博物館や美術館の学芸員は学術的知識を持つ専門職であり、資料の収集のほか、展示会などで出品作品の選定を担当したりもし、キュレーターと呼ばれたりもする。「まとめ(キュレーション)サイト」に載せる文章を書く人もキュレーターと称するそうだが、こちらには専門知識が求められない。
専門知識だけではなく、著作権を尊重することも求められないので、こちらのキュレーターは不正確な記事でも不適切な記事でも掲載し、画像や文章の盗用も行われていたという。運営会社は、広告収入を増やすため検索エンジン対策を重視する一方、「記事の内容に責任を持たない」と広言していたというから、誰も責任を持たない構造だった。
それでも、まとめサイトのアクセス数は増え、それにつれて売り上げ、利益も大幅に増え、参入する企業は増えていた。だが、まとめサイトの実態が信用できないものであることが明らかになり、DeNAは謝罪し、まとめサイトを非公開にすることに追い込まれ、他社も同様に問題があるサイトを非公開にした。
ネット空間に存在する膨大な情報を、整理・分類して一目で見ることができるサイトがあれば便利だろう。問題は、情報を金儲けの材料であるとしか運営者が見ていなかったことだ。事実や真実を伝える情報には価値があり、虚偽や不確かな情報には価値がないのだが、虚偽の情報でも金儲けには活用できていたのが現実だった。
秘密の暴露をにおわせる噂話が下世話な興味をそそるように、不確かな情報は不確かであるが故に注意を喚起したりし、何かを信じたいという気持ちがあれば、それに適する情報が選択されて受容されようし、おもしろさを最優先して虚偽や不確かな情報でもウケたりする。虚偽や不確かな情報は、娯楽の対象になる。
ネット空間から虚偽や不確かな情報を一掃することは不可能であるから、事実や真実を伝える情報を見分けることが重要になる。まとめサイトが、情報の選別を厳格にするなら存在意義はあるが、信用できないものと運営会社が認め、ずさんな制作体制が明らかになったのだから“再出発”は容易ではないだろう。
まとめサイトへの需要はあるが、信頼できる運営主体が不在である状況は、新聞社にとってビジネスチャンスである。新聞社の発信する情報(記事)への信頼性は他媒体に比べて高いから、活用すべきだろう。まずは、過去の自社記事を対象にテーマ毎に一覧できるようにし、徐々に他媒体の情報も加えていけばいい。
新聞社は有料化で囲いこむことで収益源にしようとするが、虚実ごちゃ混ぜの情報が溢れているネット空間は無料が基本だ。有料化ではなくオープンにすることで多くの需要を取り込めば、情報を扱う新聞社がネット空間で生き残る道筋が見えて来るかもしれない。
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