2020年11月28日土曜日

探せば、見つかる?

  新型コロナウイルスの感染が騒がれ始めた頃、店頭からマスクが消えた。入荷があってもすぐに売り切れ、しばらくは品切れ状態が続き、マスクを求めて探し回る人々の姿が報じられた。マスク製造に参入する企業が増え、中国からの輸入も増えて流通量が増加し、店頭には目玉商品としてマスクが陳列されるようになったが、どこでも、いつでも買えるようになると人々は必要分しか買わなくなる。

 やがて、うず高く店頭に陳列されていたマスクは所定の売り場に戻った。マスクは一時期、探しても見つからない状態だったが、現在は、探せば見つかる状態になった。需要を上回る大量の供給は値下げ圧力となり、今では50枚入り698円とか30枚入り498円などの箱入り商品が目玉商品として陳列されたりしている。

 市中の店頭にマスクの存在が少なかった時には、探しても見つかる確率は小さかったが、どこでも売っている時には、探せば見つかる確率は大きい。さらに、マスクが品薄の時にも、1人で探すよりも複数で探すほうがマスクが見つかる確率は高くなる。1人よりも10人、10人よりも100人、100人よりも1000人で探したほうがマスクが見つかる確率は大きい。

 ごく少なくしか市中に存在しないものなら、大勢で探しても見つかる確率は少ないが、そこここに存在するものなら、探す人数や回数を増やすほど、次々と見つかるだろう。マスクに例えるなら、現在は様々な店舗でマスクが売られており、薬局だけを探してもマスクは見つかるし、量販店や書店など様々な店舗を探すならマスクは次々と見つかるだろう。

 日本各地で感染者が急増し、過去最高数の感染者を確認する地方が相次いでいる。第3波が襲来したとの受け止めが一般的なようで、経済振興を狙った「Go to〜」が感染拡大につながったとの批判が高まった。一方でPCR検査などが大幅に増えたことにより、見つかる感染者が増えたとの見方がある。検査対象が広がったため、無症状の感染者も多く見つかって感染者が増えたのであり、感染者数だけを検査数が少ない以前と比べても正確な比較はできないとの指摘だ。

 厚労省サイトによると、PCR検査実施人数は日によって変動幅が大きいが、3月4日の3940人以来11月25日までの累計は305万1173人。最も多かったのは9月29日の10万3676人、次いで8月14日の5万5240人。7月末から2万人を超す日が珍しくなくなり、11月25日は4万1052人と検査実施人数は大幅に増えた。7月中旬までは1万人に届かない日がほとんどだったが、それ以降は1万人を超え、2万人を超える日は増えた。

 PCR検査数が大幅に増えたのは民間検査会社の検査数が増えたためだ。5月30日には民間検査会社の実施件数は540件だったが、11月中旬には1万5千件以上と大幅に増えている。第3波が襲来したから感染者が増え、重傷者も増えているのだろうが、PCR検査数が大幅に増えたことの影響を踏まえた分析が必要だ。

2020年11月25日水曜日

NHK解体論

 映画などの動画ネット配信で定額制ならユーザーは契約期間は見放題となり、好みの作品だけを見てもいいし、手当たり次第に次々と見てもいい。映画などの動画配信に関心がない人なら契約しなければよい。契約を強制されることはないし、動画配信を行っている企業から、見てもいない配信の料金を請求されることもない。

 一方、放送を見ていない人にも定額の受信料を請求するのがNHKだ。受信料の徴収率を更に上げようと、テレビ設置の届け出の義務化やテレビ未設置の届け出の義務化、未契約者の氏名照会の制度を求めたが、総務省は見送る方針だと報じられた。ただ総務省は、テレビを設置していない世帯を含め日本の全世帯に受信料を義務化することを検討しているともされるので、NHKの要望が却下されたわけではなさそうだ。

 1200億円の剰余金があるNHKは受信料の徴収率が8割を超え、現金が毎月入って来るので運転資金に窮しているわけではない。受信料の徴収に一生懸命になるのは、放送法でテレビ設置者に受信契約を義務付けているからだが、NHKには別の狙いがありそうだ。その狙いは、番組のネット配信が拡大するであろうことと関係していそうだし、公共放送であるとの位置付けを受信料を徴収することで人々に意識づけるためか。

 CMが入る民間放送に対し、人々から広く徴収する受信料で成り立つ公共放送は国家や政党、団体、企業などの影響を排し、中立公平であることが基本だ。だが、①NHKは政府寄りだとも見られ、本当に中立公平なのか、②政治に予算を握られているNHKに中立公平を求めても無駄、③民間放送と同様の娯楽番組が増えたNHKだが、公共放送にふさわしい番組とは何かーなどの疑問がある。

