米メディアの圧倒的な多数が支持を表明し、世論調査や直前の分析でも有利だと報じられたクリントン候補が、本選挙では敗北した。総得票数ではクリントン候補がトランプ候補を上回った(開票率99.7%でトランプ氏6083万票、クリントン氏6178万票)が、選挙人の数を争うのが米大統領選。最後まで接戦を演じたのでもなく敗れた。
総得票数ではクリントン候補がトランプ候補を上回ったのだから、陣営や民主党の選挙戦術に問題があったとはいえ惜敗というべきだろうが、事前予想ではクリントン候補の圧勝とするメディアが多かったため惨敗とのイメージが強い。同時に、人々の思考や感情に大きな影響を及ぼすメディアが、正確な情報を伝えているのかという疑問が出てきた。
クリントン候補の敗因の分析は様々になされている。例えば、▽若者やマイノリティの投票率が低かった(前回勝利したオバマ大統領の約6600万票より今回のクリントン候補は大幅に減らしており、オバマに投票した人がクリントン候補にはそっぽを向いた)、▽世論調査ではクリントン候補を支持したが実際に投票に行かなかった人が多い(トランプ候補の支持者は投票に行った)。
出口調査によると、▽10代20代30代の過半数はクリントン候補に投票したが、40代以上では過半数がトランプ候補に投票、▽白人の約6割がトランプ候補に投票、▽マイノリティーの約2割がトランプ候補に投票(ヒスパニックやアジア系では約3割)、▽年収5万ドル未満の低中所得層の5割強がクリントン候補に投票したが、5万ドル以上では逆転してトランプ候補に投票した人が増え5割弱。
メディアの報道で、トランプ候補の支持者は、製造業が衰え衰退する地方に住む白人の低所得者層だとされていたが、出口調査で見る限りでは富裕層の多くがトランプ候補へ投票していた。共和党の政治家は反トランプの動きを見せたが、共和党の支持層は共和党候補としてのトランプ氏に投票したのだろう。
予備選からの長い選挙戦を通して米メディアはトランプ候補を批判し続け、時には嘲りの対象にもした。トランプ候補の言動が尊敬に値するような代物でなかったことは確かだし、先にトランプ候補から攻撃などを始めたりしていたのだから、相応の反撃を食らうのも当然ではあるが、メディアはトランプ候補を批判することに熱中するあまり(批判材料には事欠かない)、「冷静」にトランプ候補を扱うことができなかった。
皮肉にも、エスタブリッシュメントの一翼を担うメディアが熱心にトランプ候補批判を続けたことで、人々の反エスタブリッシュメント感情を強めた可能性がある。メディアの言うことに流されないためには、メディアもエスタブリッシュだと見なすことは一種のメディアリテラシーかもしれない。
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