2019年2月27日水曜日

21世紀の社会主義

 2020年の米国大統領選挙に向けバーニー・サンダース上院議員が出馬を表明した。サンダース氏は16年の前回選挙では、国民皆保険や最低賃金引き上げ、公立大学の授業料廃止などを打ち出し、若者らの支持を集めた。その影響もあって民主党の政治スタンスが左寄りになったとされる。

 英労働党のジェレミー・コービン党首は民主社会主義者とされ、大学授業料の無料化や低賃金労働の廃止、鉄道などの再国有化、核兵器廃絶、企業の税金逃れ対策強化、削減された福祉予算の増額などを掲げ、若者らの支持を集め、17年の総選挙で労働党の議席を回復、与党の保守党は過半数割れした。

 この2人に共通するのは、格差が拡大するとともに企業が強くなりすぎた経済における国家の役割を回復させ、“持たざる者”への配慮を重視していることだ。現実社会の矛盾に敏感で政治不信が強い若者には、社会に公正さや相互扶助、共生などを回復させる政策と見えようから、支持が集まるのも理解できる。英国の総選挙では若者の投票率が大幅に増加した。

 世界は今、強者が跋扈する市場経済に覆われている。社会主義や共産主義の「脅威」が消え、共産党が独裁する中国も実態は権力と資本が結びついた市場経済で、人々は管理・収奪される対象でしかない。現在の市場経済の問題は、平等が軽視されすぎ、公正な社会を実現するための国家の果たす役割が市場から攻撃されることだ。

 サンダース氏やコービン氏の政策は目新しいものではない。企業よりも国家の主導権を強め、“持たざる”人々に対する配慮を重視する政策は、いつの時代でも多くの人々が支持するだろうが、そうした政策が世界であまりにも軽んじられるようになった。それで2人の政策が若者らには斬新に見えるのかもしれない。

 市場よりも社会的な公正を重視する政策は古い社会主義の延長にも見え、若者らの支持を集める2人は1周遅れのトップランナーなのか。だが、強者が跋扈する市場経済に覆われた現在の世界で、人々から求められている政策であるなら、社会に存在する問題や矛盾が古い時代と変わっていないことを示す。

 21世紀の社会主義的な政策が20世紀のそれと変わっていないということは、人間社会が「進歩」していないことを示す。そもそも人間社会に、変化はあっても進歩は乏しいのかもしれないが、欲望(強欲)が社会を動かすことも昔から変わらないとすれば、社会主義的政策はいつの時代でも人々から求められるのかもしれない(同時に、いつの時代でも人々の欲望に負ける、か)。

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