで51万人、スペインで36万人、イランで34万人超す)。死者が世界で76万4千人超す(米国で16万9千人、ブラジルで10万7千人、メキシコで5万6千人、インドで4万9千人超す)。日本の国内の感染者が5万6千人、死者が1100人超す。

 17日=世界の感染者が2173万人超す(米国で542万人、ブラジルで334万人、インドで264万人、ロシアで92万人超す)。死者が世界で77万5千人超す(米国で17万人、インドで5万人超す)。韓国のソウルなど首都圏で集団感染が多発。

 18日=世界の感染者が2195万人超す(米国で546万人、ブラジルで335万人、メキシコで52万人超す)。死者が世界で77万6千人超す(ブラジルで10万8千人超す)。フランスは職場でのマスク着用を義務付け。スペインは深夜の飲食店営業を禁止。日本の国内の感染者が5万7千人超す。

 19日=世界の感染者が2212万人超す(米国で550万人、インドで270万人、ロシアで93万人超す)。死者が世界で77万7千人超す(米国で17万1千人、メキシコで5万7千人、インドで5万1千人超す)。フィリピンはマニラ首都圏などの外出・移動制限措置を緩和。日本の国内の感染者が5万8千人超す。

 20日=世界の感染者が2243万人超す(米国で554万人、ブラジルで340万人、インドで276万人、南アフリカで59万人、メキシコで53万人超す)。死者が世界で78万5千人超す(米国で17万3千人、ブラジルで10万9千人、インドで5万2千人超す)。日本の国内の感染者が6万人超す。

 21日=世界の感染者が2270万人超す(米国で559万人、ブラジルで350万人、インドで283万人、スペインで40万人、英国で35万人超す)。死者が世界で79万1千人超す(米国で17万4千人、ブラジルで11万2千人、メキシコで5万8千人、インドで5万3千人超す)。シンガポールは入国制限措置を感染リスクの低い国・地域から緩和。日本の国内の感染者が6万1千人超す。

 22日=世界の感染者が2304万人超す(米国で564万人、ブラジルで353万人、インドで297万人、ロシアで94万人、メキシコで54万人、ドイツで23万人超す)。死者が世界で79万8千人超す(米国で17万5千人、ラジルで11万3千人、メキシコで5万9千人、インドで5万5千人、ロシアで1万6千人、南アフリカで1万2千人超す)。日本の国内の感染者が6万2千人超す。

 23日=世界の感染者が2305万人超す(南アフリカで60万人超す)。死者が世界で80万人超す。米国は回復した人の血液を投与する治療法を特別に認可。

 24日=世界の感染者が2343万人超す(米国で571万人、ブラジルで358万人、インドで304万人、ロシアで95万人、メキシコで55万人超す)。死者が世界で80万7千人超す(米国で17万6千人、ブラジルで11万4千人、メキシコで6万人、インドで5万6千人超す)。中国がワクチンの緊急投与を7月22日に正式に始めたことが判明。日本の国内の感染者が6万3千人、死者が1200人超す。

 25日=世界の感染者が2365万人超す(米国で575万人、ブラジルで362万人、インドで316万人、南アフリカで61万人、メキシコで56万人超す)。死者が世界で81万3千人超す(米国で17万7千人、ブラジルで11万5千人、インドで5万8千人超す)。日本の国内の感染者が6万4千人超す。

 26日=世界の感染者が2390万人超す(米国で579万人、ブラジルで366万人、インドで323万人、ロシアで96万人超す)。死者が世界で81万9千人超す(米国で17万8千人、ブラジルで11万6千人、メキシコで6万1千人、インドで5万9千人超す)。

 27日=世界の感染者が2418万人超す(米国で583万人人超す)。死者が世界で82万4千人超す(米国で17万9千人超す)。ドイツは電車などでのマスク着用を義務化し、大型イベントは年内禁止。日本の国内の感染者が6万5千人超す。

 28日=世界の感染者が2439万人超す(米国で584万人、ブラジルで371万人、インドで331万人、ロシアで97万人、メキシコで57万人超す)。死者が世界で82万8千人超す(米国で18万人、ブラジルで11万7千人、メキシコで6万2千人、インドで6万人超す)。仏はパリ全域で屋外でのマスク着用を義務化。日本の国内の感染者が6万6千人超す。

 29日=世界の感染者が2461万人超す(米国で588万人、ブラジルで376万人、インドで338万人、ペルーで62万人超す)。死者が世界で83万3千人超す(米国で18万1千人、ブラジルで11万8千人、インドで6万1千人超す)。日本の国内の感染者が6万7千人超す。

 30日=世界の感染者が2499万人超す(米国で597万人、ブラジルで380万人、インドで346万人、ロシアで98万人、メキシコで58万人超す)。死者が世界で84万人超す(米国で18万2千人、ブラジルで11万9千人、メキシコで6万3千人、インドで6万2千人超す)。NZは公共輸送機関内や航空機内でのマスク着用を義務化。日本の国内の感染者が6万8千人超す。

 31日=世界の感染者が2510万人超す(ブラジルで384万人、インドで354万人、ペルーで63万人、メキシコで59万人超す)。死者が世界で84万3千人超す(ブラジルで12万人、インドで6万3千人超す)。

2020年9月5日土曜日

サケの代わりにブリ

 函館港内で9月1日、イワシが大量死して浮いているのが見つかり、漁師や市職員らが回収・撤去作業に追われた。大量死していたのは港の奥のプレジャーボートなどを係留している岸壁近く。イワシは「津軽海峡でイナダに追われて港に逃げ込んだものの、水温が高いなかに多すぎる魚が入り、酸欠で死んだんだろう」と漁師。焼却処分するために回収されたイワシは10トン以上という。

 イワシを追ったというイナダはブリの子供。体長40〜60センチのものがイナダと呼ばれ、60〜80センチがワラサ、80センチ以上がブリと呼び名が変わる。函館など道南では近年、ブリの漁獲量が増えており、2019年には6608トン(前年比31%増)。函館近海では10年前の11倍に増え、ブリの漁獲量は不漁が続くスルメイカを上回った。

 ブリが増えているのは道南だけではなく道北やオホーツク海、道東でもブリの漁獲が増えている。これは海水温の上昇に伴って回遊海域が広がり、産卵場も日本海側、太平洋側ともに北上しているためという。北海道を代表する魚はサケだが、サケを狙う定置網にもブリがかかり、ブリのほうが多いことも珍しくなくなったとか。

 サケも不漁が続いているが、秋を代表する味覚であるサンマの極端な不漁も大きく報じられた。これも海水温の上昇が影響しているとされ、漁場が次第に遠くなり、沿岸から遠く離れた沖合でも漁獲量は少なく、秋の味覚は高値となった。サンマの不漁には別の要因も指摘されている。サンマが漁獲されていた漁場で大量のマイワシが獲れるようになっているので、魚種交代が進んでいるとの解釈だ。

 魚種交代とは、漁獲量が多い魚の種類が一定の周期で入れ替わる現象。サンマとマイワシはエサで競合関係にあり、マイワシは1990年代に日本近海から姿を消したが、現在は復活して大量に漁獲されている。魚種交代が起きる要因について諸説あるそうで、海水温の変化や、それに伴う植物プランクトンや動物プランクトンなどの増減、魚種による成長速度の差(成長が遅れた小さなほうが食われる)などが関係するとみられている。

 海水温の上昇は環境の破壊ではなく変化だ。海水温が上昇すれば、海水温が低い環境を好む魚は去り、海水温が高い環境を好む魚がやってくる。海水温の上昇を嘆く生物があるとすれば、自由に移動することができないサンゴなどだが、環境の変化に適応できなかった生物が滅びるのは地球の歴史において繰り返されてきた。北太平洋は海水温が寒冷期と温暖期を数十年周期で繰り返すことが知られ、魚種交代との関係も指摘される。

 サケやサンマ、スルメイカなどの漁獲量が減り続けている北海道の周辺で、ブリやマイワシ、サバなどの漁獲量が増えた。サケやサンマ、スルメイカなどは資源として減少したのか他の海域に移動したのか定かではないらしいが、サケの代わりにブリ、サンマの代わりにマイワシなどと海は、海水温が変化しても豊かな恵みを人間に与え続けている。

2020年9月2日水曜日

集中から分散へ

 新型コロナウイルスの感染拡大により様々な行動変容を強いられた人々はまた、「これって、なくてもOKなんだ」と数々の見直しできるものがあることに気がついた。例えば、都会での通勤。リモートワークで業務に支障がないと明らかになってしまうと、朝早く起きて、わざわざ満員電車に詰め込まれて通勤する意味が問い直される。

 企業にとっても、高い賃貸料を払って広いオフィスを構え、通勤手当を払って社員を一堂に集める意味が問い直される。「これって、無駄な出費なんじゃない?」と見るようになると旧来の習慣は捨てられよう。新型コロナウイルスの感染拡大の終息を見通すことができない状況が続いているので、なおさら“無駄”な出費の見直しは加速する。

 社員をサボらせず業務に専念させるためにオフィスに社員を集めて管理することが有効だったのだろうが、インターネットなどの高度化が新たな管理方法を可能にし、さらに成果主義が徹底されるなら全ての社員を就業時間はオフィスに閉じ込めておく意味が薄れる。賃貸料など固定費の削減は収益に寄与するから経営陣は歓迎するだろうな。

 東京の渋谷などIT関係のベンチャー企業が集まる地区では空室率が上昇し、新規募集の賃貸料は下がり始めているという。以前からオンライン化を行っていた企業が完全なリモートワークに移行し、オフィスの縮小に動いたと見られている。ベンチャー企業と違って大企業は簡単には動けないだろうが、無駄と分かったものをいつまでも続けることはしないだろう。

 少し大きな地震に襲われるたびに鉄道など交通機関が機能しなくなる東京に大企業もベンチャー企業も集まり続け、危機管理に無頓着とも見えた。だが、社員が集まることを新型コロナウイルスが制約し、リモートワークで業務が可能と判明したことが企業行動の変化を促す。東京に通う各企業の社員が少なくなれば、地震後に各駅に大量に滞留する帰宅待ちの人々が減ることにつながろう。

 都心の広大なオフィスに社員を集める集中型の企業スタイルから、都心の縮小したオフィスには限られた機能を残し、社員が各地に住んで業務を行うという分散型の企業スタイルへの転換が進むなら、日本社会にも変化が生じよう。集中から分散へ人々の意識も変わるなら、東京一極集中などの是正につながるかもしれないが、そうした変化への最大の抵抗勢力は霞ヶ関に集う官僚か。裁量権力の集中が官僚の地位を保つのだから、分散を嫌うだろう。

 東京への通勤者が減ると、飲食業や小売業などもビジネススタイルや立地などの見直しが必要になる。新たに需要が増えた地域などへ移転したり、リモートビジネスを活性化させたりするしかない。それはアルバイトなど学生の短期就業先の減少につながり、学生募集に影響が出てくれば大学なども東京集中を見直さざるを得ないだろう。

2020年8月29日土曜日

改正が意味するもの

 憲法の改正というと、改正の是非に問題が絞られるようだ。憲法を改正するか改正しないか、それだけが焦点となる。これはおそらく、「9条を守れ」との護憲派が、現行憲法にはいっさい手をつけさせないとの問題設定をしてきたので、それに影響されているのだろう。

