2018年12月8日土曜日

現場が否定する高品質イメージ

 免震・制振装置の検査データを改竄していたKYBは、判明しているだけで設置していた建物は900以上になり、改修などがいつ終わるのか不明だ。2015年に免震ゴムの性能偽装が発覚した東洋ゴムの、対象となる150棟余の改修工事は2019年中に完了するという。

 品質データ偽装が発覚した日本企業は他にも三菱マテリアル、日立化成、宇部興産、神戸製鋼所、川金ホールディングス、川崎重工業、東レなどがある。日本企業の「現場」で最近になってモラルが低下したようにも見えるが、長く改竄が行われていて、それが相次いで発覚しただけだ。

 素材メーカーが品質データを偽装すると、それを使って製造した製品に対する信頼は低下する。だがデータ偽装は、例えば、完成車メーカーでも常態化し、長く続いていた。日産やSUBARUでは無資格の従業員が完成検査を行い、さらに新車の検査で燃費や排ガスのデータを書き換えていた。新車の出荷前検査ではマツダやスズキ、ヤマハでも不適切な事例が見つかった。

 素材でも製品でも品質データ改竄が横行していた日本企業。日本の製造業の強さは高品質にあるとのイメージは、事実によって否定された。高品質から品質偽装へとイメージが正反対になったのは、日本の製造業の現場の劣化を示すものか、高品質というイメージが根拠のないキャッチフレーズだったのか。

 品質が良いとのイメージが実態とは違っていても、そのイメージを否定する企業はないだろう。法的規制や社内マニュアルは完全に遵守され、製造・生産工程では厳しい管理がなされ、細かな社内チェックを経て出荷されるものは要求される品質を満たしている……はずだから。

 信じたいものを信じる傾向が人にはある。高品質であるとのイメージは全ての企業や企業人が喜んで信じたいイメージだろう。だが、不祥事が発覚してイメージダウンに苦しむ企業は日本にも世界にも数多く存在するように、肯定的なイメージは諸刃の剣でもある。

 日本企業に関わる高品質イメージは長い年月を要して築かれた。企業や工場が存続し続けていても働く人は30年もすれば、すっかり入れ替わるし、高品質の判断基準も年月とともに変化する。いつしか現場の「実力」以上の高品質イメージになっていたのかもしれない。

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