2018年8月15日水曜日

ブレグジッドと婚前契約

 米女優アンジェリーナ・ジョリーが最近、2年前から離婚申請中の夫ブラッド・ピットに子供達の養育費の支払いを要求したと報じられた。両人とも高額ギャラの人気俳優で、ずっとジョリーは金銭的な要求をしていなかったという。態度を変えた理由が憶測されている。

 報道によると、両人は離婚時の財産分けなどを明確化した婚前契約を交わしていなかったが、ビット側の弁護士は「ピットはジョリーの新居の購入資金として800万ドルを貸し、別居してから2年間、子供たちのために総額130万ドルを支払った」。この話が本当なら、さらに金銭が必要な何らかの事情が女優の側で生じたということになる。

 一緒になるよりも、別れるのが難しいというのは男女の仲に限らない。例えば、ブレグジッド(Brexit)。EU条約第50条により英国がEUに脱退の意思を一方的に示すことで脱退できるが、詳細は脱退交渉で決める(脱退通知から2年以内に脱退のための協定が締結されないとき、自動的に脱退が成立するとともにEU諸条約が適用されなくなる)。

 英国は2017年3月29日、EUに離脱を通知したので、2年後の2019年3月29日にEUから離脱する。離脱交渉が始まったが、英国内では完全離脱派と部分離脱派に意見が分かれ、EU側は英国の「いいとこ取り」を許さない姿勢で、先行きは混沌としている。

 英国はこの7月、離脱に関する白書を公表した。内容は、①EU単一市場・関税同盟から抜けるが、農産品や工業製品の規格・基準でEUと共通ルールの採用を続ける、②自由貿易圏を創設し、自動車など製造業に影響が出ないよう配慮、③金融サービスや司法分野では独自の政策、④短期の観光やビジネスではEU市民にビザなしでの渡航を認める、⑤北アイルランドとアイルランドの国境では英国がEU向け輸出品の関税徴収を代行し、税関手続きは不要、⑥FTA拡大を目指す、など。

 離脱による経済的・社会的な激変を避けた案だが、英国内の完全離脱派は批判を強める。EUは今年10月を事実上の合意期限とし、それまでに詳細な離脱条件を定めた協定を結ぶ必要があるとするが、時間的な余裕はない。この英国の案でEUと合意できなければ、時間切れによる協定なしの自動的な離脱の可能性も出てきた。

 交渉期間の延長はEUの全加盟国の同意が必要なので、まず不可能だ。EU条約に脱退の詳細な規定があれば英国の離脱はもっとスムーズにいったのだろうが、脱退の規約は大雑把なものでしかない。婚前契約のようなものをEUに参加する前に締結しておけばよかったと英国は実感しているだろうな。

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