 憲法の改正そのものに本来、価値判断は含まれていない。「憲法の改正=悪」とはいえず、改正の内容によって憲法の改正は、悪にも善にもなるだろう(悪や善の定義・判断は立場によって大きく異なる)。憲法の改正そのものが悪というのは政治的な主張の一つでしかない。

 1字1句変えてはならないと、憲法を神から託されたものであるかのように神聖視することは、憲法の機能を制限する。変化を続ける現実の中で人々は生きているのであり、国内外での大きな変化に対応できない憲法では、人々の暮らしに憲法を生かすことに制約が生じるだろう。

 現行憲法に変える個所はないとの主張が間違っているというのではない。国家権力が人々を抑圧しながら暴走した歴史を日本は持っているのだから、国家権力の独裁・暴走を許さず、民主主義体制を維持し、人々の権利を守ることが憲法には求められる。そうした面で現行憲法が機能していることは確かだ。

 おそらく護憲派は、国家権力の強化を目論む改憲の動きに対する危機感から、現行憲法の改正はいっさい許さないとの問題設定を行っているのだろう。それは、護憲派には、現行憲法をもっと理想的で現実的に機能する憲法に磨き上げる意思もプランも乏しいことを示す。

 もし護憲派が、もっと人々の権利や自由を尊重するために憲法を活用しようとしていたなら、憲法の改正をめぐる論議は、改憲派・護憲派の双方が改正案を出して人々の支持を競うものになっただろう。劣勢になったなら改憲派は、国家権力に対する制約が強まるのを嫌い、現行憲法のほうがまだマシだと護憲に転じるかもしれない。

 憲法の改正の内容ではなく改正そのものが悪であると護憲派が仕立てるのは、もっと憲法を良くする改正案を持っていないことと、護憲派が改憲派に押されていることを示す。護憲派の憲法に対する幻想と硬直した姿勢は、自分たちで憲法をつくらなかった過去から生じている。

2020年8月26日水曜日

食べ残しは禁止

 中国の湖北省武漢市の飲食業協会は、客が注文する料理数の限度を人数より1品少ない数字に設定した。例えば4人連れなら3品しか注文できない。さらに遼寧省では客が人数より2品少なくしか注文できないという。一皿に盛る量や種類に制限があるのかどうかは不明だ。江蘇省や重慶市などの公務員向け食堂では、食べ残しをチェックする監督員を置いたと報じられた。

 湖南省長沙にある人気レストランでは来店客に体重測定や個人情報の提供を求め、注文する料理を各自の体重に応じて決めるよう促していた。小柄な女性には肉料理などを、肥満男性には煮込みなどヘルシーな料理を勧めていたというが、ネット上で批判が広がり、謝罪に追い込まれた。客にそれぞれ適切なカロリー摂取を促しつつ食品ロスを減らすためだったと弁解し、今後は体重測定は客の自主性に任せるそうだ。

 客が多くの品数を注文し、食べきれずに残して廃棄することになったとしても客が料金を支払えばレストランに損害はなく、食べ残したとしても客が多く注文してくれたほうが客単価が上がるので歓迎だろう。なぜ客の多すぎる注文数や食べ残しを問題視し始めたのか。中国の飲食業者が環境意識に目覚め、食べ残しなど廃棄物の削減に真剣に取り組み始めた……わけではない。

 中国では宴席の料理は品数を多くし、食べきれない量を出すので食べ残すのが習慣化し、飲食店でも大量の食べ残しが出ているという。食べきれない品数を注文し、食べ残すのが贅沢の証で、そうした振る舞いをするのが客に対する素晴らしいもてなしだとみなす人々が多いから、そうした習慣が根づいたのだろう。食べ残すほどの食事=豊かさだと中国人の意識にこびりついているのかもしれない。

 中国の飲食業界が食べ残しに過敏になるのは、習近平国家主席が食べ残しは浪費で抑制すべきとする重要指示を行い、全国的な節約キャンペーンが始まったからだ。報道によると習氏は「飲食物の浪費を見ると心が痛む」「わが国は毎年豊作だが、食料の安全保障に危機感を持つことが必要だ。新型コロナウイルスの影響があり、警鐘を鳴らさなければならない」と、浪費を禁止する法律を制定し、飲食店の監督強化を指示し、社会全体で節約を尊ぶムードを作るよう促した。

 現在の中国の「皇帝」の指示とあれば、商売を行う人々は従わざるを得ず、中には進んで迎合する連中が出てくる。そうした連中が品数制限や体重測定などを思いつき、いいアイデアだと政府に誉められると期待して先走ったか。法にも何にも制約されない君臨する独裁権力の下では、経済活動は権力の意向を常に忖度しつつ、抜け駆けして儲けるチャンスを探る。

 政府主導の今回の「食べ残し禁止」キャンペーンは、今後の食糧不足に備えた動きだとの見方がある。新型コロナウイルスの感染拡大が世界の食糧生産や流通に影響を及ぼし、米国との関係悪化で大量の食料輸入に影響が及び、記録的な水害や蝗害により農作物の収穫が減少する懸念など不安要素が積み重なり、食料の安全保障が現実的な課題に浮上したという見立てだ。食料が不足するのを見越して事前に節約を始め、食いつなごうとの狙いかもしれない。

 中国人の食への意識は格別だと見えるので、政府の命令だとしても人々は食の楽しみへの干渉を歓迎しないだろうが、逆らうことはできないだろうから黙るしかない。せいぜいが、客の体重測定をするレストランを批判するぐらいか。独裁国家とは人々の食事の量さえ指示できるのだと示した今回の「食べ残し禁止」キャンペーン。自由がない国で人々は食事の量も監視される。

2020年8月22日土曜日

感染するもの

 新型コロナウイルスに感染していても無症状の人が相当多く、全米では感染例の4割になり、症状が出る前の人がウイルスをうつすケースは感染例の半数を占める(米疾病対策センター=CDC=の推計)。誰が感染させているのか分からず、感染がどう広がっているのかが見えないのだから、感染拡大の状況を正確に把握することは困難で、感染拡大を制御することなど現状では望むべくもない。

 感染していても無症状の人は、よほど不安に駆られるか陰性証明入手などの必要がない限り積極的にPCR検査を受けに行かないだろう。だから、PCR検査の対象を拡大して無症状の人を検査すると感染者を見つけ出して数がどんどん増える。無症状の感染者を見つけ出すことが感染拡大の制御につながるならいいのだが、社会から膨大な無症状の感染者を見つけ出して隔離するだけなら医療崩壊につながりかねない。

 発症前の人が最もウイルスを拡散しているとの見方もあるが、それをデータで示すのは簡単ではあるまい。発症前の人や無症状の人を日常生活で人々が見分けることは困難なので、感染を恐れるなら自分を含めて誰をも感染者だとみなして防御策を講じるしかない。誰が感染させているのか分からないが確かに存在するウイルスに人々は怯えている。

 目に見えないが確かに存在するウイルスや細菌。人々は症状が出て初めて感染を知るが、感染するものは他にもある。何かに影響されて染まるという意味でも感染という言葉は使われる。何かの主義や主張に感化された人が急に強硬な意見を言い始めたり、異論を批判しまっくたりなどと変化が現れると、感染したらしいと周囲の人に見えてくる。

 「かぶれてる」などと揶揄されたりするのは、主義や主張がまだ学習段階で自分の身についていない=自分の考えになりきっていないからだ。こちらの感染も、軽症で終わることもあれば時には重症化する。感染が短期間に終われば、当人は憑き物が落ちたかのように主義や主張を持ち出すことはなくなる。一方、主義や主張を自己の思想とすることができた人は活動家にうっかり変身したりする。

 ただし、何かに影響されて染まるという意味の感染は、体制や時流の価値観に従順に積極的に従う人に対しては使われない。「あいつは政府方針に感染した」「あいつは社長の考えに感染した」「あいつは時代の流れに感染した」などと感染の言葉を使って揶揄されることは少ない。安定した生活を脅かすものに取りつかれた場合にのみ感染という言葉を使うのは、ウイルスも主義・主張の感染も共通する。

 主義や主張に感染しても無症状の人はいる。主義や主張の正しさを認め、しかし、自らの意見としては表面に出さないから、側からは感染が分からない。こちらの感染は当人の思考に根を下ろし、以後の思考に影響を与える。こうした様々な感染を多くの人は取り込みながら、生きていく。何にも感染していない人はいない。

2020年8月19日水曜日

ひどい落ち込み

 各国が発表した2020年4~6月期の国内総生産(GDP)は軒並み大幅な減少となった。新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと実施したロックダウンなどにより個人消費が大きく落ち込み、観光業や旅客業、小売業、飲食業などで経済活動がほぼ停止した影響の甚大さが浮き彫りになった。

 発表された中で最も減少幅が大きかったのは英国。前期比で20.4%減と過去最大の経済減速となり、年率換算では59.8%減。英国はロックダウンなど感染拡大抑止対策の始動が欧州諸国より遅く、感染拡大が続いて経済活動再開が遅れた。GDPの約6割を占める個人消費が23.1%減で、企業投資は31.4%減、輸出は11.3%減。

 英国は当初、イタリアなどでの感染拡大にも危機感は薄く見え、集団感染戦略じゃないかとも疑われた。だが、国内で感染が急速に拡大したことで慌ててロックダウンなどに踏み切ったものの感染拡大は続き、感染者数でも死者数でも欧州諸国でトップ級になるなど対策の出遅れの代償は大きい。中央銀行であるイングランド銀行の金融政策報告書は「21年末までは回復しない」としたが、英経済がコロナ前水準に戻るには「少なくとも2~3年かかる」の見方もある。

 英国の経済落ち込みは欧州では最も大きい。4~6月期GDPの前期比減少率はドイツ10.1%(年率換算34.7%減)、フランス13.8%(同44.8%減)、イタリア12.4%(同41.0%減)、ユーロ圏12.1%(同40.3%減)と総崩れだが、これらより英国の20.4%(同59.8%減)はひどい状況だ。ちなみに米国は9.5%(同32.9%減)と感染者数、死者数ともに世界最多である割には経済の縮小度合いは小さい。

 日本の4~6月期GDPの前期比減少率は7.8%、年率換算で27.8%減。これはリーマン・ショック後の09年1~3月期の年率17.8%減を上回る大きな落ち込みで戦後最大という。マイナス成長は消費税率を10%に上げた19年10~12月期から3四半期連続で、まだ全国で感染拡大が続き人々の自粛モードが残るので経済の急回復は望み薄だから、マイナス成長が少なくとも1年間続くことは確実。

 日本経済は大きな落ち込みとなったが、欧米と比べるとマイナス幅は小さい。欧米が強制力を伴う厳格なロックダウンを行ったが、日本は政府が緊急事態宣言を出して人々の自覚を促して協力を得たため経済の落ち込みが比較的少なかったとか、感染拡大が欧米に比べて日本は軽度であったことなどが関係すると推察できるが、詳細は明らかではない。

 世界で新型コロナウイルスの感染拡大は続き、感染者は米国で540万人、ブラジルで330万人、インドで260万人、ロシアで90万人を超え、南米各国でも大幅な感染拡大が相次いでいる。感染が終息してから経済活動再開を本格化するのが望ましいだろうが、終息のメドは立たず、経済活動を再開しなければ総倒れになる。感染拡大が続き、感染者や死者の増加を織り込んで各国は経済再開を進める。個人は自衛するしかない。

