2015年9月23日水曜日
ディーゼル賛美に不都合な現実
ガソリン車よりCO2排出量が少なく、燃費が良いというディーゼル車だが、騒音が大きく、排気ガス対策に難ありと日本では市場は商用車などが主体だった。最近、排気ガス対策が進んだことで、ディーゼルエンジン搭載の乗用車が各社から発売されるようになってきた。欧州ではディーゼルエンジン搭載の乗用車は普及しているので、欧州メーカーも日本市場に投入するディーゼル乗用車を増やしている。
自動車ジャーナリストらは早速、ディーゼル乗用車の礼賛に励んでいる。もともと欧州車崇拝の傾向がある日本の自動車ジャーナリストだから、欧州でディーゼル乗用車が普及しているとあっては、日本も見習うべきと手放しでディーゼル乗用車を薦める。欧州に対する批判は弱く、欧州は基準にすべきものと思い込んでいるようなので、ディーゼル乗用車に対する冷静な検証は希薄だ。
そうしたディーゼル乗用車賛美の流れに不都合な疑惑が浮上した。米国でフォルクスワーゲンが排出ガス基準をズルしてクリアしていたという。その方法は、違法なソフトウエアを活用し、排出ガステストの時は排出ガス浄化機能をフル稼働させて排出ガスを「クリーン」にするが、通常の走行時は排出ガス浄化機能を低下させるというもの。これで、排気ガスが「クリーン」で、通常走行ではきびきび走るという自動車ジャーナリスト絶賛の車が出来上がる。
ただし、通常の走行時には排出ガス中の有害物質のNOX(窒素酸化物)は、排出ガス基準の40倍に達するケースがあるというから、極めて悪質な行為であり、健康への害などを考慮すると犯罪行為と見なすべきだろう。フォルクスワーゲンは「信頼を裏切り、深くおわびする」と謝罪し、事実を認めた。
この疑惑は、「クリーン」ディーゼルなるものへの信頼性と信憑性を揺るがす。フォルクスワーゲンが使った違法ソフトの同類を各社も使用しているのではないか。排気ガスが「クリーン」なディーゼル乗用車は、走行性能が損なわれていないことが評価されているが、通常走行でも排出ガスを浄化しているのか。こうした疑惑を晴らすためには、全てのディーゼル乗用車の通常走行時の排出ガスを再検査しなければならない(つまり、実行はされない)。
ディーゼルエンジンの不都合な情報といえば、発がん性との関連もある。2012年にWHOが、ディーゼル排ガスには「発がん性が十分認められ、肺がんの危険性を高める」との調査結果を発表している。発がん性の評価でディーゼル排ガスは、最も危険性が高い段階に位置づけられたと報じられたが、自動車ジャーナリストが書くディーゼル関連の記事では、そうした情報は見かけない。
さらに、ディーゼルエンジンとの因果関係は不明ながら、ディーゼル乗用車の普及率が高いフランスなどで大気汚染が深刻化している。PM2.5といえば中国の大気汚染をまず連想するが、パリなどでもPM2.5が環境基準を大きく超え、問題になった。粒子状物質(PM)が健康に有害であることは知られている。
欧州でディーゼル乗用車が普及したのは、ガソリン車よりも規制が緩かったからだという説もあり、欧州の現状を日本が見習うべきとする根拠はない(欧州にコンプレックスを持つ人や欧州崇拝者は別だが)。フォルクスワーゲンのようなズルをして各社が規制をクリアしているわけではないだろうが、ディーゼル乗用車にも課題は多く、流行のディーゼル礼賛に踊らされないよう注意が必要だな。
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