サスペンスドラマでは、容疑をかけられているが否認し続けている人に対して主人公の捜査員が、何気ない会話の中で相手の気が緩んだタイミングで、以前に何度も聞いたことをさり気なく聞き直し、うっかりボロを出したのを逃さず、真相に辿り着くというシーンがある。
実際にも捜査員は、容疑をかけられている人や関係者に同じ質問を繰り返し行うことがあるという。確認を繰り返して、記憶が曖昧な部分を明確化させるためではあるが、嘘をついたり何かを隠している人の場合には、何度も答えているうちにボロを出すことがあるからだ。
取材記者も、同じ内容の質問を「確認のため」と繰り返したり、言い方を変え、タイミングや視点を変えて繰り返すことがある。これは、相手が言いたがらないことを引き出すためのインタビュー・テクニックの一つだ。相手が一度言ったことを「はい、そうですか」と素直に信じるようでは取材記者失格だ。
ありのままを正直に話している人なら、同じ質問に対して同じ返答しか出てこないだろう。だが、事実と異なることを言っていたり、何かを隠蔽したりしている人なら、何度も同じことを聞かれると、以前に言ったことと辻褄が合わない部分が出てきてしまう可能性がある。
記者会見でも同じ質問が繰り返されることがあり、明かしたくないことがある人にとっては厄介だ。強気に押し通すことができない人なら、記者会見の中で言うことが変わってしまう。最近の例では「怪我をさせろと言ったのか」と問われた運動部のコーチは最初は全否定したものの、同じような質問に答えるうちに、やがて記憶が定かではないことを認め、最後には「過激なことは言ったが一言一句覚えていない」と、否定も肯定もしないのが精一杯だった。
否定も肯定もしないと疑惑を持続させる。明確に否定しないのだから疑惑が深まったと取材陣はみなす。同じ質問に対して曖昧な返事を重ねると、取材陣からの追求ポイントが絞られてきて、何かを隠蔽している人は追い詰められた気持ちにもなろう。
「同じ質問ばかりだから」と記者会見を終わらせようとした司会者は以前、通信社の記者だったという。取材経験があるから、同じ質問が繰り返されることへの警戒感が呼び起こされたのだろう。核心に迫る同じ質問が続くのを見ていて、決定的なボロが出る前に会見を終わらせようと焦ったか。
0 件のコメント:
コメントを投稿