2017年9月20日水曜日

偶発的な危機

 北朝鮮の挑発が止まらない。なぜ挑発を繰り返すのか。その狙いについて様々な解釈があり、米国との直接交渉を求めているとの見方が多かったが、米国の反応を試し、出方を探っている段階はとうに過ぎた気配で、むしろ、急ピッチで実施されるミサイル発射は、技術開発を急いでいるだけとしか見えない。

 国連安保理の制裁決議に反発しているとの見方もあるが、制裁決議は回を重ねるごとに強化されていくので、挑発行為を繰り返すことは更なる制裁決議を招く。北朝鮮に対する国際批判が高まると、対米牽制に北朝鮮を利用する中露の戦略に制約が増すだろうから、制裁決議の実効が高まる可能性がある。制裁決議に北朝鮮は反発しているだろうが、新たな挑発の動機になるか疑問が残る。

 制裁決議に反発していると見られることは北朝鮮にとって好都合かもしれない。何をするか判らないと各国から警戒され、さらに恐れられるようになったなら北朝鮮は笑いが止まらないだろう。米国ばかりか国連相手に互角にやりあう「強国」になったとの満足感を北朝鮮は持ったかもしれない。

 挑発ではなく、核と長距離ミサイルの実戦配備を急いでいるとの見方も有力だ。米国を直接に攻撃できる核搭載ミサイルの技術開発が急進展したのなら、米国に交渉を求めるよりも、核搭載ミサイルを実戦配備するほうを優先させるだろう。挑発ではなく技術開発を急いでいるなら、他国や国連が何と言おうと、従うはずもない。

 北朝鮮の一連の行動を挑発と見ると、合理的な判断を北朝鮮は行うことができるのかとの懸念が膨らむが、核搭載ミサイルの技術開発を急いでいると見るなら、彼ら流の合理的な判断だろうと理解はできる。だが、核搭載ミサイルを実戦配備した後に北朝鮮が米国や国際社会に対して、どのように振る舞うかと想像すると、新たな懸念が生じる。

 北朝鮮の乱暴で一方的な言い分を何度も聞かされると、交渉(外交)の余地がある国なのかとの疑問が生じる。核搭載ミサイルを実戦配備した北朝鮮が、それから米国などとの交渉に応じたとしても、さらに強硬姿勢になり、一方的な主張を貫くだろうことは想像に難くない。そんな北朝鮮との交渉で米国などが得られるものは、「強国」北朝鮮との共存か、緊張関係の持続であろう。

 挑発でなかったとしても、北朝鮮のミサイル発射に伴う現実的な危険性がある。北朝鮮は大気圏再突入に関わる技術を確立しておらず、弾頭は壊れているとか燃え尽きているとの見方もあるが、耐熱性を高めた弾頭や破片が落下して、船舶や航空機と衝突する可能性は、非常に低いだろうがゼロではない。そうした船舶や航空機が米国に関係するものだった場合、米国が「懲罰」に動く可能性はゼロではないだろう。

 さらに、北朝鮮のミサイルが日本の船舶や航空機と衝突したり、日本の領域に破片などが落下して人的被害が生じたなら、世論は一気に強硬論に変わる可能性がある。情緒に支えられて理想を謳うだけの平和論と護憲論は、世論が強硬論に一気に傾いた時には無力だろう。北朝鮮のミサイルの破片が日本の戦後平和論の息の根をとめるかもしれない。

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