2018年3月10日土曜日

朝鮮半島人の外交

 韓国の大統領特使団が北朝鮮を訪問し、金正恩氏に親書を渡し、夕食を含め4時間にわたり会談したという。報道によると、4月に韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩委員長が板門店で会談することで合意したほか、北朝鮮側は米国と対話する用意があるとし、対話が続いている間、核実験や弾道ミサイル発射を凍結するそうだ。

 さらに北朝鮮は、軍事的脅威が解消されて体制の安全が保証されれば核を保有する理由がないとし、核兵器や通常兵器を韓国に向かって使用しないと確約したと韓国側は発表。また、南北の首脳間にホットラインを設置し、首脳会談前に電話協議することでも合意したという。

 ここで問題になるのは、北の言うことをどこまで信用できるかということだ。北には前科がたっぷりある。1991年に南北は朝鮮半島における非核化に関する共同宣言に合意し、核兵器の製造・保有の禁止、核燃料の再処理施設やウラン濃縮施設の非保有などを明記したが、93年に北はNPTからの離脱を宣言し、94年にIAEAからの脱退を宣言。

 94年に北は米国と核開発の凍結、国交正常化などで枠組み合意し、米国は北に年50万tの重油を供与するようになり、2000年には初の南北首脳会談で平和統一の実現に向け南北共同宣言を行ったが、02年に北は高濃縮ウランによる核開発の計画を認め、03年にNPT脱退を再度宣言、米朝枠組み合意の破綻が明確化した。

 北は05年に核兵器の保有を宣言し、06年に初の地下核実験を行った。07年に南北は2回目の首脳会談を行ったが、外交的な成果は乏しく、09年に北は2回目の核実験を実施し、10年には北による韓国哨戒艇沈没事件や大延坪島砲撃などで緊張が高まった。北は13年に1回、16年に2回、17年に1回の地下核実験を行ったほか、中長距離弾道ミサイルの発射を続けている。

 歴史が示しているのは、北朝鮮は外交交渉で何を決めようと密かに核開発を続けていたという事実だ。過去に何度も外交による取り決めを破ってきた国が、新たな外交交渉では忠実に取り決めを守ると信ずべき根拠は乏しい。北の国家体制が同じであるので、今後も同様の行動をすると判断するのが合理的だろう。

 外交交渉で決めたことを一方的に破るというのは南にも見られる行動だ。韓国は新政権に移行して以来、2015年の日韓合意の実質的な否認を始めた。また、以前から韓国は1965年の日韓基本条約についても、様々な請求権を新たに設定して一方的に「解釈」し直している。

 北でも南でも同じように、外交交渉で決めたことを一方的にひっくり返してきたという歴史から浮かび上がるのは、朝鮮半島人にとって外交交渉で決めたことは、自己の都合で一方的に変更可能だという思考が存在するらしいことだ。それが事実なら、朝鮮半島人の国家を相手にした外交交渉では、後日に一方的にひっくり返される可能性があると覚悟しておく必要がある。

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