 NHKは肥大化でも批判される。ラジオや衛星放送のチャンネル数をそれぞれ1つ削減すると打ち出したが、それでも放送チャンネルはまだ多く、子会社や関連会社、関連法人も数多い。受信料という現金が安定的に入ってくるのだからコスト意識が希薄だろうことは想像でき、公共放送の名の下にNHKグループの体制固めと拡大を進めてきたと見える。

 公共放送に求められるのは何か、それを考えることがNHK改革の第1歩だ。NHKの番組に慣らされていると批判精神は鈍り現状の番組編成を受け入れるだけになるが、例えば、大河ドラマや紅白歌合戦が公共放送にふさわしいのか。コスト面で民間放送には制作できないとされるが、大河ドラマや紅白歌合戦がなくても公共放送は成立する。

 肥大化したNHKは、公共放送としてのNHKと、大河ドラマや紅白歌合戦なども含め娯楽番組を主体とするNHKに解体するのがいい。公共放送としてのNHKは地上波、ラジオ、衛星放送の3チャンネルで定時のニュースを主に24時間放送する。娯楽番組主体のNHKは民間企業化して独立させる。公共放送としてのNHKを支えるだけなら受信料は大幅に安くできるだろう。

2020年11月21日土曜日

名もない白い花

  道端に「名もない白い花が咲いていた」などの表現を見聞きすることは珍しくない。ありふれた表現で、昔からエッセイなどではよく見かけ、現在でも放送メディアの風景描写リポートなどで聞くことがある。花など植物に関する知識は乏しいが、きれいな花を見かけて心を動かされた人が小さな感動を伝える言葉として使われてきたようだ。

 この「名もない白い花が咲いていた」などの表現は正しくない表現だ。正しくないのは「名もない」という部分。日本を含め世界中で植物学者たちは、各地を歩き回って植物を採集し、細かく観測して分類・系統化した。その時には名前がつけられる。だから、「名もない」花があったとすれば、それは新種だということになる。もちろん世界には未発見の新種の花はあるだろうが、人々の日常空間にはまず存在しないだろう。

 「名もない白い花が咲いていた」式の表現は正しい表現でないが、受け入れられてきた。人々は日常の空間では言葉の厳密さに固執せず、むしろ「名もない白い花が咲いていた」などの表現で、その人が感じた小さな感動が伝わるのだから、重宝してきた。白い花が何かとの認識を共有するには「名もない」は不適切だが、花に心が動いたとの情緒を共有するには問題はない表現だった。

 表現は正しくあるべきだろうが、情緒を伝えることも表現の重要な役割だ。とはいえ「名もない白い花が咲いていた」式の表現が多すぎる社会は、情緒的な人が多い社会と見なされよう。情緒を伝えつつ、正しさも備えている表現が求められる社会が理想だろうが、言語表現は人々の意識と関わるので、簡単には変わらない。

 「白い花が咲いていた」だけでも情緒を伝えることはできるだろうに、なぜ「名もない」と付け加えるのか。花を個別の花として認識したなら、それぞれに名があることを意識するだろうが、白い花が花一般を表しているとすれば個別の名は必要ないと判断することはあり得る。つまり、見た人は花の美しさに心を動かされたが、個別の品種として認識したのではなく、花一般としか見ていない。

 「花の美しさというものはない。美しい花がある」とは誰かの名言だが、個別の花を認識せず、花の美しさを感じる人がいるから、「名もない〜」式の表現が存在した。そういう人には、白でも赤でも黄色でも花は花であり、大輪でも小粒でも花は花でしかなく、しかし、花を見て心が動き美を感じている。そういう人には「名もない」との言葉に実感があるのだろう。

 対象が花だから「名もない」式の表現は許容される。もし人間に対して「名もない人が歩いていた」などと表現すると、批判されるだろう。人は固有名詞で呼ばれるべきで、普通名詞で扱われるのは統計などに限られる。「名もない」との表現は対象に対する関心度合いを示す言葉であり、対象を観察して分類するという科学的態度が欠如していることも示す。

2020年11月18日水曜日

労働力がやって来る

  世界で現在、非合法の移民の主な目的地は欧州と米国だ。欧州へは地中海経由でアフリカから人々が押し寄せ、米国へは中米経由で中南米の人々が押し寄せている。米国は国境の管理を厳しくして受け入れを拒否する構えだが、欧州は拒否する構えではあるものの地中海に壁は構築できず、非合法の移民を止めることができていない。