2020年8月15日土曜日

国家の本質

 第1次大戦は国家による初めての総力戦だったとされる。遠くの戦場で常備軍と常備軍が戦う戦争に比べ、巨大な規模の壊滅戦となり、兵力補充や兵站のために多数の市民が徴兵され、兵器などの増産のため生産力が総動員されるとともに、戦争遂行のために精神面を含めて国民生活の統制が強化される。

 総力戦では大量破壊(大量消費)が継続するので大量生産が必要になり、国内でも大量動員が行われる。そうした体制を支えるために国内では常に戦意高揚をはかることが必要になり、文化なども戦争目的の正当化のために動員される。総力戦に反対する人は社会から排除されたりもする。

 総力戦は、前線が拡大する戦争でもある。航空兵器の発展もあって、地上の前線から遠い都市なども攻撃され、非戦闘員である市民も戦火に巻き込まれる。戦闘が空間的に拡大して大規模化し、戦争が総力戦になった。総力戦では、武器を持たない市民も攻撃対象になるとともに戦争遂行の協力者になる。

 第2次大戦も総力戦とされ、地球規模で大量破壊と大量殺戮が行われた。米国の大量生産が勝敗を決したともいえる戦争だったが、究極ともされる大量破壊兵器=核爆弾が開発され、実際に使用された戦争である。その後、核兵器を各国が保有したことにより大規模な戦争は相互の破滅になるため、総力戦という戦争形態は終わったとの見方もある。

 第2次大戦の後も戦争は世界でたびたび起きた。だが、兵器の補充は国内生産より外国からの援助に頼り、人々が周辺国に逃れて難民化することに加え、誘導兵器などの投入で大量破壊の範囲が制限されるとともに、地球規模での情報化の進展で政府主導の戦意高揚が簡単ではなくなったこともあり、従来の定義の総力戦を行うことは難しくなった。

 かつての総力戦は、壊滅戦に追い込まれた国家がその本質をさらけ出した姿ともいえる。戦争の勝利や国家の存続が最優先課題になり、「非常時」には個人より国家が優先することを剥き出しに示し、政府に集中した国家権力が人民や経済など国内の全ての資源を強制的に、あるいは半ば強制的に総動員した。

 国家の本質が変わっていないとすれば、壊滅戦は今後も起きるだろうから新たな総力戦が現れる。具体的な現れ方は様々だろうが、政府に国家権力を集中させ統制を強化することが基本になることは同じだ。ただし、情報や人々が流動化する世界に変化しているので、国家の統制の仕掛けは様変わりする。

2020年8月12日水曜日

ギャンブル必勝法

 次に来る自動車のナンバーや列車番号の奇数偶数、どこかを通過する次の人の性別など日常の中にも賭けの対象は無数にある。結果をコントロールできず、偶然性に任されている事象は大半が賭けの対象になる。


 そうした賭けはゲーム(遊び)としては容認されるが、換金が伴えば違法になる。日本で換金が合法とされる賭博は競馬や競艇、競輪、オートレースの公営競技と宝くじ、Totoだけだ。パチンコは事実上の賭博だが、換金を別店舗化することで存続を許されている。


 次に来る自動車のナンバーや列車番号の奇数偶数、どこかを通過する次の人の性別などを賭けの対象にする時、必勝法はある。それは事前に奇数偶数や性別を知ることであるが、そのための労力などを勘案すると現実性がない必勝法だ。


 換金を伴う賭けにも必勝法を匂わせる主張がある。公営競技には予想紙がつきもので、多くのスポーツ紙にも予想が載っている。書店にはロトなど宝くじの予想誌が並んでいる。それらの予想の当たる確率がどれほどかは知らないが、消えてなくならないのだから相応の成果?はあるのだろう。


 合法の賭博における必勝法も、事前に結果を知ることだ。だが、事前に結果を知ることは、未来を予知する能力が人間に備わっていなければ不可能だ。事前に結果を知るためには、先に結果を決めてレースや抽選を行うしかない。それは仕組まれたレースや抽選であり、八百長である(そうしたレースや抽選は存在しない前提で行われている)。


 レースや抽選の結果に何らかの決まったパターンがあるなら、必勝法は存在する。一定の周期で特定の数字が現れたり、何かの前兆を伴って特定の数字が現れたりするなら予測は可能だ。だが、何らかのパターンがあるかのように偶然に見えることもあり、偶然なのか法則性があるのか区別することは困難だろう。


 法則性があるなら必勝法は存在する。必勝法があるなら、予想紙や予想誌をつくって売って利益を得るよりも、その費用で馬券や宝くじなどを買って金を得たほうが、はるかに儲かるだろう。予想紙や予想誌が存在し続けていることは、必勝法が存在しないことを示す。これは、法則がないところに法則を見つけようとする遊びでもある。

2020年8月8日土曜日

春画や春本という文化

 落語にバレ噺というのがあって、寄席では幽霊噺の後に高座に上がった落語家が披露したりする。幽霊噺にゾッとした客に大笑いしてもらって、気分を変えるためだという。場所と時、相手を選ぶワイ談を皆で大笑いできる噺に仕立てるのが、落語家の鍛えた話芸だ。

 誰もが興味を持つのに、おおっぴらに語ることが憚れるのが性や性器に関する事柄。絵画や書物などにも性や性器を描いたものは古くから大量に存在するが、古今東西を問わず国家権力の取り締まり、弾圧の対象になってきた。権力が人々に押し付けるモラルの最も崩れやすい部分が性に関する事柄だ。

 権力が厳しく取り締まってきたのに春画や春本が現代に大量に伝えられているのは、それらを人々が隠れて大切に保有してきたからだ。浮世絵の春画には言葉の壁がなく、日本から流出した作品が欧米で人気だという。大英博物館など各国で展覧会が開かれたりもしている。

 権力は厳しく取り締まるから、春画や春本は密かにつくられる。明治以降も梅原北明のように度重なる発禁処分にめげず雑誌や書籍を刊行した人のほか、地下出版が盛んに行われてきた。そうした事情の一端をうかがい知ることができるのが『国貞裁判・始末』(林美一・阪本篤・竹中労の共著。三一書房。1979年)だ。

 これは雑誌『噂』連載の「口伝・艶本紳士録」を収録したもの。阪本篤氏は「発禁に屈せず“艶本”に賭ける男」で、出版人いや“本屋”の心意気を貫き通して生き、不特定多数の人々ではなく特定少数の研究家、好事家を相手に細部まで凝った本をつくり続けた。

 『国貞裁判・始末』では地下出版を含む様々な出版物が取り上げられ、つくった人々や著者・画家、そうした出版物を収集する人々のほか、取り締まりの実態と取り締まりから逃げたり、闘った人々などについて語られる。坂本氏自身が収集家であり研究者であるので、その語る情報量は膨大にもなる。

 例えば、有名作家に関係する箇所を抜き書きすると、たちまち次のような個所が目に入る。

 ▽芥川龍之介作といわれている黙陽生の『赤い帽子の女』『暗色の女の群れ』。 ▽斎藤昌三がひっかかったのは『明治文芸側面抄』というヤツだけ。志賀直哉の『濁った頭』とか発禁になった明治文芸の問題の個所だけを集めたもの。 ▽永井荷風の『腕くらべ』は一般市販しているヤツは二万四千字抜けている。その二万四千字の入っている私家版は五十部。  ▽永井荷風は、欠字の部分も私家版には全部書いている。芥川龍之介は『お富の貞操』を書いても、“以下何百字欠字”なんて部分は、もともと書いていない。芥川には、そういう洒落っ気がある。

 春画や春本なども日本の文化の重要な一面であることを実感させる『国貞裁判・始末』。政府高官や華族、財界人などにも地下出版物の顧客が多く、金払いが良かったなんてことも語られている。

2020年8月5日水曜日

協調より自己主張

 感染拡大を抑止するため世界で人々は「対人距離(ソーシャル・ディスタンシング)を確保せよ」と要請されている。感染者であるかもしれない他人の吐いた息を空気と一緒に吸い込むことを避けるためで、商店などでの間隔を開けた行列や劇場などで観客がバラバラに座る光景はもう珍しくはなくなった。

 間隔を開けてバラバラになることを好む国家も増えてきた。間隔を開ける対象は他国であり、協調よりも自国の主張を貫くことを選ぶ国家は、各国からの批判をものともしない。グーローバリズムが喧伝され、FTAで各国が経済的な結びつきを強め、EUなどのように国家を超える連合体が影響力を拡大し、国家の存在が希薄になったかと見えたが、簡単には国家は強権を手放さない。

 協調より自己主張を優先することは国家にとって当然だ。協調したほうが自国の利益になる場合にのみ協調が選択されるはずだが、国家の利益は様々あり、経済的利益が政治的利益より重視されることがグローバリズムの名の下で横行した。国家が政治的利益を優先させるようになったのは、各国が十分に豊かになり、自己主張を我慢して得られる協調する利益が相対的に小さくなったことも関係している。

 米国は自国第一主義で行動し、英国はEUを離脱し、中国は世界の分割支配を目指す動きを強め、トルコはEU加盟を諦めてイスラム強国としての再興に動き、ロシアは周辺国への干渉を強めながら反欧米の立ち位置を維持するなど、自己主張を優先する国家が続出している。グローバリズムが後退し、他国との政治的な協調を探る動きの価値が下がったかと錯覚させる世界になった。

 グローバリズムは巨大資本にとって好都合な仕組みだった。個別国家は巨大資本を制御できなくなり、巨大資本にとって国境の制約はほぼなくなり、個別国家の存在感は薄れるばかりだった。利益を求めて世界を動き回る巨大資本に対して人々は無力であり、巨大資本に制約を課すことができるのは国家しかないが、今のところ、自己主張を強める国家は巨大資本に立ち向かう姿勢は見せない。

 自己主張を強める国家はいずれも個性的な指導者を擁する。独裁者と揶揄されるほど強権を振るったり、ポピュリストと批判されたりと様々だが、自己主張を強める国家の復活に指導者の強い個性が関係していることは確かそうだ。中国を除く各国には有権者の審判があるので、対外的な存在感を強めることで国内における矛盾から有権者の目を逸らさせる計算もあるだろう。

 親密になるほど対人距離は小さくなるのが自然だった人々が、他人との間隔を開けるのはウイルス感染を恐れるからだ。自己主張を強めた国家が他国との間隔を開けるのは、孤立をも辞さずとの態度に見える。「(国際的な)連帯を求めて孤立を恐れず」ではなく「孤立を求めて連帯を恐れず」への転換か。政治的なグローバル化の実態が脆いものであったことを、自己主張を強めた国家の続出は物語っている。

