2015年5月13日水曜日

度が過ぎる横やり


 福岡、長崎、鹿児島など8県の製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業等の23施設が「明治日本の産業革命遺産」として、ユネスコの世界遺産に登録される見通しになった。7月にドイツで開かれる世界遺産委員会で正式に決定されるというが、韓国が異論を唱え、投票に持ち込んで阻止しようとしているので、日本で19件目の世界遺産が誕生するかどうかは定かではない。

 この産業革命遺産は、1850年代から1910年、西洋技術が日本の伝統文化と融合し、造船、製鉄・鉄鋼、石炭の重工業分野で産業国家となった道筋を時系列で伝えているとされる。官営八幡製鉄所(福岡)や「軍艦島」(長崎県の端島炭坑)、松下村塾など九州、山口県の施設が中心だが、橋野鉄鉱山・高炉跡(岩手)、韮山反射炉(静岡)なども構成遺産になっている。

 産業革命は英で始まり、欧州各国が続いた。近代化に関する産業遺産は欧州では世界遺産登録されているそうだが、欧州以外で重工業分野の近代化を達成したのは日本が初。韓国で重工業分野が発展したのは朝鮮戦争が終わってからだし、中国では20世紀後半になってからだ。「明治日本の産業革命遺産」の登録は、欧米以外で最も早く産業化し、近代化した日本にふさわしいものであろう。

 発表のあと、連休ということもあって、構成遺産となる各地の産業施設などでは観光客が増えたという。正式に決定したなら各地で観光ブームが沸き起こりそうだ。ただ、一過性のブームで終わらせないためにも、8県23施設は単なる観光地としてではなく、日本における産業近代化の歴史を伝える役割を果たして欲しいものだ。

 韓国政府は、戦時中に長崎市などの7施設に、強制徴用された朝鮮人約5万7900人が動員されたと主張し、世界遺産登録に反対する。「軍艦島」など構成遺産の一部について申請撤回を求め、国会の外交統一委員会も非難決議を採択するなど、反対のボルテージを上げている。以前から反対運動を続けていたのに、登録を阻止できなくなりそうで、悔しさは一層増すのだろう。

 韓国は、大統領が訪問先国で日本批判を行うなど異常な外交を続けてきたが、そのことで何を得たのだろうか。日本の国際的地位が下がったわけでもないし、韓国の国際的地位が上がったわけでもない。「歴史問題」を持ち出すことで韓国を“被害者”と位置づけることはできたかもしれないが、国際外交において“被害者”だからといって何でも言うことが通るわけでもない。

 韓国政府が望んでいるのは何か。強制徴用された朝鮮人には給与が支払われていたともいい、未払い分については1965年の日韓基本条約(韓国は対日請求権を放棄)で決着がついている。韓国がどうしても見直したいというのであれば日韓基本条約を破棄すべきだろうが、そうなると日本が放棄した「朝鮮に投資した資本及び日本人の個別財産」の対韓請求権も復活する。対日請求額と対韓請求額のどちらが大きいのか。

 確かなことが一つある。「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産への登録が韓国の“努力”により見送りになった場合、日本国内における韓国イメージは大きな打撃を受けよう。今回の構成遺産は全国に点在し、登録確実ということで喜ぶ人々は多い。韓国政府が日本国内で嫌韓感情をもっと広く蔓延させたいと狙っているなら、登録阻止は有効に機能するだろう。

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