 欧州は最初の受け入れ国に難民・移民管理の責任があるとするが、それはイタリアなど地中海に面する国々に負担を押し付ける。難民を政府が崩壊したままのリビアに送り返して放り出すこともできず、人権問題として援助する民間団体もあり、非合法移民は押しかける。そして難民認定を得た人々は欧州各国に散らばっていく。

 ドイツは2015年、中東などからの難民を約80万人受け入れ、その後も含め100万人以上に達したという。社会に人道主義的な高揚感もあって受け入れが容認されたというが、経済界からは労働人口の確保のために好都合だと歓迎する声もあったという。ドイツは高齢化と労働年齢人口の減少に直面していた。

 このためドイツで、経済界などは企業の人手不足解消には多くの移民が必要とし、アルトマイヤー経済相は「他の国が移民規制を強化するなか、ドイツは新たな移民法によって競争力が高まる。経済成長率押し上げ効果も見込まれる」としたそうだ。

 新たな移民法では、EU域外から高技能移民を受け入れ、ドイツ語が話せて専門的な資格がある人材は、ドイツに入国して6カ月間職探しをできるようにする。これは、EU諸国も少子化傾向で労働年齢人口が減少しているので、他のEU諸国からの移民だけでは人手不足をカバーできないと見ているからだろう。

 迫害を受けたり、戦争や紛争などのため出身国を離れた人々を難民と国連は定義し、出身国を離れて他国に定住した人々や他国に定住しようとする人々が移民とみなされる(国際的な定義はない)。労働力として期待する側にとっては、移民でも難民でも構わないだろう。専門的人材とは必ずしも高度技術者を意味するわけではなく、労働力不足は高度な専門職だけで起きているわけでもない。

 奴隷制は古代社会に広く存在し、近代でも南北アメリカや植民地などのプランテーションで存在したとされる。奴隷制やプランテーションが許容される時代ではなくなったが、企業(資本)にとって労働力を確保する重要性は変わっていない。難民であれ移民であれ、労働力が自ら移動してくる状況は歓迎だろう。企業(資本)はもう奴隷もプランテーションも持てない建前なのだから。

2020年11月14日土曜日

国際機関と国家

 地球史を振り返ると、陸地が集まって巨大大陸を形成しては分裂し、また、集まって巨大大陸をつくっては分裂することを繰り返した。現在はユーラシア大陸に向かって陸地が集まる過程にあるとされる。億年単位の動きなので、次の巨大大陸が形成された時に人類が生存しているかどうかは不明だ。

 陸地が移動するのはプレートが動いているからだ。プレートの動きによって世界各地で地震が発生するので、人類は地表が常に動いていることを実感する。とはいえ、地震が発生するのはプレートとプレートが衝突している個所が多く、日本などは地震が多発する位置にあるが、世界にはプレートの圧力の影響がごく小さい陸地も多く、安定した地盤などといわれる。

 人類の歴史は地球史から見るとごく短いものでしかないが、集まることと分裂を交互に繰り返すのは、地表だけではなく、人間の世界も同様かもしれない(ここで言う人間の行動の主体は、個人ではなく国家単位)。

 近代以降では、民主主義や人権尊重などへの志向を原動力として世界で国家の再構築が行われ、次には、国家の行動をも制約できる国際機関が形成された。国際連盟や国際連合のほか、多くの分野で国際条約に基づく国際機関がつくられ、個別の国家の行動を制約したり、何らかの義務を課したりする。

 それらを人類が一つに集まる動きとみなすならば、現在は個別国家の利益を優先させる動きが珍しくなくなり、国連をはじめとした国際機関が相対的に弱くなっている。国際機関が個別国家を制約する力が弱くなったとも、もともと国際機関は名前だけの存在で個別国家を制約できる力など乏しかったとも解釈できる。

 おそらく、個別国家は常に利益を優先させてきた。国際機関と協調したほうが利益が大きいとみなせば協調し、そうでなければ自国の利益を優先させる。国際機関と協調する姿勢を見せることのメリットが希薄になれば、個別国家は自国の利益を優先させる。

 地球史では陸地が集まると巨大な大陸を形成した。人類の国際機関では加盟した国家は個別の国家のままでいる。国家が集まる原動力は地球規模での人類意識などだろうが、そうした人類意識は国家意識を押しつぶすほどの圧力にはなっていない。人類意識もまた幻想の一つでしかなく、現実においては無力なのだろう。

