2018年4月25日水曜日

中国における主権在党

 2018年3月に開催された中国の全国人民代表大会(全人代)では、国家主席の任期制限を撤廃する憲法改正が承認され、習近平氏が国家主席を3期以上務める可能性が現実となるなど、習近平氏への権力集中が明確となった。同時に、中国共産党が中国政府の上に位置する流れも強まった。

 改正憲法の第1条には「中国共産党の指導は中国の特色ある社会主義の最も本質的な特徴だ」との文言が追加されたという。習近平指導部は「党が一切を指導する」として、軍や行政、社会を党が一元的に管理する政治体制を構築すると新聞は伝えた。

 中国共産党が中国の「一切を指導する」とは、党の独裁統治を強化するということだ。政治や社会、経済、歴史などに限らず中国の全てに対する共産党の指導なるものが強化されることを「一切」という言葉は意味する。中国の主権は、人民にではなく中国共産党にあるとの宣言だとすれば、主権在民ならぬ主権在党だな。

 全人代が閉幕した翌日、中国共産党や政府などの機構改革案が報じられた。それは、▽党員の人事を掌握する党中央組織部が、党員以外の公務員の管理を一元的に行うなど、政府機能の多くを党に集約▽党中央組織部に国家公務員局を編入し、党員以外の公務員も含めて採用や賞罰、研修、福利厚生などを統一的に管理▽党中央宣伝部が報道・出版、映画部門を直接管理。

 ▽党の中央外事工作指導小組や中央財経指導小組などを委員会に昇格させ、関連分野におけるトップレベルの政策立案や調整などを担当▽中央外事工作委員会は中央海洋権益保護工作指導小組の職務も引き継ぎ、外交と海洋権益の確保に関して一体的に指導する▽党中央統一戦線部に国家宗教事務局を編入し、国家民族事務委員会も統戦部が直接指導、宗教・民族政策を党が一元的に担当。

 なぜ中国共産党が今になって独裁統治を強化するのか。推測するに、締め付けを強化しなければ中国共産党の統治が持たなくなっているからだろう。経済的に豊かになり、自由世界の情報が大量に流入するようになった中国社会では、「革命は遠くなりにけり」で共産党の独裁統治への共感は希薄化していよう。

 反対に、社会が開放されるほどに共産党の独裁統治への批判が高まる可能性がある。さらに、封印したはずの過去の共産党の「誤り」を記憶している人々がいるので、自由で開放された社会になれば、封印した共産党の過去が暴かれよう。中国共産党は、民主化などの「ソフトランディング」を放棄し、独裁統治を続けることを選択、そのためには締め付けを強化するしかないのだろう。

 共産党は独裁統治を、プロレタリア独裁の政治形態として正当化する。プロレタリア独裁を正当化すると、その前衛党である共産党の独裁を正当化し、さらに共産党の指導部の独裁を正当化、ついには指導部を指導するトップの個人独裁を正当化する。多くの政敵を失脚させた習近平氏は個人独裁を強化して生き延びようとし、その個人独裁を強化するために共産党の独裁の強化が必要だったとすれば、独裁を許容する政治思想のいびつさが明確になる。

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