2017年10月25日水曜日

上塗りされるイメージ

 神戸製鋼所が品質データを改ざんしたアルミや銅製品、鉄鋼製品を出荷していたことが判明したが、長期にわたり組織ぐるみの不正が行われていたと見られている。日産自動車では無資格者による出荷前の法定検査が行われていることが判明、問題公表後も無資格検査を続けていたことが暴露され、新車の出荷停止に追い込まれた。

 偽装といえば、東洋ゴムは免震ゴム、旭化成は子会社が地盤調査データ、三菱自動車は燃費性能データでそれぞれ偽装を行っていたことが、ここ数年、相次いで明らかになった。また、エアバッグ大手のタカタは世界的なリコールに追い込まれ、経営破綻した。

 製造業企業ではオリンパスや東芝など経営陣主導による不正決算などがあり、日本の企業が「頭から腐る」ことは珍しくなかった。だが、製品を製造する現場は「健全」で、日本製品は高品質とのイメージは保たれていると見なされていただけに、相次ぐ現場での偽装などの不祥事は、日本の製造業全体への信頼を揺るがしかねないと懸念されている。

 冷静に考えるなら、日本の製造業の製品が全て高品質であるというのはあり得ない。高品質の製品を提供する企業があれば、粗末な製品を提供する企業もある。日本の企業の製品なら高品質である……なんて現実離れしたイメージに浮かれているうちに、そのイメージに束縛されるようになっていただけだ。

 製造現場で問題が放置され、隠蔽していた企業がある実態が暴かれたのなら、事実関係を精査して改善すればいい。だが、日本製品の高品質イメージが崩れるとの懸念に対する効果的な対策は乏しい。具体的事実から形成されたイメージであっても、時とともにイメージは抽象化するからだ。

 抽象化したイメージが変わるのは、別のイメージが上塗りされた場合だ。不祥事を起こした日本の企業が、イメージ回復に失敗し、逆にイメージを悪化させることが多いのは、曖昧な説明だったり、次々に問題が出てきたりと、真摯に対応しているとのイメージを打ち出すことに失敗するからだ。

 日本製品が高品質だとのイメージを世界で持続させるには、悪いイメージを発散する企業を「退場」させ、高品質の製品を提供する企業の比率を高めるしかない。しかし、神戸製鋼所などの大企業を「退場」させることは至難だろう。つまり、実態から乖離した「日本製品=高品質」イメージなら、別のイメージ(日本企業=信用ならない)に上塗りされるしかない。

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