2020年11月11日水曜日

表現の自由という武器

  フランスの公立中学校の授業で生徒に、表現の自由を教える資料としてイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を見せた教師がイスラム過激派の男に殺害された。この教師の葬儀は国葬として行われ、マクロン大統領は「あなたが生徒たちに教えた自由をこれからも守り、政教分離を貫く。風刺画を見せる自由も諦めない」と述べた。

 マクロン大統領が「表現の自由を守る」と大見得をきったが、イスラム諸国は強く反発し、抗議デモやフランス製品のボイコット運動が始まった国もある。さらに仏週刊紙「シャルリ・エブド」がトルコのエルドアン大統領の風刺画を掲載したためトルコ政府は「法的・外交的な措置」を取ると発表した。権力者に対する風刺画なら、表現の自由を守るとのフランスの主張は妥当だが、預言者ムハンマドに対する風刺画は、表現の自由として擁護される範疇なのか微妙だ。

 フランスなど西欧において政教分離が進み、キリスト教の社会支配力は衰えたが、イスラム教では政教一致が容認される。また、イスラム教では偶像崇拝が禁止され、神や預言者の描写はできない。キリスト教の社会で人々が獲得した権力者や聖職者なども含めて批判する表現の自由という権利が、イスラム教の社会にも適用される普遍的な権利だとフランスは主張するが、その普遍性は限定されるのが現実世界だ。

 殺害された教師はなぜイスラム教の預言者の風刺画を使ったのか。表現の自由を教える教材はフランスにも西欧にも数多くあっただろうから、わざわざムハンマドの風刺画を使ったのは「シャルリ・エブド」が襲われた事件と関連させたのだろう。ある風刺画を容認できないとする人々の感情に、共感はせずとも、そういう考えもあると理解できていれば、別の教材を使っただろうから、あの教師はイスラムを信じる人々の感情よりもフランスが主張する価値観を上位に置いた。

 マクロン大統領は、フランスの主張する表現の自由という価値がイスラム社会にも適用されると主張した。それは思い上がりだとイスラム社会から反発が出たのは、西欧主導の国際秩序の揺らぎを反映している。米ソが世界を分割支配していた冷戦体制が崩壊し、欧米が主張する普遍的な価値観が現在では色あせ、中国など国家資本主義体制の強権国家が台頭、欧米の影響力は後退した。フランスなどで確立した表現の自由などを非西欧国家に押し付けることは簡単ではなくなっている。

 表現の自由は人々が宗教者など絶大な権威を有する者や権力者らを揶揄し、批判する武器だ。表現の自由は現代世界において人々が当然保有する権利であり、どんな表現も許される(傷つけられた人には法廷で争う権利がある)。下劣でも下品でも、どんな表現も自由であり、くだらない表現も自由であるのが、自由な表現が保たれている社会だ。仏週刊誌が表現の自由を行使することを擁護するのはフランンス社会においては当然だろうが、フランスなど西欧の価値観がそのまま通用する世界ではなくなっている。

 聖なるとする価値は社会によって異なる。西欧が世界を植民地支配した過去には様々な「普遍的」価値観を諸国に押し付けることもできたが、時代は変わった。西欧に旧植民地から人々が移住する動きが続き、西欧とは異なる価値観で育った人々が西欧社会で増える状況で、例えばフランスはテロ防止を口実に国内のイスラム教施設などを監視強化する法案を準備している。強硬姿勢で国内で支持を得つつ、表現の自由を掲げて国際世論の共感を得る戦略だが、異なる価値観への配慮が皆無という実態を曝け出した。

2020年11月7日土曜日

赤いシャツと白い靴

 「他人の目を気にするのは、自己規制だったんだ」と友人は言う。学生の頃は原色を好み、派手な色の組み合わせの服装が多かった友人は、会社勤めを始め、家庭を持った後、すっかり地味な色合いの服装で休日も過ごすようになった。

 そのころの服装選びは奥さんに任せっきりだったそうで、「仕事に追われて、休みの日に何を着るかなんて、どうでもよかった」と友人。それから20数年、子供たちが独立し、子会社に転籍した友人は時間的な余裕が出てきて、休日を活用することに意識が向いてきた。

 同時に奥さんは趣味のサークル仲間とのつき合いが忙しく、友人の世話を放棄し始めたそうだ。休日に着る服を新調したいと友人が言うと奥さんは「自分で選んで」と資金を渡してくれたそうだ。

