米トランプ政権は6月15日、中国の知的財産権侵害への制裁措置として、1102品目、500億ドル分の中国製品に25%の追加関税を課すと発表した(7月6日に340億ドル分の制裁関税を発動し、残りの160億ドル分は時期を検討する)。
中国は同16日、米国の制裁関税への報復措置として米国産の農産物や自動車、エネルギーなど659品目に25%の追加関税をかけると発表した。対象は約500億ドルで、7月6日に米国が課税を始めたなら約340億ドル分をすぐに発動するという(中国は追加関税の税率、対象規模、発動方式などを米国と同等にしている)。
米トランプ政権は同18日、中国の知的財産権侵害を巡り、新たに2000億ドル分の輸入品に10%の制裁関税を検討するよう指示した。中国に対する圧力強化が目的で、中国の譲歩を引き出そうとしているように見えるが、中国は同19日、対抗措置を取ると表明、一歩も引かない構えを崩していない。
関税引き上げ以外に米トランプ政権は中国の知的財産権侵害を巡り、中国企業の対米投資制限を検討しているという。中国資本が25%以上の企業が対象となり、米国企業の買収を阻止したりするほか、重要な技術の対中輸出も規制するという。
米国と中国の応酬は、ポーカーで掛け金を互いに釣り上げ続けている映画のシーンのようにも見える。だが、そのゲームには金銭以外のものも賭けられている。米国は相手が諦めて譲歩することを期待するが、中国は米国の「脅し」に屈するならメンツを失う。メンツを失ったなら共産党の独裁支配にも影響するだろう。
さらに、譲歩すれば中国は米国の知的財産権を侵害していたと米国の言い分の正当性を認めることになる。ハイテク製品分野を中心に製造業を強化する「中国製造2025」を実現するために、技術的に遅れている中国は米国などの先進国から技術を「移入」しなければならないが、他国の知的財産権を侵害せずに中国製造2025実現は困難だろうから、ここで知的財産権侵害を認めるわけにはいかない。
中国による知的財産権の侵害をやめさせることでは、米国はEUや日本などと共闘できたはずだ。だが米国は一方的な関税引き上げをEUなどにも発動し、中国の知的財産権の侵害を阻止することで共闘することを困難にしてしまった。2つの問題をごちゃ混ぜにしてしまったのは米国外交の失敗だろう。
外交における「米国第一」が、米国が全ての国と敵対する結果として現れている。米国第一の外交が、相手の意図や反応を軽視することに繋がっているのなら、外交における選択肢は狭まる。力づくで相手を従わせるという外交は全ての国に対して有効とは限らず、経済の論理ではなく政治の論理で動く国に対しては逆効果だろう。
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