2017年9月27日水曜日

過熱する威嚇合戦

 北朝鮮と米国の威嚇合戦が過熱している。米トランプ大統領が国連演説で「米国自身や米国の同盟国を守る必要に迫られた場合、北朝鮮を完全に破壊する以外の選択肢はなくなる」と言うと、金正恩朝鮮労働党委員長は声明で「史上最高の超強硬対応措置断行を慎重に考慮する」「米国の老いぼれの狂人を必ずや、必ずや火で罰する」と返した。

 こうした言葉の応酬は、相手の反応を考慮に入れた高度な外交には見えず、自制を失ったチンピラの罵り合いの様相を呈している。双方ともに相手から戦争を仕掛けられることはないと見ているから、言葉のエスカレートが続くのだろう。本当に一触即発の状況ならば、慎重に言葉を選ばざるを得なくなる。

 過熱する言葉の応酬で北朝鮮が得るものは、第一に、米国と互角にやりあうことができる「強国」としての自負、第二に、戦争の危機が迫っているとする国内の引き締めだろう。それは軍の存在感を一層強めることにもなる。失うものは、国際社会における信用だろう。

 一方、米国が得るものは少ない。選挙戦であったなら過激な発言で関心を集める手法にも意味があるのかもしれないが、外交的にはトランプ氏が過激な発言で目立つことは無意味だ。内政の行き詰まりや国内の分断を、北朝鮮相手の強面で糊塗することができるとも望めないだろう。

 さらに、制御できないトランプ氏の言葉に外交が引きずり回されている現状と、核を兵器化した国に対して戦争を仕掛けることができないという米国の姿が明らかになった。言葉の応酬だけにとどまるなら、大国であろうと弱小国であろうと対等であることを北朝鮮が示した?

 圧倒的な軍事力を有する米国が恐れられるのは、中近東などで示したように軍事力の行使をためらわないことだった。だが韓国には約20万人の米国人が居住していて、北朝鮮の通常兵器により多数が死傷する可能性が大きければ、実質的に北朝鮮が彼らを人質にしている状態だ。北朝鮮に対する米国の軍事力行使には制約が多い。

 北朝鮮も米国も戦争には踏み切らないとすれば、双方の罵り合いは面白い見世物になる。連日のように新しい話題が提供されるのでマスメディアは大歓迎だろう。ネタが次々に提供される状況をありがたがっていることを隠しながら、危機的状況を憂い、双方に自制を促す姿勢を見せておけば、双方の言葉の応酬を連日大きく取り扱うことができる。

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