 友人は近くの量販店に出かけた。自分で選ぶのは久しぶりで、つい地味な色合いの服を手にとったが、「待てよ」と迷った。若い頃の感覚が蘇り、原色それも明るい原色の服が魅力的に見えてきた。が、迷った。「いい歳の俺が、こんな色を着ていると、見た人から、どう思われるのか」と。

 以前にも、休日に履くスニーカーを自分で選ぶ時に友人は、地味な色ではなく、真っ白のスニーカーに惹かれたが、目立ちすぎるのではないかと躊躇し、黒を選んだ。だが、白いスニーカーを履いている人を見かけるたびに、白を選んでもよかったのではないかとグズグズした思いがよぎったと友人。

 迷った時には何が最善か最適かをよく考えて判断しろと言われるが、友人は「迷った時には、やりたいことをやれ」と思うようになっていた。何が最善か最適か、簡単には見極めることができないから迷うのだと長年の経験から友人は考え、何が最善か最適か考えても明確な解は出にくいと思うようになっていた。

 真っ赤なシャツを友人は選び、そのシャツを着て次の休日に外出した。目立ちすぎていると友人は緊張しながらも、俺が着たいのはこの色なんだと内心で繰り返していたそうだ。友人を見かけたサークル仲間が「若々しい」と言っていたと奥さんから聞かされた友人は、着たい服を着た休日に満足している。

2020年11月4日水曜日

赤字決算のオンパレード

 新型コロナウイルスの感染拡大は市場経済をマヒさせた。外出自粛や移動制限などが鉄道会社や航空会社を直撃し、惨憺たる決算発表が相次いでいる。人々による移動の需要が制限されて大幅に減少したのだから、各社の売り上げは大幅に落ち込み、利益が出るはずもなく、赤字決算のオンパレードとなった。

 JR東日本の2020年4〜9月期の中間決算は最終損益が2643億円の赤字。新型コロナウイルスの影響で鉄道の利用客が大幅に減り、駅ビルなどでの売り上げも減ったため、売り上げは前年同期比48%減と半減した。21年3月期の最終損益は4180億円の赤字になる見通し(前期は1984億円の黒字だった)。中間期、通期とも最終赤字になるのは初めて。

 JR東海の21年3月期の連結最終損益は1920億円の赤字になる見通し(前期は3978億円の黒字)で、最終赤字は民営化後初めて。売上高は8630億円の53%減と売り上げが半減するのだから利益が出るはずもない。新幹線で稼ぐ同社だが、ビジネス客や観光客などの利用が“蒸発”した。需要は戻ってきているものの、来年3月にかけて4割減に回復すると見込んでいるペースだ。

 利用客が蒸発したのは航空会社も同じ。ANAの2021年3月期の連結最終損益は5100億円の赤字になる見通し(前期は276億円の黒字)で赤字額は過去最大。売上高は63%減の7400億円と見込むが、こんな売上高では固定コストも賄えず、資金が流出し続けるだけだ。20年4~9月期は売上高2918億円で72%減、営業損益は2809億円の赤字、純損益は1884億円の赤字だった。

 JALも大幅な赤字だ。2021年3月期の連結最終損益は2400億〜2700億円で過去最大の赤字(前期は534億円の黒字)になる見通し。売上高は5300億~6000億円で60%前後の減少とする。国際線、国内線ともに一時は旅客機がほとんど飛ばなかったのだから航空会社がやっていけるはずがない。20年4〜9月期の中間決算は、売上高1947億円で74%減、純損益は1612億円の赤字。なお4~9月の旅客数は国際線で97%減とほぼ全滅。国内線は回復傾向にあるが、それでも76%減。

 国内外で感染拡大の終息の見通しがつかず航空需要の先行きは不透明だ。ANAは人件費などのコスト削減を急ぐ。冬のボーナスをゼロにするなど給与減額を図るとともに、多数の社員をグループ外の企業に出向させたり、希望退職を募集したり、保有する機体数を大型機などで35機減らしたりと事業構造改革を進め、21年度に2500億円のコスト削減を目指すという縮小均衡策に頼る。

 どんな大企業でも需要がなくなれば途端に経営危機に陥る。新型コロナウイルスは世界規模で様々な需要を“蒸発”させたのだから、世界で実体経済は大ダメージを受けた。各国の航空会社は政府の支援に頼って生き延びようとしているが、感染再発が続くなら前途は閉ざされている。緩やかに回復する国内需要にすがって生き延びる道を見いだすことができるか、日本の鉄道会社や航空会社の正念場だ。

