2015年4月11日土曜日
仕掛けは成功
中国が主導して設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の評価が分かれている。肯定派は、1)アジアの今後の莫大なインフラ整備需要に対応、2)官僚的で硬直した世界銀行、アジア開発銀行(ADB)に代わってスピーディーに融資、3)経済大国化した中国との関与を深める、4)融資されたインフラ事業への参加ーーなどで有望だとする。
否定派は、1)運営や融資などの意思決定プロセスが不透明、2)運営も中国主導の可能性、3)融資を中国が影響力拡大に利用、4)無秩序な貸し出しが不良債権化、5)AIIBの格付けが低いと資金調達コストが割高、6)米国主導の国際金融秩序への悪影響ーーなどを指摘する。
中には、中国の秘めた狙いは中国の通貨である元の基軸通貨化を目指し、国際的に流通させることだと見る人もいる。だが、AIIBの資本金は1000億ドルになる予定だ。各国の外貨準備に占める元の割合は微小なので、元で拠出しろとなったなら、元の手持ちが少ない各国は困るだろう。ドルなら各国は保有している。資金調達も融資もドルで行われるだろう。
AIIB設立では中国に好都合な展開になったことは間違いない。米国の牽制にも関わらず欧州諸国や豪、韓国などが参加を表明し、米国の影響力の低下を世界に印象づけた。ただし、注目が集まりすぎたので、中国の意のままの運営や融資はしにくくなっただろうし、「国際金融機関」としての体裁をつくらなければならず、中国が越えるべきハードルは上がった。
とはいえ、AIIBが順調に動き出せば、国際金融における中国の存在感は増すだろうし、影響力も大きくなろうから、中国にとっては重要な一歩だ。さらに、AIIBがどんな組織になるのかも不透明なのに、IMFや世界銀行、ADBが「連携しよう」とAIIBと協力することを言い出しているので、中国にとっては願ったりかなったりの展開になりつつある。
そもそも既存の国際金融機関における中国の影響力を増大させたかった中国にとって、AIIBを通じて中国の意向をIMFや世銀、ADBに反映させることができるなら、実質的に発言力を増したことになる。まあIMFや世銀、ADBが中国(AIIB)に振り回されるようなことにはなるまいが、中国の言い分をきちんと聞いてあげなくてはならなくなりそう。
AIIB設立という問題を国際的に提起して、注目を集め、結果として参加国を広く集め、さらに欧米の金融連携を崩すことができたのだから、今回のAIIB設立の仕掛けで中国は成功した。AIIBが動き出す前から中国は影響力を高めることができ、AIIBが動き出したなら、アジア各地でのインフラ事業に関与できるのだから、中国は完勝した。
今回のAIIB設立問題で各国は、中国の影響力拡大にどう対応するかを試された。明らかなのは、各国との貿易量が多い経済大国の封じ込めは不可能だということだ。関与する部分を増やして“中国独自”の政策、やり方などを是正させるのが最善策か、中国が失敗して反省してから関与してあげるのが最善策か。いずれにしても大国化する独裁強権国家をどう受け入れていくのか、今後も国際社会は試され続ける。
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