2016年6月の国民投票でEU離脱支持が得票率51.9%(残留支持は48.1%)となり、英国はEUを離脱する初めての国になった。完全にEUと離れるのか、部分的に離脱する準加盟国になるのか、その離脱の形態は定かではなかったが、このほどメイ首相はEU単一市場から完全に離脱すると表明した。
EU単一市場は人やモノ、資本、サービスの自由な移動が原則なので、英国には東欧のEU加盟国からの移民の流入が増加し、英国民の反EU意識を醸成したという。EUには中東やアフリカから多くの難民・移民が押し寄せるようになったが、英国で問題視されていたのはEU内からの移民だった。
国民投票でEU離脱が決まった後、英政府は、人の移動だけを制限しつつEU単独市場にとどまることを摸索したというが、単一市場の原則は変えられないとEU側は拒絶姿勢だった。域内での人の自由な移動の制限を認めることはEUの理念に関わることであろうし、いいとこ取りを英国だけに認めなければならない理由もない。
メイ首相は演説で「EUの隣人でありつつ、欧州の境界を越えるグローバルな英国」にしたいとし、離脱は「共通する価値観の否定」ではなく「EUを傷つける試み」でもなく、「独立した国家として欧州の同盟国と対等のパートナーシップ」を求め、「我々の議会民主主義や自己決定力」を取り戻すためだとした。
そのため12の優先項目を挙げ、EU法を英国法に置き換え、離脱前と同様のルールや法律が適用されるようにしていく/英国法の独立(EU司法裁判所の英国での裁判権を終わらせる)/アイルランドとの往来の自由維持/EUからの移民数の制限/EUやEU域外国との自由貿易/対テロ・犯罪でのEUとの連携などを示した。
世界の金融中心地の一つになるなど英国は、グローバル化で恩恵を多く享受した国だが、EU離脱は自国中心主義への方向転換に見える。世界のグローバ化を促して富を収集してきたが、グローバル化がもたらす競争激化が国内でも歪みを拡大させたことに耐えられなくなったとも見える。
同じくグローバル化で多くの恩恵を享受してきた米国も、自国中心主義に方向転換するといわれている。英米というグローバル化の旗手でも、世界が低成長に転じてグローバル化から得ることのできる富が少なくなっているのかもしれない。グローバル化の最大の受益者は中国だが、習近平国家主席はダボス会議でグローバル化重視の姿勢を打ち出したというのは歴史の皮肉かもしれない。
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