2015年9月30日水曜日
剥がれた化けの皮
独フォルクスワーゲン(VW)自慢の「クリーン」ディーゼルの化けの皮が剥がされて大騒ぎになっている。実際の走行時にはNOXなどを環境基準の40倍も排出しており、「クリーン」どころか、大気を汚染しながら走る車であることが明らかになった。当初は、技術部門の担当者の“暴走”ともされていたが、続報が増えるにつれて、会社ぐるみの行為であり、監督すべきEUが黙認していた可能性も浮上している。
明らかになったことを列記すると次のようになる(9月30日現在)。
▽▽VW本社が、2005年から06年頃に不正ソフトウェアをディーゼル車に搭載することを決めたと独通信社が報じた。米国の厳しい排ガス基準を満たすディーゼル車の開発を目指したが、厳しい排ガス規制に対して採算がとれる対策の必要性に迫られ、コストのかさむ排ガス浄化装置でなく、不正ソフトの使用を決めた。
▽▽VWで2011年頃に社内のエンジン部門の技術者らが、一部のディーゼル車について、排ガス基準を満たしておらず、違法の可能性があると指摘していたが上司が取り合わなかったと独紙が報じた。VWは社内で不正が見つかったのに放置し、世界各地で販売を続けていた可能性がある。
▽▽07年には、ソフトを試験目的で納入したボッシュが、規制逃れに使えば違法になると警告していたという。
▽▽欧州連合(EU)が2013年時点で、ディーゼルエンジン車に搭載された違法ソフトウエアの存在を把握していたと英紙が報じた。
EU欧州委員会の研究機関は13年にまとめた報告書で、一部ディーゼル車について調査の結果、路上走行時の窒素酸化物(NOX)の排出量がEUの基準値を大きく上回ったことを指摘。報告書は、車両に搭載された装置には試験を感知して排ガス量を減らす機能があると指摘。ディーゼル車については屋内試験に加え、路上走行による試験も導入すべきだとしていた。
EUは07年以降、不正なソフトウエアの使用を禁じ、走行試験の導入も図ったが実現していない。EUが独自調査などに取り組まず、「問題を追及しなかった」と英紙は指摘。
どうやらVWは10年も前から不正ソフトで排出ガス基準をクリアして、環境に優しい「クリーン」な車として売っていたようだ。担当の少数の技術者が“暴走”したのではなく、本社が容認していた。「クリーン」で燃費が良く、きびきび走る車を自社で開発できたなら不正をしなかっただろうから、「クリーン」でしかも燃費が良い車を開発できなかった焦りが、排ガス基準の不正クリアにつながったのだろう。
新たに出てきた問題は、EUがなぜ、「クリーン」ディーゼル車の実際の走行時におけるインチキさを放置していたのかだ。EUはCO2排出削減で厳しい基準を自動車メーカーに強制するので、ハイブリッド車の開発などが遅れた欧州メーカーは、ガソリン車よりCO2排出量が少ないディーゼル車の開発を優先した。が、ディーゼル車は排気ガス中のNOXとPMが難問で、本当に「クリーン」にしようとするとコストがかかる。
それでEUは、CO2排出削減を優先すべきだとして、「クリーン」ディーゼル車の実際の排出ガスが「クリーン」ではないという問題には目を瞑ることにしたのか。さらに「クリーン」ディーゼル車で欧州メーカーの技術的優位を築き、さらには販売面での支援にもなる……だが、こうした戦略は、砂上の楼閣であったことが明らかになりつつある。
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