2019年6月5日水曜日

戦争で取り返す

 北方4島を「戦争で取り返すことは賛成ですか? 反対ですか?」と、ビザなし交流の訪問団に参加していた丸山穂高衆議院議員が元島民の団長に尋ね、団長は「戦争なんて言葉は使いたくない」と答えたが、丸山議員は「でも取り返せないですよね」「戦争しないとどうしようもなくないですか?」などのやりとりがあったと報じられている。

 「戦争しないと北方4島を取り返すことができない」という認識は、国家が領土を力づくで奪い合ってきたという世界の歴史に基づいているように見える。だが、欠落がある。戦争をしただけでは北方4島を取り戻すことはできず、戦争に勝ち、北方4島からロシア軍を排除して日本が占領しなければならず、新しい国境を明記した平和条約を締結することなども必要だ。

 ソ連時代に比べてロシアは弱体化しているが、軍事的な能力を侮ることはできないだろう。ロシア相手に戦争で勝たなければ北方4島を取り返すことができないと認識しているなら、どうすればロシア相手の戦争に勝つことができるか、それを考えるのがマジメな対応だろう。「戦争しないとどうしようもない」というのはズサンな思考力の表れである。

 ロシアと戦争をして日本は勝つことができるのだろうか。ロシアはどのような戦力をどこに配置しているのか、補給体制はどうなっているのか、応援部隊はどこから来るのか等、軍事に関することは具体的に見ることが基本だ。感情や使命感?などに駆られると、とどのつまりが神風頼みになりかねない。

 防衛白書2019によると、ロシア軍は「1個師団が国後島と択捉島に駐留しており、戦車、装甲車、各種火砲、対空ミサイルなど」や「択捉島及び国後島への沿岸(地対艦)ミサイル」を配備し、北方領土における軍事施設の整備を進め、軍事演習など活動を活発化させているという。

 東部軍管部には、11個旅団など約8万人のほか水陸両用作戦能力を備えた海軍歩兵旅団を擁し、各種ミサイルの導入が進められ、太平洋艦隊は潜水艦約20隻含む艦艇約260隻、計約64万トン。空軍、海軍を合わせて約400機の作戦機が配備され、Su-35やSu-34など新型機の導入で能力向上が行われているという。

 核兵器が使用されず、他の国家の参戦がないと仮定すると、日本とロシアの戦争は自衛隊と極東ロシア軍の戦いになる。北方4島を奪い合う戦争の戦場が北海道東部に限定されるかどうかは不明だ。むしろ、極東ロシア軍が軍事展開するなら全国の日本海側各地も戦場になる可能性がある。北方4島を取り戻そうとして日本がロシアに戦争を仕掛けた場合、戦争の勝ち負け以前に日本が被る損害は相当に大きくなりそうだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