2020年8月2日日曜日

ドキュメント「パンデミック7月」

 世界における新型コロナウイルスの感染者数は7月1日の1048万人から31日には1729万人と感染拡大の勢いは増している。死者数は1日に50万9千人を超え、31日には67万3千人を超えた。第1波のピークが過ぎた各国では経済活動が徐々に再開され、人々の移動が増えるとともに感染が再拡大している。
 <7月> 1日=世界の感染者が1048万人超す(米国で265万人、ブラジルで136万人、インドで56万人超す)。死者が世界で50万9千人超す(米国で12万7千人、ブラジルで5万8千人超す)。EUは15カ国から観光客や出張者を受け入れ。豪メルボルンは外出制限を再導入。米NY市などは飲食店の屋内での営業再開を延期。タイは休業措置を全業種で解除。世界の新規感染者数は21万8千人と感染拡大が加速。
 2日=世界の感染者が1070万人超す(米国で270万人、ブラジルで140万人、ロシアで65万人、インドで60万人超す)。死者が世界で51万5千人超す(米国で12万8千人、ブラジルで5万9千人超す)。米国の新規感染者数が5万3千人と感染が再拡大。
 3日=世界の感染者が1089万人超す(米国で275万人、ブラジルで144万人、ロシアで66万人超す)。死者が世界で52万人超す(米国で12万9千人、ブラジルで6万人超す)。英国は入国時に課していた14日間の自己隔離を59国・地域について解除。米国の新規感染者が約5万7500人で3日連続の記録更新。
 4日=世界の感染者が1110万人超す(米国で281万人、ブラジルで153万人、インドで64万人、ペルーで29万人超す)。死者が世界で52万5千人超す(ブラジルで6万3千人、英国で4万4千人超す)。スペイン北東部カタルーニャは感染急増でロックダウン。
 5日=世界の感染者が1129万人超す(米国で285万人、ブラジルで154万人、ロシアで67万人超す)。死者が世界で52万9千人超す。英国でパブの営業が再開。
 6日=世界の感染者が1142万人超す(ブラジルで157万人、ロシアで68万人、インドで70万人、メキシコで25万人超す)。死者が世界で53万2千人超す(ブラジルで6万4千人、メキシコで3万人超す)。豪部ビクトリア州は隣接するニューサウスウェールズ州との州境を閉鎖。仏ルーブル美術館が約4カ月ぶりに再開。
 7日=世界の感染者が1164万人超す(米国で295万人、ブラジルで162万人、インドで71万人、ペルーで30万人超す)。死者が世界で53万6千人超す(米国で13万人、インドで2万人超す)。ブラジルのボルソナロ大統領が陽性反応。イスラエルで感染が再拡大。日本で国内の感染者が2万人超す。
 8日=世界の感染者が1180万人超す(米国で301万人、ブラジルで164万人、インドで72万人、ロシアで69万人超す)。死者が世界で54万2千人超す(米国で13万1千人、ブラジルで6万5千人、メキシコで3万1千人超す)。豪メルボルン市は外出規制を再導入。アフリカ大陸での累計感染者が50万人を超す。この日の全米の新規感染者が6万人を超す。
 9日=世界の感染者が1208万人超す(米国で302万人、ブラジルで166万人、インドで76万人超す)。死者が世界で54万8千人超す(ブラジルで6万6千人、英国で4万4千人、メキシコで3万2千人、インドで2万1千人超す)。この日の全米の新規感染者が6万5千人を超す。東京で感染者増加が続く。
 10日=世界の感染者が1226万人超す(米国で311万人、ブラジルで175万人、インドで79万人、ロシアで70万人、ペルーで31万人、メキシコで27万人超す)。死者が世界で55万4千人超す(米国で13万3千人、ブラジルで6万9千人、メキシコで3万3千人超す)。
 11日=世界の感染者が1249万人超す(米国で320万人、ブラジルで180万人、インドで82万人、ロシアで71万人、メキシコで28万人超す)。死者が世界で56万人超す(米国で13万4千人、ブラジルで7万人、メキシコで3万4千人、フランスで3万人、インドで2万2千人超す)。沖縄の米軍基地で60人超の感染者が判明。
 12日=世界の感染者が1275万人超す(米国で326万人、ブラジルで183万人、ロシアで72万人、ペルーで32万人、英国で32万人超す)。死者が世界で56万3千人超す(ブラジルで7万1千人超す)。米フロリダ州のディズニーテーマパークが4か月ぶり営業再開。スペインのカタルーニャ自治州は西部の住民20万人以上を対象に外出禁止令。
 13日=世界の感染者が1293万人超す(米国で331万人、ブラジルで186万人、インドで87万人、メキシコで29万人超す)。死者が世界で56万7千人超す(米国で13万5千人超す)。米カリフォルニア州は飲食店や映画館、動物園、美術館などの屋内営業を禁止。
 14日=世界の感染者が1316万人超す(米国で338万人、ロシアで73万人超す)。死者が世界で57万1千人超す(ブラジルで7万2千人、メキシコで3万5千人超す)。英国とフランスはマスク着用義務の対象を拡大。この日の米国での新規感染者が6万7000人超す。韓国での調査で抗体の保有率は0.033%(集団免疫を形成するのは事実上不可能と保健福祉相)。日本の国内での感染者が2万2千人超す。
 15日=世界の感染者が1337万人超す(米国で344万人、ブラジルで188万人、インドで90万人、ペルーで33万人、メキシコで30万人超す)。死者が世界で57万7千人超す(米国で13万6千人、英国で4万5千人超す)。この日の世界の新規感染者が23万人超す。香港はコロナ規制を再び強化。東京都は警戒レベルを最も深刻な「感染が拡大」に引き上げ。
 16日=世界の感染者が1359万人超す(米国で351万人、ブラジルで192万人、インドで93万人、ロシアで74万人、メキシコで31万人超す)。死者が世界で58万3千人超す(米国で13万7千人、ブラジルで7万4千人、メキシコで3万6千人超す)。米国でこの日の感染者が7万7255人。日本の国内での感染者が2万3千人超す。
 17日=世界の感染者が1390万人超す(米国で359万人、ブラジルで200万人、インドで100万人、ロシアで75万人、南アフリカで30万人超す)。死者が世界で58万8千人超す(米国で13万8千人、ブラジルで7万6千人、イタリアで3万5千人、インドで2万5千人超す)。日本の国内での感染者が2万4千人超す。
 18日=世界の感染者が1407万人超す(米国で366万人、ブラジルで204万人、ペルーで34万人、南アフリカやメキシコで33万人超す)。死者が世界で60万人超す(米国で13万9千人、ブラジルで7万7千人、メキシコで3万7千人、ロシアで1万2千人超す)。
 19日=世界の感染者が1429万人超す(米国で372万人、ブラジルで207万人、インドで104万人、ロシアで76万人、南アフリカで35万人、イランで27万人超す)。死者が世界で60万1千人超す(ブラジルで7万8千人、メキシコで3万8千人、インドで2万6千人超す)。香港は屋内公共施設でもマスク着用を義務化。
 20日=世界の感染者が1449万人超す(米国で379万人、インドで107万人、ロシアで77万人超す)。死者が世界で60万4千人超す(米国で14万人超す)。米NY市で経済活動の制限緩和。
 21日=世界の感染者が1472万人超す(米国で385万人、ブラジルで211万人、インドで111万人、南アフリカで36万人、ペルーで35万人、メキシコで34万人、チリで33万人、スペインで28万人、イランで27万人、サウジアラビアで25万人、トルコで22万人超す)。死者が世界で60万9千人超す(ブラジルで8万人、メキシコで3万9千人、インドで2万7千人、ペルーで1万3千人超す)。オーストリアは公共の場でのマスク着用を義務付け。米トランプ大統領が国民にマスク着用を呼びかけ。米カリフォルニア州で感染者が40万人突破( NY州に次いで2番目)。
 22日=世界の感染者が1500万人超す(米国で391万人、インドで115万人、ロシアで78万人、南アフリカで37万人超す)。死者が世界で61万6千人超す(米国で14万2千人、ブラジルで8万1千人超す)。日本の国内での感染者が2万6千人超す。東京都の感染者は累計で1万人超す。
 23日=世界の感染者が1524万人超す(米国で398万人、ブラジルで227万人、インドで119万人、南アフリカで39万人、ペルーで36万人、メキシコで35万人、イランで28万人、アルゼンチンで14万人超す)。死者が世界で62万5千人超す(米国で14万3千人、ブラジルで8万2千人、メキシコで4万1千人、ペルーで1万7千人超す)。日本の国内での感染者が2万7千人超す。
 24日=世界の感染者が1552万人超す(米国で407万人、インドで128万人、ロシアで79万人、南アフリカで40万人、メキシコで37万人超す)。死者が世界で63万2千人超す(米国で14万4千人、ブラジルで8万4千人、インドで2万9千人、イランで1万5千人超す)。英国が小売店などでもマスク着用を義務化。ベトナムで100日ぶりに新規感染者。日本の国内での感染者が2万8千人超す。
 25日=世界の感染者が1562万人超す(米国で410万人、ブラジルで228万人超す)。死者が世界で63万4千人超す。日本の国内での感染者が2万9千人超す。
 26日=世界の感染者が1606万人超す(米国で419万人、ブラジルで239万人、インドで138万人、ロシアで80万人、南アフリカで43万人、メキシコで38万人、チリで34万人、スペインで29万人、パキスタンで27万人、アルゼンチンで15万人超す)。死者が世界で64万4千人超す(米国で14万6千人、ブラジルで8万6千人、メキシコで4万3千人、インドで3万1千人、ペルーで1万8千人、ロシアで1万3千人超す)。米フロリダ州の感染者数が42万3800人(NY州を抜き、カリフォルニア州に次ぐ)。米カリフォルニア州で感染が再拡大。中国の大連市は全市民にPCR検査。
 27日=世界の感染者が1625万人超す(米国で424万人、ロシアで81万人超す)。死者が世界で64万7千人超す。香港は外食を全面禁止し、マスク着用を義務化 。日本の国内での感染者が3万人超す。
 28日=世界の感染者が1650万人超す(米国で431万人、ブラジルで244万人、インドで148万人、南アフリカで44万人、メキシコで39万人超す)。死者が世界で65万3千人超す(米国で14万8千人、ブラジルで8万7千人超す)。中国本土でこの日の新規感染者が100人超す。
 29日=世界の感染者が1676万人超す(米国で437万人、ブラジルで241万人、ロシアで82万人、南アフリカで45万人超す)。死者が世界で65万9千人超す(米国で14万9千人、メキシコで4万4千人超す)。フランスやスペインなどで感染者が再び増加。タイは非常事態宣言を8月末まで延長。イタリアは10月まで非常事態宣言を延長。日本の国内での感染者が3万1千人超し、死者が1千人超す。
 30日=世界の感染者が1704万人超す(米国で444万人、ブラジルで255万人、インドで153万人、南アフリカで47万人、ペルーで40万人、南メキシコで40万人、チリで35万人、英国で33万人、スペインで30万人、イランで29万人、サウジアラビアで27万人超す)。死者が世界で66万3千人超す(米国で15万1千人、ブラジルで9万人、英国で4万6千人、メキシコで4万5千人、インドで3万4千人超す)。ベトナムで約3か月ぶりに感染確認。日本の国内での感染者が3万4千人超す。
 31日=世界の感染者が1729万人超す(米国で451万人、ブラジルで261万人、インドで163万人、ロシアで83万人、南アフリカで48万人、メキシコで41万人、イランで30万人超す)。死者が世界で67万3千人超す(米国で15万2千人、ブラジルで9万1千人、メキシコで4万6千人、インドで3万5千人超す)。英国は規制緩和策を延期。ベトナムで初の死者。日本の国内での感染者が3万6千人超す。

2020年8月1日土曜日

やられたら、やり返す

 米国がテキサス州ヒューストンにある中国の総領事館の閉鎖を求め、大慌てで館員が機密文書とみられる書類を燃やす光景が話題になり、7月24日までに荷物を運び出し、館員は撤収した。やがて米政府当局者らしき人々が建物に入ったと報じられた。