2020年11月2日月曜日

ドキュメント「パンデミック10月」

  北半球では冬を前に新型コロナウイルスの感染増加が顕著になった。米国やインド、ブラジルなど南米諸国で感染増加は続いていたが、欧州諸国でも再び感染拡大の勢いが増し、各国はロックダウンなどに踏み切らざるを得なくなった。世界における感染者数は10月1日に3396万人、死者数は101万4千人だったが、同31日には4530万人、118万4千人と10月だけで感染者数は1134万人も増えた。感染者数は米国で900万人、インドで800万人、ブラジルで500万人を超え、ロシア、フランス、スペイン、アルゼンチン 、コロンビア、英国で100万人を超えた。

 <10月> 1日=世界の感染者が3396万人超す(米国で723万人、インドで631万人、ブラジルで481万人、ロシアで117万人、コロンビアで82万人超す)。死者が世界で101万4千人超す(米国で20万6千人、ブラジルで14万3千人、インドで9万8千人、メキシコで7万7千人超す)。タイは非常事態宣言を延長。米ニューヨーク市は飲食店の店内飲食や公立学校の対面授業を再開。スペインは首都マドリードを含む人口10万人以上の市で新たな移動制限。日本が中長期の在留資格を持つ外国人の入国制限措置を緩和。日本の国内の感染者が8万4千人超す。

 2日=世界の感染者が3425万人超す(米国で725万人、メキシコで74万人、英国で45万人超す)。死者が世界で101万8千人超す(米国で20万7千人超す)。米トランプ米大統領が感染(ホワイトハウス関係者に感染広がる)。

 3日=世界の感染者が3458万人超す(米国で733万人、ブラジルで488万人、ロシアで119万人、英国で46万人超す)。死者が世界で102万7千人超す(米国で20万8千人、ブラジルで14万4千人、インドで10万人、メキシコで7万8千人超す)。日本の国内の感染者が8万5千人超す。

 4日=世界の感染者が3483万人超す(米国で735万人、インドで647万人、ブラジルで484万人、ロシアで118万人、コロンビアで84万人、メキシコで75万人超す)。死者が世界で103万人超す(ブラジルで14万5千人超す)。サウジアラビアは聖地メッカへの巡礼を国内に住む人に限って再開。日本の国内の死者が1600人超す。

 5日=世界の感染者が3515万人超す(米国で741万人、インドで662万人、ブラジルで491万人、ロシアで120万人、コロンビアで85万人、英国で48万人超す)。死者が世界で103万7千人超す(米国で20万9千人、ブラジルで14万6千人、インドで10万2千人、メキシコで7万9千人超す)。日本の国内の感染者が8万6千人超す。

 6日=世界の感染者が3541万人超す(米国で745万人、ブラジルで492万人、ロシアで121万人、コロンビアで86万人、メキシコで76万人、英国で50万人超す)。死者が世界で104万3千人超す(米国で21万人、メキシコで8万1千人超す)。仏パリなどは警戒レベルを「最高」に引き上げ。米NY市は一部地域を対象に学校を再閉鎖。

 7日=世界の感染者が3580万人超す(米国で750万人、インドで675万人、ブラジルで496万人、ロシアで123万人、メキシコで78万人、英国で51万人、イタリアで33万人超す)。死者が世界で104万9千人超す(ブラジルで14万7千人、インドで10万4千人、メキシコで8万2千人超す)。米ニューヨーク市は一部地区で学校閉鎖。日本の国内の感染者が8万7千人超す。

 8日=世界の感染者が3615万人超す(米国で754万人、インドで683万人、ブラジルで500万人、ロシアで124万人、コロンビアで87万人、メキシコで79万人、英国で53万人、ドイツで31万人超す)。死者が世界で105万5千人超す(米国で21万1千人、ブラジルで14万8千人、インドで10万5千人超す)。欧州の新規感染者数が初めて10万人/日を突破。イタリアは非常事態宣言を延長し、屋外でのマスク着用を義務付け。ベルギーは首都ブリュッセルでカフェやバーを1カ月閉店。日韓はビジネス目的の往来再開。

 9日=世界の感染者が3651万人超す(米国で760万人、インドで690万人、ブラジルで502万人、ロシアで125万人、コロンビアで88万人、英国で54万人超す)。死者が世界で106万1千人超す(米国で21万2千人、インドで10万6千人、メキシコで8万3千人超す)。スペインは首都を含むマドリード自治州に15日間の非常事態を宣言。日本の国内の感染者が8万8千人超す。

