トランプ氏が次期大統領に決まった直後から、カナダ移民省のサイトへのアクセスが急増して一時は接続が困難になったと報じられた。米国民ならカナダへの移住は容易だとされるが、ニュージーランドや豪の入国管理局サイトへのアクセスも急増、米国民からの移住ビザの申請が増えたり、IT関連企業に米国から求人の問い合わせが増えたともいう。
トランプ大統領の誕生に怯えた人々が脱出を始めたとも見えるし、トランプ氏を嫌う人々が米国に見切りをつけて逃げ出し始めたとも見える。移民が形成した米国では、国籍は個人が選択するものとの考えが根付いているのだろうから、他国に移住することは人生の現実的な選択肢なのかもしれない。
「苛政は虎よりも猛なり」という中国の故事がある。過酷な悪政の下にある土地で暮らすよりも、人食い虎が出る土地で暮らすことを人はあえて選ぶという例えで、米国に見切りをつけた人々は、トランプ大統領の治世下では悪政が行われると見通したらしい。
他国に移住しようとする人々は米国民だけではない。急増しているのが、中東やアフリカから欧州に向かう人々だ。シリアやイラクなど戦乱で疲弊した国やアフリカの破綻国家などから豊かな欧州を目指す人々には、移住することに相応の正当性があるとも見えるが、数万、数十万と増える一方とあって欧州はネを上げている。
トランプ大統領の誕生でアメリカに見切りをつけ、カナダやニュージーランドなどへの移住を検討する人は政治的な亡命者と似ているように見える。各国の移住のシステムを利用し、秩序だって国境を越えることができるのだから、欧州に殺到する移民・難民とは大違いだ。先進国型の移民か。
トランプ大統領のアメリカは、保守色が濃く反対勢力との対立を辞さない強硬な政策に転換する可能性は高いが、民主主義を否定する独裁政治にはなるまい。複数政党で形成する議会があり、司法は行政から独立し、マスコミの報道は自由であり続けるだろう。そんなアメリカからカナダなどへ政治的な理由で移住するのは、贅沢すぎる選択だと中東やアフリカの難民は思うだろうな。
気に入らない人物が選挙で選ばれたからと外国に人々が移住するのは、民主主義を弱体化させる。民主主義は人々の不断の働きかけによって鍛えられ、時代の変化に対応していく。アメリカのような国では次の選挙があるのだから、そこでの勝利を期して、逃げ出さないで闘うことが民主主義を健全に保つ。トランプ大統領の誕生に絶望するのは、世界的に見れば、贅沢すぎる絶望なのだ。
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