 閉鎖を求めた理由として米国は、総領事館が①米国に対する「破壊活動に長く関与してきた」、②米国の知的財産を窃取する一大拠点(米研究機関にいる中国人のスパイにどんな情報を盗むべきかを具体的に指示)、③香港の民主派活動家を批判する活動や、中国の反体制派を本国に強制送還するチームの滞在拠点になっていたなどとする。

 中国は24日、四川省成都市にある米国の総領事館を3日以内に閉鎖するよう求め、「米国のとった理不尽な行動への正当で必要な対応だ」と対抗措置であることをあからさまにし、「米国の館員が中国の内政に干渉し、安全を損なう活動をした」と主張した。米国総領事館は27日に閉鎖され、中国当局が米総領事館に入り接収したという。

 中国のとった行動や主張は、米国のそれを真似していると見える。総領事館をひとつ閉鎖させ、館員の退去後に占有する。自国に害をなす行為の拠点になっていたと閉鎖を正当化する。ただし、米国の主張に比べて中国の主張に具体性が乏しいのは、大慌てで作成したものだったからか(情報公開が求められる米国と情報統制が基本の中国という違いも大きい。つまり中国では当局の情報は検証されず、真贋は問われない)。

 バカと言われたらバカと言い返し、ツバを吐きかけられたらツバを吐きかけ返し、肩を押されたら肩を押し返し、1発殴られたら1発殴り返す……やられたら、やり返すという方法は相手から甘く見られず、対等に振舞うためには欠かせない。ただ、1発殴られたら、つい2発殴り返したりしてエスカレートしやすいのが難点だ。対立しながら冷静さを保つことができなければ、すぐにエスカレートする。

 外交においても「やられたら、やり返す」戦略をとる国は多い。一方的に批判されても小声でムニャムニャと言うだけだったり、領土や領海が脅かされても退去を求める呼びかけしか行わない国に対して、一方的な批判を止める国はないだろうし、領土や領海を侵犯することをやめる国はない。批判されたら批判し返し、領土や領海を侵犯されたなら追い出しにかかる国が世界では一般的だ。

 中国の今回の外交は米国に対して「やられただけを、やり返す」を実行したように見える。欧米主導の世界秩序に中国が挑んでいると見える昨今だが、米国に対して中国は慎重に振る舞う。米国以外の国に対して中国は一方的な批判や行動をし、エスカレートも辞さないとの態度をちらつかせるが、米国に対しては冷静にエスカレートを自制する。米国が「やられたら、倍にして、やり返す」国であることを知っているのだろう。

2020年7月29日水曜日

集団免疫

 伝染性のウイルスに対する免疫を獲得した人が増えて、そのウイルスに感染しにくい人が増えると感染の広がりが穏やかになり、免疫を獲得した人が十分な数に増えると社会での感染の広がりが抑制されるというのが集団免疫。これは①ウイルスに感染した人は免疫を獲得する、②獲得した免疫は保有され続ける、③獲得した免疫が更なる感染を阻止するなどが前提だ。

 新型コロナウイルスに対しても集団免疫が有効だとして、厳しい対策を取らなかったとされるのがスウェーデン。人々の外出を制限せず、飲食店や小売店の営業を認めるなど経済活動を続けさせた。強制的に人々の外出を制限して経済活動を停止させた欧州各国の厳しいロックダウンとは対照的な対策だった。

 スウェーデンの感染者数は7万8997人、死者数5697人(7月25日現在。以下同)。隣国のノルウェー9085人、255人、フィンランド7380人、329人で感染者、死者ともにスウェーデンより少ないので、スウェーデンの対策は失敗だったとも見える。ノルウェーもフィンランドも4月から人々の移動を制限し、学校を閉鎖、商店の営業を停止させるなど厳格な対策をとった。ちなみに人口はスウェーデン1003万人でノルウェー(537万人)、フィンランド(553万人)のほぼ2倍。

 英国(感染者32万8529人、死者4万677人)、スペイン(29万275人、2万8432人)、イタリア(24万5590人、3万5097人)、フランス(21万5376人、3万192人)、ドイツ(20万4193人、9083人)などと比べると、感染者数も死者数も少ないスウェーデンの対策が失敗だったとは言い切れない。だが人口は英国6753万人、フランス6512万人、イタリア6055万人、スペイン4673万人、ドイツ8351万人なので、10万人あたりで見るとスウェーデンの感染状況は各国より悪いといえる。

 スウェーデンでは感染者が増え、高齢者の死者が多く、人々の抗体保有率はあまり上昇していないため、集団免疫を目指した対策は失敗だったとの批判が出た。抗体保有率は首都ストックホルムで7.3%と人口の6割以上とする集団免疫の目標には遠く及ばない。集団免疫を獲得するには更に感染を拡大させておかなければならず、死者は5万人に達するとの見方も出ている。

 感染者や死者が増えたからといってスウェーデン政府は戦略を変えることはできまい。これから厳しい対策に転換しても感染者、死者が減る保証はなく、政府の対策がぶれると批判が余計に高まるだけだ。厳しい対策を取らなかったことでスウェーデンの経済的な落ち込み幅は欧州各国より少ないと予想されており、集団免疫が経済面を重視した戦略だとすれば変更する必要はないだろう。

 感染者や死者を1人でも少なくすることを重視するなら、集団免疫を目指す戦略は無慈悲とも解釈できる。一方でスウェーデンの対策は興味深い社会実験である。感染の拡大状況や人々の抗体獲得・保有状況などのデータは世界にとっても貴重であり、今後の感染症対策で集団免疫という対策の有効性を判断する材料になろう(ただし、致死率が高い感染症に対して集団免疫の獲得を目指すのは社会的な自殺になる)。

2020年7月25日土曜日

新しい党名

 日本では政党名に「民主」がつく政党は過去にも現在も数多く存在する。民主という言葉には肯定的な政治イメージがあるから、好んで採用されてきたのだろう。野党は好んで民主を政党名につける傾向があり、民主がつく政党数を増大させてきた。だが、民主を冠する政党の最大手は自由民主党で長らく政権を握っている。

 民主という言葉を好む政治家が多いから、民主という言葉は政党名に多く採用されてきたのだろうが、民主という旗のもとに集まった政治家が、必ず民主主義を尊重し、人民の意向を常に最大限に優先して政治活動を行っていたかというと、評価は割れるだろう。社会には常に分断があり、民主主義の解釈次第で政治家の言動の許容範囲はどうにでも広がる。

 そんな日本で民主がつく政党がまた一つ現れそうな気配だが、どんな政党名になるのか揉めている。立憲民主党か民主党か……どちらにしても新鮮味は希薄だ。もちろん政党名に鮮度は必要なく、群れ集う政治家らの共有する理念を表す政党名にすべきだろうが、バラバラの主張を言い合うことを保証するのが民主という言葉なら、いずれまた分裂するだろうな。

 どうやら民主を政党名につけることでは異論はないようだから、民主を使った新しい政党名に思い切って変えてみるテもある。例えば、分裂した政治家がまた集まったのだから「再生民主党」とか「再起民主党」「再チャレンジ民主党」。新しさを強調するなら「新生民主党」、野党結集の歴史を踏まえるなら「三代目民主党」だ。

 伝統を強調するなら「元祖民主党」や「本家民主党」「本当の民主党」。当面の選挙でウケることを重視するなら「みんなの民主党」とか「我らが民主党」「あなたの民主党」。反自民の票を集める狙いなら「とりあえず民主党」とか「Go to民主党」「帰ってきた民主党」。でも、人々からは「出戻り民主党」とか「寄り合い民主党」「群れる民主党」「またまた民主党」なんて皮肉られそうだ。

 政府批判以外には“無力”な野党に対する人々の厳しい視線に、「おなじみ民主党」とか「連れ合う民主党」「ぶり返す民主党」「また集まった民主党」と居直って苦笑を誘うテもあるか。自民党政治を本当に変える政党だとせめて名前だけでも強調するためには「改革民主党」「革新民主党」などと既成政治を変えると強調するのが手っ取り早い。だが、改革や革新などの言葉は散々使われてきたから、もう色あせているかもしれないな。

 「任侠民主党」なら強そうだが、暴力団同様に離合集散のイメージもまとわりつく(政治的に暴力団を容認するような決定はできないか)。政党を渡り歩く政治家が多すぎたり、安易に新党をつくりすぎるから、民主という言葉が霞んでしまう。いっそ政党名を「最後の民主党」として、力強く、人々のために全力で励む政治家や政党の姿を年中、日常的に見せてほしいものだ。それが最強の選挙対策でもある。

2020年7月22日水曜日

治山治水

 中国の南部、長江(揚子江)流域など広域で6月から記録的な豪雨が続き、本土31省のうち27省に洪水などの被害が及んだという。被災者は3800万人、1500万人以上が避難を強いられ、約3万棟の家屋が倒壊などの被害を受け、約350万haの農地に影響が及んでいるという。長江流域では平均雨量が過去60年で最多になったと報じられた。

 長江の中下流や散在する湖などで水位の上昇が続き、400以上の河川で水位が警戒ラインを超し、観測史上最高水位となった河川は数十で、氾濫した河川も多いという。江西省にある中国最大の淡水湖の鄱陽湖でも最高水位が記録され、流れ込む河川が多く、増水した長江からも逆流するので鄱陽湖の水位の上昇は今後も続いて水没範囲が拡大すると見られている。

 長江の中流にある三峡ダムは世界最大ともされる巨大ダムだ。記録的な豪雨の時こそ治水効果を発揮し、人々に安心感を与えることが求められるはずだが、放水量は減らしたというのに三峡ダムの下流地域では増水が続き、その治水効果に疑いの目が向けられている。さらには大量の増水に三峡ダムが耐えることができるのかという疑念や、三峡ダムが部分的に歪んだことが不安を呼び、崩壊説さえささやかれているとか。

 中国や日本など世界各国で毎年、集中豪雨による洪水や土砂崩れ、崖崩れなどで多くの人々が被災している。集中豪雨が増えたり雨量が増えたのは「温暖化のせい」と納得する人々も多いようだが、温暖化が降水量の増加をもたらすメカニズムについて具体的に理解している気配は希薄で、何となく温暖化と結びつけて納得している様子は科学的とは言えない態度だ。温暖化を持ち出せば思考停止になる人々……不思議な光景だ。

 治山治水は国の基という言葉がある。山も水(河川)も個人の手に負えない対象だから、山を治め水を治めることは権力者の責務になる。山を治めるためには森林伐採の規制や植林、地盤の強化や保護、地滑りや土砂流出防止の土留めなどが必要で、水を治めるためには堤防の整備、分水路の新設など水路整備、ダム建設、貯水池や遊水池の新設などが行われる。自然に立ち向かうには個人は無力だから、国家などの出番とならざるを得ない。

 しかし、現代では国家予算の支出は厳しく監視される仕組みで、道路や公共施設の整備や新設、産業振興などに比較して即座に「恩恵」が見えにくい治山治水に投じられる国費は限定的だ。洪水や山崩れなどで被災したあとに人々は治山治水対策の増強を求めるが、平穏な日常が続くと人々は無関心になるとも見える。さらに、全国の山や河川で災害を起こす可能性がある個所は膨大に存在するだろうから、限られた治山治水予算では「災害に強い国土」の実現は簡単ではない。

