2024年10月9日水曜日

諜報機関の活躍

 2024年4月にシリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館の領事部をイスラエル戦闘機が空爆し、イラン革命防衛隊の司令官や軍事顧問らを殺害した。この攻撃は、革命防衛隊の司令官らが逗留していることを察知・確認したから行われたものだ。これはイラン大使館に出入りする人物の情報をイスラエルが把握していたことを示す。

 同年7月にはレバノンの首都ベイルートをイスラエル軍は空爆し、ヒズボラの幹部を殺害した。この空爆では子供を含む30人以上が殺害されたとレバノン保健省。こうしたヒズボラの幹部を標的にした空爆を行うことができたのは、イスラエルがヒズボラの幹部の居場所を把握していたからで、レバノンでのヒズボラ幹部の動向を常にイスラエルは監視しているのだろう。

 7月にはイランの首都テヘランで、イラン新大統領の宣誓式に出席するため宿泊施設に滞在していたハマスの最高幹部が殺害された。ミサイルが撃ち込まれたとも仕掛けられた爆発物が遠隔操作により爆発したとも報じられたが、ハマスの最高幹部を標的にしたピンポイントの攻撃だったことは明らかだ。ハマス幹部を殺害する動機を持っているのはイスラエルで、イラン首都にも綿密な情報網を構築していると推察される。

 9月17日にレバノン各地で、ヒズボラのメンバーが使用するポケットベルタイプの通信機器が一斉に爆発し、死者30人超、負傷者は約4000人という被害を出した。携帯電話の電波は探知されるとしてヒズボラはポケットベルタイプの通信機器を戦闘員や関係者らに配っていたという。この通信機器はイスラエルの諜報機関が関与するハンガリー企業が、ヒズボラ向けに爆薬を電池に混ぜ込んで製造していたと報じられた。

 同18日にはレバノン各地で、ヒズボラのメンバーの所持するトランシーバーが一斉に爆発し、死者20人超、負傷者約600人となった。このトランシーバーは日本企業の製品とされたが、同社は10年前から同機種を「製造も輸出もしておらず、作動に必要なバッテリーも製造していない」。今も模造品が出回っているといい、ここでもハンガリー企業の関与が疑われるとする報道もある。

 2023年10月7日にハマスはイスラエルに対して大規模な奇襲攻撃を行ったが、この攻撃をイスラエルは察知することができなかった。約1200人が殺害され、251人が拉致され、今も約100人が人質になっている。ガザにもイスラエルは諜報員を確保したり、侵入させて情報収集に励んでいたであろうが、大規模な攻撃を察知できなかったのだから、イスラエルの諜報能力にもアナがあった。

 イスラエル軍のガザ侵攻が始まって以来の情報戦では、レバノンやイランやシリアなどの諜報網をフル回転させているだろうイスラエルが圧勝している。だが、ハマスの奇襲攻撃をイスラエルが察知して防いでいれば、現在のガザやレバノンでの大量の民間人の死傷はなかった。諜報網や諜報機関は、自国が戦争に引き摺り込まれることを未然に防ぐことに存在価値がある。自国が戦争に引き摺り込まれてから、やっと「活躍」するような諜報機関は国を危うくする。

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