 10日=世界の感染者が3668万人超す(米国で763万人、ロシアで126万人、メキシコで80万人、英国で56万人超す)。死者が世界で106万4千人超す(米国で21万2千人、インドで10万6千人、メキシコで8万4千人超す)。独ベルリン市は飲食店を含め商店の深夜営業を禁止。日本の国内の感染者が8万9千人超す。

 11日=世界の感染者が3700万人超す(米国で768万人、インドで697万人、ブラジルで505万人、ロシアで127万人、コロンビアで89万人、英国で57万人超す)。死者が世界で106万9千人超す(米国で21万4千人、ブラジルで14万9千人、インドで10万7千人超す)。

 12日=世界の感染者が3747万人超す(米国で776万人、インドで712万人、ブラジルで509万人、ロシアで129万人、コロンビアで91万人、メキシコで81万人、英国で59万人超す)。死者が世界で107万6千人超す(ブラジルで15万人、インドで10万9千人超す)。英国は3段階の規制ルールを導入。

 13日=世界の感染者が3772万人超す(米国で777万人、ロシアで130万人、英国で60万人超す)。死者が世界で107万8千人超す。日本の国内の感染者が9万人超す。

 14日=世界の感染者が3807万人超す(米国で782万人、インドで717万人、ブラジルで510万人、ロシアで131万人、メキシコで82万人、英国で61万人超す)。死者が世界で108万4千人超す(米国で21万5千人、英国で4万3千人超す)。イタリアはパーティー禁止や飲食店の営業制限など対策強化。オランダは飲食店を閉店させ娯楽イベントなどを禁止。ドイツはマスク着用義務を拡大しパーティーも制限 。英国は地域ごとに3段階の規制を適用。マレーシアは首都クアラルンプールなどで移動制限や学校休校などの措置。

 15日=世界の感染者が3852万人超す(米国で787万人、インドで723万人、ブラジルで511万人、ロシアで133万人、コロンビアで92万人、フランスで80万人、英国で63万人、イタリアで38万人超す)。死者が世界で109万1千人超す(米国で21万6千人、インドで11万人超す)。日本の国内の感染者が9万1千人超す。

 16日=世界の感染者が3872万人超す(米国で794万人、インドで730万人、ブラジルで514万人、ロシアで134万人、アルゼンチンで93万人、英国で65万人超す)。死者が世界で109万4千人超す(米国で21万7千人、ブラジルで15万1千人、インドで11万1千人超す)。豪はNZを対象に隔離を義務付けない入国を認める。ドイツは地域の感染状況に応じてマスク着用義務化など対策強化。日本の国内の感染者が9万2千人超す。

 17日=世界の感染者が3920万人超す(米国で800万人、インドで737万人、ブラジルで516万人、ロシアで136万人、アルゼンチンで94万人、メキシコで83万人、英国で67万人超す)。死者が世界で110万2千人超す(米国で21万8千人、ブラジルで15万2千人、インドで11万2千人、メキシコで8万5千人超す)。フランスはパリなどで夜間外出を原則禁止。米NY州は感染拡大の兆候がある場所をブロック単位で管理。

 18日=世界の感染者が3961万人超す(米国で807万人、インドで743万人、ブラジルで520万人、ロシアで137万人、アルゼンチンで96万人、メキシコで84万人、英国で68万人超す)。死者が世界で110万8千人超す(ブラジルで15万3千人超す)。イスラエルは全土のロックダウンを緩和。日本の国内の感染者が9万3千人超す。

 19日=世界の感染者が4003万人超す(米国で815万人、インドで755万人、ブラジルで522万人、ロシアで139万人、アルゼンチンで100万人、英国で70万人超す)。死者が世界で111万2千人超す(米国で21万9千人、インドで11万4千人、メキシコで8万6千人超す)。ベルギーは飲食店を営業停止にし、深夜外出禁止や午後8時以降の酒類販売禁止。

 20日=世界の感染者が4024万人超す(米国で817万人、ブラジルで523万人、ロシアで1340万人、英国で72万人超す)。死者が世界で111万5千人超す(米国で21万9千人超す)。チェコは厳格なマスク着用令を再導入。タイは外国人観光客の受け入れを一部再開。日本の国内の感染者が9万4千人超す。

 21日=世界の感染者が4072万人超す(米国で823万人、インドで759万人、ブラジルで525万人、ロシアで142万人、アルゼンチンで100万人、スペインで100万人、メキシコで85万人、英国で74万人超す)。死者が世界で112万2千人超す(米国で22万千人、ブラジルで15万4千人、インドで11万5千人、英国で4万4千人超す)。アイルランドは全国を対象に自宅待機命令。

