2018年12月12日水曜日

政府を動かす人々

 フランスで人々が怒っている。地球温暖化対策のためと軽油やガソリンの燃料税を引き上げようとする政府に、「ノー」を全国に広がるデモで突きつけた。デモで示された「民意」に押された政府は、2019年1月に予定していた燃料増税を半年先送りすると発表したが、さらに19年には増税しないとした。

 クリーンとされたディーゼルエンジン車が多い仏で軽油価格は190円弱/ℓという(ガソリンは210円弱/ℓ)。原油価格の高騰で世界的に燃料価格は上昇しているが、そこに仏では増税分が上乗せされる。車が必需品で生活に余裕がない人々は重税感を持つだろう。

 ディーゼル車が実はクリーンではないことが明らかになり、ディーゼル車の増加で都市部の大気汚染が深刻化しているので仏政府は、ディーゼル車やガソリン車の販売を2040年までに禁止する方針で、電気自動車(EV)の普及を目指すとした。燃料増税もEVへの移行を促す施策だろう。

 燃料増税の大義名分として地球温暖化対策が掲げられたが、そのために大衆課税が増やされることに人々は納得しない。富裕層に対して仏政府は減税していたのだから、なおさらだ。地球温暖化対策という名目を政府が都合よく活用している気配だ。

 これからディーゼル車やガソリン車を禁止し、EVに移行したとしても大気中のCO2が減るわけではない。すでに排出された膨大な量のCO2が存在するのだから、温室効果があるとすれば、それは加速する。つまり、地球温暖化対策は、「防ぐ」ことより「損害をできるだけ抑制する」しかない段階に入っている。

 本気で燃料増税でEVへの移行を促すなら、もっと大幅な増税が必要だろう。人々の反対が強いからと燃料増税を抑えつつEVへの移行を促すなら、さらに多額の補助金を上積みし、充電網を急いで整備することが必要だ。そうした社会的コストに見合う地球温暖化抑止効果がEVにあるかどうかは定かではない。

 エリートでも富裕層でもない多くの人々が街頭に出て「ノー」を突きつけ、政府を動かした光景は、さすが革命で誕生した共和国だ。労組などに動員されたのでもなく、自発的に街頭に出た人々の怒りが政府を動かした。一部の過激な行為がマスコミではクローズアップされて報じられるが、そうした過激な行為に注目させることは主権者意識を眠らせておくためには効果がある?

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