2015年11月11日水曜日

戻る日は来るか


 今は台湾の1政党になった中国国民党は、中国大陸で結党された百年ほどの歴史を持つ“老舗”政党だ。台湾に移ってきたのは66年前の1949年。中国共産党との内戦に敗れ、台湾に逃げ延びた。当時の中国共産党軍は陸軍が主体で、台湾に侵攻するほどの海軍力を有していなかったから、国民党は中国共産党に台湾から追い出されずに済んだ。

 国民党は台湾で強権支配を続け、大陸反攻を掲げていたが、大陸を支配する中国共産党が次第に強大になるにつれ軍事力では拮抗できなくなり、大陸反攻の旗を降ろした。強権支配も続けることはできず、台湾では選挙による政権交代が定着した。台湾に根付いたように見える国民党だが、今でも中国大陸の政党であることを標榜しているという。

 国民党には中国共産党と2回協力した過去がある。どちらも国民党が中国大陸で活動していた頃だ。第1次国共合作(1924〜1927年)は軍閥政権に対する共同戦線で、第2次国共合作(1937〜1945年)は日本軍に対する共同戦線。敵目標の一致を重視して連携し、単独では抗し難い敵に立ち向かったという構図だが、共通の敵がいなくなると、たちまち内戦に戻った。

 中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統が会談した。大陸と台湾に中国が分裂してから、両岸の政権トップが会談するのは初めてで、歴史的と評価する向きもある。だが、国民党の連戦主席は05年に訪中して当時の胡錦濤中国共産党総書記と初会談していたから、国民党と中国共産党の関係修復は既に実現していたことになる。

 今回の会談では、「一つの中国」を認め合う「一九九二年合意」の堅持を確認し、関係の強化に向けて協議したと報じられるが、会うことに意味があった会談であり、具体的な成果は二の次だ。台湾での次期総統選で優位が伝えられる民進党へのけん制を狙ったものともいうが、国民党が大陸中国に接近しすぎる姿を見せることが、次期総統選で国民党を有利にするかどうかは分からない。

 もともとは大陸で結成され、その党員の大半が大陸の人々であった国民党が台湾に居続けるのは、中国共産党に大陸を追われたからだ。中国共産党との関係が修復したなら、国民党は大陸に戻っても良さそうなものだが、立ちはだかるのが、形式的な野党の存在しか許さないという中国共産党の独裁だ。

 国民党は台湾で自由な選挙を経験しているので、中国共産党の独裁が続く限り、大陸に戻ることはないだろうし、党員の大半も戻りたがらないかもしれない。国民党が大陸に戻るのは、中国共産党の独裁が終わった時だが、そんな日はいつ来るのか分からない。国民党は「一つの中国」を主張することで中国共産党と“共闘”できるが、それは中国共産党への支援にもなり、国民党が大陸へ戻る日を遠ざけることにもなる。

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