2023年7月12日水曜日

評価されて喜ぶ

 英ロンドンで毎年開催されるインターナショナル・ワイン・チャレンジは世界で最大規模の酒類の競技会(コンペ)とされる。審査員は各国から集まった約400人のワイン専門家で、中にはワイン専門家としての最高資格保持者も含まれる。ここで受賞すると世界的な評価を得たことになり、受賞品は売り切れたりするという。

 このコンペに2007年から日本酒部門が創設された。普通酒や純米酒、純米吟醸酒、本醸造酒など複数の区分けがあり、区分けごとに審査されるが、それぞれに選ばれた日本酒の中から最高の日本酒が選出される。2023年の「チャンピオン・サケ」には湯川酒造店(長野県)の「十六代九郎右衛門 純米吟醸 美山錦」が選出された。

 世界で日本酒人気が広まり、米国などでも製造されているというが、まだ大半の日本酒が日本国内で製造されているだろう。その日本酒の評価を決めるコンペが英国(欧州)で行われ、そこでの受賞を日本酒メーカーは報道によると、「自分たちのやっていることが客観的に評価された。これからも自分たちの酒造りをぶれずに続けていく自信ができた」(湯川酒造店)などと喜ぶ。

 歴史的に長い時間を日本人だけが日本酒を愛飲してきたのだから、日本にも日本酒の評価を決める協議会(コンペ)が存在するのだが、日本のマスメディアは欧米で日本の何かが評価された場合のほうを大きく扱う。そこには欧米(西洋人)による評価を喜び、世界的な評価を得たとの無邪気さが漂う。

 協議会(コンペ)を開催して評価するという仕組みは、開催する側の評価基準(価値観)を評価される側に受容させることである。大袈裟にいうならば、開催する側の価値観で世界を統一する運動であり、評価する側が評価される側よりも優位に立つことにもつながる。欧州は様々な分野で自分たちの規格を世界標準にさせることに成功し、それが欧州の世界におけ得る影響力を担保している。

 協議会(コンペ)による評価は絶対的なものであると早合点する人もいるだろうが、陸上競技や水泳競技などタイムによって決定する結果と異なり、いわば審査員の採点を集計した多数決による決定である。審査員による評価を一定レベル以上に保つために審査員に対する評価も行われ、開催する側の評価基準(価値観)を懸命に追従する人だけが審査員になる。こうした厳しい審査体制のアピールが審査が客観的であるとのイメージにつながり、競技会(コンペ)への権威付与に役立つ。

 どんな日本酒の味わいを好むかは個人によって様々だろう。フランス料理に合うという日本酒より、居酒屋の煮込みや焼いたホッケ、おでん、刺身などに合う日本酒のほうを好む日本人も多いだろう。西洋人などの他人の評価に追従せず、自分の好みの日本酒を飲めばいいのさ。日本酒の評価まで西洋人に頼る必要はない。こうした競技会(コンペ)は、そうした見方もあるのだねと参考にする程度で済ましておけばいい。

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