 現在の国家はどこも災害に脆弱に見える。それを人々に納得させるためには、温暖化によって自然災害が頻発し、規模が大きくなったという説明が便利だ。温暖化で自然災害が頻発するなら、治山治水対策に各国はもっと積極的にならなければならないだろうが、目立った動きは聞こえてこない。自然災害に「無力」な国家を見て人々は、「治山治水は国の基」は遠くなりきと嘆くのみか。

2020年7月18日土曜日

妙な現実味

 米国で今年11月3日に大統領選挙の投開票が予定されている。例年なら、民主・共和の両党が選挙集会を各州で相次いで開催し、支持基盤を固めるとともに、支持拡大を求めて大統領候補者たちが激しい舌戦を繰り広げる。だが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大で両陣営ともに「自粛」を余儀なくされ、例年とは様変わりだ。

 経済が好調だったことから現職大統領のトランプ氏の再選が確実そうに見えていたが、感染拡大とロックダウンなどで経済活動がほほ停止し、失業率が跳ね上がったことなどから再選の行方は不透明になった。世論調査ではトランプ氏への支持率が低下して民主党候補のバイデン氏に逆転され、感染拡大に適切に対応できなかったこともあって支持率の差は開きつつあるという。

 だが、世論調査の結果に左右されるようなトランプ氏ではない。バイデン候補の支持率がトランプ氏を14ポイント上回ったとするCNNテレビに対してトランプ陣営は「フェイクだ」とし、訂正と謝罪を要求したという。世論調査の結果をもフェイクだとする感覚は、事実に反するからフェイクだというのではなく、気に入らないものをフェイクとして批判・否定する感覚だ。

 1つのポストを2人が争う選挙戦では互いに激しく攻撃し合うものだが、トランプ氏の攻撃姿勢は際立っている。相手に対する尊敬を装わず、相手の尊厳を平気で傷つけるようなトランプ氏の言動もあって、その攻撃姿勢は見苦しくも映るが、支持者にはウケるようだ。分断を煽り、敵と味方を分け、敵への攻撃を強めることで味方の支持を固める戦略だが、分断のタネは内外に多いので、次々と敵を設定して攻撃することで分断を増やし、支持者も増やす。

 そんなトランプ氏が11月の大統領選挙の前に候補を降りるとの噂が米国で出ているという。再選の見込みがないとハッキリすれば、負ける姿をさらすだけの選挙戦に興味を失い、「や〜めた」と投げ出しかねないと共和党陣営でささやかれ始めたとか。この噂をトランプ氏が「フェイクだ」と否定したというニュースはまだ伝わっていない。

 投票による選挙の結果は、候補者の主観で誤魔化すことはできず、「フェイクだ」と批判したところで米国での選挙結果が変わるわけではない(ロシアなどでの選挙結果に対しては、不正があったと批判できようが)。自尊感情が強いとされるトランプ氏が、「スリーピー・ジョー」とさんざん嘲笑ってきたバイデン氏に負けることが明確になれば、それでも選挙戦を続けてトランプ氏が潔く敗者を演じることができるのか。撤退話に妙な現実味がある。

 前任のオバマ氏以上にトランプ氏は「チェンジ」を実現した。いくつもの国際的な取り決めを破棄し、国際機関から脱退し、移民の流入を制限し、メキシコとの国境に壁を建設し、所得税や法人税を減税し、エネルギー資源開発の規制を緩和するなどで、確かにトランプ大統領は変化をもたらした。そうした変化の評価はさておき、トランプ大統領の変化の実行力は、敵とみなした側への配慮を放棄したことにある。撤退を決断するときにもトランプ氏は、自らの陣営に対する配慮など一顧だにしないだろう。

2020年7月15日水曜日

祭りがない夏

 今年は、青森ねぶたや仙台七夕まつり、秋田竿燈まつり、盛岡さんさ踊り、山形花笠まつり、祇園祭の山鉾巡行、岸和田だんじり祭、阿波おどり、よさこい祭り、博多どんたく港まつり、博多祇園山笠、隅田川花火大会、長岡市の花火大会など全国的に知られ、多くの観光客を集める催しの中止が相次いでいる。

 全国的な知名度はなくても祭りや花火大会は全国の市町村でそれぞれ開催されている。それらは夏の風物詩となって、楽しみにしている地域の人々も多いだろう。今年は、それらも大半が中止となった模様だ。東京に限っても、高円寺阿波おどり、錦糸町河内音頭大盆踊り、富岡八幡宮例祭、阿佐谷七夕まつり、浅草サンバカーニバル・パレード、日比谷大江戸まつりなどの中止が決まった。

 祭りや花火大会がない今年の夏。気象庁の3カ月予想では平均気温は全国で平年より高く、特に関東以西では気温が高くなる地域が多いとされる。今年の夏は、気分を盛り上げる催しもなく、海や山も規制されているところが多く、ただダラダラ暑さが続く毎日となるか(ただし、降水量の3カ月予想で関東以西は平年より少ないと気象庁はしていたから、現実が予想通りになるかは不明だ)。

 祭りなどにはそれぞれ由緒があるが、観に集まってくる人々は無頓着だ。五穀豊穣を祈ったり、神仏を崇めたりする気持ちがなくても祭りを楽しむことはできる。演舞や山車などを見て楽しみ、露店を冷やかしたり、たこ焼きなどを買って食べたり、里帰りした友達と旧交を温めたり、若者ならアバンチュールを経験することもあるかもしれない。夏を楽しむには祭りや花火大会は欠かせなかった。

 祭りや花火大会が中止されたのは、不特定多数の人が集まるからだ。感染拡大を抑止するためには3蜜を避けることが有効とされ、人が密集することは社会的に容認されない雰囲気だ。スナックなどでの昼カラや夜の街でのキャバクラやホストクラブなどで感染拡大が現実に起きているのだから、多数の人が集まることを警戒するのは当然か。

 しかし、人間は様々な集団を形成して社会生活を行ってきた歴史がある。家族、氏族、部族などから近代の市民社会へ人々は集まることで社会を変える力を得た。様々な不特定多数の人々が集まって行動することで市民革命や植民地からの独立が達成されたりもした。人々が集まることの否定は人間活動の否定でもあろう。

 人々が集まることを否定し、制限することは権力者にとっては好都合だ。人々を孤立させ、団結させず、分断してバラバラにすることで個人は「無力」となり、権力に抗することは難しくなり、せいぜいSNSで悪態をつく程度になる。祭りや花火大会のない夏は、個人がそれぞれ、暑さや感染の不安、既得権益を追求・保護する権力体制の動きの鈍さなどに苛立ちながら過ごすことになるのか。

2020年7月11日土曜日

マスクで広告

 各国の新型コロナウイルスの感染状況を伝えるニュース映像を見ると、マスクをつける習慣がなかったという欧米などでも、公共交通や店舗内などでマスク着用が義務化されたこともあってか、出歩く人々のほとんどがマスクをしている。カラフルなマスクが多いが、最も多いのは白いマスクだ。

 日本でも、手作りなのかカラフルなマスクが増えたが、多いのは白いマスクで出歩く人の7〜8割を占める印象だ。洗って何度も使うことができる手作り布製マスクはマスクが品薄の時には重宝されたが、店頭に大量に出回るようになった現在、使い捨ての白い不織布マスクの手軽さが再認識されよう。

 いつ感染が沈静化するのか見通しはつかず、死者が各国で増えている状況なので、マスク着用が今後も長く続いていく可能性がある。感染を防ぐ決定的な対策がまだ解明されていないのだから、無症状であっても誰もが感染者だとの前提で、飛沫感染を防ぐ対策が優先され、マスク着用は欠かせないか。

 これほどマスクが一般化し、日常で見かける機会が増えたのだから、マスクの前面スペースを何かに活用しようと考える人も出てくる。笑っている口元を描いたマスクで接客している店舗があるそうだが、人々のマスク姿がいつまでも続くなら、マスク着用の「表情」を演出することは大事かもしれない。

 マスクの活用法として真っ先に思いつくのは、広告を掲載することだ。マスク不足から様々な業種のメーカーがマスク生産に乗り出して強気の価格で販売し、売れているという。それらのマスクにはメーカーのロゴが入っていたりし、ちゃっかりPRの役目も果たしている。ファッションアイテムとして受け入れられたのだろうが、原価は低いだろうから無償で配ったとしても損失は少ないだろう。

 マスクの前面に商品名や企業名などを大きく表示したマスクは、それをつけた人が街中を歩き、電車やバス、地下鉄などに乗ることで一定の宣伝効果はありそうだ。商品名や企業名を表示したマスクをわざわざ買う人は少ないだろうが、着用して外出することを条件に希望者に無償で送付したり、ポケットティッシュのように街頭でランダムに配ったりする宣伝戦略はある。

 政権に食い込んで甘い汁を吸っている広告代理店なら、マスク広告で儲けるチャンスを逃すはずがない。「ピンチをチャンスに」と企業を丸め込み、感染が続く状況を利用して広告代理店は儲けようとするだろう。だが、マスクの前面スペースは企業や広告代理店のためだけにあるのではなく、個人がメッセージを記してもいい。今の米国なら「BLM」と記したマスクは人々に喜んで受け取ってもらえるだろうな。

2020年7月8日水曜日

中国ではない中国

 アヘン戦争で英国軍は香港島を占領し、英国は香港島を英国領だと宣言、1842年の南京条約で清は英国に香港島を割譲することを承認した。英国はさらに香港島の対岸の九龍半島を永久租借し、新界地域を99年租借する条約を結んだ。香港は英国をはじめ西欧列強の対中国貿易などの拠点になり、中国大陸から逃れてくる人々の受け皿ともなって発展した。

 「中国ではない中国」として香港の歴史は刻まれた。中国大陸の端に位置する香港は、英国が香港の支配を続けることを断念して中国に返還して以来、共産中国とは異なる中国=自由な中国として位置付けられた。共産党による独裁支配の範囲外にあり、民主や自由、人権など普遍的とされる価値観の中国人による主張の場として香港のポジションが決められたように見えた。

 だが、民主や自由などの中国人による主張の拠点と香港がなることを共産中国は容認しなかった。「中国ではない中国」としての香港を終わらせることを共産中国は決断した。経済的に欧米には中国を「罰する」力はもうないと見たのだろうし、政治的にも欧米に中国を国際政治から除外する力はもうないと中国は見切ったのだろう。

 約100年に及ぶ英国の支配の中で香港は、民主や自由などとは無縁だった。英国などによる収奪が優先され、植民地の人々に対する配慮は希薄で、厳しい植民地支配というよりも放置されていたというのが実情だろう。中国への返還が迫ってから英国は香港で人々の政治参加を拡大したが、香港の人々に自己決定権を与えたわけではなかった。植民地を放棄する時には、後の紛争のタネを埋め込むという英国のやり方だ。

 「中国ではない中国」香港は、香港国家安全維持法によって共産中国の一部としての香港になった。その位置づけはおそらくウイグルやチベットなどと同列に置かれているだろう。共産党の独裁支配に抗う人々・地域として、厳しい監視体制の下に過酷な統制が行われる。金融をはじめ経済に関する統制も強化された時、香港の利用価値はなくなったと欧米などは判断する。

 「中国ではない中国」の香港で人々が民主や自由などの主張を公然と行う光景は、中国人に対する欧米など世界からの期待をつなぎ止める役割もあった。期待とは、経済発展が進むにつれて中国人は民主や自由などを求めるようになるとの筋書きであり、それが共産中国を世界経済に招き入れる口実ともなった。香港が共産中国に「回収」されたことは、中国人も普遍的価値に同調するという欧米の甘い目論見が外れ、世界における価値観の対立が鋭くなることを意味する。

