2016年9月10日土曜日

挑発的行為が示すもの


 北朝鮮の挑発的行為が続いている。9月5日に日本海に向けて発射した弾道ミサイル3発は約1000キロ飛行し、奥尻島の西方沖200〜250キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下した。8月24日には北朝鮮沖の日本海で海中から発射したSLBMが約500キロ飛行し、日本の防空識別圏内に落下した。8月3日にも日本海へ向けて発射した弾道ミサイルが約1000キロ飛行、秋田県沖の日本のEEZ内に初めて落下した。

 今年に入って相次ぐ北朝鮮のミサイル発射に、安保理は非難声明を発表するが、北朝鮮は反発するだけだ。今回も安保理は、過去の安保理決議への重大な違反にあたると非難する声明を発表したが、報道によると北朝鮮は、尊厳や生存権に対する侵害行為で「全面排撃する」とし、核実験や弾道ミサイル発射を今後もやめないと強調したという。

 日本のEEZ内に落下した北朝鮮の弾道ミサイルにより、日本の漁船などに被害が生じた場合に日本はどのような対応をするのか知りたいが、報道はない。世論が落ち着いている時にこそ冷静に議論すべき性質の問題だが、絶対平和主義の制約がマスコミにあるのか、“今そこにある危機”についての議論は乏しい。

 日本の漁船に被害が生じた場合に日本は、強硬に抗議するだろう。だが安保理の非難声明にも従わない北朝鮮が日本の抗議を受け入れる可能性は小さく、補償にも応じないだろう。軍事的な報復は、日本単独では実行できないだろうし、在日米軍は動かないだろう(米軍が攻撃すれば北朝鮮は全面的な軍事行動に移る可能性がある)。経済制裁は既に行われている。

 つまり、実効性のある対応策がないだろう日本は、沸き立つだろう世論をなだめつつ、北朝鮮に対する強硬姿勢を見せなくてはならないが、打つ手がない。それを見越して北朝鮮は、日本のEEZ内でもかまわず弾道ミサイルを打ち込んできているようにも見える。朝鮮総連の本部施設の問題を蒸し返し、今さら朝鮮総連を施設から追い出すことも難しいだろう。

 北朝鮮の挑発的行為が明らかにしたのは、第一に安保理の無力さであり、第二に日本をはじめ米国や中国、韓国などの無力さだ。政治的にも経済的にも国際的に孤立している国に対する外部からの影響力は限られ、挑発行為のエスカレートを止めることができない現実。国連主導で世界に平和がもたらされるという希望が全くの空想であることが突きつけられている。

 情報が限られているため北朝鮮の意図を知ることは困難だ。核とミサイルしか頼るものがなくなったので開発を急いでいるように見えるが、数発の核と数十発のミサイルを保有したところで北朝鮮は、全面戦争となれば敗北は時間の問題でしかないだろう。国際経済に取り込まれた中国は援軍を送らないだろうし。

 今の北朝鮮にとって、国家(と独裁者)のプライドを示すことができるものは核とミサイルしかなく、そのプライドを掲げるために挑発的行為をしているのかもしれない。一貫した意図や戦略は希薄で、核実験を行い、ミサイルを発射するという行為そのものが目的だとすると、挑発的行為は現在の統治体制が続く間は止みそうにない。その犠牲になるのは北朝鮮の人々であり、日本人もミサイルの落下場所次第では犠牲になる。

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