北朝鮮がグアム周辺に向けて弾道ミサイルを発射すると脅せば、「炎と怒りに直面する」とトランプ大統領が応じるなど緊張が高まっている気配だが、韓国在住の民間人に米国が退避勧告などを出していないことから、米国から仕掛けて開戦する可能性は低いと見られる。
ただ、政治的指導者の配慮に欠けた言葉の応酬がエスカレートすると、兵や人々の好戦気分を煽る効果があり、偶発的に衝突が起きて開戦につながる可能性も出てくる。金正恩氏とトランプ氏には冷静かつ理性的な振る舞いを求めたいところだが、独裁者として育てられた金正恩氏と傍若無人に振舞う金持ちのトランプ氏の組み合わせでは、冷静さも理性も期待できないか。
ミサイル発射を繰り返す北朝鮮は、過度に緊張を高めているように見える。ミサイル開発も核武装も体制維持が目標だとされるが、米国の注意を引くことも狙っているような印象だ。米国との直接の和平交渉を北朝鮮は望んでいると言われるが、核とミサイルの実戦力化を急いでいると解釈したほうが北朝鮮の行動を理解しやすいので、米国との対立を演出したいのだろう。
体制維持が目標だとすれば、戦力的に劣る北朝鮮から開戦を仕掛ける可能性は低い。戦争が間近だと国内外で緊張を維持することが体制維持には有効だろうから口汚く強い言葉で米国などを批判し続けるのだとすれば、偶発的な韓国との衝突はあっても、米国相手の偶発的な衝突は避けるだろう。
しかし、トランプ氏にとっては、開戦は現実的な選択肢かもしれない。その理由は第一に、北朝鮮に長距離弾道ミサイル攻撃力を持たせたくないなら早期に開発能力を破壊する必要がある。第二に、北朝鮮はまだ長距離弾道ミサイルを実戦配備していないだろうから、戦場が米国本土になる可能性が低いので、北朝鮮との開戦が不可避だと判断したなら早期の開戦が米国に有利になる。
もちろん開戦となれば朝鮮半島が戦場になるだろうし、すでに北朝鮮が実戦配備している中距離ミサイルが日本各地を襲う可能性は高い。多大な被害が予想されるので、米国が戦場にならないからといってトランプ政権が開戦に踏み切ることは現実にはないだろうが、北朝鮮が米国を先制攻撃したと見なされる行動をとった場合には、米国は可能な限りの短期に北朝鮮の攻撃能力を破壊するかもしれない。
北朝鮮が米国を先制攻撃したと見なされたなら、米国内に激しい愛国的機運が高まることも予想され、そうなったなら国際的な自重要請は無力だろう。国際的な緊張は外交交渉で解消すべきだが、経済制裁を受けている北朝鮮には外交交渉のカードが乏しく、外交交渉には背を向けている。
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