2014年12月6日土曜日
バター不足が示すもの
全国的にバター不足だという。スーパーなどの陳列棚からバターは姿を消し、入荷してもすぐに売り切れてしまうそうだ。その理由を農水省は「昨年の猛暑の影響で乳牛に乳房炎等が多く発生したことや、酪農家の離農等で乳牛頭数が減少していることなどから、生乳の生産量が減少して、バターの生産が減少、在庫量も大きく減少。乳業メーカー等は出荷量を抑制していること等から、店頭のバターが品薄になっている」とする。
さらに「生乳は腐敗しやすいため、まず生鮮性が求められる牛乳や生クリームなどに加工され、最後に保存性の高いバターや脱脂粉乳に加工される。バターや脱脂粉乳は、生乳が多く生産される時は在庫として積み上げておき、生乳生産が不足する時は、バターや脱脂粉乳の生産を減らす替わりに在庫を放出するといった需給調整弁の機能を持つ。このような生産構造であるため、生乳生産量が減少してくると、バターの生産量が大きく減少する」とする。
生乳の生産量は2013年度が745万トンで前年比2.1%減、今年4〜10月は2.4%減と減少が続いている。用途別で見ると(2013年度)牛乳向けは396万トンで1.1%減、乳製品向けは343万トンで3.2%減。乳製品向けの内訳は、脱脂粉乳・バター等向け160万トンで8.1%減、チーズ向け48万トンで4.0%増、クリーム等向け130万トンで1.7%増。今年4〜10月でも脱脂粉乳・バター等向けは8.3%の減少だ。
バターの在庫量は2012年度に前年比23.0%増の2万3000トンに増えたが、13年は26.2%減の1万7000トン、14年10月末には28.2%減の1万5000トンへと確かに減っている。国は、品質保持期限の長い業務用の冷凍バターを緊急輸入するとともに乳業団体に増産を要請、大手乳業各社は生産量を約3割増やすことを決め、クリスマスケーキの最需要期には品薄が解消される見通しだという。
でも、乳価は上がらず、エサ代などコストは上がるばかりで酪農家の離農は止まらず乳牛頭数が減っているのだから、生乳生産量が減少し続けるという構造は変わっていない。品不足になるたびに追加輸入や一時的な増産で対処したところで、根本的な対策にはなっておらず、バター不足が今後も繰り返される可能性は大きい。
酪農家の経営を安定させ、乳牛頭数を増やすことが必要だが、これまで動かなかった農水省には期待できそうにない。さらに、TPP参加で乳製品市場が自由化されることになれば、バターの国内市場の85%程が輸入品に置き換わるとの試算があり、国内生産品のシェアは大幅に減る。農水省がバター不足にも一時的な対応で済ますのは、そこらを見ているからだろう。
酪農家は1963年には約41.8万戸あったが、後継者不足などで集約・大型化が進み、1985年に約8.2万戸、さらに2013年には2万戸を割った。自由化されて、臨機応変に輸入できるようになればバター不足は起こらないかもしれないが、今度は国際市況の影響を受けるとともに、品不足になれば各国で奪い合いになり、高値で買う国に流れよう。日本の第1次産業をどうするのか、政策の迷走がスーパーの陳列棚から見える。
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