2017年11月25日土曜日

準国家あるいは半国家

 EUは、参加した欧州の主権国家が、主権の一部をEUに譲り渡し、主権を共有して連邦を構成するという試みだ。新たに欧州に巨大化した主権国家を形成する試みであり、欧州を主権国家化する試みでもある。世界政府へ1歩前進と見えたが、そう簡単には既存の主権国家は全てを手放さない。

 スペイン北東部に位置するカタルーニャ州議会が独立を宣言したが、中央政府は認めず、カタルーニャ州の自治権を停止し、直接統治に乗り出した。EUができて参加国の主権国家としての役割は相対的に希薄になったので、EUの枠内に止まるなら、内部の州などが独立しても構わないように見えるのだが、スペインに限らず各国とも内部からの分離独立は拒否する。

 EUという枠組みでは、主権国家は主権を削減しても主権国家でいることができるのだが、分離独立を許したなら領土が減少する。分離独立した地域がEU内にとどまるなら、自由な通行や経済活動は保たれるはずだが、各国は分離独立を拒絶する。領土の縮小が明確化することは主権国家にとって譲ることができない一線か。

 主権国家を大雑把に定義すると、国境で確定された領土を有し、そこに国民が住み、統一された中央権力や統治機構によって統治され、外部からの支配を拒む能力を保持し、外交交渉を自由に行うことができる国家である。独立国とほぼ同じ意味合いだ。

 主権国家が内部からの分離独立を許さないとしても、そうした分離独立運動が消え去ることはないだろう。主権国家が領土の減少に寛容になれば、各国で分離独立の動きが活発化し、主権国家の領土は縮小に向かう。既存の主権国家の領土を維持しながら、分離独立運動を許容するとすれば、自治権の拡大を行うしかないだろう。

 ただ、自治州とか自治区としてとどまるなら、分離独立を目指す運動は満足しないかもしれない。そうなると、自治区や自治州よりも権限を持つが、主権国家の支配下にある新たな統治機構を考えるしかない。それは準国家あるいは半国家という位置づけになる。

 EU参加の主権国家の内部に、さらに主権を制限された国家として準国家あるいは半国家を認めるならば、分離独立運動との妥協(共存)の可能性があろう。参加した主権国家から主権の一部を獲得して成立したEUは、参加した主権国家内の分離独立運動も包含することができるはずだ。

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