新幹線を利用して青森駅に行くためには、新青森駅で降りて在来線に乗り換えなければならない。新青森〜青森間の所要時間は6分だが、はこだてライナーのようなアクセス電車は存在しない(同区間は特急やリゾートしらかみなどにも普通料金で乗車することができる)。青森駅への新幹線乗り入れの議論はないようだ。
青森県の観光入り込み客数は2680万人(延べ人数、2022年)で、青森市は364万人(2021年)。新型コロナの影響により減少したが、新型コロナ禍前の2019年には青森市の観光入り込み客数は602万人、青森県は3544万人と多かった。新型コロナの影響が残る2022年にも、ねぶた祭りの期間中には累計105万人の観光客が訪れたというから、全国に知られたねぶた祭りの観光客誘引力は大きい。
青森市と津軽海峡を経てフェリーで結ばれる函館市は観光都市として名高いが、観光入り込み客数は2023年度に528万人(2019年度とほぼ同水準に回復した)だった。人数的には函館市よりも青森市のほうが多いのは、青森市を拠点に弘前や八戸、むつ(恐山)、奥入瀬渓流、十和田湖などを日帰りで観光できる利便性が影響しているだろう。
青森市内の主な観光施設は、ねぶたの山車を複数展示している「ねぶたの家 ワ・ラッセ」、「八甲田丸」、観光物産館「アスパム」(展望台あり)などが青森駅から徒歩圏内に集まっている。「三内丸山遺跡」や「北のまほろば歴史館」「近代文学館」「八甲田ロープウェー」などは青森駅から離れているのでバスを利用し、浅虫水族館に行くには青い森鉄道を利用する。
函館駅の徒歩圏内にある観光施設は「朝市」「摩周丸」ぐらいで、函館山や五稜郭、赤レンガ倉庫や教会群がある元町、トラピスチヌ修道院などに行くには市電かバスを利用するが、所要時間は30分程度のところが多い。函館市は観光名所が市内に点在しているので、駅周辺に限れば青森市のほうが観光客には便利だが、風景や土地の様子を見ることを楽しむ観光客にとっては移動も旅の一部だろうから観光名所が点在していることは大きなマイナス要因ではあるまい。
函館駅と青森駅の周辺の最も大きな違いは活気の差だろう。青森駅からはびっしりとビルが立ち並んで市街が広がるが、函館駅からは旧棒二森屋など所々に空きビルがあり、更地も方々にあり、飲食店や商店などの2階建がビルの間に混じっている。経済活動は両市とも活発なのだろうが、県庁所在地の青森駅周辺に比べると函館駅周辺は地方都市の趣だ。駅前の人通りの多さは両駅とも同じだが、函館駅の場合は半数が観光客という印象だ。
大型商業施設の撤退が続き、圏域の消費力の減退が明らかな函館市は一層の観光客誘致を目指す。その一つの案が新幹線の函館駅乗り入れだが、フル規格の新幹線の整備費は169億円と想定された。大金を費やすなら、現実的に問題が多い新幹線の乗り入れよりも、函館駅周辺の再開発に注力して函館市民に魅力のある都市空間をつくることが賢い公費の使い方だろう。函館駅周辺が魅力ある空間になると、次の世代にも財産として残る。
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