 英国の植民地から中国の植民地になった香港。民主や自由などと無縁であることは共通するが、人々は放置されることはなく、厳しく監視される。共産主義が人々を解放する思想だと信じられた時代があったが、現実には権力が人々から自由を奪い、人々をきつく束縛する思想であることを香港の中国化は教えている。同時に、民主や自由を主張する人々を欧米などが、やがて見捨てるだろうことも予感させる。それは植民地の人々に対する欧米の態度だった。

2020年7月5日日曜日

ドキュメント「パンデミック6月」

 世界における新型コロナウイルスの感染者数は 6月1日に610万人を超え、30日には1030万人を超えた。死者数は1日に37万人を超え、30日には50万人を超えた。ブラジルやロシア、インドなどで感染爆発が続き、米国では南部などで感染が拡大した。一方、欧州を始め世界で経済活動再開に動くが、それに伴う感染再発が各国で起きている。
 <6月> 1日=世界の感染者が610万人超す(米国で179万人、ブラジルで50万人、ロシアで40万人超す)。死者が世界で37万人超す(米国で10万4千人、イタリアで3万4千人超す)。タイは第3弾の活動制限緩和。フィリピンはマニラ首都圏などの外出・移動制限を大幅緩和。インドは外出制限を大幅緩和。英国で2か月ぶりに小学校など再開。露モスクワは新型ロックダウンを9週間ぶりに緩和。スペインは低所得の約85万世帯、230万人を対象に所得保障を導入。日本で小中学校が再開。
 2日=世界の感染者が620万人超す(米国で181万人、ブラジルで51万人、ロシアで41万人超す)。死者が世界で37万3千人超す(英国で3万9千人、ブラジルで2万9千人超す)。シンガポールは経済活動を再開。フランスで飲食店が営業再開。東京都は感染者増加で独自の警戒情報発動。日本で国内の死者が900人超す。日本で国内の感染者が1万7千人超す。
 3日=世界の感染者が630万人超す(米国で185万人、ブラジルで55万人、ロシアで42万人超す)。死者が世界で37万9千人超す(米国で10万6千人、ブラジルで3万1千人超す)。インドは外国人の入国制限を一部緩和。イタリアは入国制限を緩和し、EU加盟国からの観光客受け入れを再開。世界の新規感染者数13万398人/日で過去最高を更新。
 4日=世界の感染者が650万人超す(ブラジルで58万人、ロシアで43万人、英国で28万人、スペインで24万人超す)。死者が世界で38万6千人超す(米国で10万7千人、ブラジルで3万2千人、フランスで2万9千人超す)。インドネシアは首都ジャカルタなどで大規模社会制限を実質的に緩和。
 5日=世界の感染者が660万人超す(米国で188万人、ブラジルで61万人、ロシアで44万人、スペインで24万人超す)。死者が世界で39万人超す(米国で10万8千人、英国で4万人、ブラジルで3万4千人超す)。インドネアのジャカルタは大規模な行動制限措置を一部緩和。
 6日=世界の感染者が670万人超す(米国で189万人超す)。死者が世界で39万4千人超す(米国で10万9千人超す)。
 7日=世界の感染者が680万人超す(米国で193万人、ブラジルで64万人、ロシアで45万人、インドで24万人、フランスで19万人超す)。死者が世界で40万人超す(ブラジルで3万5千人超す)。ブラジルは累計死者数などのデータを非公開に。台湾はイベントなどの入場制限を解除、野球場や映画館の入場制限も撤廃。中国は白書でコロナ対策は「重大な戦略的戦果を挙げた」と総括。
 8日=世界の感染者が700万人超す(米国で194万人、ブラジルで69万人、ロシアで47万人、インドで25万人、ペルーで19万人超す)。死者が世界で40万3千人超す(米国で11万人、ブラジルで3万6千人超す)。NZは新規感染がなく、感染者も全て回復し、患者数がゼロになったと発表(行動規制を解除)。米NY市が約2カ月半ぶりに経済活動の制限を一部緩和。インドは都市封鎖を段階的に解除。英国は全ての入国者に14日間の外出制限。シンガポールは中国との往来を再開(入国する前と後のPCR検査や追跡アプリの利用を義務づけ)。
 9日=世界の感染者が710万人超す(米国で196万人、ブラジルで70万人、インドで26万人超す)。死者が世界で40万6千人超す(米国で11万1千人超す)。露モスクワ市は外出制限を解除。
 10日=世界の感染者が720万人超す(米国で198万人、ロシアで48万人、英国で29万人、インドで27万人超す)。死者が世界で41万人超す(イタリアで3万4千人超す)。マレーシアは州をまたいだ移動や国内観光を解禁。米国の14州で感染者が増加。新興・途上国の新規感染者数は世界全体の約8割。
 11日=世界の感染者が730万人超す(米国で200万人、ブラジルで77万人、ロシアで49万人超す)。死者が世界で41万6千人超す(米国で11万2千人、英国で4万1千人、ブラジルで3万8千人、フランスで2万9千人超す)。アフリカ54カ国で感染者が20万人を超え、死者は5600人以上になったとWHO。ブラジルのサンパウロでショッピングモールの営業再開。EUが偽情報に関する報告書(新型コロナウイルスに関連して誤った情報の発信源として中国とロシアを名指しで批判)。東京都は「アラート」を解除。
 12日=世界の感染者が750万人超す(米国で203万人、ブラジルで80万人、ロシアで50万人、インドで28万人超す)。死者が世界で42万人超す(米国で11万3千人、ブラジルで4万人超す)。中国の北京で2カ月ぶりに感染者確認。トルコは国境封鎖をほぼ解除し、外国観光客も受け入れ。韓国は首都圏で実施している防疫強化を延長。
 13日=世界の感染者が760万人超す(米国で205万人、ブラジルで82万人、ロシアで51万人超す)。死者が世界で42万4千人超す(米国で11万4千人、ブラジルで4万1千人超す)。
 14日=世界の感染者が770万人超す(米国で206万人、インドで30万人、スウェーデンで5万人超す)。死者が世界で42万7千人超す(米国で11万5千人超す)。食品卸売市場で集団感染が判明した中国・北京市は「非常時」宣言。仏は「第1段階の勝利」宣言。
 15日=世界の感染者が790万人超す(米国で210万人、ブラジルで86万人、ロシアで52万人、インドで33万人超す)。死者が世界で43万3千人超す(ブラジルで4万3千人超す)。EU域内での入国制限を緩和。仏パリで飲食店が通常営業を再開。英国で小売店が営業を再開。
 16日=世界の感染者が800万人超す(米国で212万人、ブラジルで88万人、ロシアで53万人超す)。死者が世界で43万5千人超す(米国で11万6千人、ブラジルで4万3千人超す)。1日あたり新規感染者数は約14万人と過去最多を更新(南米や南アジアなどで感染拡大)。ドイツは入国制限を終了(EU各国とスイスの旅行者が自由に入国できる)。北京市は市外に出るにはPCR検査を受けて陰性証明を持ち歩くよう義務づけ。
 17日=世界の感染者が818万人超す(米国で214万人、ブラジルで89万人、ロシアで54万人、インドで34万人、ペルーで24万人、チリで22万人、インドネシアで4万人超す)。死者が世界で44万人超す(ブラジルで4万5千人、英国で4万2千人、インドで1万1千人超す)。インドネシアの感染者数がシンガポールを抜き再び東南アジアで最多。
 18日=世界の感染者が835万人超す(米国で217万人、ブラジルで95万人、ロシアで55万人、英国で30万人超す)。死者が世界で44万7千人超す(米国で11万7千人、ブラジルで4万6千人超す)。北京市は10種類の野菜について価格統制を導入。香港ディズニーランドは営業を再開。
 19日=世界の感染者が840万人超す(米国で220万人、ロシアで56万人、インドで36万人、サウジアラビアで15万人超す)。死者が世界で45万2千人超す(米国で11万8千人超す)。シンガポールはレストランの店内飲食や小売店の営業など再開。日本政府は感染者と濃厚接触した可能性を通知するスマホ向けアプリの提供開始。
 20日=世界の感染者が867万人超す(米国で223万人、ブラジルで103万人、インドで38万人超す)。死者が世界で45万9千人超す(米国で11万9千人、ブラジルで4万8千人超す)。米トランプ陣営が3カ月ぶりとなる大規模集会を開催。
 21日=世界の感染者が880万人超す(米国で226万人、ブラジルで106万人、ロシアで57万人、インドで39万人超す)。死者が世界で46万2千人超す(ブラジルで4万9千人超す)。スペインは3月中旬に発動した非常事態宣言を約100日ぶりに解除(入国規制も解除)。米国の12州で1日あたり新規感染者数が過去最多を更新。
 22日=世界の感染者が912万人超す(米国で228万人、ブラジルで108万人、ロシアで58万人、インドで41万人超す)。死者が世界で46万7千人超す(米国で12万人、ブラジルで5万人超す)。米NYは経済制限を第2段階まで緩和。ポルトガルは感染者の増加で感染防止のための制限を首都リスボンで再び強化。サウジアラビアはハッジについて2020年は国外からの受け入れを中止すると発表。
 23日=世界の感染者が920万人超す(米国で232万人、ロシアで59万人、インドで42万人超す)。死者が世界で47万2千人超す(英国で4万3千人超す)。独西部の州で集団感染、再びロックダウン。日本で国内の感染者が1万8千人超す。
 24日=世界の感染者が926万人超す(米国で235万人、ブラジルで114万人、インドで44万人超す)。死者が世界で47万5千人超す(米国で12万1千人、ブラジルで5万2千人超す)。世界の新規感染者数が24日の集計分だけで約16万7千人(ブラジル、米国、インドの3カ国で合計9万人)。東京で感染者数が再び増加。
 25日=世界の感染者が943万人超す(米国で239万人、ロシアで60万人、インドで46万人超す)。死者が世界で48万1千人超す。米テキサス州は経済活動再開プロセスを停止。
 26日=世界の感染者が962万人超す(米国で243万人、ブラジルで118万人、ロシアで61万人、インドで47万人超す)。死者が世界で48万8千人超す(米国で12万4千人、ブラジルで5万3千人超す)。米テキサス州とフロリダ州は飲食店などの営業規制を再び強化。
 27日=世界の感染者が980万人超す(米国で247万人、ブラジルで122万人、インドで49万人超す)。死者が世界で49万3千人超す(米国で12万5千人、ブラジルで5万4千人超す)。エジプトは夜間の外出禁止措置を解除、飲食店やモスクでの礼拝なども再開。
 28日=世界の感染者が1001万人超す(米国で252万人、ブラジルで127万人、ロシアで62万人、インドで50万人、英国で31万人、イタリアで24万人超す)。死者が世界で49万8千人超す(ブラジルで5万5千人、インドで1万5千人超す)。米カリフォルニア州は一部地域でバーなどの営業を即時停止。全米50州のうち32州で感染が再拡大。
 29日=世界の感染者が1014万人超す(米国で256万人、ブラジルで134万人、ロシアで63万人超す)。死者が世界で50万1千人超す(ブラジルで5万7千人、インドで1万6千人超す)。英中部レスター市は再封鎖。全米50州のうち32州で感染が再拡大。インドは都市封鎖の期限を7月末まで延長。北京近郊都市で移動制限。
 30日=世界の感染者が1030万人超す(米国で260万人、ブラジルで135万人、ロシアで64万人、インドで54万人、フランスで20万人超す)。死者が世界で50万4千人超す(米国で12万6千人超す)。タイは非常事態宣言を1カ月延長。

