2016年12月末に、中国初の空母「遼寧」がミサイル駆逐艦3隻やフリゲート艦3隻、補給艦1隻を伴って東シナ海から宮古海峡を抜けて西太平洋に入り、台湾の南方を西へ向かい、台湾ーフィリピン間のバシー海峡を通過して南シナ海に入り、海南島の基地に入った。
この空母は13年に、東シナ海から台湾海峡を通って南シナ海で訓練を行ったことがあるが、宮古海峡を抜けて西太平洋に出たのは今回が初めて。1月1日からは南シナ海で訓練を開始し、海軍力の展開能力をアピールした。中国は、今後も西太平洋やその他海域で訓練を継続させるとしている。
この空母が西太平洋に進出し、行動圏を広げたことは中国の海軍力の着実な能力向上を示すものと日本では報じられた。だが、今回の行動の狙いについては、中国が通常の訓練としていたためか、ほとんど触れられていない印象だ。
なぜ、この時期に中国の空母が、東シナ海から西太平洋に出て、台湾の南方を回って南シナ海に入ったか。それは、12月初めに米トランプ次期大統領が台湾の蔡英文総統と電話で会談したり、「どうして『一つの中国』政策に縛られなきゃならないのか」などと述べたことに対する中国からのメッセージだ。
そのメッセージは、台湾は国家ではなく中華人民共和国の一部であるという「一つの中国」の変更は許さず、台湾を米国が独立国扱いするなら中国は軍事力を使っても阻止するという意思表示であろう。そのために空母を中心とする中国の艦隊の行動圏内に台湾があることを示した。
台湾と空母というと、1996年に台湾総統選挙で李登輝氏の当選を阻止しようと中国は台湾近くで軍事演習を実施したが、米国が空母2隻からなる艦隊を派遣して圧力をかけ、中国は演習を延長せずに終わらせたことがある。今度は中国が、やっと動かすことができるようになった“自前”の空母を使って米国に軍事力を誇示している格好だ。
とはいえ、中国が空母を1隻持ったからといって戦力バランスが中国に有利になったかどうかは不明だ。中国の空母はエンジンの能力が低く航続能力に限界があり、艦載機は重量を軽くするため重武装できないとされ、何やら「張り子」の空母といった印象もある。
慌てて、軍事的に台湾を制圧できるんだぞと、1隻しかない空母を持ち出してアピールしなければならなくなったほど中国は、「一つの中国」に疑問を呈したトランプ氏の発言に動揺していると見るべきかもしれない。
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