2016年7月13日水曜日

分裂は常に存在する


 英国の国民投票で、EU離脱賛成が得票率51.9%で残留支持の48.1%を上回り、英国はEUから離脱することになった。EU残留支持に投票した人達はこの結果に納得せず、再度の国民投票を求める請願に410万人以上が署名をし、街頭に出てデモをしていたことが日本でも大きく報じられた。

 だが、再度の国民投票で仮に結果が残留支持となった場合、今度はEU離脱に賛成した側が黙っていないだろう。署名集めをし、街頭に出てデモをする。国民投票のやり直しが一度認められたのなら、二度目のやり直しを拒むことは困難だろうから三たびの国民投票が行われ……と何度も国民投票は続き、その間は英国はEUに離脱通告できないから、国民投票を繰り返すことで英国はEUに残留し続けることができる。

 米国で大統領選を闘っているトランプ氏は、その言動が国際的に物議をかもしているが、その言動故に支持者がついているので、トランプ氏は過激で偏狭な主張を簡単に穏便化することはできまい。本当に大統領になることができるかもしれないとトランプ氏が色気を出し、“まともなこと”を言い始めたなら、それまでの支持者は失望するだけだ。

 英国の国民投票でEU離脱を支持したのは主に労働者階級や高齢者で、EU残留を支持したのは経営者や若者、富裕層などと言われ、国民投票で英国社会の分裂が表れたとの解説、解釈がなされた。米では、トランプ氏の支持者は主に地方在住の白人の低所得者層とされ、ワシントンの既成政治家への反感、反発の広がりがトランプ氏を押し上げたともいわれる。

 英国の国民投票の結果や米国のトランプ人気は、それぞれ国内が2分され、分裂していることを示すと懸念する見方がある。だが、若者と高齢者、低所得層と富裕層、労働者と経営者など社会内に対立構造はいつでも存在するのだから、主権者の意向(民意)が正しく示されたなら、分裂傾向を示すことは珍しいことではなかろう。

 過激なポピュリスト政治家が選挙で勝つために対立を煽り、分裂を促進する恐れはある。だが、民意が分裂し、対立しているのが社会の実態であるなら、選挙の結果に現れた分裂を特に問題視し、様々に論じてみたところで分裂はなくならない。分裂は常に存在する。注意すべきは、宗教、民族、人種、地域差などの要素を社会に存在する分裂にまぶして煽り立てる言動に惑わされないようにすることだ。

 分裂のない社会が存在するとすれば、主張や自我を自己抑制する人々だけが集まった社会か、強権によって個人が抑え込まれている社会だろう。まとまりのある社会に見えるかもしれないが、どちらも息苦しそうだ。様々な考えの人がいて、自由にその考えを表明できるから分裂が現れると考えると、分裂そのものを過大に問題視する必要はない。

 ただし、英国が植民地支配で行った「分割して統治する」という支配方法が、先進国を含め多くの国でも有効だとするなら、国家権力や支配層が巧妙に国内の分裂を煽り、対立構造をつくり出すことで互いに憎みあうように仕向け、批判の目を権力から別の対象に逸らすことは支配に都合がいいだろう。

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