2017年10月28日土曜日

現実に裏切られるイメージ

 神戸製鋼所や日産自動車などの不祥事が相次いで明らかになり、日本の製造業の高品質イメージが失墜したと憂慮する声が上がっている。だが、実態から遊離して信仰されていた高品質イメージなら、現実に裏切られるのは当然だろう。

 日本にとって好都合だった「日本産品は高品質」とのイメージが崩れるのは、日本礼賛主義者にとっては悔しくもあり、「日本に誇りを持つ」イメージ戦略を傷つける。とはいえ、全ての日本製品が高品質だと、日本のものは何でも礼賛したがる根拠の希薄な願望を修正し、冷静に品質を見極める姿勢を育むには、いいきっかけになりそうだ。

 一連の不祥事は、市場が頭打ちで売り上げ増加が見込めない中、コスト削減のため人員削減や非正規雇用化などが進む製造現場の疲弊の結果だともされる。一方で、製造工程での品質管理が徹底しているのに完成車の出荷前検査など「時代遅れ」の制度が続いていることの矛盾が現れたとする声もある。

 製品は高品質だが、データや検査が偽装されていただけなら対策は容易だろう。データ表示や検査を法令に忠実に行うように徹底すればよい。だが、現場での品質管理能力が低下し、製品の高品質そのものが確保されていないのなら、問題の根は深い。製造工程のすべてにわたって検証する必要が出てくる。

 こうした日本企業の不祥事は探るほどに明らかになってきそうだが、高品質イメージの企業の不祥事は世界でも起きている。例えば、独VWは、クリーンをアピールしてディーゼルエンジン車を売りまくっていたが、検査時にだけ浄化装置を作動させるという不正を行っていた。これは、会社の方針としてやったこと。つまり確信犯のやったことだ。

 さらに、ディーゼルエンジン車の排ガス不正に関連してカルテルも疑われ、独の自動車業界ぐるみの不正だった疑いが強まっている。神戸製鋼所や日産の場合、現場に問題がある実態を経営陣が把握していなかったように見えるが、独VWなどのディーゼルエンジン車の排ガス不正は、経営陣からの指示あるいは了承なしに実行できるものではあるまい。

 企業が内部留保を積み上げる一方、労働分配率が低下する現在において次々に暴かれる不正は、日本のみならず世界で企業は利益追及のために、偽装、インチキ、隠蔽を辞さない集団だと見なすべきことを示している。日本製品の高品質イメージが崩壊することを嘆くよりも、企業が社会的な責任に真摯に向き合う端緒に、今回の一連の不祥事判明がなることを期待すべきか。

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