ロッテが中国でバッシングの標的になっている。米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国での配備が始まったが、その敷地は、韓国ロッテが所有していたゴルフ場を他の国有地との交換で提供したものだった。中国はTHAAD配備に強く反対しており、THAAD配備に協力したロッテを締め上げることに躊躇はなかったようだ。
ロッテは中国に20年以上前から進出し、菓子・飲料の製造販売のほか、デパート、スーパーを各地で展開するなど手広く事業を行い、根付いていたといえる企業だった。ところが、100店舗以上あるスーパーに中国当局は消防安全検査を実施し、不合格だとして店舗に次々と営業停止を命じるなど、政府主導でロッテバッシングを始めた。
中国の国営マスコミも公然とロッテの製品や店舗ボイコットを呼びかけたというから、まさに官製バッシングだ。「許可」が出たからと人々も元気づいて、ロッテの店舗、関連施設などに押し掛けて破壊し、大規模デモでロッテを糾弾するかというと……冷静だ。秋に共産党大会を控え、最高指導部の人事を巡り権力闘争が進行中という政治的に微妙な中国で、大規模デモなど許されるわけがない。
中国が特定国を対象に官製バッシングを行うのは初めてではない。2012年に中国政府は日本バッシングを主導し、各地で反日デモが繰り返され、日本企業の関連施設や店舗が破壊され略奪され、日本料理店も襲われ、日本車も標的になった。今回、中国人観光客を減らしたりと慎重に中国は韓国への経済的圧力を強めているが、ロッテに対するバッシングだけは目に見える形で行っている。
ところでロッテは敗戦後の日本で誕生した会社だが、創業者が在日韓国人とあって、日本で稼いだ資金をもとに韓国で大規模で多様な事業を展開しており、有数の巨大財閥となっている。韓国での売上げは日本の10倍弱ともいうが、グループ全体の支配会社は日本にある。
ロッテは韓国企業か、日本企業か。数年来のロッテの経営権を巡る創業家の御家騒動は、財閥批判が根強い韓国で大きな関心を集め、韓国メディアから「踏み絵」を迫られた現在の経営陣はロッテは韓国企業だと表明せざるを得なかったとか。今回の中国によるロッテバッシングは、ロッテが韓国企業であることを強調する効果もあったようだ。
そういえば、中国で日本企業が襲撃された2012年と比べて日本の報道は冷静だ。中国でのロッテバッシングは小さな扱いでしかない。してみると、中国と同様に日本でもロッテは韓国企業と見なされているのだろう。日本では日本企業として振る舞い、韓国では韓国企業として振る舞うことに何らかの経済合理性はあったのだろうが、政治が関わってくると企業にも二重国籍は許されないようだ。
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