2020年7月4日土曜日

自由に歌う

 歌は自由なものである。どのようなメロディで歌おうと、どのような歌詞で歌おうと、どのようなリズムで歌おうと個人の自由である。鼻歌ならば誰でも勝手に歌うのが当然だろうが、流行歌も自由に歌っていいいとみなす人は少ない。だが、流行歌だって、歌う人が自由に歌っていい。

 流行歌が、決められた歌詞を決められたメロディで歌わなければならないと人々が思い込むのは、与えられた歌だからだ。与えられた歌だって、歌う個人が歌詞もメロディも自由に歌ってもいいのだが、決められた歌詞を決められたメロディで歌うカラオケの影響なのか、歌う人は「オリジナル」を尊重する。

 決められた歌詞を決められたメロディで歌うことに人々が疑問を持たないのは、カラオケで採点されるので譜面通りに正確に歌うことが求められ、さらには譜面通りに歌うように指導される学校教育の影響も大きいだろう。決められた歌詞を決められたメロディで歌う楽しさは否定しないが、それが歌う楽しさの全てではない。

 与えられた歌とは商業作品であり、著作権で守られる。そうした歌が大量に流通する(=流行する)ようになったため、メロディーも歌詞も決められた通りに歌うことが当然視される。作詞家や作曲者から与えられた作品を歌うプロ歌手ならば必ず歌詞もメロディも「正しく」歌わなければならないが、その姿が人々に影響しているのかもしれない。

 プロ歌手でも、自由に歌詞やメロディを創作しつつ歌う人がいる。自分で作詞作曲する人がステージのたびに自由に歌詞を変え、メロディなども変えたりする。感じたこと思ったこと考えたことなどを即興で自由に表現することがプロでも許容されるのは、自分で著作権を持つからだ。歌を自由に歌うということは、創造しながら歌うことでもある。

 歌が商業作品となる以前、たとえば民謡などは各地で人々が自由に歌っていただろう。歌詞もメロディも様々で、歌うたびに違っていただろうし、猥歌も多くあっただろう。それが、研究者に収集され、譜面に記録される過程で、自由で多彩だった歌が研究者の判断で整序され、固定化された。その過程で、自由に多彩に、時には猥雑に人々が歌って楽しんでいた歌が“漂白”された。固定化されることで、民謡は自由な歌であることを封印された。

 歌は自由なものである。現在は商業作品の流行歌に覆われた状況だが、感じたこと思ったこと考えたことなどを自由に歌う人々が増えれば、歌の状況は変わる。大量に売り出され、すぐに忘れられていく商業作品の歌よりも、自由に歌うことを人々が取り戻せば、自由に生きることの意味を実感する人々が増えるだろう。

2020年7月1日水曜日

マスコミと権力批判

 マスコミの使命は権力批判だとされ、権力に融和的なマスコミは時に御用マスコミなどと揶揄されたりする。権力の独裁や独走を防ぎ、不正な権力行使を監視し、腐敗があれば暴いて衆人の目に晒すことが民主主義を維持するために必要であり、その役割を果たすのがマスコミだとされる。

 権力批判は難しくはない。批判することが目的であれば、権力が何をしても批判できる。権力が右を向いても、左を向いても、上を見ても、下を見ても、前を向いても、後ろを向いても批判でき、何もしないことも批判できる。批判する根拠を曖昧にしておくことが、権力批判の自在さを支える。

 そこで問われるのが批判の根拠だ。権力を否定するために批判するというアナキズムに近い立場もある。だが、体制の中で活動する営利企業であるマスコミが、アナーキーな批判に徹することは困難だ。だから、民主主義などの理念を持ち出し、体制が「正しく」機能するような方向へ権力批判していると装う。

 マスコミの権力批判の根拠を分かりにくくさせているものに、他者の権力批判を記事として報じる手法がある。例えば、日本政府を批判する欧米や韓国などのメディアの記事を日本のメディアが伝える。記事という体裁なので、そこに日本のメディアの価値判断は含まないはずだが、そうした批判を選んで伝えることに何らかの意図が隠されていると勘ぐることも可能だ。

 欧米や韓国などのメディアの日本政府批判は様々な観点によるもので、共通しているのは日本政府を批判していることだけであり、それらの批判が「正しい」とは限らない。だが、日本政府を批判する記事なら何でも日本のマスコミは無批判に伝えるとも見える。

 批判に利害が絡んでいることは珍しくなく、自己を優位にするために他者を批判することも珍しくない。ある民主主義国の人民による権力批判と、その国の政府に対する外国からの批判が同等に評価されるものではないだろう。しかし、日本のマスコミは欧米や韓国などのメディアの日本政府批判を記事として垂れ流す。

 マスコミの使命は権力批判であり、権力は常に監視され批判されるべき対象だ。「建設的」批判が翼賛の偽装であることは珍しくないので、権力を甘やかすよりは厳しく批判したほうがいい。だが、権力批判であれば何でもいいと報じているように見えるマスコミは、その権力批判の妥当性を自ら損なっている。

2020年6月27日土曜日

陰性証明は無意味

 中国の首都・北京市の食品卸売市場で集団感染が発生した。感染拡大を封じ込めようと北京市は、市場関係者らの市外への移動を禁止し、市民が市外へ出る場合にはPCR検査を受けて陰性証明を取得し、それを持ち歩くように義務づけた。また、北京を訪問する人には、PCR検査を受けることと一定期間の隔離を義務化した。

 中国はPCR検査の検査体制を強化し、1日当たりの検査能力が378万件になったと保険当局。3月初めは126万件/日だったというから、3倍になった(累計の検査実績は9041万件=6月22日まで)。検査体制を強化したのは、より多くの感染者を見つけだすためだ。例えるなら、PCR検査という“網”を大きくして、網に引っかかる人々を感染者として隔離することで感染拡大を阻止する。

 社会という“海”は広大だから、PCR検査という網で全ての感染者をすくい取るためには、巨大な網が必要になる。どこかで常に感染が発生していると見るなら、PCR検査という網を社会という海に投入することも常に行う必要がある。北京市は市内に複数の臨時の検査場を設置して既に230万人にPCR検査を行い、飲食店店員、宅配業者らにも検査を義務化したという。

 漁網の網の目は、狙う魚の大きさに合わせて大小さまざまとなる。網の目を狭めるなら小さな魚も引っかかるだろうが、大きな魚を狙うには細かすぎる網の目は必要ない。PCR検査という網は感染者をもれなく引っかけることが目的だから網の目は細かくなければならない。それはPCR検査機器、人員、検査場を大幅に増強することであり、また、強権で人々に検査を義務化することだ。

 中国に居住する全ての人間がいつでも、どこでもPCR検査を受ける体制が構築できれば、政府は全国の感染状況を明確に把握できるだろう。感染者の発生をすぐに察知し、迅速に対応して感染拡大を封じ込める……ことができるはずだが、PCR検査には限界がある。それは感度の問題で、PCR検査を増やすにつれて偽陰性(陰性と判定されるウイルス保有者)の人も増える。

 さらにPCR検査で陰性と判定された人でも、検査の後に感染する可能性がある。PCR検査で陰性と判定されて陰性証明を取得し、翌日に駅や空港に行った時には既にどこかで感染している人はいるだろう(PCR検査を受けて陰性と判定されたから、感染の可能性が無くなるわけではない)。陰性証明はPCR検査で検体を採取した時点のウイルス保有状況を示すもので、何かの資格取得を証明するものではない。

 陰性証明を持ち歩くように義務付けたのは、人々の移動を容認するための方便だ。感染者が出ているからと厳しい外出制限に戻ることはできず、経済活動を再開しなければ総倒れにもなりかねない状況であるから都市封鎖なんてできない。ウイルスと共存する新しい日常を持続させるための統治方法の一つが、人々にPCR検査を受けさせて陰性証明を持つことを強制することだ。

2020年6月24日水曜日

当たらないし、使えない

 どこかの国が日本に向けてミサイルを発射したなら、日本のどこかに着弾する前、飛んでいる間に迎撃ミサイルで打ち落とすのが、被害を最小にする最も効果的な防衛方法だろう。だが、高速で飛んでいるミサイルを撃ち落とすことは簡単ではない。映画なら、飛んできた弾丸に向けて主人公が銃を撃ち、発射された弾丸が飛んでくる弾丸に当たるとの描写もあろうが、その確率は現実ではほぼゼロだ。

 高速で飛んでいるミサイルを撃ち落とすために必要なのは、飛んでいるミサイルの軌道を常に把握できていることだ。撃ち落とすべきミサイルが、いつ、どこに存在するか空間的な位置を常に把握できていなければ、どこへ向けて迎撃するのか見当がつかない。標的がどこにあるのか知らないのでは、当てることはできない。

 しかし、攻撃する側がミサイルの発射の日時や時間、軌道、速度、目標などを知らせてくれるはずはなく、強力なレーダーを用意しても、地球は丸いが電波は直進するので、レーダーで遠い国のミサイル発射を瞬時に探知し、追跡できるかは不明だ。日本に向けて高速で飛んでくるミサイルを、迎撃ミサイルを当てて撃墜するという可能性は限りなく低い。

 日本政府は、地上配備迎撃システム「イージスアショア」を山口県と秋田県に配備する計画の停止を発表した。このシステムは海上自衛隊の護衛艦に配備している「イージスシステム」の陸上版で、2カ所に配備することで日本全国を守ることができるとの触れ込みだったが、発射した迎撃ミサイルのブースターの落下位置が制御できないから危険だというのが計画停止の理由。

 人々の生活空間に空からブースターが落下してくるのは確かに危険だ。だが、迎撃ミサイルが発射される時は、日本に向けてミサイルが飛んでくる時であり、そのミサイルを破壊しなければ、日本のどこかで大きな被害が生じる可能性が高い。本当に迎撃ミサイルで、高速で飛んでくるミサイルを撃ち落とすことができるなら、ブースターの落下の危険を考慮してもイージスアショアの配備を日本防衛のために進めるのが、責任ある政治だろう。

 日本政府がイージスアショアの配備計画を停止したのは、実戦では「あてにならない」システムだからだ。飛んでくるミサイルに確実に迎撃ミサイルを当てなければ、このシステムの存在意味はない。だが、このシステムで迎撃ミサイルを発射した場合、高速で飛んでくるミサイルに当たる確率は何%か、定かではない。このシステムは軍事機密に守られているが、おそらく日本政府はこのシステムの「実力」を承知している。

 米国はミサイル防衛計画の開発を進め、飛んでくるミサイルに迎撃ミサイルを的中させる実験を繰り返した。だが失敗が多く、迎撃ミサイルが的中したケースは公表されたが、実はミサイルの正確な発射位置、発射時間、軌道などが事前に明らかにされていたり、飛んでくるミサイルが電波を発信し続けて迎撃ミサイルが追跡しやすくなっていたなどという。実戦では「あてにならない」システムを日本政府が見限ったのは正しい判断だろうが、このシステムは日本が米国に資金供給することが目的だったと見ると、米国は代わりの資金供給を求めるだろう。