2015年7月8日水曜日

懲罰としての緊縮策


 2009年の政権交代後に、それまで公表していたよりも財政赤字が実際には大幅に多いことが明らかにされ、ギリシャの危機は始まった。国債が暴落し、ギリシャは窮した。IMFやEUなどからの多額の資金支援でギリシャは経済再生へと歩み出したのだが、増税や年金・公務員削減などの厳しい緊縮策を受け入れざるを得ず、人々の生活に影響は及んだ。

 厳しい緊縮策が数年も続き、人々は職を失ったり、住宅ローンや学費を払えなくなったりして生活水準は大幅にダウン、多くの人が税金の申告をやめ、企業は従業員の賃金のほかに取引代金も支払わなくなったともいう。国の実力以上の過剰な消費生活のツケが回ってきたともいえるのだが、過酷な緊縮策は人々の生活を破壊した。

 一方、ギリシャの基礎的財政収支(プライマリーバランス)は黒字となり、対外経常赤字も解消するなど国家経済としては縮小均衡を達成した。といってもGDPが2008年比25%縮小しており、財政が健全になったなどと喜ぶことができる経済情勢ではない。

 さらに国の借金は残っており、公的債務はGDP比180%近くになる。理想的なシナリオは、ギリシャで経済活動が活発になって景気が上向き、税収が増えて、ギリシャが自力で稼いだ金で返済することだ。だが、生活防衛のため人々は銀行から預金を引き出して溜め込み、消費は回復せず、失業率が25%にもなる中で、簡単には景気は上向きそうにない。

 経済が疲弊したままでは税収は増えず、ギリシャ政府には金は集まらない。借金を返すためには新たに借金するしかない状況だ。そんなギリシャに資金支援の条件として、新たな緊縮策を押しつけようとするEU。金持ちに対してなら「生活を切り詰めろ」と要求すれば、浮いた金が出て来るかもしれないが、生活を切り詰めてきた人に更なる緊縮策を押しつけることは、懲罰的な意味合いしかない。

 傾いた企業が人員削減や“乾いた雑巾を絞る”ようなコスト・経費削減で決算を乗り切ったとしても、本格的に立て直すには事業を活性化させ、売上げを増やしていくのが基本。毎年、人員やコストの削減に頼っていては、いずれ立ち行かなくなる(金貸し側は回収を最優先させるものだから人員削減などに熱心になるが)。

 緊縮策を続けてプライマリーバランスを黒字化したギリシャだが、景気は落ち込み、税収は減り、政府は年金などを支払うために国中から現金を集めるしかない状況だ。ギリシャの人々の意思は示された。今後のギリシャをどうするのかを決める立場にあるのはEUだ。

 ギリシャの経済を活性化させるプランがEUにあれば、とっくに実行させているだろうから、EU側にも妙案はなさそうだ。独自通貨に戻ったならギリシャは、ユーロ側から見て激安の観光地になる。年間2千万人以上の外国人観光客(その1割がドイツ人)が来るギリシャは、ユーロ圏を追い出されたなら、外国人観光客が増えたりして……。

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