2018年7月21日土曜日

命令口調の天気予報

 最近、各地で大雨が増えた印象がある。うっかりと、天候不順だから大雨が増えていると思いがちだが、①実際に大雨の回数が増えている、②大雨についての情報提供量が増えた、③大雨に対する注意や警戒を発する基準が引き下げられた、の可能性がある。大雨の回数がさほど変わっていなくても、②③により、大雨が増えたとの印象を持つだろう。

 命令口調になったことも天気予報の印象を強めている。大雨予想などで警報が出され、「ン十年に一度の災害が起きる」と強い言い方をされると、誰だって気になる。天気予報に命令される覚えはないのだが、「備えてください」と言われると、反論したり抵抗することなく、素直に受け取ってしまう。

 気象災害などで避難が遅れて被害が生じる事例を減らそうと、早めの避難など対策を促すため天気予報が命令口調になったのだろうが、脅しているような気配は拭えない。各地の大雨では浸水被害などが実際に生じているので命令口調の天気予報に対する反発は見えないが、命令口調の天気予報が空振りすると、途端に反発が批判となって現れるかもしれない。正確な予報が命令口調には必須であろう。

 気象庁は「大雨警報(浸水害)の危険度分布」と「洪水警報の危険度分布」を開始した。土砂災害についての土壌雨量指数、洪水害についての流域雨量指数に加えて新たに、浸水害について表面雨量指数を開発し、危険度が著しく高まっている地域をより明確にして大雨特別警報を発表するようになった。表面雨量指数とは、降った雨が地中に浸み込まずに地表面に溜まっている状態を指数化したものという。

 気象庁の「地域における気象防災業務のあり方検討会」報告書では、「近年、大雨等による災害が相次いで発生」し、「各地で地震・火山噴火による災害も発生」しているため、「自治体や住民等における防災気象情報等の理解・活用を支援・促進するなどの取組が一層重要」になり、「大災害は必ず発生するとの意識を社会全体で共有」し、「防災意識社会への転換に貢献」していくそうだ。

 人々の防災意識を高めることが、いつの間にか気象庁の役割になったようで、天気予報に命令口調や強い警告が混じり、人々に直に指示している印象だ。大雨予報が外れて被害が出なくても、それは幸いだったと厳しく責任を問われることはないだろうから、「命令」するが責任は問われないというポジションを気象庁は獲得したか。財務省だって気象庁ほどには、人々に向かって指示したりはできない。

 日本では台風や梅雨前線、発達した低気圧などによる大雨は全国各地で繰り返されてきた。大雨は珍しくないのだが、1時間に50㎜以上の雨が降る頻度が1970~80年代に比べ3割程度増加していると気象庁は説明している。だから気象庁は防災に力を入れるようになったのだろうが、非常時だとの演出を利用して気象庁が権力を拡大したようにも見える。

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