2018年8月22日水曜日

崩落する橋

 200年以上前の1807年8月19日の江戸で、老朽化していた永代橋が密集する人々の重みに耐えられずに崩れ落ち、死者400人以上、行方不明は数百人という大惨事がおきた。11年ぶりに催された富岡八幡宮の大祭に大勢の人々が押し寄せて、永代橋が崩れ始めても、橋を渡ろうとする人々が気づかずに押し続けたと伝えられている。

 橋の崩壊といえば英国の童謡「ロンドン橋落ちた」。何かの大惨事のことを歌い伝えているようだが、具体的な出来事を歌ったものではないという。ロンドン橋は何度も焼け落ちては、再建され、木造から石造になって存続し続けている。歌詞が何を指しているのか様々な解釈があるそうだ。

 河川をまたいで両岸をつないだり、山間部や都市内で自動車の利便性を高めるため建設される高架橋など、橋は人間が活動する空間を拡張する。歩行を含めて交通の活発化は、古代の物々交換から現代の大量消費社会まで経済活動を支え、拡大させてきた。

 河川をまたぐ橋を2次元的とするなら、高架橋は3次元的といえる。建物を高層化させることで、人間が密集する都市における利用空間を拡大させてきた人類は高架橋によって、地表における交通を3次元空間に拡張した。だが、重力を人間は制御できない。

 イタリア北部のジェノバで崩落した橋は、河川に掛けられたものではなく、鉄道などをまたいで街の中央を横切る高さ約50メートルのコンクリート製の高架橋で高速道路となっている。1967年に開通したというから、築51年になる。

 通行中の乗用車や大型トラックなど約30台が高架橋の200メートル以上にわたる崩落とともに落下し、下には鉄道の線路や川、倉庫、駐車場、商店などがあったので買い物客らも被害にあった。住宅もあり、崩壊せずに残った高架橋があるため住民は避難している。

 改修工事が適切に行われていなかったとか、構造に問題があった、腐食が深刻だったなど崩落原因について様々な指摘がある。高架橋を使っていたイタリア人は「通過する時には振動が激しかった」と語っているそうで、異変を知らせるシグナルはあったのだろう。寿命だったとの見方もあり、人間活動の3次元的な拡張を支える構築物には重力とともに時間の制約もある。

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