2016年12月14日水曜日

高揚する韓国市民

 主催者発表では参加者100万人以上という大規模なデモが毎週続き、朴槿恵大統領の辞任を人々は求めた。朴大統領は来年4月の退陣を受け入れる意向を示したが、即時辞任を求める圧力は収まらず、与党からも多数が賛成に回って国会で大統領の弾劾訴追案が可決され、大統領権限は停止された。

 最高権力者の退陣を要求する人々がデモをし、治安部隊が暴力的に抑え込もうとして流血を見ることは世界では珍しくない。だが、民主主義国家であれば、最高権力者の任期途中での不信任について法的に整備されているのが当然で、辞任を求める世論が高まれば議会が最高権力者の交代へと動くことは珍しいことではない。

 韓国では、暴力や流血を伴わずに朴大統領を弾劾できたことに達成感があるようだ。韓国主要紙は弾劾訴追案が可決されたことを「国民による名誉革命」と讃えているという。激情しやすい民族性と称されたりもするのに今回のデモでは、集会で過激な発言や暴力が出そうになるたびに市民たちが制止したといい、憲法の手続きに沿って弾劾に至ったのは市民の成熟を示すものとされた。

 韓国の市民が成熟したというが本当ならば喜ばしいことだ。既に合意したことを後になって一方的に引っくり返したり、自国流の歴史観を押しつけたり、被害者感情を強硬に主張して事実を軽視したり、民族性の維持のために欧米などで日本批判をすることなどは、市民(個人)が成熟したなら控えられるようになると期待できよう。

 ただ、流血を見ずに大統領弾劾をなし遂げたことが韓国市民の成熟の現れとしても、その成熟が①一過性のものか、受け継がれていくのか、②韓国内でだけ発揮されるのか、国際社会でも発揮されるのかーー不明だ。市民が成熟すれば国家も成熟して政策も成熟するなら、東アジアの安定のためには韓国の成熟は寄与する。

 集会では過激な発言や暴力が出そうになるたびに市民たちが制止したというが、例えば、日本を批判するデモや集会でも韓国の人々は成熟した行動を示すことができるのか。激情を発揮することが公の場ではふさわしくない行動だと自覚して冷静に振る舞うようになったのなら、韓国の市民の成熟は本当かもしれない。

 人々に支持されなくなった最高権力者を流血を見ずに排除できたのだから、韓国の人々が達成感に浸り、誇らしく感じるのは当然だろう。韓国紙が名誉革命と並べて讃えるのは、持ち上げすぎの感もあるが、メディアも達成感を共有しているのだろう。韓国の市民もメディアも高揚している。

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