2018年9月26日水曜日

100万人以上の強制的な収容

 8月に開催された国連人種差別撤廃委員会で米人権活動家が、「新疆ウイグル自治区でウイグル族の人々ら100万人以上が再教育施設に強制的に収容されている」と指摘した。同委員会の報告書は、ウイグル族や少数派のイスラム教徒らの相当な人数が政治思想の再教育施設に強制収容されているとした。

 中国は、治安強化対策は過激派やテロリスト対策として不可欠だと反論し、「軽微な罪を犯した者を職業技術教育就業訓練センターで学ばせている。合法的な権利も保障されている」とし、特定の民族を対象にした対策ではなく宗教の自由も制限していないと主張したそうだ。

 両者の主張のどちらが「現実」を反映しているのか、それを検証するためには第三者が、指摘された再教育施設(あるいは職業技術教育就業訓練センター)を調査することが必要だ。だが中国政府は、新疆ウイグル自治区における第三者による調査や外国報道機関による自由な取材は決して認めない。

 「100万人以上が再教育施設に強制的に収容されている」という外部からの指摘を否定するのは簡単だ。100万人以上の人々が強制的に収容など、されてはいないという「現実」を見せるだけでいい。それを見せるのを拒むのは、「現実」は異なるか、第三者に見られては不都合な「現実」があるからだろう。

 中国政府はウイグル族やチベット族、モンゴル族などを厳しい監視下においているといわれる。共産党による独裁統治に対する、それらの民族の分離独立要求を抑え込むためだろうが、大量移住した漢民族が地域の経済的な覇権を握ったことに対する反発を抑え込むために必要になったとも見られている。

 中国政府は「中華民族の偉大なる復興」を掲げている。中国政府が言う中華民族には、チベット族やウイグル族など中国国籍を持つ全民族が含まれるというが、100万人以上の強制的な収容・再教育が「現実」だとすれば、中国政府が言う中華民族からウイグル族などは除外される。

 100万人以上の強制的な収容が必要なのは、中国共産党の独裁統治を続けるためだ。人民を解放した革命を成し遂げたことが中国共産党の独裁の正当性の理由だったが、年月とともに新たな正当化理由が必要になり、愛国主義を鼓舞したり、経済発展を持ち出したり、中華民族の復興を掲げたりする。

 中国共産党の独裁統治が終了することで、中国をめぐる内外の問題の多くが解消に向かうだろう。だが、権力から離れると中国共産党指導部の「過去」が容赦なく暴かれる。100万人以上の強制的な収容は、中国共産党の独裁が続く限り解消されないだろう。

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