 22日=世界の感染者が4109万人超す(米国で829万人、インドで776万人、ブラジルで532万人、ロシアで143万人、アルゼンチンで101万人、メキシコで86万人、英国で76万人超す)。死者が世界で112万7千人超す(米国で22万1千人超す)。チェコとアイルランドは2度目のロックダウン。イタリアは北部で深夜外出禁止。フランスは夜間外出禁止令の対象地域を拡大。米国の新規感染者が約7万2000人。日本の国内の感染者が9万5千人超す。

 23日=世界の感染者が4169万人超す(米国で840万人、インドで770万人、ブラジルで529万人、ロシアで145万人、フランスで104万人、アルゼンチンで105万人、英国で78万人超す)。死者が世界で113万7千人超す(米国で22万3千人、ブラジルで15万5千人、インドで11万7千人、メキシコで8万7千人超す)。英ウェールズは市民の外出制限など厳しい対策。イタリアは飲食業や映画館などの営業を午後6時までに制限。米国の新規感染者が約8万3700人。日本の国内の感染者が9万6千人、死者が1700人超す。

 24日=世界の感染者が4198万人超す(米国で844万人、インドで776万人、ブラジルで532万人、ロシアで147万人、フランスで108万人、メキシコで87万人、英国で81万人、ドイツで41万人超す)。死者が世界で114万千人超す(ドイツで1万人超す)。ポーランドは全ての飲食店や一部学校の閉鎖、外出制限など部分的なロックダウン導入。スロバキアが部分的なロックダウン。

 25日=世界の感染者が4241万人超す(米国で852万人、インドで781万人、ブラジルで535万人、ロシアで148万人、メキシコで88万人、英国で83万人超す)。死者が世界で114万7千人超す(米国で22万4千人、ブラジルで15万6千人、メキシコで8万8千人超す)。スペインは再び非常事態を宣言。日本の国内の感染者が9万7千人超す(東京で3万人超す)。

 26日=世界の感染者が4300万人超す(米国で863万人、インドで790万人、ブラジルで539万人、ロシアで150万人、フランスで113万人、英国で85万人、スウェーデンで11万人超す)。死者が世界で115万3千人超す(米国で22万5千人、ブラジルで15万7千人、インドで11万9千人超す)。ベルギーのブリュッセルは夜間外出禁止拡大など規制強化。イタリアは夜6時以降の飲食店営業の禁止。

 27日=世界の感染者が4349万人超す(米国で870万人、インドで794万人、ブラジルで540万人、ロシアで152万人、フランスで120万人、メキシコで89万人、英国で87万人超す)。死者が世界で115万9千人超す(メキシコで8万9千人、英国で4万5千人超す)。チェコでは1週間の夜間外出禁止令。インドは外国人の入国制限を緩和。豪メルボルンとその周辺で規制が緩和。日本の国内の感染者が9万8千人超す。

 28日=世界の感染者が4371万人超す(米国で873万人、ロシアで153万人、英国で89万人、ドイツで46万人超す)。死者が世界で116万2千人超す(米国で22万6千人超す)。ロシアは公共交通機関などでのマスク着用を義務付け。日本の国内の感染者が9万9千人超す。

 29日=世界の感染者が4422万人超す(米国で881万人、インドで799万人、ブラジルで543万人、ロシアで155万人、フランスで124万人、英国で91万人、メキシコで90万人超す)。死者が世界で117万千人超す(米国で22万7千人、インドで12万人超す)。スペインは緊急事態を来年5月まで延長。

 30日=世界の感染者が4492万人超す(米国で889万人、インドで804万人、ブラジルで546万人、ロシアで157万人、フランスで128万人、英国で94万人超す)。死者が世界で117万8千人超す(米国で22万8千人、ブラジルで15万8千人、メキシコで9万人超す)。フランスは全土で1カ月のロックダウン。米国の新規感染者が9万8千人以上。日本は9カ国・地域の渡航中止勧告を解除。日本の国内の感染者が10万人超す。

 31日=世界の感染者が4530万人超す(米国で898万人、インドで808万人、ブラジルで549万人、ロシアで158万人、フランスで132万人、英国で96万人、メキシコで91万人超す)。死者が世界で118万4千人超す(米国で22万9千人、インドで12万1千人、英国で4万6千人超す)。米ニューヨーク州は州外からの訪問者に2回の検査を義務付け。日本の国内の感染者が10万1千人超す。