米トランプ大統領は米欧がイランと2015年に結んだ核合意について、イランが合意を順守しているとは「認めない」とした。合意からは離脱せず、制裁再開の判断は議会に委ねるが、議会や関係国が合意の問題点を解消できなければ「合意を破棄する」と強調した。
米国はまた、ユニセフに脱退することを通告した。ユニセフに対し、パレスチナの加盟を認め、エルサレムの聖地「神殿の丘」の表記やヘブロン旧市街の世界遺産への登録などで反イスラエル傾向があるなどと批判していた。ユニセフは、政治的な偏向があるとか中国の影響力が大きくなったなどの批判が珍しくない組織だ。
この二つの動きを歓迎しているのがイスラエルだ。サダム・フセインが排除されてイラクが弱体化し、反政府運動が煽られ、さらに内乱が拡大してシリアも弱体化し、中東でイスラエルに対抗できる国はイランだけになった。対IS戦で軍事的な影響力を強めたイランは、核合意によって欧州などからの投資が増えている。
米国が核合意を破棄する姿勢をちらつかせてイランとの緊張が高まり、イランの行動に制約が増すことはイスラエルにとって好都合だろう。イスラエルは米国に続いてユニセフ脱退を表明した。ユネスコの姿勢が反イスラエル的というのが理由で、米国の脱退理由と重なる。
イラク北部のクルド人自治区で住民投票が行われ、独立への賛成票が9割以上になった。住民投票の実施にはイラク中央政府に加えトルコ、イランや米国なども強く反対したが、イスラエルは歓迎した。ISの影響力が失われつつある中東で、クルド人に独立機運が広がるなら新たな不安定要因になり、イスラエルにとっては好都合だ。
イスラエルが望むものは、平和と安定だろう。だが、パレスチナ問題が立ちはだかる。イスラエルには譲歩する考えは微塵もないので、イスラエルを敵視する人々は減らず、イスラエルを敵視する周辺国も存在し続ける。イスラエルにとって周辺国に混乱が広がり、弱体化することは大歓迎だろう。
イスラエルに敵対する周辺国は次々に、米国との戦争で政権が崩壊したり、反政府活動が活発化したり、内乱が拡大したりして弱体化し、イランには国際的な経済制裁が課されていた。イスラエルが何らかの影響力を及ぼしているのか、変化する状況をうまく利用しているだけなのか定かではないが、イスラエルにとって都合のいい状況に向かっていることは確かだ。
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