2018年6月9日土曜日

金利40%と生活苦

 アルゼンチンの中央銀行は政策金利を40%に引き上げた。米国10年国債の利回りは3%ほどだから、米国債を購入するよりアルゼンチンで運用したほうが大きく儲かるはずだから、外国から資金が流入する……とは限らない。

 反対に資金が流出していて、アルゼンチンの通貨ペソは下落を続け、暴落とも言える状況だ。金利40%を目当てに外国からアルゼンチンに投資しても、通貨ペソがさらに下落するなら、儲かるどころか逆に損失が出る。通貨ペソで持ち続けても、アルゼンチン国内ではインフレが加速している。

 金利を上げても資本流出が止まらないという現実は、アルゼンチン経済が投資家から見限られ、破綻に直面していることを示す。米国が金利を上げ始めたことも資金流出に関係するが、過去に何度もデフォルトを起こしているアルゼンチン政府に対する警戒感は強い。

 金利が40%という社会では、十分な預金を持っていれば利子収入だけでも相当の額になるはずだが、自国通貨の暴落とインフレが続くなら、その交換価値はどんどん減ってしまう。何度もデフォルトの経験をしているアルゼンチンの人々が資産を守るためには、ドルなど外国の通貨に早急に交換するしかない。

 アルゼンチンはIMF(国際通貨基金)に助けを求め、500億ドル(約5兆4800億円)の融資枠設定で合意した。IMFは寛大な援助者ではないので厳しい条件がつく。支援の条件として2019年の財政赤字をGDP比1.3%にするという財政再建策をアルゼンチン政府は受け入れた。

 政府の経済政策の失敗に加え、厳しい緊縮策は人々の生活を直撃する。インフレで生活が苦しくなっているのに、さらにIMFからの支援に伴う緊縮策が上乗せされると、国家経済より先に家計が破綻する人々が増える恐れがある。

 前回(2001〜2002年)の経済危機でもアルゼンチンはIMFから緊急融資を受けたが、緊縮策が多くの中間層を直撃し、貧困層へ転落させたと見られている。IMFからの緊急融資がまた必要となったアルゼンチンで、困窮する人々は今度も黙ってはいないだろう。そうした怒りがどこへ向かい、何をもたらすのか。

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