中国による知的財産侵害への制裁措置として米トランプ米大統領はさらに強硬策を打ち出し、関税対象額の1千億ドル積み増しを検討すると発表した(4月5日)。3日に公表した制裁措置の対象輸入品は約1300品目、対象額500億ドルだったが、中国が報復措置を発表したことに刺激されたようだ。
強硬な態度では中国も負けておらず、中国商務省の報道官は「われわれは貿易戦争を恐れもしない」とすぐに反撃、「中国はいかなる代償も惜しまず、断固として反撃する」とし、「中国は多国間の貿易体制を守り、グローバルな貿易と投資の自由化を推し進める」と自由貿易の旗手を装って見せた。
米国の中国からの輸入額全体は5100億ドル(2017年)とされるので、米国が3日に発表した500億ドルはほぼ1割に相当する。約1300品目に25%の関税を課すとしたが、実施は未定だ。企業などの意向を踏まえて最終決定するとしているので、実態は制裁措置を見せているだけだ。
だが、米の3日の発表に対抗して中国は4日、米国産の大豆、牛肉、自動車、飛行機など106品目に25%の関税を課すとし、関税の対象額は500億ドルと米国の発表した金額に合わせた。真っ向から歯向かわれたことに怒ったのかトランプ政権は制裁を拡大、5日の追加制裁1000億ドル積み増しの発表へと繋がった。
今年、輸入制限のために高関税を課す動きを始めたのは米国が最初だった。3月23日から安全保障を理由に鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税を課した。EUなどを猶予対象としたものの、中国や日本などに適用した。中国は報復措置として、4月2日から米国から輸入する果物など120品目に15%、豚肉など8品目に25%の関税を上乗せした。
米国が中国に求めるのは巨額の貿易赤字の削減と知的財産権侵害の是正だが、国際ルールと国内ルールを都合よく使い分ける中国にとっては現状維持がベスト。報復合戦が実行されると状況が変化するので、現状維持を願う側の失うもののほうが多いだろうが、中国は政治が優先する体制だから、引くに引けなくなるだろう。
報復合戦が実行されれば米中とも国内で少なからぬダメージを受けるだろうが、米中ともに振り上げた拳を、体面を保ちながら、どう降ろすのかという難問に直面する。相手側が引くべきだと互いに考えるだろうが、米中とも強面で知られる政権だけに、簡単には融和的姿勢に転換できないだろう。拳を振り上げることが現代の外交で、どんな効果や意味を持つのか、いいテストケースではある。
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