2017年5月20日土曜日

インフラ整備と需要

 中国が主導する「一帯一路」構想の賛同国を集めた国際会議が北京で開かれ、130カ国から約1500人が出席した。報道によると共同宣言では、「世界の貿易と投資の伸びは依然として低迷している」とし、「自由な貿易を確保し、あらゆる形態の保護主義に反対」を表明、一帯一路は「各国に協力を深める重要な機会を提供し、積極的な成果をもたらした」と自画自賛しているそうだ。

 低コストの生産地となって世界相手の輸出で経済成長した中国が、保護主義に反対し、自由な貿易を擁護するのは当然だとも見えるが、拡大する中国の国内市場を保護することに加え、共産党の独裁支配を脅かされないように、外資の参入には各種の厳しい規制を講じているのが現実。いつの間にやら自由貿易の旗手を演じ始めた中国は、相変わらず自国に都合のいい部分だけを、つまみ食いで主張している。

 この一帯一路構想は、中国と欧州を結ぶ陸路と海路の現代版シルクロード構想とも称され、各地で道路や鉄道、港湾などインフラ建設を行って中国主導の巨大経済圏をつくろうというもの。中央アジアや東南・南アジアでのインフラ整備が主になるとみられている。

 インフラ整備が遅れている一帯なので膨大なインフラ整備需要があると見込まれているが、自前でインフラ整備を行う資金に乏しい諸国が連なっている。それで、中国が資金と技術、資材(と労働力)を提供すると期待する諸国が一帯一路構想に反対する理由は乏しいから、アジア諸国は賛同し、事業への参画を目論んで欧州諸国も名を連ねた。

 中国国内で交通網などのインフラ整備が急速に進んだように、中央アジアや東南・南アジア、さらには中東を経て欧州までのインフラが整備されれば、モノと人の移動が活性化し、それなりの経済圏が形成されるとの期待が膨らむ。だが、そもそもモノや人の移動の需要が少ない地域でインフラ整備を進めたところで、需要が増えるわけではないことは中国国内でも明らかだ。

 どこでも、道路を作れば走る車が増え、鉄道を敷設すれば乗客が増え、港湾を整備すれば寄港する船舶が増える……なら大成功だが、潜在需要が乏しいならインフラ整備の効果は限定的だろう。中央アジアや東南・南アジアなどの諸国で、国境を越えてモノや人が移動する需要が潜在しているのなら一帯一路は刺激策となろうが、そうした潜在需要が乏しいのなら、中国から欧州への輸送路になるだけだ。

 一帯一路が中国からの援助であるなら諸国にとって恩恵だけがもたらされようが、借款であるなら事情は異なる。インフラは整備されたものの収益が伴わなければ、中国に対する負債だけが膨らむ。諸国が中国に負債で縛られ、中国が実質的に支配する巨大な経済圏が誕生するなら中国の狙い通りだろうが、そのためには、まずインフラ整備の成功事例を積み上げなくてはならない。中国に可能か、お手並み拝見だ。

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