2016年11月2日水曜日

死刑廃止について①

 日弁連が人権擁護大会で、「死刑制度の廃止を含む刑罰制度全体の改革を求める宣言」を採択した。組織として死刑制度の廃止を掲げるのは初めて。2020年には日本で国連犯罪防止刑事司法会議が開催されるので、それまでに死刑を廃止し、仮釈放のない終身刑などを導入することや、受刑者の社会復帰の支援拡充などを目指すとした。

 この宣言は日弁連のHPに掲載されており、死刑廃止を主張する理由として▽生まれながらの犯罪者はおらず、人は罪を悔い、変わり得る存在、▽国連人権理事会などから廃止を考慮するよう求められている、▽死刑制度を廃止する国は増加し、国際社会の大勢が死刑の廃止を志向している、▽冤罪による処刑の危険性は重大−−などを挙げ、刑罰制度全体を、罪を犯した人の真の改善更生と社会復帰を志向するものへと改革するよう国に求めている。

 同HPには詳細な「提案理由」も掲載され、そこでは▽日本でも300年以上、死刑執行がなかった時代がある、▽死刑執行の基準、手続、方法等に関する情報が公開されていない、▽死刑判決に関する慎重な司法手続が保障されていない−−などを問題点と指摘し、死刑が、かけがえのない生命を奪う非人道的な刑罰であるとする。

 さらに、日本の刑事司法制度は「起訴前の勾留期間を通じて長期間・長時間の取調べがなされ、虚偽の自白がなされる危険性が高い」とし、「取調べの全件・全過程の録音・録画、弁護人の取調べへの立会い及び全面的証拠開示制度も実現して」おらず、現行の刑事司法制度で「冤罪が発生する危険性は高いレベルにある」と危惧する。

 また、「犯罪の抑止は、犯罪原因の研究と予防対策を総合的・科学的に行うべきであり、他の刑罰に比べて死刑に犯罪抑止力があるということは科学的に証明されていない」とし、政府は国民世論に支持されているというが、死刑制度に関する情報公開は極めて不十分であり、十分な情報の提供で熟議すれば、国民世論も変化し得ると期待する。

 死刑の廃止は、受刑者の更生と社会復帰を軸とした刑罰制度の改革の一環として行われるべきだとする日弁連は、受刑者に対する多岐にわたる基本的人権の制約に異議を唱え、仮釈放制度の改革を提言し、被拘禁者の生活全般を一般社会の規則や生活に近付けることなどを提言する。

 日本の刑罰制度には様々の問題があり、死刑制度を廃止することで必然的に刑罰制度全体の見直しをせざるを得なくなるというのが日弁連の見立てのようだ。これは、政府は現行の刑罰制度を大きく変えたくないから、見直しの端緒となる死刑廃止に動かないと解釈することもできる。つまり、死刑廃止の実現は、日本の刑罰制度の見直しに直結する。

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