北海道の都市部のマンション3階に住んでいる友人は、携帯電話の緊急地震速報のシグナル音で目覚め、以前にもシグナル音で目覚めたものの体に感じる揺れがなかったことから、「また空振りか」と思った途端に強烈な揺れに襲われ、部屋のタンスを置いてある側と反対側の壁に身を寄せたという。
揺れが収まって、誰にも怪我はなく、家具などの転倒もないことを確認し、情報を知ろうとラジオの電源スイッチを押したが、反応がない。部屋の照明スイッチを押しても、暗いままだ。「停電か?」と友人は、通りに面した北側の部屋に行って、窓から外を見た。
夜中なので明かりがついている窓がないことに不思議はないが、しばらく外を見ていた友人は、何か変だと感じた。やがて、街灯が一つもついていないことに気づいた。濃い藍色の夜の中に街が沈んで、建物のシルエットが黒い影となって広がっていた。
南側の部屋に行って窓から外を見た友人は、「こっちも全部消えてる」と停電が街全体に広がっていることを知った。送電網のどこかが破損したとすれば簡単には復旧しないかもしれないなと思いながら友人は、濃い藍色の夜の中の街を見ていた。そして、星の光がいくつも瞬いていることに気がついた。
窓を開けて身を乗り出して上空を見た友人は、多くの星が強弱さまざまな光を放ち、夜空に散らばっているのを見た。激しい地震のことが意識から消えて、はるかに遠くから届く星の光に、「星をじっくり見るなんて中学生の頃以来だ」と友人は、懐かしいものに出合ったように星を見ていたそうだ。
地震の後に、星空を見ていた人はけっこういたらしい。報道によると、札幌の中心部で天の川を見たなどという話がSNS上で話題になり、北海道各地からも同様の報告が寄せられているそうだ。街灯や建物などの灯りが消えたことで、都会の夜空にも星があることを人々は思い出した。
北海道全体を震わせた今回の地震のエネルギーは巨大なものだっただろうが、夜空の星の光は更に巨大なエネルギーが発生していることを示す。友人は、地球規模でも人間の営みは小さなものだが、宇宙レベルで見ると人間の営みなんてゼロに等しいと感じたという。地震に巻き込まれると人間は謙虚にならざるを得ない。
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