ロッテルダムで開催されるトルコ系住民の集会に参加しようとしたトルコ外相がオランダ政府に入国を拒否され、トルコが怒りを爆発させた。報道によると、トルコのエルドアン大統領はオランダを「臆病で卑劣」な「ナチス残党のファシスト」と罵倒し、イスタンブールでは市民がオランダ総領事館に乱入してオランダ国旗を引きずり降ろした。
オランダ政府は、トルコの政治活動に協力するつもりはないとし、「公共の秩序と安全を確保するための指示には従うつもりがない」と集会も認めなかった。オランダでは総選挙で反移民を掲げる極右政党「自由党」が躍進すると見られており、トルコ系住民のおおっぴらな政治的な行動は国内政局にも影響を与える可能性があった。
トルコは4月に憲法改正を巡る国民投票を予定しているが、国内での賛否が拮抗しているそうで、政権側は改憲への賛成票を増やすために、欧州に多く暮らしているトルコ系住民に在外投票を促していた。欧州各地で集会は開催されていたが、スイス、オーストリアなどで中止になったりもしている。
エルドアン大統領はドイツ各地で予定していた集会が地元当局に拒否された時にも、「ナチス時代と変わらない行為」「ドイツには民主主義がない」などと批判し、独メルケル首相は「ナチズムとの比較はやめるべきだ」と反論していた(独では集会の一部は領事館内で開催されたという)。
オランダ入国を拒否されたトルコ外相はフランス北東部で開催されたトルコ系住民の集会に出席し、「オランダはファシズムの拠点になった」などと演説したそうだ。強権をふるって反対者を容赦なく排除するエルドアン体制の側が、欧州の政治をファシズムと批判しているのは奇妙な光景であるが、相手を罵倒することに遠慮がなくなっているのは世界的な政治の傾向か。
一連の出来事には様々な要素が絡み合っているが、興味深いのは、政治集会に他国から閣僚が参加することの是非だ。移民・難民も個人としての政治的権利を有しているから、移住先の国で政治的集会を開催しても構わないだろうが、そこに他国から閣僚が参加して政治的な主張を行うことは、他国の公権力の行使にも見える。
国家権力の行使は国境内に限られるというのが一般的な理解だろうが、国境を希薄化させたEUだからとトルコは、準加盟国のつもりで欧州各国でのトルコ系住民の集会に閣僚を派遣したのかもしれない。だが、欧州各国はトルコを部外者としか見ていなかったようだ。
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